8日、東京・成増アクトホールでおこなわれた「僕たち成増初進出になります!2017」。いつものように鶴見亜門GMと井上マイクリングアナが登場し、この日は動画撮影OKの大会だということをアナウンス。撮影をする上での諸注意をしたあと、いつでもどこでも挑戦権争奪戦に関して今年はシングルマッチ5試合で決めることをアナウンス。争奪戦の試合は5分一本勝負でおこない、時間切れ引き分けの場合は観客の挙手により勝敗を決定するというルール。この日のオープニングコール担当は男色ディーノ。恥ずかしそうに顔を隠しながらリングに上がったディーノは、坂口戦の意気込みを聞かれると「私の世界戦略はもう始まっているとだけは伝えておきましょう。今日はその第一歩となる。さいたま(スーパーアリーナ大会)から始まっているじゃないですか。(DDT)UNIVERSEを通じて」と意味深なことを言ってから「声出していこう! 声出していこう! DDT成増大会スタート!」とオープニングコール。
オープニングマッチは高木三四郎&大鷲透&平田一喜vs大石真翔&勝俣瞬馬&MAOの6人タッグマッチ。NωAは『Going my ωay!!!!!~キミはひとりじゃない~』に合わせて、サイリウムを振りながら踊ってみせる。続いてT2ひーが登場すると、マイクを要求した高木が「今から平田一喜が入場してくるわけですが、長らくライブ配信でも問題になってましたが、権利上の問題で流せませんって出るじゃないですか。それを私と大鷲さんで話し合って解決することが出来ました! 解決法は簡単です。私と大鷲さんがT●●●O,●Oをアカペラで歌います! 皆さん、精一杯の声援をお願いします!」と言って、平田GOサングラスをかけた大鷲が伴奏を口ずさむ中、高木が「TOKIOーっ!」とアカペラで歌う中、入場してきた平田だが、高木と大鷲を突き飛ばして「そんなんで踊れるわけないでしょうがー!」とダメ出し。すかさずNωAが奇襲攻撃を仕掛けていき、高木と大鷲を場外に追いやって3人がかりで平田を攻撃。「人の好意を無駄にしやがって! 負けちまえ!」と高木が口走る中、本当に3カウントギリギリまで追い込まれていく平田。だが、MAOにドロップキックを返した平田は、なおも足を掴むMAOに延髄斬りを叩き込んで大鷲にタッチ。MAOと勝俣をダブルタックルで吹っ飛ばした大鷲は、ヘッドシザースで2人まとめて投げると高木にタッチ。ドラゴンリングインした高木をガットショットで迎撃したMAOだが、高木はフライング・クロスチョップを返す。そこに大石と勝俣が入ってきてトレイン攻撃を狙ったが、2人まとめてファイアーマンキャリーで持ち上げた高木は背後に投げ捨てる。ここで「社長! さっき強がってあんなこと言っちゃったけど、高木さんのTOKIOーっが心に響きました! 僕はあなたのTOKIOで踊りたい! だからタッチを!」と叫んだ平田。その心意気を買って高木はタッチしたが、MAOがドロップキック。さらに大石のシーソーホイップからMAOと勝俣がミサイルキックを同時発射。これをかわした平田は手刀でNωAを次々になぎ倒す。そして改めて高木と大鷲を呼び込み、平田GOサングラスをかけて「今日は勝つぞー!」と絶叫。高木と大鷲がアカペラで『T●●●O,●O』を歌う中、ダンスしてみせた平田。そこに大石が襲いかかり、トルネードクラッチを狙ったが、平田は奇跡を呼ぶ一発逆転首固めで切り返して3カウント。
なおも歌い続ける高木と大鷲を止めた平田は「もうこれ以上やったら死んじゃうよ、あなたたち! 魂、伝わりました! こんな死にそうなT●●●O,●Oを聞くことはもうないでしょう。今日は勝ちましたよ!」と言うと、NωAに向かって「俺は気に食わないことがあったんですよ。オイ、NωAお前らチャラチャラしてもの持ってるじゃねぇかよ。T2ひーが唯一ちょくちょく勝つお前らがベルトを持っているのが気に食わねぇんだよ。そして今日勝っただろ。発言権あるよな! オイ、お前のベルトにT2ひーが挑戦させろオラ!」と、NωAが保持しているKO-D6人タッグ王座への挑戦を表明。ところが、そこに「バカヤロー! おい平田、テメー1回ぐらい勝ったぐらいでこの6人タッグに挑戦出来るほど、このベルトは軽くねぇんだよ! 調子乗ってんじゃねぇぞ。NωAがこのベルトを巻くのにどんだけ苦労したと思ってんだよ!」と、待ったをかけたのはなぜか高木。平田にダメ出しする高木に圧倒されNωAも呆然とする中、高木は「何か条件を出さないと俺たち簡単には挑戦できないだろ! ……分かった! そのベルトに挑戦させてもらう代わりに、もし万が一俺たちが負けたら、負けた選手を国外追放にしていいよ」と勝手に話を進める。なぜか平田も「何だその条件……やってやるよ!」と受諾したため、GMが万が一T2ひーが負けた場合は平田が国外追放ということで、4・29後楽園大会でのNωAvsT2ひーのKO-D6人タッグ選手権をおこなうことを決定した。
【試合後のコメント】
高木 リング上でも言った通りだよ。平田には怖いもんなんかない。今まではいろんな問題から例の曲が配信できなかったけど、俺様と大鷲さんのアカペラ隊があればどんな曲でも…。
大鷲 どんな曲でもアカペラしてやるよ!
