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【ドラマティック・ドリーム・コラム】父からの教えを胸に……進化を遂げていく17歳の超新星、ニック・ウェイン(タカ中山)

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  • 昨年9月に行われた「GCWジャパンツアー」で初めて日本の地を踏んだニック・ウェイン。事前情報が全くと言っていいほど出回っていなかったこともあり、会場に詰めかけたファンのほとんどが、ニック・ウェインが何者であるのか知らない。だが、この弱冠17歳の超新星は、その初々しくも逞しい容貌、醸し出す独特の雰囲気、華麗でスピーディーな動きで、徐々に日本のファンたちを魅了していった。

    あれから8カ月、さらに成長したニック・ウェインが、日本に帰ってくる。

    “17歳の超新星”が、日本での活躍の場として狙いを定めたのはDDTのリングだ。GCWの日本大会では、デスマッチ目当てのファンも多かったため、その本領が十分に発揮できなかったようだったが、DDTのリングほど彼に相応しい場所はないであろう。

    本来であれば、5月3日の横浜武道館大会の1試合のみの短期間での参戦予定だったが、ビザ発給手続きの遅れにより来日が中止になってしまう。現役の高校3年生ということもあって、なかなかスケジュール調整が難しかったのだが、災い転じて福と為すと言ったらいいのだろう、6月17日に高校を卒業するため、6月下旬から7月上旬にかけて約二週間の日本滞在が可能となった。そして、東京・後楽園、横浜、大阪、東京・新宿での三大都市計4大会に参戦することが、晴れて決定した。

    “17歳の超新星”ニック・ウェインは、2005年7月10日、アメリカ北西部ワシントン州シアトル生まれで、日本遠征の直後に18歳を迎える。父親はバディ・ウェイン、母方の祖父がムーンドッグ・モレッティの三世レスラーである。

    祖父のムーンドッグ・モレッティは、昭和54年6月にエド・モレッティの名で国際プロレスに、昭和59年8月にはムーンドッグ・エド・モレッティとして全日本プロレス「スーパー・パワー・シリーズ」に来日した。二代目タイガーマスクがデビューした田園コロシアム大会に出場し、阿修羅・原と対戦している。

    ニックは、祖父とよく話をするそうだ。

    「祖父は僕のことをよく知っています(笑)。僕が誰と試合をしたか、どこの団体に出たか、何が起きたかなどの最新情報を把握しています。
    祖父から言われて一番嬉しいのは、僕のことを誇りに思ってると言ってくれることです。僕はそのことを、一生、心に刻んでいきます」

    父親のバディ・ウェインは、主に地元ワシントン州やオレゴン州などの米北西部や、カナダ・バンクーバー地区などの太平洋岸地区を拠点に活躍したほか、WWFやWCWなどのTVマッチにも出場したレスラーだった。現役生活を続けながら、シアトル近郊の街エヴェレットでプロレス学校、バディ・ウェイン・アカデミーを設立し、後進の育成にも務める。現在、AEWで活躍中のダービー・アリンや、新日本プロレスのクラーク・コナーズ、ケビン・ナイトらは同学校でバディ・ウェインから教えを受けた卒業生たちだ。

    幼い頃から父親のプロレス学校に出入りし、父と生徒らが練習する様子を見ていたニックは、ある時から、練習が終わり誰もいなくなったリングに上がり、見様見真似のプロレスごっこをするようになった。ニックは、当時まだ8歳だった。翌年、9歳になったニックは父に、自分も一緒に練習に参加したいと告げる。息子のプロレスに対する熱い思いを知っていた父は、その申し出を受け入れる。こうして父と幼い息子のプロレス物語が始まった。

    しかし、突然、親子に悲劇が訪れる。

    2017年6月17日、バディがプロレス学校で練習中に心臓発作を起こし、そのまま亡くなってしまう。50歳とあまりにも早すぎる、家族との別れであった。

    11歳だったニックは、最愛の父の死から2日後、その意志を受け継ごうと、気丈にもリングでプロレスの練習を再開する。そして、2カ月後、12歳となったニックはプロレスラーとして念願のリングデビューを飾るのだった。

    「父が僕に残してくれた教えで心に残っていることは、“一貫性を保て”ということです。父はプロレス学校の生徒たちに、『覚えたことは何百回、何千回、何万回とやりなさい。そして、もっと何百回、何千回、何万回と繰り返しやるのです』とよく言っていました。

    父は毎朝5時に起きて練習に行き、家に帰ってくると朝食を食べ、休息を取った後、また数時間後には練習に行っていました。僕はその姿にとても刺激を受けました。父の一貫した姿勢を見て、僕もそうなりたいと思ったのです。いまでも毎日、父のことを思い出します。僕がすることはすべて、亡き父のことを思ってなのです」

    父からの教えを守り、中学校、高校に通いながら、家から近い太平洋岸北西部地区でプロレスを続けるニックが、プロレスファンの目に止まったのは、2021年8月のGCW参戦からだ。ここで注目を浴び、GCWレギュラーメンバーの座を獲得した早熟の天才児は、広大なアメリカ大陸を西から東へ、北から南へと飛び回るプロレスラーへと成長していく。

