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【両国国技館大会直前特別企画】遠藤哲哉、撮り下ろしスナップ&インタビュー「高鹿には何か殻を破るきっかけを与えてあげたいって思っているんです」

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  • 2024年を締めくくる12月28日東京・両国国技館大会でKO-Dタッグ王座決定戦に高鹿と挑む遠藤。夕暮れ時の葛西臨海公園でインタビューを実施。両国大会に向けた意気込みや今までのタイトルマッチの振り返りなどを撮り下ろしスナップとともにお届けします。

    ーー葛西臨海公園に来たことはありますか?
    遠藤 一回来ていると思います。初めてだと思ってたんですけど、観覧車を見て思い出しました。サムライTVの撮影で僕が竹下と組んでいた時、竹下が当時中村静香さんが好きだったんです。ゲストに中村静香さんを呼んで、葛西臨海公園でデート企画みたいなのをするということで、竹下と中村静香さんが2人で観覧車に乗っているのを僕が下から眺めていたという記憶が蘇ってきました。その前にゲーム対決をして勝った方が中村静香さんと観覧車に乗れるというゲーム対決で、僕が負けて竹下が勝ったので、寒空の中ハトと戯れていた記憶があります。だから多分2回目だと思いますね。僕も完全に忘れていましたけど。悔しかったというのとハトが可愛かったという思い出。根っこが生き物が好きなのでハトとの戯れも楽しかったです。でも中村静香さんと2人きりで観覧車に乗る機会なんてないので、ちょっと僕も乗りたかったなと。
    ーー生き物好きの遠藤選手ですが、今日も自然と一体化してますね。
    遠藤 田舎育ちなので自然の中の方が落ち着きますね。僕の地元は海沿いではないので、近くに海はなかったんですけど。でも昔から親父と海で蟹とか捕まえたりするのも好きだったので、その頃の思い出が蘇ってきました。
    ーーデビューから12年のキャリアを積んできた遠藤選手、タイトル戴冠のきっかけになったターニングポイントはありましたか?
    遠藤 やっぱり一番は竹下と獲ったKO-Dタッグ(2015年12月23日後楽園ホール大会)。自分のプロレス人生の一番最初のターニングポイントだったなって思います。キャリアで一番最初に取ったベルトはKO-D6人タッグ(2014年7月13日東成区民センター大会)で、僕と竹下とアントーニオ本多さんと3人で獲ったベルトなんですけど、その後のKO-Dタッグの方が業界的にも注目されて、その年のインディー大賞のベストバウトを取ることができたんですよ。あの試合は今でもずっと覚えていますし、対戦相手がゴールデン☆ラヴァーズの飯伏幸太&ケニー・オメガ組で、僕のパートナーは竹下。みんなバケモンみたいな人ばかりだったのでついていくのに必死でしたね。ただ、あの必死さがあったから今の自分があるのかなと思います。タッグタイトルに関しては、初めて獲ったっていうのもあるんでしょうけど、それを抜きにしても記憶に一番残っているのはその時。

