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【ドラマティック・ドリーム・コラム】ジ・アルファ対ジ・アルファ、クリス・ジェリコvsKONOSUKE TAKESHITAプレビュー(中澤マイケル)

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  • この試合をチャレンジ・マッチだと思う人も少なくはないだろう。チャレンジ=挑戦だとすれば竹下が挑む側であることには異論はない。ただそれは「若手がトップに挑む」というありきたりなものには決してならない。9月の後楽園ホールに突如送られてきたクリス・ジェリコからのメッセージ。「チャレンジ」という言葉を出したのはクリス・ジェリコのほうからである、そしてその突然の世界のトップレベルからの「挑戦」に対し竹下は言い放った。「クリス・ジェリコがDDTに来るのが大きな夢か?そうじゃないだろ。DDTのリングでジェリコに勝つ。それがドラマティック・ドリームだろ!」と。そしてそれは強がりなどでは決してない。

    現在のAEWでの竹下幸之介選手の異称をご存知だろうか?「ジ・アルファ」である。英語で「アルファ」または「アルファ・メール」といえば動物の群れのボスを意味し、あるいはそれから転じて集団の頂点に立つ人間をもあらわす。自らがAEWの頂点に立つリーダーだという自負からでもあろうか。竹下はケニー・オメガに一度ならず二度まで土をつけた男。その実績、実力ともにその名を名乗るに不足はない。だがその「ジ・アルファ」を先に名乗った人間がいる。それが11月14日、DDT両国国技館大会で彼が対戦するクリス・ジェリコである。

    AEWの歴史に詳しい方ならご存知かもしれないが、2018年1月4日に新日本プロレスの東京ドーム大会でクリス・ジェリコ対ケニー・オメガの一戦が組まれた。アルファ(Α)はギリシャ文字の始まりであり、その対極に位置するのが終わりの文字であるオメガ(Ω)である。この試合の対戦相手であったケニー・オメガに対して自身も「ジ・アルファ」を名乗り始めたのだろう。「原初」vs「究極」ともいえる。当時の二人のキャリアを見るに言い得て妙ではないか。この試合は現在竹下のマネージャーであるドン・カリスなしでは組むことができなかったと言われており、さらにはこの試合をトニー・カーンが見ていなければAEWの旗揚げもまたなかったといわれるほどの歴史的な一戦ともなる。


    ・ウェンブリーの大観衆を前にケニーから見事に勝利

    と、この背景を知ったうえで見てみれば竹下が「ジ・アルファ」を名乗ったのはクリス・ジェリコに対しての挑発であるのは間違いがないだろう。竹下はすでにAEWの「究極」である「オメガ」を倒している、1度ならず2度もだ。そして竹下が頂点を目指すなら次の目標になるべきは誰か?現王者のMJFか?あるいはジョン・モクスリー?それともブライアン・ダニエルソン?もちろん彼らはAEWのトップスター、そして象徴であり実力者でもある。だが「究極」ではない。となれば「原初」を打ち負かしてこそAEWを制したと言えるのではないか?ジ・アルファを名乗り、彼とケニーとの試合がなければAEWも存在せず、そして初代AEW世界ヘビー級王者であるクリス・ジェリコこそが、その世界王者決定戦で「究極」を打ち負かしAEWの「原初」となった彼こそが竹下の次の標的はとして相応しいとは言えまいか。竹下はすでにクリス・ジェリコを何度も襲撃し、試合の中ではシングル・マッチでの直接対決こそまだないものの互いに当たり火花を散らす場面も決して少なくはなかった。


    ・クリス・ジェリコをイスで背後から襲う竹下

    竹下の背後にいるドン・カリスの存在も不気味である。彼が全ての争いの元凶であるともいえる。同郷出身であるクリス・ジェリコとの数十年の友情を裏切り、同じく同郷出身であるケニー・オメガのアドバイザーだったにもかかわらず彼をも裏切った。ドン・カリスいわく「ケニーという甥っ子は失ったが私はタケシタという本当の息子を見つけた」と。その彼は竹下をはじめ、ウィル・オスプレイ、サミー・ゲバラ、ウパワーハウス・ホブスなどを自らのファミリーに取り入れその数を増やしながらジ・エリートやクリス・ジェリコと対立を続けている。AEWの「原初」であるクリス・ジェリコ、そして「究極」であるケニー・オメガ、この二人の信頼を得ていたドン・カリスはそれだけでAEWでの地位は安泰だったはずである。だがそんな彼がその二人を裏切った。なぜ?ドン・カリスが竹下にアドバイスを与え始めたのはケニーを裏切り、クリス・ジェリコを襲撃するずっと前のことである。その過程の中でドン・カリスは確信したのではないか。竹下はすでにクリス・ジェリコ、ケニー・オメガを超えていると。だからこそ安泰であるジェリコの友人、ケニーの参謀という地位をすて裏切った。竹下さえいればAEWは制圧できる。


    ・ケニーを襲撃し、テープでロープに拘束する竹下とドン・カリス

    この試合はいわゆる「チャレンジマッチ」などではない。対等なオス同士、群れのボスとしてどちらが真に相応しいかをかけた戦いだ。11月12日、両国国技館でどちらが真の「ジ・アルファ」として生き残るのか、そういう戦いだ。証人なくして群れのボスは決まらない。11月12日、ぜひ「究極」のパーティへ。

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