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【佐々木大輔インタビュー】カリスマの徹底したネガティブパワーの根源とは?「おまえに何がわかるんだ!」

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  • 12・21後楽園ホールで正田壮史を相手にKO-D無差別級王座を防衛した上野勇希の前へ、誰よりも先に姿を現したのは“カリスマ”佐々木大輔だった。自発的にベルト獲りへ動いたのはなぜだったのか聞くと「上野を不幸にする」といたってシンプルな動機だったわけだが、ではそこまでの熱量で他人の不幸を求めるのは、どういったものが根源にあるのかを知りたくなった。ポジティブを求められるプロレス界において、ネガティブパワーをアイデンティテイーとする男の価値観を、本人が語った。(聞き手・鈴木健.txt)
  • 試合では上野に肉体的なダメージを
    与えるが、本筋は精神的ダメージの方

    ――昨年下半期は20周年記念興行、AMAKUSA選手との再会マッチ、四十代突入と続きました。40歳になって日々の中での変化はございましたか。
    佐々木 そうだな、相変わらず破滅に向かっている状態だ。
    ――今も破滅に向かっている最中なんですか。
    佐々木 これはもう、止められないものだからな。一日ごとに、どんどん先が短くなっていると体感している。平均寿命で言うなら80歳だから、もう半分しかない。
    ――いや、あと40年もあるならまだまだじゃないですか。
    佐々木 いいや! あと40年しかないだろ。だから今やりたいことをやらなければと強く思う。よりやりたいこと優先で生きなければと思うようになった。
    ――そこは今まで通りですね。
    佐々木 ほかの連中が浮かれた毎日を送っている間も、俺だけは終わりが迫っているという危機感を持って生きている。そこが凡人の連中と差だ。
    ――それ以外で、たとえばもの見方や価値観、人生観が変わったとかはあったんでしょうか。
    佐々木 ない! 強いて言うなら、四十を過ぎて酔っている人間を見た時に汚いな、みっともねえなと思うようになったぐらいだな。
    ――それって、ご自身もそうですよね。
    佐々木 そうだ。今の自分がまさにそうだ。だが、これまでと変わったのはそういう人間が見えるようになったことだ。
    ――見えるようになったことで、自分を律すると。
    佐々木 律する? 逆にそんなことは無理だと確信した。ああはなりたくないというよりも、俺もこんな感じなんだと納得するだけだ。
    ――平たく言うと四十代になってもカリスマはカリスマということですね。
    佐々木 そんなことで影響を受けてたまるか。まあ…あと10年経ってもこのままだったら響くかもしれないが。
    ――いや、四十代になって心境の変化のようなものがあったからタイトル獲りに動いたのかと思ったんです。
    佐々木 そんなことは微塵も考えていない。俺がそんなことを動機に動くとでも思っているのか?
    ――淡い期待もありました。
    佐々木 年齢が変わったことがやる気になるなんていうのは、嘘っぱちもいいところだ。
    ――では、なぜこのタイミングで王座を狙うんでしょう。
    佐々木 それはあの時に言った通りで、それ以上でもそれ以下でもない。上野を不幸にする。この一点のみだ。
    ――他人を不幸にすることに対し、自発的に動くほどのモチベーションを持てるものなのですか。
    佐々木 これが持てるんだよ。上野勇希という人間の本質を、俺は見抜いている。あいつはな、偽りで生きている。
    ――偽り…。
    佐々木 それが俺は許し難い。ちょっとパッとした活動をしているだけでキャーキャー言われているのが我慢ならない。
    ――人気が出るのはとてもいいことじゃないですか。プロレスラーは誰もがそういう形を目指しているのでは?
    佐々木 いいや! 俺はキャーキャー言われることを目指してなんかないぞ。実際、言われたこともないしな。あれは、言っているやつらも嘘つきだ!
