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【ドラマティック・ドリーム・コラム】誰もが主役になれるKING OF DDTトーナメント、生き抜いたのはカリスマだった(三田佐代子)

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  • 「俺の人生に一度くらいこんなことがあってもいいだろう」と言ったのは長州力だが、DDTで1年に一度、誰でも平等に両国のメインイベントの座を狙うことが出来るのがKING OF DDTトーナメントだ。このトーナメントで優勝すれば、過去の実績やキャリア、普段のキャラクターなど全く関係なく、年間最大級のビッグマッチでKO-D無差別級の挑戦者の座を掴むことが出来る。例年「いつでもどこでも挑戦権」の行方が絡むのでチャンピオンよりも挑戦者の方が早く決まるのが恒例で、誰よりも早く、両国のメインイベントの座を確保することが出来るのだ。

    今年は総勢32人で争われたKING OF DDTトーナメント。優勝候補筆頭の竹下幸之介の負傷欠場により、「ビアガーデンのドリンク売りのつもりだった」平田一喜が急きょエントリーされ、彼が台風の目になってトーナメント序盤を盛り上げた。平田が懐かしい「男なら~」で始まる「語れ!涙」で入場してきた時はダンスは封印して本気モードなんだな、と思ったのだがそれがいつもの「TOKYO GO」に変わってなおグッときた。ピカピカメガネで踊っているのも、若手通信でもがいていたのも全部平田一喜で(時折違う名前だった時もあるけれど)、そのキャリア全部でこのトーナメントに臨もうとしてるんだな。そしてそんな平田をDDTファンは全力で応援した。

    普段なかなか見ることの出来ないシングルマッチで改めてそのポテンシャルに気づかされたレスラーが数いる中で、心を揺さぶったひとりが大鷲透だった。平田と一緒にここ数年はDDTのいわゆるバラエティ部門を立派に盛り上げてきた大鷲だが、このトーナメントではあの、怖くて強い大鷲透が帰ってきた。大鷲がDDTに初上陸したのは今から13年前の2005年、遠い昔のことだ。当時大鷲はDDTのレスラーがどうぶつかってもかなわない強さの象徴だった。今やDDTの絶対的エースであるHARASHIMAが、正義のヒーローから悪に寝返ったのも、マスクを脱いで素顔になったのも、そして初めてKO-D無差別級王者になったのも、全部大鷲透がきっかけだった。そう思えばあの2回戦でのHARASHIMAvs大鷲、両者の並々ならぬ思い入れとその激闘、そしてその戦いの後の2人の清々しい笑顔の意味もわかる。「俺にとっては決勝戦だった。この後は敷かれたレールに戻ります」と言った大鷲だが、そのレールがバラエティ路線から、新生ディザスターボックスにポイントが切り替わったのはまた運命の面白さでもある。

    DNA世代の俺はここで生き抜いていくんだという意地、タノムサク鳥羽の懐かしさ、ベイリーvsMAOの伝説の始まり、語りたいことはいくらでもあるけれど、結局そんな物語も全部ぶち抜いて両国決勝の権利を手に入れたのは、カリスマ佐々木大輔だった。意外にも佐々木はDDTの年間最大級ビッグマッチでメインイベントを務めるのは初めてになる。佐々木も、ディック東郷という同じ師を持つアントーニオ本多との拳での語り合いや石井慧介、HARASHIMAとの削り合い、そして遂に実現した決勝での遠藤哲哉との同門対決を経て、この資格を手に入れた。振り返れば2016年の石川修司、2017年の遠藤哲哉、そして今年の佐々木と3年連続でDAMNATIONがこのトーナメントを制している。佐々木の言葉を借りるまでもなく、DAMNATIONの勢いは未だ全く留まるところを知らない。

    よくトーナメントを制したプロレスラーは「負けた選手の気持ちも背負って」と口にする。佐々木はそのキャラクターからして間違ってもそんなことは言わないだろうが、あの日のアントーニオ本多の、石井慧介の、HARASHIMAの思いも、そして直接戦ったわけではないけれど平田や大鷲の思いも間違いなくその背中には乗っかっている。プロレスラーという選ばれた人たちの、その中で更にほんの一握りのレスラーにしか許されないビッグマッチの主役という座を、佐々木はデビュー13年目にしてようやく手にしたのだ。お金のためだとかその日まで生きているかどうかわからないとか口を開けばカリスマは毒づくけれど、その快挙を素直に喜びたい。

    10月21日両国、佐々木大輔の相手になるのは、現KO-D無差別級王者にして、初の女性チャンピオンである里村明衣子なのか、それともまだ両国の座をあきらめきれない男色ディーノなのか、ディーノへの復讐に燃える入江茂弘なのかは9月23日後楽園の3WAYの結果を待たなければいけない。でも相手が誰であろうが、佐々木には関係ないことだ。佐々木にとって2018年両国のメインが「一生に一度くらい」のご褒美ではなく、更に彼の欲望を深めてくれることを願っている。

    (著者Profile)
    三田佐代子(みた・さよこ)
    1969年8月5日、神奈川県小田原市出身。CS放送・FIGHTING TVサムライのニュース番組「速報!バトル☆メン」、「インディーのお仕事」のキャスターほか、リポーターや執筆など幅広く活動中。初の著書『プロレスという生き方-平成のリングの主役たち』(中公新書ラクレ)は好評発売中。
    Twitter @345m
    「逆エビ日記Ver.3.0」http://d.hatena.ne.jp/sayokom/

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