DDTロゴ
DDT

【ドラマティック・ドリーム・コラム】昔からEXTREMEだった秋山、18年前に新設した白GHCとは?(小佐野 景浩)

この記事をシェアする

  •  秋山準が12・4後楽園ホール大会でジョーイ・ジャネラを撃破してEXTREME王者になったことにより、頻繁に出てくるようになったワードが「白GHC」だ。
    白GHCとは、プロレスリング・ノアに存在したタイトルで、第9代王者の小橋建太が負傷によって長期欠場を余儀なくされて2010年6月に返上後、封印された。
     その白GHCという言葉が13年近くも経って再びクローズアップされたのは、ベルトの特徴がEXTREME王座と酷似しているからだ。ノアの最高峰の王座と言えばGHC(グローバル・オナード・クラウン)ヘビー級王座。これに対して俗称「白GHC」の正式タイトル名はGHC(グローバル・ハードコア・クラウン)無差別級王座。チャンピオンが試合ルールを決められるというのがEXTREME王座と共通している。
     白GHCのベルトは2004年に秋山が「秋山家の大蔵大臣(つまり秋山夫人)が許す金額」で自らアメリカに発注したもので、革部分が秋山のイメージカラーのホワイト。これには「チャンピオンがどんな色にも染められる」という意味が込められていて「白GHC」の呼称が定着した。なお、ベルトの代金は太っ腹の三沢光晴社長がポンとポケットマネーで払ってくれたことで、三沢社長が最高顧問に就任。タイトル管理委員長には「俺が考えたんだから、俺」と秋山が自ら就任して、もちろん初代王者にもなった。ベルトのお披露目は同年3月13日のディファ有明。秋山がベルトを見せつけながら花道に現れると大歓声が起こった。
     秋山が白GHCを新設した理由は、当時のGHCヘビー級王者・小橋建太への挑発。「小橋さんは崇高なる人間ですよ。だからまあ、それと反対の言葉を探して」と、当時の秋山。こう書くと、ネタっぽく生まれたベルトのようだが、実はその根底にあったのは選手の活性化と地方興行のテコ入れという賢人・秋山の考えだ。
    「GHCの存在はかなり遠い。そんなに簡単に挑戦できないっていうのがあるんですよ。今の若い奴らは大きなシングルマッチをほとんど経験してないから、このベルトは肩肘張らなくても、誰でも挑戦できるようにしたい。挑戦の制限とか資格は何もない。ヘビーとジュニアの区別もない。ただひとつ挑戦資格があるとしたらノアに利益がある選手。それは他団体の選手でも構わない。そしてタイトルマッチをやるのは、普段はタイトルマッチが行われない地方興行限定」というのが、秋山構想だった。
     認定書を読む立会人は、その日に会場に来た客から「ノアノアくじ」で当選した人にやってもらい、試合の際には本部席に座ってもらい、認定書を持って帰ってもらうなどのファンサービスも盛り込んだ。
     4月18日行われた初のタイトルマッチ=秋山の初防衛戦の相手は佐野巧真。秋山は3カウントのみ、佐野はKO、TKO、ギブアップのみで勝利となる変則ルールが採用されて秋山がリストクラッチ式エクスプロイダーで勝利。
     2度目の防衛戦は2軍扱いして「練習して何の役に立ってんの? 健康のため?」と揶揄してノア・ヘルスクラブと名付けた井上雅央、泉田純、川畑輝鎮の3人だ。しかも「半人前じゃなくて1/3人前だから、3人で1回の防衛戦」と、立て続けに3人相手に20分一本勝負で防衛戦を行い、見事に防衛した。これにも「1軍に昇格したければ、俺に絡めばいい」という秋山ならではの考えがあった。
     同年10月、まだジュニアヘビー級だった丸藤正道が階級の差を超えてリングアウト勝ちで秋山から王座奪取。丸藤は大ベテランの永源遙と「10分一本勝負で、時間切れ引き分けでも王座移動」というスリリングな防衛戦をやっている。
     丸藤からベルトを奪取したモハメドヨネは、森嶋猛とチェーン・デスマッチ、スコーピオとノーDQマッチと、まさにハードコアな防衛戦。
     最終王者の小橋は「チャンピオンがどんな色にも染められるなら」と、ベルトの革部分を自らのテーマカラーの紫に勝手に変えてしまい、思わず秋山が「いやいや、小橋さん、そういう意味では……」と頭を抱える事態に。
     そうした過去を踏まえての今回の秋山のEXTREME戴冠。奇しくも紫のベルトに「嫌な思い出があるので白に変えてください」「小橋さんをタイトル管理委員長に」と要求し、12・29TDCホールにおける挑戦者のスーパー・ササダンゴ・マシンに対しては「DDTヘルスクラブの隊長になって頑張ってほしい」と注文を付けるなど、早くも秋山ワールド全開。
    実は柔軟なプロレス頭の持ち主の秋山だけに、様々なアイデア沸いていることだろう。これから秋山がEXTREMEをどんな色に染め上げていくか……それはDDTの方向性も左右するかもしれない。

    文/小佐野景浩

この記事をシェアする