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【佐々木大輔インタビュー前編】プロレス、音楽、宇宙への祈り。カリスマがカリスマになるまで

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  • 10月2日後楽園ホールにて、デビュー20周年記念大会「CHARISMANIAxMANIAxMANIA supported by HEAD PHONES PRESIDENT」を控える佐々木大輔に現在の心境を聞いた。(聞き手・三田佐代子)


    ――10月2日の20周年記念興行を前に、皆さんが心配されている盗まれた肋骨の具合はいかがですか。
    佐々木 もう治った。最初の3日ぐらいは動けなかったけどあとは普通に過ごせるから暇だな。ビタミン、筋トレ、神への祈りだ。
    ――それは何ですか。
    佐々木 知らないのか、昔ハルク・ホーガンが言ってただろう。まあビタミンも摂らないし筋トレもしないから神への祈りだけだ。
    ――お祈りはするんですね。
    佐々木 でも神は信じない。
    ――何をおっしゃってるのかわからないです。それはともかく、デビュー20周年おめでとうございます。いかがですか20年。
    佐々木 いや、よくやってんなっていう。デビューした頃から比べると自分ちゃんとやれてるなって思う、プロレスで暮らしてるし。
    ――ちゃんとしてるんですね、佐々木選手は。
    佐々木 20年前のイメージよりはな。
    ――この20年でご自身の転機になった出来事を振り返って頂けますか。
    佐々木 いくつかあるな。タイトル取ったり挑戦したりし始めた頃とか、新日本のスーパージュニア出た時もなんかちゃんとやってんなとは思った。あと飯伏とケニーと組んだ時。
    ――2014年3月に飯伏幸太選手とケニー・オメガ選手のゴールデン☆ラヴァーズに合流しましたね。
    佐々木 飯伏の考え方が何というか、一線を越えるようなことをするから。
    ――その飯伏選手について行こうと思ったのか、それとは違う道を行こうと思ったのかどちらなんですか。
    佐々木 ギリギリを攻めるから、一緒になってやってやろうみたいな。デビューした頃はすごく、テクニカルだけなことをやりたかったんだけど。
    ――もともとディック東郷選手譲りのテクニックで、デビュー当初から若きいぶし銀的なポジションでしたよね。
    佐々木 デビューしてすぐメキシコ行って、日本帰ってきてからずっと飯伏と組むまで、DDTの主力の人たちのことをなんでこんな奴らがトップで人気あるんだろうってずっと思ってて。
    ――トップの選手たちが人気があるのが理解できなかったんですか。
    佐々木 たいしたことも出来ないくせに、俺の方がテクニックあるのにっていう、ちょっとなんか売れない人の思考みたいな。
    ――自分じゃなくてなんであいつらなんだっていうことですか。
    佐々木 さらに言うとその人たちのやっていることも本当に嫌いで、それがずっと溜まっていて、DAMNATIONの時に爆発したというか。
    ――2016年にDAMNATIONがユニットとしてスタートしますが、例えば飯伏選手がリングを離れたり、佐々木さんのその怒りの矛先みたいなものがタイミング的にスパッとはまったんですか。
    佐々木 そうだな。入門時からヒール志望だった。
    ――2016年4月にいつでもどこでも挑戦権を使ってKO-D無差別級に挑戦した時は、お客さんの期待度がものすごくて、遂に佐々木選手がお客さんを手のひらに乗せた瞬間だなと思いました。ご自身ではお客さんの変化は感じていましたか。
    佐々木 あの時に関してはベルトを獲ったのが大きかった。あんまりお客さんの期待度は信用してないというか。
    ――気がついたら自分がすごく人気者になっているなっていう感覚はないですか。
    佐々木 そもそも人気は欲しくない。本当は嫌われてどんどん石とか投げられたかったんだけど、たぶんお客さんも今までの選手たちがそんなに好きじゃなかったんだろうな。
    ――そういえば佐々木選手はいつからカリスマと呼ばれるようになったのですか。
    佐々木 あれは彰人とのEXTREMEアイアンマンマッチだな。
    ――2015年4月19日にさいたまふれあいキューブで行われた試合ですね。60分アイアンマンマッチに加えてサドンデスマッチも行い、66分48秒戦い抜いた試合でした。そこで何が起きたのでしょうか。
    佐々木 試合が進むにつれて、アントン(アントーニオ本多)とヒロシ(トランザム★ヒロシ)が言うには安い席のおじさん達が佐々木を応援しだしたみたいな。すごいカリスマだった、みたいな話でニックネームとなって広まった。
