12日、大阪・港区民センターにて「ドラマティック・海遊館!2015」がおこなわれた。まずは樋口和貞vs中津良太のDNA勢によるダークマッチから。ガッチリ握手を交わして試合開始のゴング。序盤は中津がグラウンドに引き込もうとするも、樋口もそれにしっかり対応。逆に樋口が体格差を生かしてショルダーアタックで中津をダウンさせると、ボディースラム3連発から串刺しラリアット、ボストンクラブ、逆片エビと攻め立てる。中津はカウンターでドロップキックを放つが樋口は倒れない。樋口の逆水平にキックで応戦する中津。2発目のドロップキックでようやく樋口をマットに寝かせる。中津は串刺しジャンピング・ニーアタック、腰を落としたところへの低空ドロップキック、スタンドに戻ってのローキックと反撃。しかし樋口は巨体を宙に舞わせてのドロップキックで中津の攻撃を断ち切る。そしてカナディアン・バックブリーカーに担ぎ上げたが、中津は体を揺らせて背後に着地。バックに回ってスープレックスを狙った中津だったが、樋口は踏ん張って投げさせず。それならと中津は樋口の腕を逆にひねり、グラウンドに引き込んでダブル・リストロックで締め上げる。起き上がって強引に中津を投げようとした樋口に対し、中津はバランスを崩してグラウンドに持ち込む。腕十字、三角絞めに移行して攻め立てる中津。強引に立ち上がって振り切ろうとした樋口だが、中津は足をつかんで防御。樋口が崩れ落ちたところでロープブレイク。なかなか起き上がらない樋口にギロチンドロップを見舞っていった中津だが、樋口は起き上がると相撲の仕切りから走り込んでのぶちかましで大きくふっ飛ばす。中津がキック、樋口が逆水平を打ち合う。樋口の逆水平をかわして腕をキャッチした中津は、グラウンドに引き込んで三角絞め、横三角絞め、腕十字でギブアップを迫るが、樋口は必死に耐える。中津がロープに足を伸ばした樋口をリング中央に引き戻して腕十字を木俣と頃で、ここで10分タイムアップのゴングが鳴らされた。
ダークマッチが終了すると、鶴見亜門GMと井上マイクリングアナがリング上へ。ダークマッチに出場した両選手とDNAのコンセプトを紹介した後、次回の大阪大会として3月1日に同じ港区民センターでユニオンプロレスとの昼夜興行をおこなうことを発表。そしてオープニングコールにリングに呼び込まれたのは、前日の遠藤哲哉と同じく“年男”の大石真翔。今年36歳になる大石は、亜門GMから「36歳にもなってマコリンでもないだろ」と突っ込まれると、「自分から言ってるわけじゃないんで」と逆襲。2015年の抱負として「36歳っていっても、まだまだ上には高木さんも元気だし、36で老け込まないように、40超えてもアイドルを応援したいし、自らもアイドルでいたい」と語る。亜門GMから「気持ち悪~い」と言われると「それ、マッチ(近藤真彦)とかヒガシ(東山紀之)に言える?」と返す。「彼らを目指す」と宣言する大石は、未年らしく「大阪大会スタート」の掛け声に対し、観客全員で「メェ~!」と大合唱して、新春大阪2連戦2日目の幕が開いた。
第1試合は高木三四郎&大鷲透vs岩崎孝樹&DJニラのタッグマッチ。大鷲とニラが先発。しばらくににらみ合いながらリング上を反時計回りに回っていたが、ニラが意を決したように突進。それをかわす際に足を引っ掛けた大鷲。前のめりに倒れたニラの腕をつかむと、ラ・マヒストラルへ。木曽レフェリーがカウントを数えようとしたが、その前にニラがタップアウト。秒殺勝利を収めた。
