MAOが6月25日の東京・後楽園ホール大会に並々ならぬ決意で臨む。MAOは同大会でKO-Dタッグ王座の防衛戦を行う予定だったが、パートナーでDDT EXTREME王座も保持していた勝俣瞬馬が5月21日、後楽園での岡谷英樹との防衛戦で右足首を粉砕骨折し、しばらくの間欠場に。そのため、勝俣はKO-Dタッグ、DDT EXTREME両王座を返上。この事態にMAOが勝俣の無念の思いを受け継ぐべく、DDT EXTREME王座決定戦に名乗りを挙げ、6・25後楽園で平田一喜と同王座を争うことになっていた。ところが、6月13日の東京・花やしき内浅草花劇場でハプニングが発生。平田とのタッグマッチでの前哨戦(MAO&上野勇希VSヨシヒコ&平田)で、ヨシヒコが勝利し、3WAYでのEXTREME王座戦を要求。その結果、MAOvs平田のシングル戦が、MAOvs平田vsヨシヒコのサバイバル3WAYダンスでのタイトル戦に急きょ変更された。そのMAOにパートナーへの思い、EXTREME王座決定戦への意気込みを聞いた。
ーーパートナーの勝俣選手がケガで長期離脱になると聞いた時、最初はどういう思いでした?
MAO 元々KO-Dタッグは(樋口和貞&吉村直巳の)返上からの王座決定戦で奪取してやってきたんですけど、瞬馬のケガでKO-Dタッグを手放すことになったし、瞬馬はEXTREMEも返上だし、この流れでMAOがいかなかったらウソだろうって! 一緒にずっとやってきたパートナーがケガして、ベルトを落として、自分以外の人にいかれても自分が納得しないし、(王座決定戦の)相手が誰であれ自分がいくしかないという気持ちでした。僕が一番理由があるじゃないですか。これで自分以外だったら、お客さんも瞬馬も自分も納得しない。KO-Dタッグの防衛ロードが途絶えてしまって、そこにケリをつける意味ではMAOが行くしかないと……。
ーー勝俣選手が5・3横浜武道館でEXTREME王座に返り咲いて、新たな歴史をつくりそうな雰囲気でケガをしてしまったんですが、EXTREME王座はハードコアっぽいイメージがありますよね?
MAO それは払しょくしたいとずっと思ってて。一時EXTREME王座がハードコアのベルトっぽいイメージになっていて。瞬馬が獲って、瞬馬には瞬馬の色がある。結局ハードコア、デスマッチのベルトになっていくのかなと予感はしてたし、そこはガラッと変えたいですね。
ーーDDTのエクストリームと言えば、MAO選手か勝俣選手のイメージですが、そこにこだわらないですか?
MAO エクストリームのイメージをもってくれてる人が多いんですけど、僕はEXTREMEのタイトルじゃなくてもエクストリームな試合が多い。元々入りは路上プロレスからだったんですけど。路上って実質ハードコアマッチ。僕がやってるハードコアマッチは路上の延長みたいなところが強くて。こだわりはあるんですけど、できるだけ挑戦していきたいんで、普段から変な試合が多くなる。そこでエクストリームのイメージをもってくれてる人がいる。去年の3月20日、両国でDDT UNIVERSAL王座を初戴冠した時、“EXTREMEのベルト、おめでとう”ってすごい言われた。その時のルールがハードコア3WAYマッチだったというのもあって、EXTREMEのベルトを獲ったって思ってた人も多くて。そういうイメージをもってくれてるのは大歓迎。普段からエクストリームなイメージをつくり上げてきた証拠でもあるし、悪いことじゃないから。瞬馬とはタッグタイトルがエクストリームなルールが多くて、バーレスク東京でやったり、後楽園の全面使用でエニウェアフォールがあったり。ただ僕のなかでは一番エクストリームなのは瞬馬だと思ってるんで、僕はその次にエクストリームな男だと思います。瞬馬は人生エクストリームですから(笑)
ーー勝俣選手はデスマッチまで踏み込んでやってましたけど、DDTのハードコアは従来そこまでエグイことするイメージではなかった。MAO選手のなかでは、自身が今までやってきたことのほうがDDTらしいエクストリームですか?
MAO とんちが効いてるものですよね。過去で言えば、騒音防止デスマッチ、グルグルバットデスマッチ、カレーデスマッチとか。どうしたらこんなこと思いつくんだろう?というのを、いい大人が全力でバカバカしいルールで、本気で競い合うのがDDTのエクストリームだろうって思うんですよ。バカな絵面なんですけど、本人たちは真剣にその戦いで勝とうとしてる。そういう精神ですね。ハードコアマッチって言っちゃうと簡単なんです。形ができてるものだから。ハードコアマッチという概念も試合形式もすべてが固まってるものなんで、そこに行きつくのは簡単なんですけど、もっとゼロから何かを生み出したくて。前、ハードコア柔道とかやりましたし、ああいう怪しいものを突き詰めていきたい。僕はDDTと言えば怪しいというのを絶対に壊したくない。今はだいぶポップになって、ストロングスタイルというか全うなプロレスでも勝負できる団体になったのはもちろんいいことなんですけど、怪しさがなくなったらDDTじゃないよなって。僕は徹底的に怪しさを追求していきたい。
ーーハードコア柔道は試合が終わっても、何だったのか正直よく分からない面がありました…
MAO 分からなかったけど、なんか引っ掛かって心に残る。そういうものじゃないといけないと思う。ハードコアマッチで“激しい試合だったね”で終わるんなら、どんなに収拾がつかない試合でも何か引っ掛かりは残したい。何十年経っても、ワンシーンだけでも、ああいうのがあったなっていうのを覚えててもらいたい。そういうものをエクストリームで目指していきたい。今情報も早いし、10分、20分試合して、そのなかの10秒くらいのワンシーンだけが、切り取られていくような時代なので。そういったなかでいかに心に引っ掛かりを残していけるか、どれだけ見た人の目に焼き付けるかというところの勝負ですね。
ーー元EXTREME王者の彰人選手がいろんなルールを書き留めていて、ロープを引っ張った「環境利用闘法マッチ」など特殊なことをやったりしていますね……。
MAO ああいうのもロープが張り巡らされてるってすぐ思い出せる。引っ掛かりを残すって、ああいうのかなって。彰人さんがやった蛍光灯IPPONデスマッチは2019年のDDTベストマッチだと思う。EXTREME史上、僕的には一番すごい試合でしたね。
ーー当初、王座決定戦の対戦相手が平田選手と聞いた時はどう思いましたか?