    ――チケット代を出して、見に来ている人たちが嘘つきだと言うのですか。
    佐々木 上野は世の中を知らないから浮かれているが、リング上でキャーキャー言われているからといって、キャバクラでは言われないのが現実だ。
    ――そういうものですか。
    佐々木 だからリングに向かってキャーキャー言っているのも本心じゃない。
    ――でも、キャバクラでキャーキャー言われないのはカリスマの場合であって、上野選手だったら…。
    佐々木 うるせえ! それ以上は言うな。むしろ、上野がキャバクラでもキャーキャー言われていたら、さらに許せない。
    ――カリスマの価値観として、嘘は許せないタイプなのでしょうか。
    佐々木 いや、そんなことはないぞ。上野だから許せないだけだ。
    ――なぜにそこまで、上野選手ばかりに…。
    佐々木 まず、顔がタイプじゃない。にもかかわらずキャーキャー言われていることが、俺としては受け入れ難いものがある。
    ――でも、上野選手が女性ファンからキャーキャー言われるのは今に始まったことではないじゃないですか。
    佐々木 だから俺は昔から、あいつのことを地獄へ落とそうとしてきただろ。
    ――DDT UNIVERSALのベルトを争った時もそうでしたね。
    佐々木 あれがずっと続いているだけだ。俺はな、怨念の塊なんだ。それで不幸に陥れるにはどうしたらいいかと考えた時、あいつが今調子に乗っているのは2本のベルトを持っているからだろ。それを奪われたら、調子に乗ってなどいられなくなる。天国から奈落の底へ落とすには、あいつからベルトをぶん獲るのがもっとも効果的だ。試合では肉体的なダメージを与えるが、本筋は精神的ダメージの方だ。大事なものを失った時の人間は悲惨だぞ。
    ――そこまでやってしまうんですか。
    佐々木 ほかの人間に対しては、そこまで思うことない。
    ――ある意味、カリスマと呼ばれる佐々木大輔が上野勇希に対し、そこまで本気になっているということですよね。
    佐々木 そうだな、上野がいなかったら俺はもう終わっているかもしれない。あいつがキャリア3年ぐらいの時に、タッグのベルトを獲られて(2020年1月3日、後楽園ホールにて上野&吉村が佐々木&高尾から奪取)、あの時点でこいつを不幸にしなければとすでに思っていた。そのあたりから上野は会社のプッシュを受けていたしな。
    ――会社のプッシュは期待の表れですからよいことですよ。
    佐々木 それは、それ相応の力があってこそのものだろ。上野は実力もないのに、あの顔がキャーキャー言われるという理由からなのか不当にプッシュされていた。
    ――その頃はそうだったかもしれないですが、今やあそこまで成長しました。
    佐々木 いいや! 今も実力はない。足りないではなく、ないだ! あいつの試合を見て、凄いとか面白いと思ったことは一度もない。
    ――両国国技館のメインで、あの鈴木みのるに勝った男ですよ。
    佐々木 見てない! 見てないのは、やっていないのと同じことだ。
    ――今のプロレス界で上野勇希を認めない人間を探す方が難しいですよ。では逆に、どういう選手をカリスマは認めているんですか。
    佐々木 スコット・ホールとか。
    ――スコット・ホールって認める認めないの対象なんですか。
    佐々木 あとはゴールドバーグあたりかな。WCWで別格だった人間だ。それと比べたら、上野なんか話にならない。
    ――話にならない以前に、話にしないです、普通は。
    佐々木 上野がスコット・ホールやゴールドバーグのようになったら俺も認める。でもなれないし、なろうともしないだろ。だからここで、俺が止めてやるっていうんだ。
  • 無差別とUNIVERSALを獲ったら
    O-40と統一してDDT三冠王座にする

    ――ただ、今回はもう一人の挑戦者がいます。
    佐々木 クリス・ブルックスのことか。あいつも上野もろとも奈落の底へ叩き落すだけだ。あいつは何が狙いであそこに入ってきたんだ?