まったく出番がなかった岩崎が引き揚げようとする高木と大鷲を呼び止める。「今日、社長と闘うの、楽しみにしてたんですよ。だからもう一試合」と再試合を要求。同じく引き揚げかけていたニラが「お前がそういうのを待ってたよ。それでいいんだな? お前もDNAだろ? (ダークマッチで試合した)2人と同じような試合がしたいのか? じゃあ再試合だ。ゴングを鳴らせ!」と強引に再試合をスタートさせた。
それを合図に敵コーナーに突っ込んでいく岩崎。一気呵成に攻め立てたが、大鷲の逆水平を浴びてペースダウン。ここで高木が「ルチャの洗礼を浴びせてやる」とフライング・クロスチョップを見舞い、さらに「ルチャの真髄を味わえ」と619を決めた。高木&大鷲のダブルタックル、大鷲のブレーンバスター、ギロチンドロップ、高木の至近距離からのクローズラインを浴びて防戦を強いられた岩崎だったが、高木にランニング・フォアアームを決めてピンチを脱出。岩崎からタッチを受けたニラだが、ほとんど攻撃を加えることなく、先ほどコーナーに戻った岩崎に強引にタッチ。「お前が選んだんだ」と言われ、息を整える間もなく闘いに引き戻された岩崎。高木、大鷲の順で串刺しラリアットを浴び、前後から逆水平のサンドイッチ攻撃にさらされる。それでも高木と大鷲を同士打ちさせて、大鷲にジャンピング・ハイキックを決めてニラにタッチ。ニラは勢い込んでトップロープからダイブしてリングインしたものの、着地の際、脚を痛めてしまった。リング中央でうずくまるニラを心配そうに覗き込む高木と大鷲。ニラは油断させたところでロケットパンチを放っていった。そして大鷲に岩崎のミドルキックとニラの足延髄のツープラトン攻撃を見舞い、岩崎がドロップキックで追撃。ここでニラが岩崎にコーナー最上段に上るよう指示。そして大鷲をボディースラムで叩きつけようとしたものの、押し潰されてそのまま3カウント。岩崎がコーナー上で呆然とする中、試合終了のゴングが打ち鳴らされた。
第2試合はアントーニオ本多&遠藤哲哉vs松永智充&HAYATAのタッグマッチ。アントンとHAYATAが先発。組み合った瞬間にアームホイップで投げられるアントン。対策を練って再度組み合うも、またしても組んだ瞬間に大きく吹っ飛ばされる。3度目はフェイントをかけてガットショットをボディーに叩き込んで攻勢に出たアントン。しかしすぐにマンハッタンドロップから低空ドロップキックを側頭部に浴びて遠藤にタッチ。HAYATAも松永と交代。松永はショルダーアタック、すくい投げ、ボディースラム3連発とパワーを生かした攻撃。しかし遠藤のドロップキック、アントンのフィストドロップを浴びる。アントンの予告付きバイオニックエルボーを防御した松永は、相手のワンショルダータイツをずらして乳首を攻撃。カウンターのエルボーバットを決めると、替わったHAYATAはスリーパーで絞め上げる。アントンはテーズプレスからパンチを落として遠藤にタッチ。遠藤はコーナートップからダイブしてのフォアアーム、串刺し側転エルボー、ノーザンライト・スープレックス、低空ドロップキック、その場跳びシューティング・スタープレス、キャメルクラッチでHAYATAを攻め立てる。アントンもバイオニックエルボーを狙ったが、ボディーにパンチを食らって決められず。HAYATAはハンドスプリングからのジャンピング・ハイキックを決め、松永のパイルドライバーにつなげる。エプロンに控える遠藤にドロップキックを放ってリング下に落としたHAYATAは、トップロープ越しのトペ・コンヒーロ。リング内ではアントンが松永のアックスボンバー、一本足頭突きを浴びながらも、パンチで反撃して卍固めを決める。これはHAYATAがカットしたが、遠藤ともみ合うHAYATAにバックドロップを決めたアントン。遠藤が松永にバックドロップを浴びせ、立ち上がってきたところにアントンがバイオニックエルボー。遠藤のブレーンバスターを受けて、アントンがコーナー2段目からダイビング・フィストドロップを決めて勝利した。