平田 今後もアカペラ?
高木 今後もずっとアカペラだよ。
大鷲 ずっとアカペラだよ。
平田 いや、無理でしょう。
高木 後楽園も全部アカペラで乗り切ってやるからな。
大鷲 なんだったらオマエ、国外追放されて国外でもアカペラでついていってやるよ!
平田 そんなことより、なんで味方が挑戦表明しているのに、なんで味方に追い込まれなきゃいけないんですか! なんですか、国外追放って!
高木 とりあえず、NωAさんに失礼だろ!
平田 今さら!
高木 たまたま一回ぐらい勝ったポッと出の選手がNωAさんに挑戦表明するなんてちゃんちゃらおかしいよ!
平田 ここの関係性は味方ですから!
高木 だけど、ポッと出のオマエがたった一回勝っただけじゃん。NωAはいろんな実績を積んでいるんだよ、たぶん。
平田 ウソ~~。だいたいT2ひーとやって、勝ったり負けたりしてんじゃないですか?
大鷲 だいたいオマエはこの間、小学生に負けたし、ベルト挑戦なんかおこがましいんだよ。
平田 それを言われると…。
高木 だからこれはオマエが負けたら国外追放だから。
平田 待ってください! 負けた選手ですよね? 僕が勝てば…。
高木 俺は負けた選手が国外追放って言ったつもりなのに、鶴見亜門が「負けたら平田一喜が国外追放」って言ったから。鶴見亜門GMの言うことは絶対だよ。
平田 聞いてなかったよ! 何それ!?
大鷲 私が負けても、高木さんが負けても平田が追放。
平田 僕にデメリットしかないじゃないですか~~~。
高木 負けなきゃいいんだよ!
大鷲 とりあえずパスポート磨いておけ。
高木 俺たちでベルト獲ろうぜ! いつでも台湾いっていいぞ!
大石 試合でも負け、踊りでも負け、なんと今日は歌でも負けてしまいました。しかもよくわかんないけど、タイトルマッチが決まったんですよね? 4月29日後楽園でタイトルマッチ。もしかしてこの日勝たないと新曲披露できないとか言われるんじゃねえかと僕ドキドキしてますけど。
勝俣 確かにありえるな…。
大石 とりあえずササッと平田を国外追放にして新曲を披露したいと思います。
勝俣 今日はたまたまですから。たまたま大石さんが負けちゃっただけなんで。
大石 肩が3秒ついただけ。負けてない、負けてない。
勝俣 絶対次は勝つんで。4月29日後楽園、自分は3周年になるんですよ。ベルト落としたくないからNωAで2度目の防衛をしたいと思います。以上、僕たちニュー・レスリング・アイドル、NωAでしたー!
3人 ありがとうございましたー!