    ――先にインタビューしたんですが、クリスいわく上野選手にベルトが集中している今のDDTは面白味が感じられない。だから自分が獲ることで風景を変えたいという目的があるそうです。
    佐々木 おい、それは俺と同じことを言っているじゃないか。
    ――風景を変えたいというのは、確かにそうとも言えます。
    佐々木 これは共闘するしかないな。俺も上野一人がベルトを何本も持っているのはよくないと思っていたところだったんだ。同じ目的ならクリスも喜んで俺と手を組むだろ。2対1になって、俺としても都合がいい、フッフッフ…(にじみ出てくる喜びを隠しきれない様子)。
    ――動機は同じだとしても、やり方は違うと思いますよ。
    佐々木 (無視して)「一緒に上野を不幸にしようね」って書いておいて。これで上野は完全に包囲されたな。もう終わりだ。だいたい彰人があの場で言ったルールがややこしくて、俺はさっぱりわからなかった。でも、3WAYは得意だからな。
    ――もう一人の相手を利用するのに長けていますよね。
    佐々木 あとは、いったん勝敗がついても試合が続くんだよな。上野にとっては一本、また一本とじわじわベルトを剝がされることになる。いや、彰人はもしかすると上野をじっくりといたぶる場を考えてくれたのか? だとしたら実質3対1だな。
    ――クリスに共闘を呼びかけるからといって、ベルトを1本ずつ山分けしようという考えではないんですよね。
    佐々木 当たり前だ。俺は無差別とUNIVERSALを分けるようなことはしない。
    ――クリスは共闘してもいいことがないじゃないですか。
    佐々木 それはそれ。あ、これは書いたらバレるから書くな。
    ――どっちなんですか。
    佐々木 まあ、バレたところで俺ならクリスを引き込むことができるから、いいか。おい、これで上野が一枚ずつ爪を全部剥がされていく姿が見られるぞ。指10本分の苦しみを味わうことになる。
    ――仮に1本目でクリスがUNIVERSALを獲って2本とも獲得するのが不可能になっても、モチベーションは続きますか。
    佐々木 続く。上野がもがき苦しむ姿が見られるなら、たとえ報酬が1つになっても俺はやれる。ただ、これは実質2試合分だから四十代にはキツいかもしれない。
    ――ここで四十代の影響が。
    佐々木 やったことがないからわからないが、ローマン・レインズもセス・ロリンズもコーディ・ローデスもみんな四十代で頑張っているから、俺も大丈夫だろう。
    ――今あげた選手と自分は同じだと。
    佐々木 同じだ。二日酔いにならない限りはスタミナも大丈夫だと思う。余裕だ。
    ――タイトルマッチの前夜に飲む可能性があるんですか。
    佐々木 テンション上がったら飲んじゃうかもね。
    ――いや、自重した方がいいですよ。
    佐々木 物事には前夜祭というものがあるだろう。俺はけっこう前からやっている。そうだな…1週間、2週間前からはザラだ。これは自分に対するご褒美だからな。
    ――なんの成果に対するご褒美なんでしょう。
    佐々木 絶対に勝つことに対するご褒美だ。
    ――1週間ぶっ通しで前夜祭をやると。レッスルマニア・ウィークみたいですね。でも、そんなに飲んだら試合に影響は出るでしょう。
    佐々木 出る時もある。それは、日によって違うし、あとは相手によっても違う。成功するか、失敗するかの賭けだな。ただ、飲んだ方が試合をする上での思考が定まる。飲まないと…悪いことが思いつかなくなっちゃう。これは酒を飲むやつはみんなそうだろ、アルコールを入れた方が悪知恵も働くというか、他人が嫌だと思うことがポンポン浮かぶ。それを酒の席ですぐに実行するから場が荒れるんだ。いつだったか、目の手術をした時に医者から酒を止められて飲まずにやったら、頭の中がベビーフェースになっちまった。やっぱり人間は、シラフじゃない方が相手の嫌がることを思いつくものなんだなって。
    ――でも、カリスマほどの方なら正攻法でやるのも一つの戦略になると思いますよ。
    佐々木 いやあ、それじゃ勝てないよ。
    ――自分でそれを言う!