第3試合は彰人&MIKAMIvs大石真翔&勝俣瞬馬のタッグマッチ。彰人と大石は1・25後楽園のDDT EXTREME級選手権試合の前哨戦。彰人と大石が先発。ゆったりした動きの中で、関節技を仕掛けていく。大石がえび固めを決めてカウント2で返されたところで、それぞれMIKAMIと勝俣にタッチ。それまでと一転して速い動きの攻防を展開。勝俣がアームドラッグ2連発からドロップキックを決める。再び彰人vs大石の顔合わせとなり、エルボーを打ち合う。MIKAMIは大石をコーナーに追い込み、セカンドロープに脚をかけると「オ・オ・イ・シ・ダ・イ・ジ・ロー」と言いながらパンチを振り下ろしていく。タッチを受けた彰人はフィストドロップを見舞い、大石はランニング・フォアアームを叩き込む。彰人はアンクルホールを狙いにいくも、ロープに逃げられる。替わった勝俣はMIKAMIにドロップキックを決め、コーナー最上段からボディーアタック。しかしMIKAMIは大石と勝俣まとめてミッキーブーメランをヒットさせ、大石が放ったスイングDDTは彰人が技を浴びながらもアンクルホールドに切り返していく。大石も彰人にボディースラムで叩きつけられながらもアンクルで捕獲。しかし彰人は後方に回転して大石のバックに回ると、そのまま引っこ抜く形でジャーマン。勝俣のミサイルキックを浴び、丸め込みで追い込まれた彰人だが、勝俣が正面から飛びついて丸め込みに来たところをキャッチ。そこにMIKAMIが飛びついてデュランダル。その反動を利用してジャーマンで後方に投げ捨てた彰人。大石をリング下に追いやると、勝俣にキン肉大移動を決めて前哨戦を飾った。
【試合後のコメント】
彰人 最初で最後の前哨戦になるんですかね? 今回のルールはまだちゃんとは決めてないんですけど、僕と大石さんは両方、足攻めがあったり、丸め込みがあったり、わりと2人とも幅があるんです。その幅をたとえばオンリーギブアップとかで絞ったりしちゃうのはもったいないなと。やるなら、お互いの幅を最大限に生かせるルールでやりたいなと。イメージとしては、試合のルールで特別変わったことをやろうとは思ってないので。プラス・アルファぐらいで幅が広がる形になればと思ってます。今日、試合をしてて、終わり際に思ったんですけど、僕と大石さんがトムとジェリーに見えてしまって。けど、やぱっり一緒に住んでたのもあったし、大石真翔っていうのは個人的に思い入れがある選手なんで。シングルでは大石さんを超えたことがないんで。タイトルマッチで先輩超えをどんどんしていきたいなと思います。
――去年、男色ディーノ選手からベルトを獲って、防衛を重ねていくことで自分が思うEXTREME像ができてきてますか?
彰人 彰人っていう選手がチャンピオンのときのEXTREME像がだいぶお客さんにも伝わってると思うし、僕も初代王者のMIKAMIさんが望んでたような形に持っていけてるのかなと。やっぱりベルトは強さの象徴じゃなきゃいけないと思ってるし、KO-D無差別級がDDTで一番の強さの象徴ですけど、それに並ぶ位置まで持っていきたいし。王者がルールを決めていいっていうベルトは、デスマッチヘビー級を除けば、このベルトだけじゃないかなと僕は思ってるんで。どんどん価値を上げて、持ってる選手によって色が変わるベルトっていうのは、僕はすごく面白いと思うし、もっとEXTREMEのベルトでメインを張れるようなものにしたいですね。そのためにも、持ち続けてベルトの価値を上げていきたいですね。
――挑戦者・大石真翔のイメージはどういうもの?