第3試合はアントーニオ本多vsロイズ・アイザックスのいつでもどこでも挑戦権争奪戦。毛皮のコートを羽織って入場したアイザックス。ガッチリと握手を交わしてから試合が始まると、まずはロックアップ。そこから腕の取り合いになるが、アントンはアイザックスをコーナーに押し込んでショルダーをぶつけてから串刺し攻撃を狙う。これをかわしたアイザックスはリープフロッグからショルダータックル。アントンのナックルに対し、ナックルで応戦したアイザックスはローリングナックルで殴り倒す。ここでアントンは「ノー、プリーズ!」とタイムを要請。近づいてきたアイザックスにごんぎつねでのサミングを狙ったが、キャッチしたアイザックスはアントンをロープに飛ばす。アントンもかわして南部式ナックルを叩き込むが、アイザックスはガットショットで阻止。しかしその蹴り脚を掴んでドラゴンスクリューで投げたアントンは、さらにフィストドロップから馬乗りナックル。そしてニードロップを顔面に落としてからブレーンバスターを狙ったアントンだが、アイザックスがノーザンライトボムのような体勢で逆に叩き付ける。アントンはダブルのナックルを叩き込むが、アイザックスはカウンターでまさかのリップロック。ここで時間切れのゴングが鳴ると、ディーノが入ってきてアイザックスとハイタッチして抱き合う。アントンは「あいつアッチだろ!」と叫ぶ中、観客による挙手の結果、104-185でアイザックスが勝利! 逃走するアントンをディーノが捕まえて羽交い絞めにすると、いつどこ権を獲得したアイザックスがガッチリとリップロックしてみせた。
【試合後のコメント】
アイザックス 今日、DDTで初めて試合することができてうれしいし、いつでもどこでも挑戦権を守り続けたいと思います。これを守ってDDTのトップに絶対なります。
第4試合は彰人vs岩崎孝樹のいつでもどこでも挑戦権争奪戦。ゴングと同時にドロップキックで突っ込んだ彰人は、続けてドロップキックを叩き込むと執拗にカバー。どうにかカウント2でキックアウトした岩崎だが、彰人は串刺し攻撃へ。これをフロントキックで迎撃した岩崎は高さのあるバックドロップからサッカーボールキック。足に絡みつこうとした彰人だが、うまく振り払った岩崎はランニングロー。キチンシンクからニーリフトを連打した岩崎だが、懐に潜り込んで彰人は飛行機投げから、そのまま片エビ固めでガッチリと押さえ込んで3カウント。これで彰人がいつどこ権を獲得した。
【試合後のコメント】
彰人 いつでもどこでも挑戦権…これ、いつでもどこでも挑戦できるんですよね? 興行中であれ。ふ~ん…ま、わかりました。
第5試合は石井慧介vsヨシヒコのいつでもどこでも挑戦権争奪戦。入場ゲートから姿を現したヨシヒコは、リング上の石井に向かって首をかっ斬るポーズ。試合が始めると、石井はまずロックアップ。だが、ロープに押し込んだヨシヒコはブレイクすると見せかけて攻撃。これに怒った石井はエルボーとストンピングの連打からエプロンに連れ出して、断崖式のど輪落としを狙う。しかし場外に着地したヨシヒコはブレーンバスターで石井を投げると、鉄柱に叩き付けようとする。これを防御した石井は逆にヨシヒコを鉄柱に叩き付ける。リングに戻ったヨシヒコはロープに走ることもままならない程のダメージ。しかし石井がブレーンバスターを狙ったところで背後に着地したヨシヒコはスリーパー。そのままスリーパースープレックスで投げたヨシヒコは、なおもスリーパーで絞め上げるが、石井はどうにかロープに逃れる。ヨシヒコはなおもショートレンジラリアットからフルネルソンに捉えると、ドラゴンスープレックスで石井を投げる。朦朧とする石井だが、どうにかニーリフトでカチ上げると高角度のタイガースープレックスで投げる。続けて川田式パワーボムからのオレンジクラッシュで叩き付けた石井だが、ヨシヒコも首固めで丸め込むとそこから輪廻転生。これを石井がカウント2で返したところで時間切れのゴング。観客による挙手の結果、114-163で石井が勝利して石井がいつどこ権を獲得した。
【試合後のコメント】
石井 厳しい闘いでしたけど、ヨシヒコと競って取ったので、すごい自信になりました。ただ、ことわざがありましたよね。「二兎追うものは一兎も得ず」でしたっけ? 今は僕は世界ジュニアに集中しなきゃいけない時期。ただ負けなければ、ずっと僕の手元にある。気運と言う言葉は僕は好きなので、気運が高まった時に使いたいと思います。
第6試合は高山善廣vs樋口和貞のいつでもどこでも挑戦権争奪戦。ゴングと同時に両者が突進してショルダータックルの相打ちになると、そこから樋口がショルダータックルでなぎ倒し、さらに逆水平チョップを連打。串刺しラリアットからアバランシュホールドで叩き付けた樋口はのど輪に捉えるが、高山はワキ固めで切り返そうとする。その腕を振り払った樋口だが、高山は串刺し式ジャンピングニーからダブルアーム・スープレックス。だが、樋口はカウンターのラリアットでなぎ倒す、四股を踏んでからのぶちかましで高山を吹っ飛ばす。一気に轟天を狙って高山を抱え上げた樋口だが、カニ挟みクラッチで切り返した高山はそのままスリーパー。そのまま立ち上がった樋口だが、高山は胴絞め式にスイッチ。樋口がグッタリした瞬間、レフェリーは即座に試合をストップ。落ちてしまった樋口は、試合後に目を覚ましたが後の祭り。レフェリーストップで勝利した高山がいつどこ権を獲得した。
【試合後のコメント】
――5分一本勝負だったので短期決戦を意識した闘いになった?