    佐々木 普通にやったって勝てないもん。勝てないどころか、全然イケてないし、まったく面白くもない。
    ――二日酔いのままでの長期戦になるかもしれません。
    佐々木 なるだろうな。タイトルマッチを2つやるようなものだからな。
    ――四十代としては、なかなかのチャレンジです。みんな、あまり憶えていなさそうですが実はカリスマ、現在O-40のベルトを保持しているんですよね。
    佐々木 まったく防衛戦をやっていないから持ってはいる。
    ――あの王座を奪取した時、世の中のくすぶっている四十代、世界で活躍する四十代にかかってこいと呼びかけていました。
    佐々木 本音を言えば、あまり年齢云々は言いたくないんだよ。日本人だけだろ、そういうのを前面に出すのは。カッコ悪いじゃん。だから勝手に伝わればいいと思っているだけだ。
    ――そのためにはどんどん防衛戦をやればいいじゃないですか。
    佐々木 防衛戦を組まないだろ、この会社は。まあ、現実的に今のDDTは四十代不足に直面している。これは若返りの弊害だよな。だから俺はローマン・レインズやコーディ・ローデスやブロック・レスナーに呼びかけたんだ。
    ――返事は来ましたか。
    佐々木 来ないな。どうしてだろうな。これはあれか、俺の方からWWEに乗り込まないといけないということか? まずはXでリプを飛ばしてみるか。
    ――試しにやってみてください。
    佐々木 バカを言うな! 返事が来たらどうすんだよ。
    ――話題になりますよ。彼らがO-40に挑戦してくるなんて、それこそドラマティック・ドリームです。
    佐々木 面白がっているだけだろ、それ。DDTの四十代以上は俺が持った途端に誰も名乗りをあげなくなった。かといってゴージャス松野とかに来られても面倒臭いだけだし。
    ――あとは大鷲選手や本多選手ですかね。
    佐々木 だから、もう少しで彰人が40歳になるまで待つか。外なら石井慧介もいるけど…。
    ――O-40王座への挑戦者を呼びかけるにあたって、同時にKO-D無差別級とDDT UNIVERSAL王座を持てば引きが違ってくるかもしれませんよ。
    佐々木 いや、無差別とUNIVERSALを獲ったらO-40は返上だな。
    ――いやいや、せっかく獲ったんですから、そちらの価値も上げてください。
    佐々木 じゃあ、こうしよう。もうベルトは3つも必要ないから統一する。DDTの三冠王座だ。そうなったら、KO-D無差別級もUNIVERSALも四十代以上でなければ挑戦できなくなる。
    ――それは厳しいですね。
    佐々木 そうすることで、団体の無駄な若返りを阻止することもできるしな。まさに俺が理想としている末期WCWのような団体だ。
    ――DDTをWCWのようにするとは、ずっと言っていますよね。
    佐々木 もしかすると、俺はそれを実現させるためにリングへ上がり続けているのかもしれない。にもかかわらず、今のDDTはどんどんWCWから離れていっている。だが、それもここまでだ。俺が上野からKO-D無差別級とUNIVERSALのベルトを引っ剥がして、O-40と統一すれば、上野はベルトを獲り返したくても40歳になるまで俺に挑戦できない。こんな不幸なことがあるかっていうんだよ。おお、テンションが上がってきた気がするぞ。今から、前祝いにいくぞ。
  • 俺がトップになったら稲田徹のような風貌の
    おっさんで埋め尽くされるDDTにする

    ――もう少し待ってください。話をお聞きすると、20周年記念興行やAMAKUSA戦はカリスマのポジティブな意識によっていいモノになりましたが、それを経験しても相変わらずネガティブパワーが強いということがわかりました。今のプロレス界で、そういうプロレスラーはなかなかいないものです。
    佐々木 あー、確かにいないな。みんながポジティブを求めて、誰もがポジティブでいようとする。しかし俺は違う。なぜなら俺は、元来ポジティブな世界で生きられない人間だからだ。
    ――過去に何かあったんですか。
    佐々木 過去だけでなく今現在も俺はキャバクラでモテた試しがない。そういう現実を見ているから。まあ、過去に関して言うなら、ヘンなことが好きだった。WCWはプロレスの史実的におかしな狂った団体と認識されているだろ。でも、俺がガキの頃初めて好きになったのがWCWだった。
    ――どのあたりが大輔少年の琴線に触れたんでしょう。
    佐々木 毎週、乱入でテレビ番組が終わるんだぞ。あれは衝撃的だったね。待てども待てどもきれいにケリがつかないんだ。いったい、これはなんのために試合をブチ壊しているんだ!?ってなるだろ。その中で、俺が持っていかれたのがスコット・ホールのアル中っぷりだ。俺は、生まれつきネガティブなものにカッコよさを感じる人間なんだと思う。
    ――現在のカリスマの荒んだ生き方はスコット・ホールを踏襲しているんですね。
    佐々木 そういうことになるな。アル中がカッコよく見えるという感覚が重要なんだ。だから四天王プロレスにはまったくグッとこなくて「もう頑張るなよ。誰か乱入しろよ」と思いながら見ていた。
    ――いやいや、四天王プロレスで乱入はあり得ないでしょ!