彰人 大石さんは僕が仲良くなる前から研究していた相手なんで。プロレスを始める前から大石真翔っていう選手は知ってましたし。もともとタッグ屋のイメージで。大石&旭で。大石さんは普段弱いんです。けど、シングルでふとしたときに強さを発揮する選手で。ベルトとか懸かると、すごい強さを出してくる選手。あと、普段は見せない引き出しがあるからこそ、昔見てた映像が生きるんかなと思います。
大石 今日で最後の前哨戦ですけど、まぁ、まだ僕の知ってる彰人かなって。まだ僕の知らない彰人は見せてないと思うんで。僕の中では大事な一戦になりつつあるんで。たぶん、彰人の知らない大石真翔を見せちゃおうかなと。13年積み上げてきた大石真翔以上のものを出さないと、今の彰人には勝てないと思うんで、ただ、今の彰人だったら負けないよ。彰人がキャリアのすべてをぶつけてきたとしても、僕は負けない。これは2015年のキーになる試合になると思ってるんで。これに勝てば、あのデッカイさいたまスーパーアリーナで、Xとシングルが決まってるんで。まぁ、Xって旭志織なんですけど。ちょっとそれは、お客さんはたぶん見たいと思ってると僕は思ってるので。月並みな言い方ですけど、お客さんの後押しを背にベルトぶん獲って、さいたまスーパーアリーナのデカイ方でやりたいですね。
――大石選手から見て、彰人選手がEXTREME級王者になって変わったところは?
大石 たぶん、頭を使うようになった。結構、昔はあいつの持ってるレスリングのスキルとか、名古屋で培ったものに肉付けして闘ってたと思うんですけど、ちょっとそれじゃないのものを見につけてると思いますけど、今のところはチャンピオンだから強いですけど、偉そうなことを言わせてもらうなら、負ける要素は見当たらない。あいつが名古屋から出てきて、一緒に住もうよってなって2年、プロレスのことも話したし、アイドルのことも話したし。だからたぶん、お互いいろんなことを知ってると思うんですよね。プロレスじゃないことまで。同棲を解消して1年。この1年にあったいろんなことをリング上で会話したいなと思います。
第4試合は竹下幸之介vsくいしんぼう仮面のシングルマッチ。試合前、両選手がリング上に揃ったところで、くいしんぼうがマイクを渡せとアピール。松井レフェリーに「しゃべっていいのか?」と言われると「今日は特別な日やから」と語り始めた。「竹下君、俺、君のこと知ってるよ。(右手をヒザの高さにもっていって)こんなに小さい頃から知ってるよ。君は幼稚園の頃から、大阪プロレスを見に来てくれてた。そしてプロレス教室にも来てたよな。大きくなったなぁ~。本当に俺はうれしいよ。やっと、俺の前に立つまでのレスラーに成長したな。俺は普段しゃべらんけど、これぐらいうれしいってことよ。でも、でも、リングに立ったら、そんなものに俺は浸ってないよ。リングに立ったら、プロレスラー同士、俺はお前を叩き潰すことしか考えてないからな。俺は今日、キャリア20年すべて、竹下君、君にぶつけるつもりやから、覚悟してこいよ」。そしてくいしんぼう自ら試合開始のゴングを要請。ゴングが鳴ると同時にコーナーを飛び出した両者。竹下がいきなりビッグブーツを見舞う。ダウンしたくいしんぼうをカバーする3カウントが入った。
松井レフェリーが竹下の手を上げようとしたものの、竹下は拒否する。竹下は再戦を願い出るも、くいしんぼうはそんなことお構いなしに、竹下の手を取って上げると、早々とリングを下りて引き揚げていく。これには竹下が「ちょっと待ってください」と呼び止めた。竹下は「今日の試合楽しみにしてたんですよ。くいしんぼうさんとプロレスできるの、楽しみにしてきたんですよ。ゴングが鳴ったから、発作的に足出ちゃいましたけど、もうやらないんで。だから再試合お願いします」と再戦を懇願。しかし入場ゲート前のステージまで戻っていたくいしんぼうは、「シングルマッチで対戦だ」というポーズを取って引き揚げようとした。慌ててリングに引き戻そうとする松井レフェリー。しかし、くいしんぼうはそそくさと引き揚げていく。松井レフェリーは「(再戦に応じないと)ギャラ、払わんぞ」と伝家の宝刀を抜いて、ようやくくいしんぼうをリングに戻した。そして再試合のゴング。
