メインイベントはKO-D無差別級選手権試合。第45代王者の入江茂弘が佐藤光留を相手に4度目の防衛戦。入江はベルトを抱きしめながら、悲壮感漂う表情で入場。ゴングが鳴っても両者は静かにリングを回りながら、お互いの出方を伺う静かな立ち上がりに。アップライトに構える光留に対し、入江は低い姿勢からタックルを狙う素振り。時折、光留のインローがヒットする。静かな立ち上がりのなか光留が右ミドルで均衡を打破しようとするが、入江も強烈なヘッドロックでお返し。そのヘッドロックを光留が腕十字で切り替えしたあたりから、試合がヒートアップ。光留が入江をコーナーに詰めて強烈な張り手を見舞えば、入江も3倍返しとばかりにラリアットで光留の体を宙に浮かせる。5分経過の段階でカウント2・9の攻防に突入する。中盤、やや劣勢になることもあった光留だがカニバサミからアキレス腱固めを極めたあたりで形勢が逆転。ここから光留の左脚への集中攻撃が始まり、入江が苦悶の表情を浮かべる回数が増えた。勢いに乗った光留はさらにアンクルホールド、レッグロック、変形アキレス腱固めと怒とうの攻めを展開。終いにはダウンした入江の頭を足蹴にしつつ「チャンピオン、こんなもんか?」と挑発。隙を見て入江が自分が垂直落下式バックフリップを狙うも、光留は落ち着いてフロントスリーパーで迎撃。その後のアキレス腱固めでは、見かねた松井レフェリーがストップを検討するも、入江は松井レフェリーの胸倉を掴んでそれを許さない。瀕死の状態だった入江だが、アキレス腱固めをヘッドバッドでクリアすると、そこからヘッドバットを連打。これで光留を流血に追い込むと、満を持して自分が垂直落下式バックフリップを解禁。大逆転の3カウントで入江が4度目の防衛に成功した。
試合後、しばらく激闘の後でしゃがみ込む入江に対し、亜門GMが「おめでとう。脚は大丈夫? 本当に凄かったよ。でも次の防衛戦を発表しなければならない。次は6月23日、後楽園ホール大会」とアナウンスすると、ここでヤスからいつでもどこでも挑戦権を奪った石井がマイクを握る。「入江君。絶対、防衛してくれると信じていたよ。凄い試合だったよ。俺は3月にいつでもどこでも挑戦権を最初に手に入れて、入江君とメインのタイトルマッチをやると言ったのに、あっさり落とした自分が不甲斐ないしミジメだった。でも今日、ヤス・ウラノを倒して、再び挑戦権を取り戻した。入江君、俺は6月23日、後楽園ホールのメインで王者の入江茂弘に挑戦することを宣言します!」。盛り上がる会場だが、ここで亜門GMが「宣言するのはいいんだけれども、6月23日より前に試合に負けてしまうと、挑戦権自体が移動してそのタイトルマッチはなかったことになってしまうよ。宣言したことによって、余計にカッコ悪いことになってしまうけど、それでもいいんだね?」と確認。しかし、石井は「絶対、そこに付いていきます」と力強く宣言。亜門GMから現時点での6・23後楽園のメインでの入江vs石井のKO‐D無差別級選手権試合がアナウンスされるも、ここでモンスター軍が再度登場。火野とともに石井、高尾を蹴散らした佐々木がマイクを握ると「知ってるんだぞ、足が痛いんだろ?」とボロボロの入江に語りかける。「使っちゃおうかな~! やめめくださいって言えよ!」といつものドSっぷりな言葉責めで入江に対していつでもどこでも挑戦権を行使する素振りを見せながら「石井! オマエがその挑戦権を使って入江に挑戦するだと? 残念だったな。その挑戦権はモンスターアーミーのアントーニオ本多がいただくってマヤの予言に書いてあんだよ。おいGM、次の大会でアントーニオ本多vs石井慧介を組めよ」と亜門GMに詰め寄る。