    佐々木 そう思うだろ? だから普通だって言うんだよ。普通に頑張っているところを見るのと、あり得ないと思っていた乱入があるのとどっちが面白い? WCWはそういうネガティブこそが刺激であることを俺の人生に植えつけてくれた。だから、それが原体験と言ったら原体験になるんだろうな。WCWは、悪くない! そして俺はスコット・ホールになりたいから飲み続ける。
    ――なんだか、ポジティブを受け入れられない理由が見えてきました。
    佐々木 だから、客の中にもそういうのを求めている人間がいるはずだ。どこを見てもポジティブなものを提供して、それを全員が喜んでいるとばかり思っていやがるが、人生経験の低い連中ばっかだなって思うよ。世の中、全部が全部そんな普通できれいなわけねえだろうって。
    ――今のDDTのファンの中にもネガティブを求める人はいると。
    佐々木 おう。だから俺は、そういう人たちに響けばいいと思ってやっている。
    ――実際、そういう人に声をかけられたりはしたんですか。
    佐々木 ……ないな、ワッハッハッ! まあ、今の大多数のDDTファンの前で名乗りはあげづらいだろ。言っておくが、上野を応援しているようなやつらも同罪だからな。だから1・25は、そいつらも上野と一緒に不幸になればいい。昔のプロレスはそれぐらいのことをやっていただろ。
    ――応援している選手が負けたら自分のことのように落ち込んでいました。
    佐々木 今のどこを見渡してもポジティブだ多幸感だとしか言わない中で、そんなことをやってみろ。nWoが登場した時のWCWのような瞬間最大風速が起こるぞ。
    ――あの時もハルク・ホーガンとスコット・ホールとケビン・ナッシュにめちゃくちゃゴミを投げつけるぐらい観客が怒っていましたよね。
    佐々木 でも、そこからWCWは跳ねたんだから。現実的なことを言ったら、ここで俺たちが話しているようなことは今のDDTファンのほとんどが知らないはずだ。だからこそ、現代に蘇らせて、気づかせてやるんだ。若いねえちゃんたちに、プロレスのコクというものをな。そうしたら…「あのアル中の40のちっちゃい人、すごーい。キャーッ!」ってなるかもしれない。
    ――キャーッ!とは言われたくなかったのでは?