ゴングが鳴ったと同時にコーナーを飛び出した両者。次の瞬間、竹下のビッグブーツがヒット。ダウンしたくいしんぼうをカバーした竹下。松井レフェリーの手がマットを3つ叩こうとした直前、「学習せんか!」とカウントをストップ。フラフラになったくいしんぼうは、ロープを掴まないと立ち上がれないほど。松井レフェリーが「大丈夫か?」と尋ねても、首を横に振る。竹下が「いつものやりましょ」となだめて、観客に「くいしんぼう」コールを要求する。それに応える観客。ようやく気を取り直したか、前転からのポージングで返したくいしんぼう。そして「タケシタ」コール、「マツイ」コールと続いて、2人とも前転からのポージングを決める。竹下のショルダーアタックを受け止めたくいしんぼうは、竹下が「オマエがロープに走れ」と指差すと、顔面にパンチを叩き込んだ。さらに額にグーパンチ。まさかの攻撃に防戦一方となる竹下。しかし調子に乗ったくいしんぼうは、リングサイドにいたカメラマンにスライディングキックを放つ。欽ちゃんジャンプを決めたくいしんぼうはドロップキックで竹下をリング下に落とすと、観客に手拍子を要請してコーナー最上段へ。リング下の竹下目掛けて飛ぶと思いきや、誰もいない方向へダイブ。そのままリング下でダウン。これには竹下も呆然。かろうじてカウント20以内にリングに戻ったくいしんぼうだがダメージは大きい。スリーパーで失神寸前にまで追い込まれ、竹下のエルボーの大きく吹っ飛び、ロープにもたれかかってダウンを逃れる状態。ドロップキックでくいしんぼうをリング下に落とした竹下はコーナー最上段へ。場外のくいしんぼうめがけてプランチャ…と思いきや、先ほどのくいしんぼう同様、全く違う方向にダイブ。着地した衝撃で足がしびれた様子で立ち上がれない。何とか両者ともカウント20寸前でリングに生還。くいしんぼうは額へのグーパンチの連発で竹下をコーナーに追い込んでいく。そしてまたしても、リングサイドのカメラマンにまでグーパンチを見舞ってダウンさせる。キラーモードで竹下を追い込んでいったくいしんぼうは、リング中央で竹下を捕まえると、首をかき切るポーズでフィニッシュをアピール。しかし時間をかけたため、逆に竹下がブレーンバスターを放つ。それを後方に着地して阻止したくいしんぼう。竹下を丸め込んでいったがカウント。竹下も切り返すがカウント2。さらにくいしんぼうは松井レフェリーを丸め込む。竹下がカウントを数えるも、松井レフェリーはカウント2で肩を上げた。コーナーを背にする竹下に、松井レフェリーを人間凶器として使用したくいしんぼう。しかし松井レフェリーは逆にくいしんぼうを竹下めがけて飛ばした。竹下は腕を組む形で突進してきたくいしんぼうを松井レフェリーにUターンさせる。戻って来たくいしんぼうの突進をかわした松井レフェリー。くいしんぼうは正面からコーナーマットに激突。その反動で背中から松井レフェリーの方に戻ってきた。思わぬ展開に松井レフェリーはそのままくいしんぼうのバックを取り、勢いを利用して後方にジャーマン気味に投げ飛ばした。すかさず竹下がジャーマンを決めると、ゆっくりと3カウントが数えられた。
【試合後のコメント】
竹下 非常に感無量です。やっぱり、僕、大阪プロレスを見て、プロレスラーになろうと思って。その大阪プロレスといえば、やっぱりくいしんぼう仮面、えべっさんの試合で。大阪名物世界一決定戦の世界1位と世界2位、あのベルトに挑戦したいがためにプロレスラーになったといっても過言ではないですね。もちろん、それだけではないですけど。でもね、どうだったんでしょうね? 「竹下幸之介は硬いヤツだ」とよく思われがちで。実は「竹ちゃんちょっと、こんなのもできるんだぜ」っていうところを見せたかったですね。僕のプロレスラーになろうとしたキッカケのひとつは大阪プロレスにあるんで。もちろんシリアスな試合も面白いですけど、お笑いの試合も見せ場っていうのをわかってもらいたかったですね。今日は、チャンピオンになって防衛をし続けてるご褒美のような試合でした。また機会があれば、(ああいう試合を)したいと思いますね。
――次はくいしんぼうとタッグを組むのはいかがですか?