高山 5分オーバーしたら誰も支持してくれないと思ったから頑張ったよ(苦笑)。いつもだったらスリーパーで決めることはあんまりしないんだけど、彼はそういうのを慣れてないと思うから、それが功を奏したね。
――いつでもどこでも挑戦権を取ってプランは?
高山 どうしようかな。こういうのが来たんで、ファンが望む、そして俺が楽しいカードを考えないとね。
――竹下選手がチャンピオンのうちに挑戦したい?
高山 そうねえ。それでも落としてしまったらそこまでのヤツだからね。その時の最高の男であればいいんじゃないの?
第7試合はKUDOvs入江茂弘のいつでもどこでも挑戦権争奪戦。入江が握手を求めるが、KUDOは応じない。試合が始まると入江がバックを取るが、前方に投げたKUDOがミドルキック。続くスピンキックをドロップキックで相打ちに持ち込んだ入江は、KUDOの8×4をかわしてみせるが、KUDOは入江を場外に追いやってトペを発射。そして入江をリングに戻すが、素早く立ち上がった入江はロープに飛んでトペをお返し。しかしKUDOも場外でニーリフトを連打してから走り込む。ここで入江はKUDOをキャッチしてパワーボムでエプロンに叩き付ける。KUDOをリングに戻した入江はキャノンボール・セントーン。しかし、これをかわしたKUDOはミドルキックからキチンシンク。さらにスリングショット式ダブルニーを落としたKUDOはコーナーへ。入江は追いかけていくが、KUDOはコーナー上でのニーで入江を逆さ吊り状態にさせると、地獄の断頭台を投下。そしてもう一度コーナーに登ったKUDOだが、再び立ち上がった入江はKUDOを前方から逆さ吊り状態にさせてからキャノンボール・セントーン。さらにブレーンバスターの体勢からタズミッションにいくが、後転して逃れたKUDOはバズソーキック。続くミドルキックをキャッチした入江がショートレンジラリアットを放ったところで時間切れのゴング。観客による挙手の結果、124-180で入江が勝利。最後のいつどこ権を獲得した入江は嬉しそうに松井レフェリーと亜門GMに抱きついていった。その後、亜門GMがいつどこ権を獲得した彰人、石井、アイザックス、高山も呼び込んで、入江を含めた5選手に、期間は今日から8月20日両国大会の前の大会、現時点では8月5日に新宿FACEでおこなわれるビアガーデンプロレスの最終日までのあいだなら、いつでもどこでも行使が出来ると説明。ただしDDT及び他団体で公式に組まれた試合で挑戦権を持っている選手が負けてしまった場合は、勝った選手に挑戦権が移動してしまう。
【試合後のコメント】
入江 取りました。KUDOさんは人気があるからすごい不安だったんですけど、勝ててよかったです。今のチャンピオンは竹下幸之介。竹下と自分は闘わないといけない理由が多すぎるんですよ。だからいつでもどこでもというわけにはいかない。そういう場が整ったところで竹下幸之介とKO-Dのベルトを懸けて闘いたいです。
セミファイナルは坂口征夫vs男色ディーノのスペシャルシングルマッチ。高山がディーノのセコンドに、KUDOが坂口のセコンドにつき、試合開始のゴング。股間に手を入れながらのタイガーステップを見せるディーノだが、坂口は警戒しながらもローキック。だが、ジリジリとコーナーに追い詰めたディーノは早くも押し倒してバックを取る。小刻みに腰を動かしながら坂口のタイツを下げていくディーノだが、坂口はうめき声をあげながらロープに逃れる。ディーノもブレーンバスターから男色ナイトメアーをお見舞いするが、ディーノの背中を下から蹴り上げた坂口。しかしディーノは「来いよ」と尻を突き出す。尻をペシペシ殴っていく坂口だが、「掘れよオラ!」と挑発するディーノの尻を蹴り飛ばしてから肘グリしながらリバースのインディアンデスロック。「さすがにそこまでは!」と叫びながらロープに逃れたディーノは場外へ。坂口も場外に出てディーノを攻撃していくが、その度に男性客に抱きついていくディーノ。しかしディーノもカウンターのボディブローからリップロックを狙う。これを坂口がかわすと、セコンドのKUDOに誤爆。坂口はエプロンからランニングローを狙ったが、ディーノはKUDOを盾にして防御。