    ーー過去5回KO-Dタッグ王座を戴冠されていますが、前回王座(2024年9月20日新宿FACE)を戴冠した飯野選手と両国大会で挑戦する高鹿選手で、タッグチームとしてのイメージの違いはありますか?
    遠藤 飯野に関してはいろいろなユニットを経て、キャリアも僕より若いですけれど、7年目くらいになるのかな? DDTの中でも中堅に入ってきていますね。だから、後輩ではあるんですけど、別に後輩という見方はしてなくて。個人で闘ってても独り立ちしているプロレスラーとして隣にいてすごい心強いパートナーでした。高鹿に関しては、KO-D10人タッグ(2024年10月19日池袋西口公園野外劇場グローバルリングシアター)のベルトは獲ったけど主要なタイトルは巻いていないので実績というのはまだ追いついてきてはいないと思います。でも、プライベートでは飯野よりも高鹿と一緒にいる時間の方が少し長いと思うので、言葉じゃなく通じ合えるのは高鹿の方なのかなとは思っています。
    ーー新宿大会のバックステージでは高鹿選手への厳しい言葉もありました。あそこまで厳しく言ったのは高鹿選手だから、ということもありますか?
    遠藤 試合自体は悪くなかったとは思うんですけど、試合後にあんなに駄々こねて、コメントでもダラダラ喋れる余裕があるんだったら全然返せたんじゃないかなと。そこが僕の中ですごい疑問に思って。ちょっと強く言ってしまったというところはありますね。別に高鹿が頑張っていないとか、努力していないという思いは決して持っていないんですけど。まだできるはずなんですよ、あいつは。多分メンタルがそんなに強くないんです。マニアックな話になるんですけど、トレーニングって肉体が限界を迎えるよりも先に精神が限界を迎えちゃうんですよ。だからベンチプレスとかスクワットとかやっていて辛いって思う。でも肉体はまだできるんです。辛いって思い込んで精神に限界が来ちゃうから、そこで止めちゃう。彼は精神の限界の先まで行けてない。最近は一緒にトレーニングする回数とかも減って、彼なりに考えてやっているみたいですけど、まだちょっと自立できていないんじゃないかなと感じました。僕と一緒にやっている時は彼が限界を迎えても僕が補助で追い込めるんですけど、一人でやっている時は見ているわけじゃないので分からない。まだ甘えが出ているんじゃないかなと。何のためにトレーニングするかって、別に体をデカくするとか、パワーをつけるとか、そういう面もあるんですけど、僕の中では限界を超えるための精神修行だと思っているので。脚トレとかめちゃくちゃ辛いですし、だからこそここまでやれたという限界を超えて、自分に自信をつけることができる。プロレスに必要な練習の一つで、修行の一つだと思って大事に考えているんですけど、高鹿がそれを自分で把握してやれているかどうかというのは、昨日の段階では疑問が少し残りました。
    ーー勝俣選手の欠場でKO-Dタッグ挑戦はなくなったものの、高鹿選手が諦めず声を上げ決定戦が決まりました。ファンの方からも高鹿選手への期待が感じられたと思うのですが?
    遠藤 高鹿は悔しいと感じてると思うんですけど、悔しいと思っているのは高鹿だけじゃなくて僕や応援してくれている人たちも絶対悔しいと思ってる。だから自分一人で闘っているんじゃないんだというのは胸に刻んでリングに立って欲しいです。一回流れかけたチャンス、勝俣の欠場で流れかけたチャンスを死にものぐるいで掴み取った点に関しては、僕はすごく評価したいです。ただ、そこで満足しちゃダメだよというのは言いたいですね。
    ーー今回の両国でのKO-Dタッグ王座決定戦ではパートナーであり後輩である高鹿選手の背中を遠藤選手が後押ししているような印象ですが、遠藤選手が高鹿選手くらいのキャリアの時に先輩に背中を押してもらったエピソードなどありますか?
    遠藤 僕が高鹿と同じくらいのキャリアの時はDAMNATIONに入るか入らないかぐらいの時だったと思うんですよね。だから隣には竹下がいたし、同じユニットには本多さんがいたし。先輩として本多さん、ほぼ同期として竹下がいて、二人に支えてもらえていましたね。本多さんは先輩なんですけど、先輩というよりはユニットの空気としてみんな友達・家族みたいな接し方だったので、多分僕と高鹿みたいな関係性ではなかったと思います。
    ーーハッピーモーテル、DAMNATION、BURNINGとユニット内の選手の関係性はかなり違いますか?
    遠藤 僕自身、後輩と深く関わったのは島谷ぐらいなんです。島谷は今メキシコへ行ってますけど。高鹿と僕の関係は島谷と僕の関係に似ているかなと思います。僕もDAMNATIONの頃からKO-Dタッグ王座は獲ったことはあるんですけど、佐々木大輔とだったり(2016年10月9日)、ポーリーとだったり(2018年6月26日新木場1stRING)、直属の後輩と一緒に獲った経験がない。やっぱり彼なりに僕の背中を見て育っているわけですし、そういうところで結果を残してこそ、BURNINGを立ち上げた意味があるのかなと思います。気になる後輩というか、後輩の中では練習生の頃から一番関わっている人間というのは間違いないので。高鹿の同期はTo-yと岡谷かな。多分その3人は同じくらいの練習生期間を過ごしていて、なかなか高鹿の芽がが出ないというところも見てきて、すごい悩んで考えているっていうのも知っているので、何とかしてやりたいという気持ちは他の二人よりは強いかなと思っています。他の二人に関しては別のユニットに入っているというのもありますが。今まで悩んできた分、結果を出して。今までやってきたことが無駄じゃなかったんだというのを味合わせてあげたい。
    ーー大石選手が以前遠藤選手のことを気になる後輩みたいなことをおっしゃっていましたが、関係性は似ていますか?
    遠藤 大石さんと喋るようになったきっかけは覚えていないんですよね。当時から優しい先輩ではあったんですけれどなんでだろう……? ベストボディ・ジャパンプロレスに参戦し始めた頃からかなと思うんですけど、その前の話は本当に自分の中で記憶にないんですよ。でも、可愛がってもらっているなという実感はすごくあった。大石さんは僕が練習生の頃にDDTに入団したんですよ。同期ではないですけど、そういうのもあってすごく可愛いがってくれているのかなと。高鹿に関してはちょっと違うと思います。僕と大石さんみたいな感じではないんじゃないかな。