MAO 文句なしだと……。来るべき人が来たと思った。4・16新潟で突如シングルが組まれて。たぶん平田さんとシングルやることなんてないだろうなって、僕も平田さんも思ってて。お互い死力を尽くした死闘になったんですけど、まさかEXTREMEのタイトルマッチで、また平田さんとシングルやることになるとは思わなかった。平田さんってエクストリームじゃないですか。普段からダンスデスマッチやってるんで。『TOKYO GO!』の怖いところは、どんなにこっちが試合を優位に進めてても、平田さんがメガネかけたら戦況が五分五分になっちゃう。あれは特殊能力ですね。DDTで一番エクストリームなのは瞬馬ですけど、普段からある意味エクストリームなのは平田さんだなと思います。
――ところが、ヨシヒコを加えたサバイバル3WAYダンスに変更されて、より面白くなった?
MAO 僕があこがれていた怪しいDDTそのものじゃないですか。後楽園のメインでEXTREMEのベルトかけて、ヨシヒコが出てきて。後楽園のメインイベントですよ。こんなに冒険を見せてくれる(今林久弥)GMも最高にバカだと思う。そこに僕も大概バカなんで、のっかっていきたいと思います。ハッキリ言って約束された問題作なんで。徹底的にDDT怖いなって、思わせてやりますよ。
――ルールが決まることになっていた6・13浅草大会の試合前、ヨシヒコが割り込んでくる予期はありましたか?
MAO 全くしてなかった。あんなとこでヨシヒコが自我を芽生えさせてくるとは。来月、ヨシヒコと一緒に米国ツアー行くんで、友好的な感じかと思ったら、こんなとこで一山ぶち込んでくるとは、思わなかった。
ーー試合順が後楽園のメインになったことについてはどう思いますか?
MAO 本来ならその日は、対戦相手は決まってなかったんですけど、瞬馬とタッグの防衛戦やる予定だった。どのみち、僕にとってはタイトルマッチをやる日だった。そこに向けての準備、調整などは問題ないんですが、いかんせん対戦相手とベルトがこんなことになるとは…。ある意味、こういうのも巡り合わせ。パートナーがケガで返上して、それに挑むことになる。ある意味引きと言ったら、ここで引かなかったら瞬馬の足首に申し訳ないんで、この引きは絶対にたぐり寄せていきたい。
ーーやる以上、勝俣選手の代わりにベルトを持って、MAO選手の新たなエクストリームを確立していきたいですか?
MAO チャンピオンになったら、徹底的に挑戦者を困らせてやろうかなと。本来ルールは、チャンピオンが決めるんですけど、EXTREMEのチャンピオンになった人って、自分のエクストリーム勘を持ってる人が多いと思うんで、まずはチャンピオンにならないと、僕のエクストリーム勘は育たない。今まで色々やってきすぎた故に、チャンピオンになった時、どうしたらいいかまだよく分かってない。頭のなかにいろんなものがあふれて、それを捨てていかなきゃいけないんですけど、何を捨てればいいのか、まだ分からない。
ーー元王者の秋山準選手のように挑戦者にルールを委ねた例もありますし、ルール決めは臨機応変でもいいですか?
MAO なんでもいい。対戦相手次第ですけど、ハードコアマッチでもいいし、プロレスという競技じゃなくてもいい。もし相手が望んで、相手がそのルールでいけるなら何だってやります。
ーーしゅんまおでKO-Dタッグ王者として5ヵ月走ってきました。気持ちを整理しないといけないと思いますが、ベルトを獲れたらしばらくはEXTREMEに専念しますか?
MAO 僕のなかで、ちゃんとしたパートナーは瞬馬かマイク・ベイリー。朱崇花もいますけど忙しそうだし。ベイリーも忙しそうだし、瞬馬はケガしてるし、今はタッグ戦線では動ける時期ではない。瞬馬とのタッグはまだまだいけたと思う。まさに飛ぶ鳥を落として飛んでるなってくらいの勢いがあったんで。こんな形で終わるとは思ってなかったんですけど、足が折れてしまったものはしようがないんで。ただ、これでベルト返上してシュンとなってたら、それこそ瞬馬にも申し訳ない。
ーーKO-Dタッグは6・25後楽園で王座決定戦に臨む上野勇希選手、小嶋斗偉選手に任せますか?
MAO あの2人から名乗り出てるんで。もちろん上野&小嶋で、しゅんまおみたいなことをしろとは言わないけど。サウナカミーナとして、竹下(幸之介)さんは悪い人になっちゃったし、瞬馬はケガして、どうなっちゃうんだろう?って。ユニットとしては不安な時期なんですけど、こうやって僕はEXTREMEに挑むし、上野&小嶋でタッグ行くし、ユニットとしては勝負の時期です。