坂口に男色クローを見舞ってリングに戻ったディーノはリップロックで捕獲。徐々に脱力して崩れ落ちた坂口だが、どうにかカウント2で返す。狙いを定めたディーノはファイト一発!から男色ドライバーを狙うが、坂口は間一髪のところでボディブローを連打。さらに払い腰からランニングローを叩き込むとスリーパーに捉える。コブラクラッチにスイッチした坂口だが、ディーノは男色クローからリップロックを狙う。だが、うまくガードした坂口はジャンピングキックから掟破りの逆ファイト一発!。そして神の右膝を狙ったが、これをかわしたディーノはリップロック。一気に仕留めようとしたディーノだが、うまく背後に回った坂口はゲイ道ならぬ外道クラッチで押さえ込んで3カウント。試合後、悔しそうに頭を抱え込むディーノを慰めた高山が坂口を睨み付けると、ディーノも立ち上がって腰に手を当ててベルト奪取をアピール。高山と睨み合った坂口は、KUDOから受け取った缶ビールで祝杯をあげた。
【試合後のコメント】
坂口 ぐずぐずぐずぐずウルセーからさ、ナナメからいってやった。よくわかったろ、アイツらも。変わった、変わんねえじゃなくて、ちょっとここ(頭)使えば、俺だってできるんだ。舐めんなよ、この野郎。次のタイトルの時も俺と船木さんと防衛するから、調子乗んなよ。とくにヨッちゃん、気を付けろよ。
メインイベントは竹下幸之介vsマッド・ポーリーのシングルマッチ。遠藤が首輪につないだリードを引っ張ろうとするが、赤バージョンのポーリーはコントールが利かず、遠藤とお互いに髪の毛をワシャワシャしながらリングへ。竹下はノンタイトルマッチではあるが、手にKO-D無差別級のベルトを持って入場。するとポーリーはリングインした竹下に襲いかかってハンマーを連打。まだジャケットを脱いでいない竹下をショルダータックルでなぎ倒したポーリーは、リングを降りてDAMNATIONの仲間と気合いの雄叫びをあげてから竹下にハンマーを叩き込んでいく。さらに鉄柱に叩き付けたポーリーは、ネックハンギングで吊り上げてから竹下をリングに戻す。ハンマーとチョーク攻撃で竹下を追い込んでいったポーリーは、コーナー下で座り込む竹下の顔面にヒザを押し当てていく。何とか逆水平チョップを返していった竹下は両足タックルを狙うが、ポーリーはビクともしない。ボディスラムで上げることも出来ない竹下にコブラクローを見舞ったポー李は串刺し攻撃を狙う。だが、蹴りで迎撃した竹下はジャベリンキックを発射。バックに回ってバックドロップで投げた竹下はロープに飛ぶ。しかし場外にいた佐々木が竹下の足を掴んで動きを止めると、そこにポーリーがラリアット。これで竹下は場外転落。場外に出たポーリーはチョークスラムで竹下を叩き付けるとリングに戻る。場外カウントが進むが、カウント19でどうにかリングに戻った竹下。ポーリーがラリアットを狙うが、竹下は2回相打ちに持ち込む。今度は竹下が対角線をダッシュしてラリアットを狙ったが、これはポーリーが打ち勝ってみせる。ポーリーはリバーススプラッシュを投下するが、これをかわした竹下。続く串刺し攻撃もかわした竹下は逆に串刺し式フロントキック。だが、ブレーンバスターを狙った竹下をファイアーマンキャリーで持ち上げたポーリーはポーリーバスターを狙う。しかし十字架固めで切り返した竹下は、立ち上がろうとするポーリーに渾身のエルボーを叩き込むと、ポーリーの巨体を完璧に持ち上げてブレーンバスター。10分が経過し、ポーリーも左右のハンマーからラリアットを狙うが、相打ちに持ち込んだ竹下は全体重を乗せたラリアットを叩き込んで3カウント。