    ーー現在高鹿選手から連勝中のTo-y選手の今の印象はどうでしょうか?
    遠藤 前向きなことを言うのであれば、The37KAMIINAのチームとしての雰囲気はすごく良い。それがリング上にも現れているのかなと。The37KAMIINAは今年のDDTの人気を独占していると言っても過言ではないと思うので。そんな中で先輩の背中を見てTo-y自身も考えながらやっていると思うので結果に繋がっているのかなと思いますね。ちょっとネガティブなことを言うのであれば、僕の中では努力が見た目に表れていないんじゃないかなって思います。体の線の細さとか、高鹿と比べるとちょっと負けていると思います。別に努力をそのまま売って稼いでいるわけじゃなくて、我々というのはリング上で対戦相手を倒して強いか弱いかというのが決まる。別にThe37KAMIINAはどう考えているのかとか、To-y自身がどう捉えているのかっていうところになってくると思うので、本人が良ければいいんじゃないかなと思います。フィジカルで言えば絶対To-yよりも高鹿の方が上なはずなんですよ。だから新宿大会での試合を見ていて「なんでエルボーで打ち負けてしまうんだろう」って感じてしまうんですよね。そこがすごくもどかしいですね。メンタル面なんだと思います。僕もTo-yと試合していますけれど肉体的な脅威というのは感じたことがないので、そこの差だと思いますね。
    ーー今の高鹿選手に対する遠藤選手と同じように、To-y選手の背中を押しているように見えるMAO選手の今の印象はいかがですか?
    遠藤 MAOに関しては、今年はもう本当に彼の年だったんじゃないかなと思います。DDTにとってというより、彼にとって充実していた年になったんじゃないかなと。海外でベルト獲って戻ってきたし、UNIVERSALも一回落としたけれども、また盛り返してますので。だからMAOとTo-yは僕と高鹿みたいな関係性ではないと思うんです。僕は直接的に後輩の高鹿との関わりを持って2人で上に上がっていこうというタイプ。MAOは多分俺の背中を見て自分で考えて成長しろというタイプだと思う。だからMAOを見て、To-yがいろいろ考えながら試行錯誤してやっていることがハマっているんだと思いますね。そういうところも悔しいんですよね、僕としては。高鹿は今までアニマル浜口道場出身なので、厳しいことには耐えられると思うんですよ。僕のトレーニングも現に耐えてきているので。だからもう1段階、芽が出てほしい。何か殻を破るきっかけを与えてあげたいってすごく思っているんですよ、僕は。高鹿だけが悪いというわけじゃなくて、僕もそこで殻を破るきっかけを与えられないのがすごく申し訳ない。
    ーーそのきっかけが今回なのではないかと。
    遠藤 そうですね。でもそううまくいかないのがプロレスでもあるので。だからここで気を緩めずに、引き続き日常生活から気を張った状態をキープして両国のリングに立ちたいと思います。本当に喜ぶのはベルトを獲った後なんで。結果を出さない我々というのは認められない存在なので。

    ーーこの一年を振り返ると遠藤選手にとってはどんな一年でしたか?
    遠藤 僕もKO-Dタッグ王座を獲ったりとか、それなりに充実はしていた。ただやっぱり8月にそのベルトを落としてしまいましたし、KO-D無差別級王座に挑戦したけど、それも獲れなかった。だから今の状態だと不完全燃焼なところがある。年末にKO-Dタッグのベルトを獲って終わりよければすべてよしじゃないですけど、今年をチャンピオンで締めて、来年以降より高みを目指していきたいなとは思っています。
    ーーKO-Dタッグ王座を獲得したらどんな相手と防衛戦を闘いたいですか?
    遠藤 佐々木大輔(キッパリ)。感謝もあれど、今のDAMNATION T.Aというのは僕の中ではあまり認められる存在ではないので。佐々木大輔とはもう一度試合をしてお互いに何を考えているのかということを確かめ合いたいと思います。高鹿も佐々木大輔に今まで散々バカにされてきたと思うので、恨みつらみが溜まっていると思う。だからこれをきっかけに清算したいなと思っています。恨みのような禍々しいものもリングには必要だと思いますし、佐々木大輔に勝ってその先に何が生まれるのかというのは試合をしてみないとわからない。やらなければ何も生まれないので、まずは試合をしてみたい。パッと思いついたのは佐々木大輔&MJポー。その2人と試合をしたいです。
    ーー他団体の中にはどなたかいらっしゃいますか?
    遠藤 斉藤ブラザーズ。東スポプロレス大賞の最優秀タッグ、僕と飯野で獲りたかった。タッグでいうとそこかな。
    ーー最後にファンの方へ一言お願いします。
    遠藤 高鹿に期待している方、そして僕に期待してくださっている方、僕らは皆さんの想いを全て背負って12月28日両国国技館のリングに立ちます。そこで勝ってベルトを巻くことが一番の恩返しになるし、BURNINGというユニットがそこで完成すると思ってます。必ずタッグ王者になって今年2024年を締めたいと思います。DDTプロレスファンの皆さん、1年間応援ありがとうございました!

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