    ニックの名を、一躍、世に知らしめたのは、2022年2月12日、地元シアトルで行われたDEFY(ディファイ)レスリングでの出来事であった。メインイベントを終えたニックの前に、かつて一緒に父から教えを受けた兄弟子のダービー・アリンが現れる。AEWからの使者として、契約書を持ってきたダービー・アリンは、弟分のニックに対し18歳になったらAEWと契約を結ぶ約束をしたのだった。

    あれよあれよとスター街道を駆け上るニックだが、6月17日に卒業を控える、まだ17歳の現役高校生だ。

    「高校ではスポーツ医学が得意科目です。将来の自分のために、または他の人のために運動障害やその治療法を学ぶのが好きです」

    学校ではクラスメートから、プロレスラーであることについてどう思われているのか聞いてみた。

    「ほぼ毎日のようにプロレスについて聞かれます(笑)。プロレスや僕のやっていることを凄い、面白いと興味を持ってくれるクラスメートは少ないです(苦笑)。それ以外のほとんどの人が、プロレスを馬鹿にしています。その人たちにいくらプロレスのことを説明しても、わかってもらえないし、興味も持ってもらえません。だから相手にはしていません。プロレスは正真正銘リアルなものです。傷や怪我もリアルだし、体の痛みもリアルです。精神的な戦いもリアルです。僕はどれだけリアルなものか知っているので、否定的な意見には耳を傾けません」

    プロレス一家に育ち、幼き頃からプロレスを間近で見てきたからか、若くして達観した考えを持っているなと感心させられる。

    現在、ニックは兄貴分でもあるジョーダン・オリバーとのタッグチーム“イースト・ウエスト・エキスプレス”でGCWタッグ王者に君臨。同王座は、今年3月31日にモーター・シティ・マシンガンズから奪取した後、オリバーと息のあったコンビネーションで着々と防衛を重ねている。

    今年4月8日にはAEWのスワーブ・ストリックランドを破って、地元シアトルの団体ディファイ・レスリングのDEFY世界王座も戴冠したニック。5月13日に新日本プロレスの常連エル・ファンタズモを破り防衛するも、6月3日に行われたKENTAとの防衛戦に敗れ、惜しくも同王座は落としてしまった。

    昨年9月の初来日時は、GCWの面々と一緒だったが、今回は単身での来日となる。

    「仲間たちと一緒でないのは寂しいですが、不安はありません。昨年、後楽園ホールで試合ができたことに感動しました。なぜなら、これまでこの聖地で行われた試合の映像をたくさん見て勉強していたので、自分がその歴史の一つに刻まれたことはとても光栄なことでした」

    6月25日の来日初戦は、その思い出の地、後楽園ホールのリングに再び登場する。以下、7月1日の横浜ラジアントホール、2日の大阪コミ協ひがしなり区民センターと続き、最終戦は7日の新宿FACEとなる。

    気になる試合カードだが、まずは来日中止となった横浜武道館大会で行われる予定だった幻のカードが、7・1横浜大会で実現することが発表された。

    インターナショナルスペシャルタッグマッチ
    ニック・ウェイン&正田壮史 vs. 上野勇希&夢虹

    ニックとの対戦を熱望する上野勇希選手は27歳、ニックと同じく子供の頃からプロレスを始めた夢虹選手は15歳、そして、ハリウッド大会でニックと対戦したことで意識しまくる正田壮史選手は21歳。これからの日米プロレス界を背負って立つ4人の若武者による、未来と希望に満ち溢れた試合になるに違いない。

    続いて、6月25日の後楽園ホール大会では遠藤哲哉と一騎打ち。7月2日の大阪大会は"日米ヤングレスリングサミット!"と題し、木下亨平&高鹿佑也とのタッグでMAO、小嶋斗偉&夢虹との対戦が決定。そして、来日最後の試合となる7月7日の新宿FACE大会では上野勇希との対戦が実現する。

    DDTでの参戦を終え、帰国後、7月10日に18歳を迎えるニック。そしてその2日後、12日に行われる「AEW Dynamite」カナダ・サスカトゥーン大会で、スワーブ・ストリックランド相手にAEWデビュー戦が予定されており、ニックの雄姿が全米中に生放送される。

    天国のニックのお父さんも、逞しく成長した息子の姿を見て、目を細めることだろう。

    超新星ニック・ウェインは、これからもまだまだ進化を遂げていくに違いない。我々も彼の成長していく姿を一緒に見ていこうではないか。


    ■出身地
    アメリカ・ワシントン州シアトル

    ■生年月日
    2005年7月10日

    ■身長
    186センチメートル

    ■体重
    79キログラム

    ■デビュー
    2017年8月(12歳)

    ■得意技
    ウェインズ・ワールド(スプリングボード式ダイヤモンドカッター)

    ■王座獲得歴
    第32代GCWタッグ王者(パートナーはジョーダン・オリバー)
    第9代DEFY世界王者
    初代5CC Wrestling王者

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    店主 タカ中山

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