DDTロゴ
DDT

【ドラマティック・ドリーム・コラム】ヒールなのにベビーを凌ぐ人気の斉藤レイとは? 注目は納谷戦! 樋口との相撲時代の因縁も再燃!?(小佐野 景浩)

この記事をシェアする

  •  11月26日に後楽園ホールで開幕するDDT最強決定リーグ戦『D王 GRAND PRIX 2023』に他団体から唯一人エントリーしているのが全日本プロレスの斉藤レイだ。
     現在、双子の兄の斉藤ジュンとともに全日本の世界タッグ王座、GLEATのG―INFINITY王座のタッグ3冠王に君臨。悪の軍団ブードゥー・マーダーズに所属して暴走ファイトを繰り広げているが、ベビーフェース、ヒールを超越した人気を誇っているのが斉藤ブラザーズのユニークなところだ。
     TAXIドライバーに美味しくて安い店を聞き、自分たちで店と交渉して豪快に食事をするミヤギテレビの『OH!バンデス』の人気コーナー『TAXIめしリターンズ』で、荒々しさの中にも優しくて律儀という素顔が垣間見え、また兄弟の低音ボイスでの絶妙な会話が受けてブレイク。
    宮城県角田市出身だけに10月9日に角田市総合体育館で青柳優馬&宮原健斗に世界タッグ王座に挑戦した時には斉藤ブラザーズに大声援、ベビーフェースのはずの青柳と宮原にブーイングという逆転現象が起こった。そして王座奪取後のサイン会では300人ものお客さんが列を作ったのだから、その人気は本物だ。
    ノリに乗っているレイだけに、全日本の年末の祭典『世界最強タッグ決定リーグ戦』開催中にもかかわらず「最強タッグと同時進行であるけれども、俺のシングルでの実力を見せつけるいい機会だとしか思っていない。それだけだ。全日本代表? ブードゥー・マーダーズ代表? そんなことは特に意識してねぇな。相手をぶっ倒そうと思っているだけ。今回、俺がこのD王に参戦することによって“全日本にこんなデカくて面白れぇ奴がいる!”っていうのを見せてやるから、楽しみにしてろ!」と、豪語する。
    斉藤ブラザーズが初めて話題になったのは14年前の2009年。レスリングとアメリカン・フットボールを下地に大相撲の出羽海部屋に入門した時だ。双子でしかも父がアメリカ人、母が日本にということで「ハーフの双子が角界入り」と話題になったのである。ちなみに四股名は兄ジュンが藤の海順、レイが藤の花礼。
    残念ながら相撲では才能を開花させられず、17年9月場所を最後に引退して就職のためにアメリカに帰ったが、レイがジュンを誘ってプロレスを目指すために日本に戻り、20年12月13日の後楽園ホールにおける公開入門テストで揃って合格。年末に入寮し、翌21年6月9日にプロレスデビューを飾った。
    角界に約8年いたため、デビューした時点ですでに34歳。当初は192㎝、119㎏の巨体を持て余し、もたもたした大味なファイトで将来を心配されたが、22年1月から9月の海外修行が彼らを激変させた。元々、英語は喋れるから言葉の壁はなく、テキサス、ニューヨーク、マサチューセッツなどを転戦、アメリカ本土だけでなく北アイルランドでも試合をした。
    日本にいるとどうしても先輩後輩の上下関係がある、ましてや相撲という厳しい縦社会にいただけに礼節を重んじる兄弟だが、海外に出てすべてから解き放たれた。そして22年9月に凱旋帰国すると「最短距離でトップを獲るため」に人間関係のしがらみがないブードゥー・マーダーズに身を投じた。
    ヒールになって好き勝手に暴れ回るというのはレイの性に合っていたようだ。相撲時代はMAXで157㎏あった体重を肉体改造してプロレスデビューした時には119㎏。双子だけに兄のジュンと見分けがつかずにマスコミを困らせていたが、海外修行から帰国した時には巨漢のパワーファイターに変貌、端正な兄ジュンとはまるっきり違う風貌になっていた。
