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【ドラマティック・ドリーム・コラム】大阪こそベスト! みんなで笑えば福来る、10月17日松井レフェリー主催興行(三田佐代子)

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  • 今年も松井レフェリープロデュース興行が、10月17日日曜に大阪市阿倍野区民センターで開催される。

    2014年から数えて7年連続8回目のプロデュース興行で、これまでも竹下幸之介vs飯伏幸太や竹下vsZERO(現HUB)、竹下&ビリーケン・キッド組vs上野勇希&HUB組など、大阪にゆかりのある選手をメインに、わくわくするようなカードが提供されてきた。そんな中、今回松井レフェリーから満を持して「OSAKA THE BEST」と名付けて発表されたのが、竹下幸之介&上野勇希組vs入江茂弘&吉村直巳組のカードだ。全員が大阪出身で、20代半ばから30代前半の、もっとも勢いのある選手たち。○○・ザ・ベストと言えば、かつてみちのくプロレスで6人タッグの最高峰と名高かった「みちのく・ザ・ベスト」を思い出す。そこには巧さと激しさと華やかさと面白さ、全てがあった。今回の4人に父親のように愛情を注ぐ松井レフェリーは、この4人ならザ・ベストを名乗るに相応しい試合になるだろうと期待をこめて、この名前をつけたはずだ。

    竹下、上野、吉村は全員が95年生まれの同い年。竹下と上野は同じ高校の同級生で、吉村は小学生時代にこども相撲で竹下と競い合っていた。入江は、大阪プロレスのプロレス教室で竹下幸之介の先輩にあたり、そして入江だけがDDTを卒業。竹下&上野組は「The37KAMIINA」というDDTのリング上で現在進行形のユニットのメンバー同士で、入江&吉村組は2018年に海外遠征に一緒に行った間柄。吉村が練習生の頃から入江はいろいろと気にかけていたという。同級生、ライバル、仲間、先輩に後輩。一言では言い表せない関係が、4人の間には紡がれている。

    中でもでやはり、入江茂弘がどんな気持ちで他の3人と対峙するだろうか、と考えている。入江は2018年にDDTを離れ、海外のリングを中心に活躍していた。DDT在籍時にはKO-D無差別級を8度防衛したこともあったし、竹下とは幾度となくシングルマッチも戦った。いろいろな理由があってDDTを離れたにせよ、それでも松井レフェリーから声をかけられたら必ず世界のどこにいても入江は駆けつける。

    「松井さんとは僕がプロレスラーになる前からの付き合いで、松井さんがいたからDDTに入ったし、松井さんがいたからなかなかDDTをやめる決意もつかなかったくらい特別な存在です。何があっても出場したい大切な興行なんです」

    松井レフェリー主催興行についての思い入れを、入江茂弘はこう答えてくれた。松井レフェリー自身、入江がDDTを離れた時に「悲しみと、若干の自責の念があった」と話してくれたことがあった。どんなに離れたとしても、過去に何があったとしても、人と人との関係性は揺るがない。松井レフェリーと入江茂弘の間に流れる信頼関係は、そう思わせる強さがある。

    竹下&上野組は、今年6月にさいたまスーパーアリーナで開催されたサイバーファイトフェスティバルでDDT代表としてプロレスリングNOAHの清宮海斗&稲村愛輝組と対戦し、勝利した。言うまでもなく竹下はあの秋山準を破りKO-D無差別級王者になったDDTの強さの象徴で、上野はユニバーサル王座を落としたとはいえ、伸び盛りでプレッシャーやスランプといった言葉からははるかに遠い。今回の試合に関しても竹下は「これまで松井さんの興行では竹下が闘いたいプロレスラーとの対戦を実現してもらってきたので、今回は松井さんの見たいカードを実現してもらって、期待に応えたい。親孝行したいです」と語り、上野も「松井さんが見たいと思って組んでもらったカードなので、その想像を超えたいし、負けたくない」と意気込む。

    一方、入江&吉村組は、それぞれに道を切り開いてこの日同じコーナーに立つ。入江は退団直前までタイトルマッチも組まれた竹下は別として、上野と吉村に関しては本当に若手の頃しか知らない。「自分の持っているイメージとはみんな違っているだろうと思います」と語る。そして吉村は、同い年の竹下と上野がすでにDDTのメインイベンターなのに対し、まだ自分がその位置にたどり着けていない悔しさがあったはずだ。そこへきてこの12日、DDT後楽園大会で吉村は、KO-Dタッグ王者になった。試合前には前王者の竹下に厳しい言葉をかけられていたが、それを全て力に変えての見事な勝利だった。その勢いで17日の大会になだれ込むのは非常に心強い。そうでなくてもパートナーは入江、圧倒的なパワフルコンビ誕生だ。悔しさ、困難をそれぞれ乗り越えてこの日タッグを組む入江&吉村組の大爆発を期待したい。

    この日のダブルメインイベントのもうひとつの試合は、あの菊タローvsくいしんぼう仮面のシングルマッチだ。この国が、いや全世界のプロレスという文化が誇るこの名人芸が、2人にとって欠かせない松井レフェリーの興行で実現する。本来ならば松井レフェリーが自身の30周年でやろうか、と話していたらしいのだが、「何があるかわからないから、やれるうちにやろう」と今回実現することになったという。本当に、私たちはこの2年近く、さまざまなことを失ってきた。大好きなプロレスを見に行く、指紋をすり減らしながら巻いた紙テープを投げる、楽しい試合に笑い転げる、好きな選手の名を大きな声で叫ぶ、悪いことをした選手にブーイングを飛ばす、大会が終わったら夢中でその日の試合について語り合う。

    だからいま、実現できるときに最高のカードを実現させてくれた松井レフェリーには感謝の気持ちでいっぱいだ。いつか見られるなんてことはない、見たいものは今見ないと見られなくなってしまうかもしれないのだ。

    秋山準とマグニチュード岸和田の和泉vs岸和田、南大阪抗争に震える。くいしんぼうと菊タローと松井レフェリーのあれやこれやにマスクの奥で笑う。そして、オオサカ・ザ・ベストの名の元に集う、今が盛りの選手たちの魂のぶつかり合いに痺れる。

    竹下幸之介が、素敵なことを言っていた。

    「大阪のベストを見せるのではなくて、大阪がベストなんだ。って、そう胸を張って大阪のファンには思ってもらえるような試合を」

    そんなふうに言ってもらえる大阪の人たちは幸せだ。そしてこの試合が見られる大阪の人たちはもっと幸せだ。今回の大会のサブタイトルは、「笑門福来」。どうかいい試合を見て、たくさん笑って、たくさんの福がやってきますように。そう願っている。

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