竹下 組むのもいいですね。6人タッグとか。大阪プロレスではセミでお笑いの6人タッグとかやるじゃないですか。あと『ホリデー・パラダイス』のメインとか。そんなノリで6人タッグをやりたいですね。機会があればぜひ、よろしくお願いします。
――ある意味、今日の試合は竹下選手のプロレスの原点だったと?
竹下 僕の原点は一つじゃないと思ってるんで。でも、今まで触れたことのない原点の一つだったと思いますね。だから僕はすごく楽しかった。くいしんぼう選手も楽しんでくれて、お客さんも楽しんでくれてたらうれしいし、最近のDDTのファンの方たちは、見たことあるかもしれないですけど、ほとんどの人が見たことないんで。そういう方たちも興味持って、昔の大阪名物世界一決定戦とか見てもらえたらうれしいですね。今日はお年玉みたいなもので、プレゼントとして試合をやらせてもらいました。
セミファイナルは石井慧介&入江茂弘&高尾蒼馬vsKUDO&坂口征夫&マサ高梨の6人タッグマッチ。坂口と石井が先発。坂口の打撃を警戒しながら組み付いて、グラウンドに引き込んだ石井だが、坂口も十分対応。坂口が至近距離からボディーのパンチを叩き込んだところで、それぞれKUDOと高尾にタッチ。高尾はKUDOにドロップキックを決めると、リング下に落とす。そしてエプロンにKUDOを座らせて、高尾と石井が左右からドロップキックを打ち込む。入江がパワーでKUDOを攻め込むも、ロープに走ったところ、高梨がエプロンから入江の背中に蹴りを入れる。ここでエプロンの高梨に攻撃を仕掛ける入江。高梨がリングを下りると追いかけたが、坂口のエプロンPKを食らって動きが止まった。リングに戻るとKUDOと坂口に2人がかりでのカウンターのミドルキックを浴びる。それでもひるまない入江は、相手3人を一度に相手にしてエルボーを叩き込んでいった。KUDOと坂口のミドルキックを交互に浴びても耐えた入江は、坂口にエルボーを連発で叩き込んで石井にタッチ。石井はコーナーを背にしたKUDOにフランケンシュタイナーを決め、ジャーマンを狙う。コーナーに上がったKUDOを追った石井だが、高梨にパワーボム気味に叩きつけられる。すると高尾がまだコーナーに残っているKUDOに倒立してからのウラカン・ラナ。さらに入江がKUDOに串刺しラリアットを浴びせ、ダウンしたところを高尾と石井が入江をトスする形でのボディープレス。すかさず高尾がジャックナイフで丸め込むが、高梨のカットが間に合った。立ち上がってコーナーを背にするKUDOに突進した高尾だが、KUDOがかわしながら跳ね上げると、コーナーに横たわる形に。そこへ坂口が走り込んでのジャンピングキック。さらにリング中央で腰を落としたところにランニング・ニーを叩き込む。タカタニックを狙った高梨だが、ここは入江がカット。入江は「横綱!」と叫びながら高梨にパイルドライバーを放つ。この後、坂口、石井、KUDO、高尾の順に入れ替わりながら攻撃を仕掛けていく展開となり、高尾が高梨にジントニックを狙う。それを後方に滑り下りながらかわした高梨は丸め込みの連続で3カウントを狙うが、いずれもカウント2で返される。高尾が再度、ジントニックを狙ったところで坂口がゆっくりとリングに入ってきて、ガラ明きのボディーにパンチ。高尾が状態を前かがみにすると、ちょうどタカタニックの体勢に。そのまま高梨がタカタニックで高尾をマットに叩きつけてフォールを奪った。