    「ウェートは意識して増やしたぜ。力士時代よりは炭水化物は食ってねぇけど、タンパク質を多く摂って…気が付いたら150㎏近くになっていた(笑)。体重がどんどん戻ってきて、自分でも自分の身体がよくわかんねぇけど、でも、俺は動けるぜ!」と分厚い胸を張る。
     確かにその言葉通り、相手をロープに振ってのカウンターのクロス・ボディアタック、高さのあるその場飛びのジャンピング・ボディプロレス、トップロープからのダイビング・ボディプレス…と、巨体を巧みにコントロールしている。
     さらに相撲出身だけに打たれ強く、張り手が強烈。いつくるのかわかない、コーナーに詰めてのフェイントをかけての水平チョップは対戦相手に嫌がられているし、アメフト仕込みのスピアーもある。そして絶対の自信を持っているのはドリルアホール・パイルドライバーだ。
     どうしても斉藤ブラザーズとしてのタッグがクローズアップされるが、今年4月の『チャンピオン・カーニバル2023』では優勝戦には進めなかったものの、大森隆男、石川修司、プロレスリング・ノアから参戦した征矢学を撃破し、諏訪魔との公式戦は両者リングアウトに持ち込んでシングルプレイヤーとしての実力も見せつけた。
     今回のD王GPでエントリーされたBブロックには前KO-D無差別級王者クリス・ブルックス、新UNIVERSAL王者MAO、EXTREME王者の平田一喜、ダムネーションTAのKANONがいるが、レイが最も意識しているのは201㎝、120㎏の巨体を誇る納谷幸男である。
     振り返ると昨年9月18日、海外修行から凱旋したレイが遭遇したのが納谷だった。斉藤ブラザーズ&サイラスvs石川修司&佐藤耕平&納谷の6人タッグで、レイが石川をダイビング・ボディプレスで圧殺。レイと納谷の絡みはほとんどなかったが、この日が全日本初参戦だった納谷は「斉藤ブラザーズ、もっとやりましょうよ!」とコメントしている。
     それから約1年、DDTと全日本に対抗戦の気運が生まれ、全日本の9・23後楽園に納谷が高鹿佑也、瑠希也を引き連れて参戦し、諏訪魔&田村男児&井上凌と戦った後のバックステージで斉藤ブラザーズが納谷に突っかかる場面が生まれた。さらに全日本10・21後楽園でも試合後の納谷を急襲。翌22日のDDTの後楽園にも斉藤ブラザーズが乱入した。そして11・12両国でも6人タッグで激突して因縁は深まるばかり。
    「前KO-D王者のクリスも含めて面白い選手ばかりのBブロックだけど、一番意識しているのは何やかんや納谷幸男だ。あいつ、俺とジュンにキレてるから、バチバチの戦いになるんじゃねぇか。あいつはデカいから望むところ。面白くなると思うぜ!」と12月2日の新宿FACEでの公式戦を楽しみにしている。
     もうひとりレイが意識しているのはAブロックの樋口和貞。樋口もプロレス入り前は八角部屋の力士・北道山和貞。相撲では樋口が2年半先輩になるのだ。
    「樋口…北道山だな。漫画の『ああ播磨灘』から四股名を付けたと言っていたような。多分、1回か2回はやってるな。負けただけなのか、1回勝ったのかは憶えてねぇけど、俺もジュンも2回ずつぐらいやっている。まあ、Bブロックは俺が勝ち上がるから、反対側から樋口が頑張って上がってくれば、プロレスでの再戦だな。これも楽しみにしているぜ!」
     大鵬三世の納谷幸男に相撲の先輩・樋口和貞…斉藤レイはTAXIめしのように美味しく平らげた上で優勝を目論む!

    文/小佐野景浩

この記事をシェアする