    佐々木 だからそこで俺は「おまえに何がわかるんだ!」と言ってやる。それによって、さらなるネガティブな感情が引き出されるからな。
    ――徹底していますね。四十代になってもまったく姿勢が変わらないのは正直、凄いと思います。
    佐々木 変わらないね。共感なんていうのも信じていないし。信じていますとか、わかるとか言われるたびにこいつ、何もわかってないだろうってなるからな。
    ――岡谷英樹選手にも、そういう教育方針であたっているんですか。
    佐々木 そうだな。あいつの根っこにあるのも、ネガティブの塊だから。あいつは高知県から東京に出てきただろ? 地方に住んでいるだけで、もはや東京に対してネガティブな感情を抱いている。
    ――みんながみんな、そうだというわけではないでしょうけど。
    佐々木 岡谷は、キャーキャー言われて浮かれた結果、まるで成長できなかったKANONと違って怖いぐらいの成長ぶりだ。その狂気性は凄いモノになるぞ。ただ、あいつはそんな自分を抑えている。
    ――あれでですか。
    佐々木 自分自身の真の姿を完成させてしまうことが怖いんだろうな。それでブレーキをかけてしまっている。そんな岡谷も、竹刀を持つと豹変するだろ。
    ――あれは人間に対する行為とは思えないほど冷酷です。目が座っているからよけいに怖い。
    佐々木 凶器を持つことで自分自身を解放できるんだろう。そういうタイプの人間だ。俺としては、常に自分を抑えない岡谷でいてほしい。
    ――見境がつかないほどになってしまうかもしれません。
    佐々木 そうなったら、俺がDAMNATIONから追放されるかもな。でも、岡谷のDAMNATION T.Aというのも俺はあり得ると思っているから。
    ――イルシオン選手に関してはどうでしょう。
    佐々木 あいつの出身地は聞いたことがないけど、都会的だよな。大学も卒業しているし。ただ、その大学ではイケてるグループに入れなかったらしい。
    ――華のキャンパスライフを楽しめたようなタイプではなかったと。
    佐々木 そこがあいつのネガティブパワーになっている。だからDAMNATIONはネガティブな感情を原動力にできる集団なんだ。その方がいいぞ、周りを気にする必要がない。
    ――支持するファンもいますしね。
    佐々木 いや、そいつらにも「おまえに何がわかるんだ!」と言いたい。ハッキリ言うが、俺たちを支持するな。そういうのはいらないから、対戦相手を応援してやれ。
    ――支持者さえも拒絶すると。
    佐々木 応援されたところでいい気分にもならないし、逆に応援される相手を痛めつけるのが俺たちにとって最大の快感だから。だから25日のタイトルマッチも一切俺を応援するな。俺がいたぶる相手を見て悲鳴でもなんでもあげればいい。
    ――悲鳴なんて聞こえてこようものなら…。
    佐々木 いやー、テンション上がるね。
    ――あのう、KO-D無差別級とUNIVERSALの両方を持ったら、好むと好まざると団体のトップになるわけですが。
    佐々木 それは困るな。別にトップだのエースだの俺は求めていないから。ただ、そうなったら俺はこの団体を変革する。俺がDDTをWCWのようにしたら、誰が喜ぶと思う?
    ――まあ、今林久弥GMぐらいですかね。
    佐々木 そうだ。あの時代を知るおっさんばかりだろ。そういうおっさんが、今のDDTから減っていることに気づかないか?
    ――言われてみれば、ここ数年で本当に女性ファンが増えました。品川大会に足を運んだら9割5分ぐらい女性客の皆さんと言っても過言ではないほどでした。ありがたいことです。
    佐々木 何がありがたいだ! そんなだからおじさんたちが居心地悪くなって減っているんだろ。俺はそういうところを変えるから。稲田徹のような風貌のおっさんの観客で埋め尽くされるようなDDTにする。
    ――せっかく女性客に楽しんでもらっているのに…。
    佐々木 (さえぎって)だから、あいつらに何がわかるというんだ! 上野に騙されて喜んでいるような観客に、WCWが理解できるとでも思っているのか?
    ――必ずしも理解されなくとも…。
    佐々木 プロレス会場はな、もっと掃き溜めのようになるべきなんだ。それは歴史と稲田が証明している。男の観客を増やすことが1月25日以後の俺の仕事だな。
    ――あのう、カリスマは現在、KO-D10人タッグのベルトも保持しているんですよね。
    佐々木 ……。
    ――上野選手にベルトが集まるのはよくないといいつつ、25日に2本とも獲ったら一気に4冠王になるんですが。
    佐々木 シングルとそれ以外のベルトはまた違うだろ。それに10人タッグも挑戦者が出てこないし。
    ――せっかく持っているんですから、10人タッグ戦線もカリスマの力量で盛り上げてください。
    佐々木 それは重荷だな。とりあえず、O-40もそうだが挑戦者募集中って書いておいて。そんなことより、上野は1月25日で終わりだ! それは間違いない。
    ――クリスは?
    佐々木 クリスも俺と共闘しなければ終わりだ! みんな終わりだ!! ウワッハッハッハッ!(高笑い)

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