試合後、いつどこ権を持った彰人がリングインして、竹下の背後から低空ドロップキック。さらにドラゴンスクリューを決めると、GMが「ちょっと…彰人君、いつどこ権使うの?」と尋ねる。「これってこういうもんでしょ。使うよ」と権利を行使した彰人は、そのまま竹下の左ヒザを攻撃していく。DAMNATIONの佐々木と遠藤がいつの間にか彰人のセコンドにつく中、竹下もどうにか反撃しようとゼロ戦キックを狙ったが、キャッチした彰人はアンクルホールドへ。さらに竹下の足を持ち上げてマットに叩き付ける。場外に出た彰人は竹下の足を鉄柱に巻き付けて痛めつける。リングに戻った彰人はなおも竹下の左足をロープに巻き付けてから低空ドロップキック。さらにエルボーを落としてからレッグロックや、ロメロスペシャルの体勢から吊り上げずに両ヒザを踏みつけるといった足殺しを敢行。竹下はフォアアームで反撃するが、「力入ってねぇな」と余裕を見せる彰人だが、竹下はどうにかボディスラムで叩き付ける。だが、下から足を取った彰人はニーロックに捉える。これはロープに逃れた竹下だが、彰人はショルダーレッグブリーカー。竹下は突進してきた彰人をフロントスープレックスで投げると、両ヒザをマットについたままエルボー。彰人は竹下の左ヒザを蹴って行くが、歯を食いしばりながら逆水平チョップを返した竹下はデンジャラス・バックドロップで投げる。たまらずエプロンにエスケープした彰人を追いかけた竹下は、断崖式ジャーマンを狙ったが、必死に防御した彰人。ならばと断崖式DDTでエプロンに叩き付けた竹下は、トップロープに飛び乗ってダイブ。だが、彰人がかわしたため着地した竹下だが、これで左ヒザにかなりのダメージを負ってしまい、立ち上がることもままならない状況に。彰人は容赦なくドラゴンスクリューから逆回転のドラゴンスクリュー。さらに曼荼羅捻りまで切り出した彰人は竹下の左ヒザからニーパットを外すと、「来いよ」と挑発。10分が経過し、竹下はエルボーを打っていくが、彰人は「何も痛くねぇな」と言ってから唾を吐きかける。渾身のエルボーを打ち込んだ竹下だが、彰人はゴリースペシャルの体勢からシットダウンして竹下の両ヒザをマットに叩き付けると、足横須賀でなおも叩き付けてから足4の字固めを狙ったが、竹下は首固めで切り返す。キックアウトした彰人にフロントキックからニーリフトをブチ込んだ竹下は、一気にブルーサンダーで叩き付けるが、彰人はその直後に腕決め式マフラーホールドで切り返す。ロープに逃れた竹下をコーナーに乗せた彰人は、抵抗する竹下に下から張り手。だが、竹下も回転エビ固めで切り返すと、そのまま彰人を持ち上げてターンバックル・パワーボム。ロープに飛んだ竹下だが、佐々木が足をすくって倒す。すかさず彰人は丸め込むがカウントは2。彰人はハナマサを狙ったが、竹下はリバース・インプラントで切り返そうとする。しかし彰人は足首を掴んでアンクルホールドへ。さらにもう一度ハナマサを狙ったが、竹下はなおもバックに回ってジャーマンで切り返そうとする。これも彰人は足首を掴んでアンクルホールドに捉えるが、竹下は強引にジャーマンで投げ捨てるとフロントキック。15分を経過して、竹下はクロスアームジャーマンを狙ったが、彰人は必死に抵抗。ならばと竹下は変形のリストクラッチ式フィッシャーマンで投げて3カウント。
ここで佐々木がリングに上がり「オイ、彰人! 惜しかったな。でも大丈夫だ。キミは買われる。ウェルカム・トゥ・ザ・ダムネーション」と言ってTシャツを渡す。Tシャツを受け取り、DAMNATION入りを受諾したかに思えた彰人だが、そのTシャツを佐々木に投げつけていく。観客から拍手が起こる中、のたうち回った佐々木は「おーーーい! どういことだオイ! そういうことかオイ! ざけんじゃねぇぞ! はじめっからな、テメーみたいな負け犬に用はねえ! テメーなんかいらねぇんだよ」と言うと遠藤と一緒に襲いかかる。すると竹下が背後から佐々木をジャーマンで投げ捨てて彰人を救出。DAMNATIONをリングから追い出した竹下が彰人に握手を求めるが、彰人は応じずにリングを降りる。だが、竹下はマイクを持つと「彰人さん、ちょっと話を聞いてくれませんか? 今、自分が彰人さんに思っていることがあります。こんなポーリーにボコボコに半殺しにされたときに使うなんてクソ野郎ですね。でも、そうじゃないとKO-D戦線面白くないと思いませんか? みんなこのKO-D無差別、このベルトを巻くためにDDTのレスター頑張っています。だから彰人さんがやったこと、僕はプロレスラーとして嫌いじゃないですね」と語りかける。それを聞いてリングまで戻ってきた彰人は「そうだね竹ちゃん。僕はねいろいろ考えたんだよね。スマイルスカッシュ辞めて。