メインイベントはHARASHIMA&ヤス・ウラノvs飯伏幸太&佐々木大輔のタッグマッチ。HARASHIMAと飯伏は2・15さいたまでのKO-D無差別級選手権試合の前哨戦。握手を交わし、ヤスと飯伏の先発で試合スタート。序盤はグラウンドで相手の様子をうかがいながらの展開。ヤスvs佐々木、HARASHIMAvs佐々木、ヤスvs佐々木と、佐々木が長くつかまる展開となったが、ようやくをタッチを受けた飯伏はヤスをカウンターのドロップキックでフッ飛ばすと、首4の字で絞め上げていく。何とかロープに逃れたヤスだが、スタミナを消耗。今度はヤスが長く捕まる展開となる。ヤスは松井レフェリーを盾にして佐々木の攻撃を阻止すると、佐々木をコルバタで飛ばす。佐々木もすぐさまドロップキックでお返し。ここで飯伏とHARASHIMAが、この試合初めて正式にリング上で向かい合った。しかし飯伏はアリーナ後方に設置された撮影用イントレを指差す。そして、一足先にそこに上ってHARASHIMAを待つ。最初は躊躇していたHARASHIMAだったが、結局、飯伏の挑発に乗る形でイントレ(足場)上へ。両者は狭い足場でエルボー、キックを打ち合った。飯伏はイントレ上でラストライドを狙ってHARASHIMAを担ぎ上げたものの、HARASHIMAはエルボーを叩き込んで阻止。逆にHARASHIMAも山折り狙いで飯伏を肩に担ぎ上げたが、技を放つには至らなかった。HARASHIMAがバランスを崩してイントレから転落すると、飯伏はケブラーダで宙を舞った。そして今度は舞台をリング内に戻して、キックの打ち合い。互いに一歩も引かない。蹴り勝つ形になった飯伏は、ダウンしたHARASHIMAにその場跳びカンクーントルネード。ここで佐々木にタッチ。佐々木はHARASHIMAにコーナー最上段からのダイビング・ラリアットを放ち、蹴り足をキャッチしてのドラゴンスクリューから足4の字。動けないHARASHIMAに飯伏が走り込んでのシューティングスター・プレスを落とした。何とかロープに逃げたHARASHIMA。佐々木はクロス・フェースロックはヤスのカットに遭うと、コーナー最上段から急降下エルボードロップを放った。HARASHIMAはヒザを立てて迎撃。飯伏がスワンダイブ式ミサイルキックをHARASHIMAに決めると、HARASHIMAは背後に回ってリバースフランケンシュタイナー。それをバック宙の要領で着地した飯伏は、HARASHIMAが立ち上がりざまに側頭部に廻し蹴りを叩き込む。ここで佐々木はHARASHIMAに投げ捨てドラゴン・スープレックス。すかさずヤスが佐々木が立ち上がってきたところに延髄斬りを放ち、背中で佐々木をコーナーに押し込んでいく。そこでHARASHIMAが対角線を走る。そのままジャンプするとヤスが体を翻し、ダブルニーが佐々木にヒット。間髪いれず、ヤスがツームストーン・パイルドライバーで脳天から些細をマットに突き刺し、上体を起こさせるとHARASHIMAの蒼魔刀が飛んできた。さすがにこれだけの連続攻撃を浴びては佐々木にカバーを返す力は残っておらず、3カウントが入った。
試合後、ヤスの手で腰にベルトを巻いてもらったHARASHIMA。その様子をじっと見つめていた飯伏はベルト姿のHARASHIMAに歩を進めながらにらみ合う。次第に視線をベルトへと落としていき、右手を差し出す。しかし握手を求めるのではなく、HARASHIMAの腰に巻かれたベルトに触れた。そしてゆっくりとベルトのバックル部分をなでてからリングを下りた。ヤスからマイクを渡されたHARASHIMA。「試合はちゃんと、リングの中でやりましょう」と観客を笑わせた後、締めのマイク。「昨日、今日と大阪2DAYS、たくさんのご来場ありがとうございます。2月にはさいたまスーパーアリーナがあって、3月はまたここで試合します。皆さんぜひ見に来てください。次の大阪大会もみんな、見にくるさー!(観客『なんで~!?』)さいたまスーパーアリーナも絶対、大成功さしてやるさー!(観客『なんで~!?』)そしてそこでベルトを防衛して、次の大阪大会もチャンピオンとしてリングに上がってやるさー!(観客『なんで~!?』)なんでかって? それは鍛えてるからだー!」。
