11・24後楽園大会で赤井沙希“おきばりやす”七番勝負がスタート。その初戦の相手として選ばれたのがアイスリボンの“取締役選手代表”藤本つかさだ。赤井がプロレスデビューする前、女子プロレスを題材にしたテレビドラマ『マッスルガール!』に出演した際に、そのプロモーションとしておこなわれたエキシビションマッチの相手が藤本になる。その初遭遇から8年目の初シングルが七番勝負の相手。「なぜ今、赤井沙希という選手は七番勝負を課されたのか知りたい」。女子プロレス大賞を受賞するなど、今や女子プロ界のトップを牽引する彼女から出てきたのは、赤井に対する厳しい言葉の数々だった。(聞き手/歌代孝正)
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――『マッスルガール!』での女優・赤井沙希って見てました?
藤本 はい見てました。その時は女優さんとして接していたので、「きれいな方だなあ」とマジマジと見てました。
――2011年にエキシビションマッチで対戦することになります。
藤本 きれいだったし、この子プロレスやらないかなあって思ってました。
――それはどういう部分で感じました?
藤本 お客さんがリングの四方にいる中、初めての場所なのに見られるということに慣れていて物怖じしない。だからこの子、プロレスデビューしないかなあって。
――となると、赤井選手が2013年にデビューした時は?
藤本 やっぱりなって(笑)。プロレス面白いもんね、やっぱりデビューするよねって思いました。
――デビュー後は気になってました?
藤本 気になってましたけど、それは沙希ちゃんだから特別というわけではなく同業他社さんなので、全員見てましたよ。仕事柄見るじゃないですか。その中でも(プロレス大賞)新人賞を獲ったりとか、目立っていた印象はありました。
――2018年、女子プロレス団体「SEAdLINNNG」マットで再会することになります。
藤本 沙希ちゃんってすごく細いじゃないですか。それなのに自分のファイトスタイルを確立しているなと思いました。
――プロレスラーとなった赤井選手はエキシビションマッチの時とは別人でしたか。
藤本 あのエキシビションマッチはドラマの中の役柄で赤井沙希ではなかったので、レスラーの赤井沙希と初めて対戦したという感じでした。
――その時の印象は?
藤本 顔もきれい、見た目もきれい、試合もきれい。
――それは藤本選手にとってうらやましいんですか?
藤本 すごくうらやましいし、一緒に並びたくないし、同じリングに立ちたくない(笑)。
――一緒に並びたくない(笑)。
藤本 あんなスタイルがいい人が同じリングにいたら嫌じゃないですか! まあそれは置いといて(苦笑)。置いときたくないけど置いといて、試合はすごくきれいだなって。だから「悔しい」とか「絶対相手を倒してやる!」という泥臭い気持ちよりも、きれいだなっていう印象のほうが強いですね。
――そういうタイプはアイスリボンの中にいないですか。
藤本 昔の雪妃真矢とちょっと似てるかな。あの子も見た目がすごくきれいだし、高飛車なイメージがあって勘違いされたりしていたんですけど、よく知ると、すごく笑うし、ぐちゃぐちゃに泣くし。そういう人間的な部分を見た時に、さらに魅力が増したので、沙希ちゃんのそういうところをもっと知りたいなって思います。
――赤井沙希の感情を見たいと。
藤本 喜怒哀楽の“喜”と“楽”は見てるんです。“怒”と“哀”は私はそんなに見たことがないので、この試合で見ることができればいいなと思います。女子って感情がものすごい出るんですよ。女子プロレスって、女の子の喜怒哀楽をリングに投影するものだと私は常日頃思っていて。沙希ちゃんはいつもきれいなイメージだから、もっともっとカッコ悪いところも見せていいんだよと。それもプロレス、それがプロレス。
――11・24後楽園で見られるのはきれいな赤井沙希ではないということですか。
藤本 あのきれいな赤井沙希がグチャグチャ、ボロボロになっても、奇声あげて立ち上がってくる姿を私は見たい。この前の記者会見で「DDTの面白さをこの試合を通して伝えたい」と言ってたみたいですけど、DDTさんの面白さなんてとっくに知ってる。そういう背負っている沙希ちゃんではなくて、今回は女子プロレスラーの赤井沙希を出して欲しい。もしリングで対峙して握手をした時に、違うなと思ったら……秒殺します。
――秒殺……。
藤本 七番勝負の第1戦なので、そのほうが彼女のためになるかもしれないですね。でも沙希ちゃんって2013年デビューですよね。雪妃は2014年デビューなんですけど、1年ぐらいで七番勝負をやってたんですよ。
――藤本選手は七番勝負の経験はありますか。
藤本 自分はやったことがないんです。いつも相手側なのでうらやましいなって思ってました。だけど、七番勝負をする人って「もっともっと強くなってほしいと団体の期待がかけられている」か「くすぶっている」かのどちらかだと思うんですけど、沙希ちゃんはどっちなんですか?
――そうですねえ……。
藤本 6年目で七番勝負ですよね。
――そうなります。
藤本 だから、なぜ今、赤井沙希という選手は七番勝負を課されたのか知りたいです。ただ単に会社に組まれたからやるのか。じゃあなぜ会社は組んだのか。その意味を見いだせたら、絶対自分のためになりますし、私もこの試合の勝負論が見いだせます。
――なるほど。
藤本 沙希ちゃんって男子選手の団体の中の女子だから、どうしても華を添える役目と思われがちだし、もしかしたら本人もそこに落ち着いちゃってる感はあるのかなと思うんですけど、絶対もったいない逸材だし、女子プロレスというものをもっと突き詰めたら、もっともっと魅力的で感情移入される選手になるんじゃないかなと思っています。
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