亜門GMが「組めません」と拒否するが、佐々木のあまりのドSっぷりな言葉責めに見かねた石井が「やってやるよ!」と返答。アントンも「今はとっても首が痛い。でも、6月2日にはこの首のダメージは100倍になって、すべてオマエの体に降り注ぐぜ、ベイベー!」と返し、6・2新木場大会での両者のシングルマッチが決定した。「アイツら汚いことをしてでも、その挑戦権を奪いに来るに決まっているよ」と亜門GMに心配された石井だが「俺は絶対にこの挑戦権を守り抜く」と言い、入江に対しも「俺たちにしかできないタイトルマッチをやろう!」とアピール。これを受けた入江もアントンvs石井の結果などを顧みず「後楽園で石井君と試合ができる! やったー!」と喜びを露わに。亜門GMから「23日までに君がタイトルを守り抜いていたらの話だから」と諌められるが、入江は「やったー!」と相変わらず後楽園までの流れがわかっていない様子。そんなチャンピオンをヨソに、石井は「俺のゴールは入江君とのタイトルマッチじゃない。その先の両国大会のメインに王者として立つことを目指している。俺は6月、必ず入江君を倒して、両国大会のメインに立つ!」と誓う。しかし、ここでも入江は「俺も同じ気持ちだ!」と支離滅裂な返答に終始。呆れる亜門GMに促される形で「自分がこのベルトを懸けて石井君とタイトルマッチをすることが決まって自分は嬉しいです。そのためにもずっとこのベルトを防衛し続けて、石井君もずっと…何だっけ?……締めます! いくぞー! プロレスは絶対に裏切らない。最後までタチムカウ!!」と、約1年ぶりとなる広島大会を締めくくった。
【試合後のコメント】
入江 試合の最初くらいから記憶がなくて。今ベルトを持っているということは防衛したんですね? よかった。もう嫌です。
――体の痛みは?
入江 ヒザとか痛いです。
――覚えていることは?
入江 石井さんとタイトルマッチをやることです。後楽園で僕と石井さんがシングルでやるんですよね? 僕も石井さんと同じ気持ちなので、2人で両国でやりたいですね。
――仮に後楽園で石井戦が実現したら、どのような闘いを?
入江 石井さんは何て言いました?
――どんな試合をしたいかについては、とくにコメントしてません。
入江 じゃあ、僕も言わない。
――チーム・ドリフのリーダー・石井選手は、どのような存在ですか?
入江 僕は石井さんのことを親友だと思っています。石井さんがどう思っているかはわからないですけど、同じ気持ちだったら嬉しいですね。
石井 3月に取られたいつでもどこでも挑戦権、やっと取り戻すことができました。今回はきっちり守って、王者の入江茂弘の前に立ちたいと思います。
――その前にアントーニオ本多選手との試合がありますが?
石井 確かに何をしてくるかわからないけど、去年の11月4日にシングルで勝ってるんです。きっちり勝てるでしょう。
――チームメイトの入江選手と闘うことについて、闘いづらさは?
石井 もう2年近く当たってない。最後が2011年9月25日なんで。でも別に気持ち的にやりづらいということはないです。逆に今まででニールキックが一番会心の当たりをしたのが入江君相手だったんで、気持ち的にやりづらいというのはないです。
亜門GM ちょっとモンスターアーミーの最近のやり方が目に余るものがあります。佐々木大輔がいつでもどこでも挑戦権をリングアウトや反則勝ちで守っていて、正々堂々と闘わない姿勢にも甚だ疑問を持っています。今日のメイン後の暴挙にも腹を据えかねるものがありますので、6月2日、佐々木大輔にヤス・ウラノを当てることにしました。両者のシングルマッチを組みまして、なんとしてもヤス・ウラノに佐々木大輔からいつでもどこでも挑戦権を奪い返して欲しいと思っています。