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【インタビュー】11月に引退の赤井沙希が8・13後楽園でデビュー10周年記念試合!「こんなに強くてキラキラで魅力的な女子選手たちがいるのを届けたい」

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  •  「枯れて朽ちていく花ではなく、美しいまま散る花でいたい」。DDTプロレスの“紅一点”赤井沙希が名言を残し、11月12日の東京・両国国技館でプロレスラーを引退する。現役を退く決意を固めた赤井はこの8月でデビュー10周年を迎え、同月13日に東京・後楽園ホールで「SAKI AKAI 10TH ANNIVERSARY TOUR IN KORAKUEN!!」を開催。「デビュー10周年記念試合vol.2」として、赤井&雪妃真矢&朱崇花vs彩羽匠&山下りな&中島翔子のドリームマッチが組まれた。その記念試合を前に赤井に現在の心境を聞いた。


    ーー5月24日の記者会見で引退を発表して、周りの反響はすごかった?
    赤井 実は会見翌日、朝3時起きでシンガポール遠征に行ったので、しばらく日本のファンの方と会えてなかったので分からなかったんです。引退を発表して、DDTで最初の試合をしたのが地方(小田原)だったんですけど、ドキドキしました。『みんなサイン会に会いに来てくれるのかな?』とか、『どんな反応するんだろう?』と思って。それから、ついに知られてしまった、もう後戻りできないという思いがありました。私はファンの皆さんの立場になって考えたり、悲しませることはしたくないとか、元気になってほしいとか、勇気付けたいと思ってやってるんで…。私が泣かせてしまったというのが、元々やりたかった感情にさせられてないなって。それで胸が痛くなりました。考え方を変えて、プロレスラーとして残りの命は短い。自分で決めたんで、残りでどれだけ駆け上がれるかとか。『一緒に走るね』と言ってくれたお客さまもいらっしゃいますし、売店に来て何も言わずに泣いちゃってる子もいたりして。その皆さんを守りたくてやってるので、この人たちのために頑張ろうと思ってます。
    ーー引退はしますが、たまにDDTの会場に来たりとかはあるんですよね?
    赤井 サヨナラするわけじゃなく、これからもプロレスもDDTも大好きで、い続けるんで、何かしらで関わっていきたい願望はあるんです。でも、引退試合が終わった後、11月13日から、こうしてとか考えられないですね。自分の持っているもので、みんなの力になればいいと思ってるんですけど、まだ何も決まってません。
    ーー思い入れがあるベルトということで、自身の希望で7・23両国でKO-D6人タッグ王座に挑戦して、ベルト奪取に成功しました。胸にグッとくるものはありましたか?
    赤井 タイトルマッチなんて、DDT内での私の立場で、何回もできるチャンスはなかなかないんで。本当にこれがラストチャンスと思ってました。後がない状態なので、逆に言えば、みんなはこの先チャンスがあるけど、私はない。私はボクシング家系なんで、ベルトは何回も見たことあったけど、チームで6人でのベルトってプロレス界にしかないんで。やっぱりずっとほしいと思ってたんで。卒業すると決まってる両国国技館で、お師匠様の坂口(征夫)選手、新しい仲間で一から頑張ってる岡谷(英樹)選手と3人で獲れたことには思いは強かったです。次に両国国技館に来るときは引退なんだとか思いましたけど、プロレスラーじゃなくなることが想像できないです。
    ーー8月27日、名古屋国際会議場では全日本プロレスに初参戦して、ATM&大森隆男&ブラックめんそーれ組と全日本プロレスTV6人タッグ王座とのダブルタイトル戦が決まりました。名古屋には、まず先に赤井選手の参戦が決まっていたんですよね?
    赤井 私の参戦が先に決まっていて、6人タッグのベルトを獲って。その前日(7月22日)に、全日本さんの松江大会で防衛戦があって。ATM選手が『団体、ユニット、性別問わず。誰でもかかってこい』と言ったみたいで。それを岡谷君が知って、俺たちの勢いで言ってしまおうと。それで実現することになりました。
    ーー勝ったら2冠王になります。
    赤井 (荒井)優希ちゃんと東京女子のプリンセスタッグ王座を持ってたときに、アイアンマン(ヘビーメタル級)も獲ったことがありましたけど、タッグのベルトで2冠はないので想像できないです。
    ーー全日本のベルトを獲ったら、また全日本に上がることもあるんじゃないかと思いますが?
    赤井 全日本に乗り込んでもいいだろうし、DDTでも両方でタイトルマッチができたらいいです。
    ーーKO-D6人タッグのベルトは引退するまで保持していたい?