    ――最前列じゃなくて、後ろの方で見ている人たちが盛り上がっていた。あんな後ろの方の席で見ているおじさん達を興奮させるなんて凄いですよ、佐々木さんカリスマですよ、ということですか。
    佐々木 そうだな。それでその2人が私のこととをカリスマカリスマって呼ぶようになったのがきっかけだな。
    ――そんなカリスマ率いるDAMNATIONですが、佐々木選手のキャリアの半分近くを占めるユニットになりました。メンバーも変わりましたが愛着はありますか。
    佐々木 やりやすくて集めてるメンバーだからな。今のメンバーは史上最も若いかもしれない。
    ――確かに、MJポー選手は生年月日不明ですが、岡谷英樹選手が24歳、イルシオン選手が22歳ですから圧倒的な若さですね。
    佐々木 逆に若すぎて、なんて言うんだろう、あんまり強く言ったらいけないのかなとか。
    ――それはなんですか、もうおじさんは若い子の考えていることがわからない的な感じですか。
    佐々木 なんか思考がわからない。
    ――そんな寂しいこと言わないでくださいよ。
    佐々木 イルシオンに「お前ちょっと、『こんばん○ァック』って言えよ」って言ったんだけど、昔アントンが言ってたやつ。そしたら「何ですかそれは」って言われた。もう知らない世代なんだよ。
    ――寂しいですね。でも雰囲気は良いですね。
    佐々木 言ってること通じてんのかなと思うことはあるけど、雰囲気はいいな。
    ――チャンピオンにも何度もなったし、カリスマにもなって久しいし、次に何が欲しいですか。
    佐々木 欲しいものか。なんか年々欲しいものもなくなっていて、良くないな。
    ――最近高い買い物しましたか。
    佐々木 いや、もう高いものが欲しくないんだ。
    ――それは衝撃的ですね。昔は借金をして大きいテレビを買ったり高い革ジャンを買ったりしていたのに。ならば貯金してるんですか。
    佐々木 貯金はさすがにしてない。レコードばっかり買ってる。
    ――良かった、レコードはたくさん買ってるんですね。サブスクはどうですか?
    佐々木 サブスクは絶対ダメ。映画はいいけど、音楽のサブスクは絶対ダメ。
    ――なぜそんなにサブスクリプションに拒否感が。
    佐々木 え、買わないとダメでしょ。
    ――いいですね、ちゃんと好きなものにはお金を使う。
    佐々木 ちゃんと所持しないといけないだろう。
  • ――そんな佐々木選手が迎える20周年記念興行が10月2日後楽園ホールで行われます。タイトルが「CHARISMANIAxMANIAxMANIA(カリスマニア×マニア×マニア)」となりましたが、このタイトルにはどんな意味が?
    佐々木 「Damned Damned Damned(ダムドダムドダムド)」みたいにしたかった。知らないのか、ダムド(イギリスのパンクロックバンド)のアルバム名だ。でも誰だこんな長い名前つけたのは、言いづらくてしかたない。
    ――佐々木さんがつけたんじゃないんですか。これまで2回、新宿FACEで開催されてきたカリスマニアが遂に後楽園進出です。いつか大きいところでやりたいと思ってらしたんですか。
    佐々木 いやこれは本当に、バンドのHEAD PHONES PRESIDENTとのコラボがあったから後楽園なんだ。ライブやるにはステージがないといけないから後楽園しかない。
    ――HEAD PHONES PRESIDENTの皆さんとはどういう接点があったんですか。
    佐々木 飲み屋で知り合って応援してくれている。向こうも25周年で何かやりたいっていうのがあって、一緒にやりましょうと。
    ――あのポスターは何ですか。露わなお姿で後楽園で見かけてびっくりして二度見しました。
    佐々木 宇宙を飛びたい。やっぱりサスケさんみたいな感じで、みんな宇宙に行きたくなるんだよな。
    ――なるほど、遂にカリスマもザ・グレート・サスケ選手の境地に至りましたか。もともと宇宙はお好きだったんですか?
    佐々木 考古学が好きだから。古代文明とか古代人の。
    ――古代人が好きだと、それは宇宙に繋がるんですか。
    佐々木 古代人が地球に来て、地球人を作ってる。
    ――なるほど。
    佐々木 起源は宇宙。そういえばターニングポイントもう1つあったな。
    ――何でしょうそれは。
    佐々木 マヤ暦だな。2012年の。人類が滅亡するってなってあれで金銭的な解放をされた。もう世界が終わるから金をじゃんじゃん使って、あの解放がたぶん試合にも影響されたな。
    ――でも結局世界は終わらなかったじゃないですか。
    佐々木 終わらなかったな。でももう解放されたままでまあいいか、みたいな。

    9月27日公開の後編へ続く

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