【試合後のコメント】
HARASHIMA さいたまのメインが決まって、前哨戦がいくつかあると思うんだけど、今日、(カードが決まって)初めて飯伏とやって、前哨戦らしい部分もあれば、そうじゃないいつもの彼らしいハチャメチャなところもあって。ま、それに乗るのは彼のペースなのかなっていう葛藤はあったんですけど、ちょっとああいうリングじゃないところで打ち合ってみたり。ああいうところは彼の土俵だなと改めて思って。でもやっぱり、リング上でもとても強くて、対戦するのは久々なんで、対戦するのは気が引き締まるというか。もっともっと練習して、最高のコンディションで試合に臨まないといけないなと。
――さいたまスーパーアリーナという会場を考えると、当日もなんか破天荒なことを仕掛けてきそうな感じがします。
HARASHIMA それに付き合う付き合わないは僕の勝手なんで、そしてさいたま(スーパーアリーナ)にそういう舞台があるのか。今日はたまたま会場内にああいう所があったんで。本当、フタを開けてみないとわかんない。でも、自分は自分のプロレスをすれば勝てると思うので、彼のペースに飲み込まれすぎないように闘いたいと思います。
――相手は1・4東京ドームで評価を上げる闘いをしました。それだけさいたまスーパーアリーナでの一戦への注目度も上がったと思いますが、そのあたりは?
HARASHIMA それは僕にとってもDDTにとってもチャンスだと思うんで。まあDDTの僕らの闘いを見に来てくれるなら、よりモチベーションは上がりますね。
――HARASHIMA選手の力、KO-Dチャンピオンの力、DDTの力を飯伏選手を通して見せつける一戦になりそうです。
HARASHIMA そうですね。そこに興味を持って会場に足を運んでくれる、普段DDTを見ないお客さんもいると思うんで、DDTの楽しさを知ってほしいですね。
――決戦まで残り1ヵ月ほどです。
HARASHIMA 本当そうですね。頑張ります。
飯伏 最初はいろいろ警戒もあったり、前哨戦っぽくしないようにしたんですけど、どうしてもやっぱり、どっかで意識しているというか、ちょっと触れ合うと体が動きますね。お互いに攻防っていうのは、今まで何年もやってきたんですけど、単純な蹴り合い、殴り合いっていう部分で、まだ気持ちがお互いに100%交じり合った部分はないんで、その部分をさいたまで出せればなと思いますね。その気持ちが出せれば…。
――さいたまスーパーアリーナの会場に入って何かが目に飛び込んでくれば、何かやってやろうっていう気持ちになるでしょうね。
飯伏 もちろん。(さいたまスーパーアリーナで)やったことありますけど、前やったとことは違うとおもうんで、また新しい何かがあると思うんで、それも楽しみだし、いろいろ自分も経験してきてるし、乗り越えてきてるんで。いい試合をした上で勝つ、それは自分の基本的な部分、最低条件です。楽しみですね。あと2、3回、(前哨戦が)ありますから、それも楽しみですね。
――中邑真輔戦を経て、飯伏選手への純粋な注目度も高まってると思います。
飯伏 今日、開場後にサイン会をしたんですけど、そういう声もあったんで、反響はいいなと。勢いもかなりつきましたね。負けましたけど、相当いいスタートを切れたかなと。相当、火がつきましたね。中邑さんに対してもですけど、プロレスに対しても暑い部分が復活した。あそこまでなったことは今までないんで。今、その状態です。今、なんでもできるぞっていう状態、危ない状態なんで。気をつけつつ、頑張ろうと思います。