    赤井 いたいですね。両国国技館でベルト巻いて、リングを降りて。卒業するときもベルト巻いて卒業できたらかっこいいかな。全日本参戦にあたって、SNSで『引退する人がベルトに挑戦するな』って書いてあったんですけど、『何で?』って。私の想像ですけど、ベルトはこれから頑張る人たちが挑戦して駆け上がっていくものだと言いたいのかなと。でも私は11月に引退が決まってるけど、プロレスラーとしては駆け上がりたいんです。こういう風にいろんな意見があって、ああだこうだ言うのが楽しいのかなと。その意味では一つ話題づくりに貢献できてるのかなと思います。
    ーー9月30日には地元・京都KBSホールでの10周年記念興行もありますが、防衛戦をクリアして、チャンピオンとして凱旋したいところですね?
    赤井 地元の京都で、DDTが次いつやれるか分からないんですけど、育ててもらった場所で、美しいステンドグラスの前でベルト持ってる姿を見せたいです。家族や地元の皆さんとかに。
    ーー8・13後楽園での10周年記念試合のほかの5人のメンバーは自身で希望されたんですか?
    赤井 誰を呼びたいとかは自分で考えて、希望を叶えてもらいました。すごく魅力的なカードになったと思いました!
    ーーこの一戦に向けての思いは?
    赤井 これが最後かもしれないとか、悲しいさびしい気持ちより、感謝というかありがとうというのを選手にもファンにも伝えたくて。彼女たちがいなかったら今の私はいないです。戦いのリングの上でいろんなものを教えてもらいました。このカードに入りきれなかった選手もたくさんいるんですけど。Xで中島を呼んだのも、同期でデビュー前から一緒に練習とかしてたので。所属する団体は違いましたけど、人知れず、意見がぶつかり合って半べそかいて、しゃべり合ったこともありますし、彼女の人間としての成長も見て来たし、私の成長も見てもらえてたと思うんで。東京女子って他団体と関わることがなかなかない。自分の周年興行で、できることなら入ってもらって。キャリア的にも彼女のことを考えたら、いろんなことをできるとき。ノビノビと他団体の人と当たってみて、経験してみてほしい。
    ーー山下選手とは2020年1月に大阪で「おきばりやす7番勝負」でシングルでも対戦されましたね…
    赤井 ハイ。大好きな選手です。組むのも、闘うのも。戦った経験は他団体でもDDTでも何度かあるんですけど。シングルでやったときは、こんな偉大な同期をもてて誇りに思えた。同期に戦いのなかで教えられるって、こういうことかって思いました。私はプロレスラーという船を降りることになってしまったけど、彼女はいろんなとこをまだまだ航海していくんだなと思うとワクワクします。
    ーー彩羽選手にはどんな思いがありますか?
    赤井 STRADOMに初めて出たときに、誰も話しかけてこないなか、彩羽さんだけがあいさつしてくれて。すごくキラキラして見えて。この方素敵って、ファンになって。同期だけどファンです。プロレスラーだから、こういう恩の返し方もあると思いますし。同じリングに上がりたいなって思ったんで、提案させてもらいました。
    ーー雪妃選手とは昨年前半、何度も戦いましたね。
    赤井 彼女とはなんなら、デビュー前や、私がデビューしたときに、同じ空間にいたりとか。そこから始まってるんで。自分になくてはならない人で、シングルで対戦する前に、これだけ前哨戦をやった経験もなかったんで。雪妃ちゃんも私をプロレスラーにしてくれたうちの一人です。
    ーー朱崇花選手とは?
    赤井 DDTでも他団体でも組んだり戦ったりしました。彼女と一緒にいると、自分までいい女になった気分になって。こういう空間づくりって大事だなと思いました。誰もが認める強さを持っている天才だけど、いっぱい努力もしている。ビジュアルも雰囲気づくりも素晴らしい。プロレスラーとして、大事なものを全部兼ね揃えてると思います。
    ーーこの試合は勝ち負けも大事だとは思いますが、ファンに何を一番見てほしいですか?
    赤井 DDTという、私以外男子の団体で、女子の6人タッグがメインという意味を感じてほしい。DDTに女子が上がるときは大体私と絡むとき。今の世代の女子のプロレスラーは、こんなに強くてキラキラで魅力的な選手たちがいるっていうのを、DDTのファンにも、世間にも届いてほしなって思います。
    ーーこの記念試合を終えると、あと残り3ヵ月になります。引退まで、どういう風に駆け抜けたい?
    赤井 一番はケガとかで欠場したくないです。10年、ケガはしてきましたけど、欠場はなかったので。プロレスラーとして、やりたいこと見せたいことを詰め込むしかない状況で、欠場なんか考えられない。かといってケガにビビって、やり切れないということもイヤなんで。後のことは後で考えることにして、上れるところまで、今までの自分のプロレスラー史上一番いい状態で(引退を)迎えたいですね。

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