ひとつ思ったのが、DDTでいい子ちゃんなんてHARASHIMAさんだけで十分じゃなですか。みんな自分のアピールしないといけないでしょ! いつでもどこでも挑戦権だって、次回の挑戦者ってわけじゃない。これが正しい使い方でしょ。お客さんはこういうのが見たいんでしょ?(場内拍手)今のDDTの選手は安定を求めすぎていると思うんですよ。こうやってDDTを盛り上げていかないでどうするんだ!」と叫んだ。彰人の言い分を観客も拍手で後押しすると、竹下は「さっき自分が握手を出しましたけど、それはタイトルマッチありがとうございました。フェアプレーの精神で、スポーツマンとして握手しましょうの握手じゃないんですよ。彰人さん、一緒に僕とユニットやっていきませんか?」と申し出る。それを聞いた彰人は「竹下、俺がまたユニット組んで、俺がまたいつでもどこでも挑戦権獲ったら、お前を後ろから襲うかもしれない。それでも俺とやっていくって言うの?」と不適な笑みで尋ねる。竹下の回答は「そっちのほうが面白いでしょ」。彰人が「やっぱりお前、頭がいいよ」と言うと、竹下も「彰人さんと一緒にユニット作っちゃいますか」と返し、彰人が「やろうよ。こちらこそよろしく」と言ったことで、両者は改めてガッチリ握手。ここにハッピーモーテルが解散した竹下とスマイルスカッシュを脱退した彰人による新ユニットが誕生し、最後は竹下が「作っちゃいましたー! 勝手に作っちゃいました。でも今日、彰人さんとこうやってタイトルマッチやって絶対僕たちで面白く出来ると実感したんで、皆さんこれから僕たちに目を離さないでください。ありがとうございました」と言って成増大会を締めくくった。
大会終了後、ディーノがアイザックスを連れて現れ、「集会するぞー!」と言って帰ろうとする観客を会場の隅に集める。そして「本日をもちまして、このアイザックスさん、ゲイをカミングアウトしました!」と発表。アイザックスは「何年も悔しかった。アメリカでは何も出来なかった。でもDDTに出て、この日本で試合が出来たことで今はフリーダムになった! すごく気持ちいいです!」と晴れ晴れとした表情で言い放つ。コスチュームの上からウエストポーチ、首には毛皮のマフラーという怪しい出で立ちになったアイザックスを指差し、ディーノが「どう、このゲイレスラーとしての説得力! この可愛さ! 今後、このアイザックスのことをアイちゃんと呼んであげてください」と言うと、早速集まった観客は「アイちゃん!」と呼び始める。ゲイレスリングの世界展開をしたいというディーノは、「ここのいる8割も同性愛者です。なので、それをみんながカミングアウト出来るような世の中に私たちがしていこう!」と呼び掛けるとアイザックスもやる気満々の様子に。最後はディーノが「みんな心のゲイを呼び覚ませ! おめーらはゲイだぞ! 分かってるな?」と言って「アーユーゲイ?」と尋ねていく。聞かれた外国人の観客も日本人女性もみんな「イエス」と受け入れると、最後は「いくわよ! G・A・Y! イエーイ!」と大合唱。「G・A・Y」コールが起こる中、ディーノはアイザックスのいつどこ権を指差して「いいもの持ってるな。ひょっとしたらGAYレスリングが獲っちゃうかもしれないですね。これ、私ごとですが、私のパートナーが3名ほどこれを持っております。アイちゃん、よっちゃん、慧介! 今、DDTは私の周りで回っています。決して私の周りは回っていませんが、私の周りで回っています! そのことを覚えておくように。以上、GAYレスリングリポートでした」と集会を終えた。
【試合後のコメント】
竹下 赤ポーリーとタイトルマッチでもなくシングルマッチが組まれて。前に年末にやって「ポーリー強っ」と思って。またこうしてシレッとシングルが組まれて、なんならタイトルマッチにしてほしかったぐらいですね。ポーリーはパワーもあるし、体重も日本屈指の重量があると思うので、技も重いし、自分も力はあるけど全然持ち上げれない。あの強さはDDTのほかのレスラーにない強さなので、次はタイトルマッチがやりたい。最後はいつどこ使っての彰人さんとのタイトルマッチになって。ほとんど闘ったことがない。
彰人 シングルは初めてだね。
