「ルーチャ! ルーチャ! ルーチャ!」
DDTの2023年幕開けを飾る1月3日の後楽園ホール大会にて、開始早々、今林GMから大きな発表があった。3月21日に同会場で行われる「DDT旗揚げ26周年記念大会」に、元WWEのカリストこと、サムライ・デル・ソルが参戦することがスクリーンに映し出されたのだ。
すると、突然、軽快な曲が流れるや、試合用のコスチュームに身を包んだサムライ・デル・ソル本人が登場するというサプライズ。これには、ようやく声出し解禁とはなったものの、なかなか以前のように声が出せなかった観客たちですら、「ルーチャ! ルーチャ! ルーチャ!」と思わず大声を出してしまうほどの衝撃だった。
持ち前の軽い身のこなしで、コーナートップからリングに回転して舞い降りたサムライ・デル・ソル。マイクを受け取ると、「とても興奮してるぜ! DDT、ルチャ、ジャパン! ルーチャ! ルーチャ! ルーチャ!」と参戦発表の雄叫びをあげた。後楽園の会場を埋めた皆が腕を挙げ、「ルーチャ! ルーチャ! ルーチャ!」と3月21日の参戦が待ちきれないかの様に呼応する。
バックステージで、サムライ・デル・ソルは、「DDTで闘いたいのは、たった一人だけだ! ウエノー!」と、上野勇希との対戦をぶち上げた。
元WWEスーパースターからの対戦要求を受けた上野勇希も、名前を出されたことに光栄であるとし、対戦を受諾したのだった。
“リング上で最も素早い戦士”の異名を取るサムライ・デル・ソルは、アメリカ・イリノイ州シカゴ生まれで、幼児期の数年は親の故郷メキシコシティで育った。幼い頃、祖母と一緒にテレビで見たルチャリブレに夢中になる。ルチャリブレ好きが高じたせいか、空を飛ぶことに憧れ、スーパーマンを崇拝していた。小学生のとき、シカゴに戻ってきたデル・ソルは、体操やフットボール、テコンドー、柔術、レスリングなど様々なスポーツや格闘技に勤しみ、ルチャリブレだけでなく、WWEやWCW、ECWなどにも興味を持ち始め、RVDやハヤブサらの命知らずのスタイルに目を奪われた。
プロレスラーになること以外は考えもしなかったと語るデル・ソルは、大学に通っていた19歳のとき、地元シカゴのインディー団体ウインディ・シティ・プロ・レスリングが営むプロレス学校でプロレスのトレーニングを開始する。その学校でアメリカンプロレスだけでなく、ルチャリブレも学んだデル・ソルは、トレーニング開始わずか3週間でプロレスラーとしてデビューした。
持って生まれたプロレスセンスと、懸命な努力の甲斐もあって、すぐに米中西部を代表するハイフライヤーと呼ばれるまでになった。中西部地区以外のインディー団体やメキシコでも活躍していたデル・ソルは、さらなる可能性を求め、2012年にWWEのトライアウトを受け、合格。2013年5月にWWEとディベロップメント(育成選手)契約し、名前を“カリスト”と改め、同年9月にNXTのライブイベントでデビューを果たした。
翌年2014年6月には、当初タッグチームを組んでいたエル・ローカル(リカルド・ロドリゲス)と袂を分かち、新たにシン・カラ(二代目、現シンタ・デ・オロ)とタッグを組み、めきめき頭角を表す。9月11日には、およそ1年近くもの間、王座を守り続けてきた難攻不落のザ・アセンションを破り、NXTタッグ王座を獲得。シン・カラとのコンビ名を“ルチャドラゴンズ”として、若手精鋭が切磋琢磨することで競争力が激しいNXTのタッグ戦線を牽引していく。
翌年2015年1月までタッグ王座を保持し続けたルチャドラゴンズだが、バディ・マーフィー&ウェスリー・ブレイクに王座を明け渡した後、「レッスルマニア31」翌日のRAWで一軍昇格を果たす。
ニュー・デイやアセンション、マタドールズ、プライムタイム・プレイヤーズらとのタッグマッチがほとんどだった2015年から、明けて2016年、シン・カラが負傷したこともあり、パートナー不在のカリストにシングルプレイヤーとして白羽の矢が立った。
1月16日に行われたRAWでアルベルト・デル・リオを破り、US王座を初戴冠。3日後に放送されたSmackDownでデル・リオに奪還されるも、10日後には再度、デル・リオを破り、王座奪回に成功。デル・リオやライバック、ルセフら大型選手相手に防衛を重ね、5月22日にルセフに破れるまで、4ヶ月間、王座を守り抜く。その後、2017年10月9日には、エンツォ・アモーレを破り、WWEクルーザー級王座を獲得する。
身長168センチの小兵でありながら、大きな足跡を残し、約8年もの間、在籍したWWEを離れたのは2021年4月のことだった。名前をサムライ・デル・ソルに戻し、心機一転、新たなプロレス人生をスタートさせることに迷いはなかった。
「僕がWWEのUS王者だった時、メキシコ遠征があったんだ。カリストのマスクをかぶって、コスチュームを付けた小さな女の子が僕の元に駆け寄ってきて、
『わたしはプロレスは好きじゃないんだけど、あなたのルーチャ! ルーチャ! っていう掛け声が好きなの』と言われたんだ。
そして、その女の子はこう言ったんだ。
『あなたが二軍から這い上がってきて、メインイベントで大きな選手をやっつけた時、とても感動したの。私はお医者さんになりたいの。あなたを見てたら、勇気が出たわ』
とても衝撃を受けました。そして、これこそが僕の仕事なんだと思いました。僕は世界中の多くの人たちに希望を与えたいのです。もっと大きなインパクトを与えたいのです。それはWWEのような大きな会社でなくても、できることなんだと思います」
2021年4月のWWE退団以後、出場した試合数はわずか十数回と、”なかなか生で見ることのできない選手”の一人とも言えるサムライ・デル・ソルが、新たなる闘いの場として選んだのは、DDTのリングだ。
3月21日の後楽園ホール大会では、上野勇希とインターナショナルスペシャルシングルマッチで激突。3月24日の新宿FACE大会では、竹下幸之介と組んで、クリス・ブルックス&正田壮史と対戦する。
声出しが解禁となった会場で、腕を大きくあげ、心の底から大きな声で叫ぼうではないか。
サムライ・デル・ソルは、この3年間、私たちが失っていたものを、忘れていた何かを、思い出させてくれるだろう。
さぁ皆で、「ルーチャ! ルーチャ! ルーチャ!」
<hr />
◆アメリカンプロレスショップ フリーバーズ(Yahoo!ショッピング)
https://store.shopping.yahoo.co.jp/freebirds
店主 タカ中山