竹下 バトルロイヤル残って最後に闘ったりとか、タッグマッチとかはチラチラあったんですけど、シングルは初めてだったということで。でも、僕個人としては一番元気なベストコンディションでやりたかったというのはありましたけど、DDTにその面白さは欲しいよなと。それはチャンピオンとして僕がやりたいことだったので、これは僕と気持ちが一緒だということでこういう結果になりました。
彰人 あの使い方は卑怯だと思わないんですよ。いつでもどこでも挑戦権を取りました。「じゃあ次の後楽園で挑戦します」ってそんな甘いこと、お客さんは望んでいないんですよ。そんなのはあれの意味がない。チャンピオンに苦難を与えるためだと思うんです。あれを乗り越えたからこそ、団体のトップ。だから今日の使い方は間違えてないと思うし、今日闘ってみて「ああ、こいつはチャンピオンなんだな」って竹下のことを思ったし。スマイルスカッシュにいた頃の僕っていい子になろうとしてたんですよ。調和を求めるというか潤滑剤というか、いい子になろうとしすぎてて。HARASHIMAさんが絶対的なベビーフェースなので、それの下なのでいい子になろうとしてて。でもドロップキックとかでお客さんが「ドロップキックでの彰人君のほうがおもしろい」とか「リング上では彰人君の毒っ気ないよね」とか言われて。いい子をやめてヒールになろうと思わないけど、素の自分をリング上でもっと出していこうかなと。竹下と今日闘ってみて、最後にマイクで言ってくれて、意外と考えが合うのかな、コイツ頭がいいな、コイツと一緒にやってみようかなと思って組むことにしました。別に組んだからと言ってカードがマンネリ化すれば、同じユニットでも当たればいいと思うし、もっともっとDDTを刺激的にしていきたいと思います。
――チームの指針は?
彰人 リング上で言われてインスピレーションで組んだというのがあるので、決まっているわけじゃないですけど2人で話して追々決めていこうかなと。
竹下 DDTに今までにないユニット。お客さんも選手もDDTの会社自体もどう扱っていいかわからないみたいな。ヒールとかベビーじゃなくて、コイツらは自分たちの道をいっているんだと。DDTに新しい何かを作っていけるようなユニットにしたいと思います。
――ユニット名も追々?
彰人 追々ですね。
佐々木 おーい! 彰人、竹下、フザけんじゃねえぞ! 俺の怒りは今、100%、120%を超えて200%、そこも超えて…今は正常だ! アイツら絶対に許さねえ!
ディーノ 別に今日は負けたかもしれないけど、ベルト取るのに必要なのって、タイトルマッチで3カウント取ることだから。そういう意味では計算通り。
高山 今日は征夫が成長して良かったよ。
ディーノ 風車の理論じゃないけど、相手の力を9まで引き出して10で勝つみたいな、我々はそういう感じなので、ノーダメージです。
高山 アイツ、嬉しそうだったね。
ディーノ 本当に嬉しそうだったねぇ。あのぐらいで喜んでいただいて。ここで喜ばせた分、タイトルマッチではガッカリすることになると思うけど。
高山 まあそれは仕方ないね。
ディーノ それは私たちの知ったこっちゃない。今日で勝てるかもと思わせた罪は先に謝っておくわよ。すみません。
――アイザックと集会をおこなっていたが?
ディーノ あれは、ちょっとヨッちゃんには関係のないところでね。
高山 なんかあったの?
ディーノ 一人の悩める外国人の性癖を解放させてあげたっていうイベントをおこなって。そんなに迷惑を掛けたりしないから。いま私の周りでは、石井慧介、ヨッちゃん、そしてアイちゃん…アイザックも、3人もいつでもどこでも挑戦権を持ってるのよ。私の周りでDDTが回ってるのよ。私では回ってないけど。太陽系の太陽みたいな。
高山 あ~、みんなの太陽!
ディーノ みんなの太陽、男色ディーノです! あと皆さんにお知らせがあるんですけど、明後日、新宿二丁目でアイザックスさんのカミングアウト会見をやります。その時にアイザックさんの日本に来ての心境をコレステロールのタクヤさんと一緒に発表したいと思います。
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