4月8日、東京・新木場1stRINGにて「NON-FIX4・8 Special」おこなわれた。今大会は今成力也が新藤リングアナウンサーに代わって、モヒカン姿で登場。スーパー前説ショーとして、新藤アナを完コピしファンの笑いを誘ったほか、アントーニオ本多によるハルク・ホーガン体操第一が披露された。
『INTO THE LIGHT』のあと鶴見亜門GMによる「4月1日後楽園大会を踏まえて今後についていろいろと決めていく亜門会」へ。まずは3・20博多大会でデビューした大崇の病状について「当初は脳しんとうという診断だったんですが、頸椎骨折、脊髄損傷だった」ことを報告。ドクターの了承を得て復帰を目指しているため、長期欠場が発表された。
続いて全選手をリングに呼び出し、8・18武道館までのKO-D無差別級戦のスケジュールを発表した。既報の5・4後楽園で王者・マサ高梨vs挑戦者・火野裕士のタイトルマッチ戦のあと、5・27札幌でKO-D無差別級戦、6・24後楽園で同じくタイトルマッチを予定。さらに6・30新木場から挑戦者決定トーナメント(KING OF DDT)を開催し、7・8大阪大会で同トーナメントの準決勝、決勝がおこなわれる。その優勝者が武道館大会でKO-D無差別級戦に挑戦となる運びだ。
そこで早速、5・27札幌大会での挑戦者決定戦を5・4後楽園で開催するという。亜門GMによると挑戦者決定戦に参加できる選手は、亜門ランキング(2012年の戦績を踏まえてはじき出された公式ランキング)の2位と3位」とのこと。現在、王者が高梨で、1位=次期挑戦者の火野、2位ヤス・ウラノ。3位が同率でKUDO、HARASHIMAであることがはじめて公表され、その結果、5・4後楽園では、ヤス、KUDO、HARASHIMAによる3WAYマッチがアナウンスされた。ここからは亜門GMが、今後が気になる選手に次々と質問。その内容は次の通り。
①矢野啓太の「いつでもどこでも興行権」について。矢野「来たるべき時に。プロレスリング・ワラビー・ハウスショーでやったアレナ・コリセオ・ケルベロス、通称ケルベロスジムで、DDT×ワラビーやろうじゃないか」と構想を明かした。
②松永智充の「いつでもタッグ挑戦権」について。松永にパートナーがいないことを確認した亜門GMが「お前のパートナーも名乗りをあげている選手がいるんだわ。今日、その選手とシングルを組んだので、一緒にやれるなと思ったらその選手とタッグ組んでもいんじゃないかな」と提案。
③DJニラの「いつでもどこでも挑戦権」について。亜門GMが「いつ使いますか?」と迫るも、ニラは「いつ使ったらいいでしょうね。いつもDDTに決めてもらってるので」と煮え切らない様子だったため、亜門GMは「譲渡というのもありますが、それは私が認めた人にしてくださいね」と念を押して終了。
④大石真翔の「いつでもどこでも大家健」について。亜門GM「試合中は大石真翔として使うけど、試合以外は大家健として接するように」と、全選手たちに厳しく通達した。
最後は、本日のアイアンマンヘビー級戦について。亜門GM「わかってるのか、今の状況を! 一番重要なベルトが外敵に取られて流出してるんだぞ。絶対取り返せよ」と出場選手を叱咤激励。そして亜門会を締めくくったのは日直に指名された飯伏幸太。飯伏「起立! 筋トレ、ビタミン、神への祈り。しない、させない、ステロイド」と号令。全選手がこれを復唱し、新木場大会がスタート!
第1試合は、デビュー2戦目の遠藤哲哉が登場。序盤は石井ペースだったが、コーナーを使ったブーメラン式ボディーアタックを皮切りに徐々に自分の領域へ。ヘッドシザース、ドロップキック。サマーサルトキック、ライオンサルトと得意技を連発し、ムーンサルトプレスまで持ち込んだが、石井の剣山に阻まれ、最後は逆片エビ固めにギブアップの意思表示。
第2試合は、松永智充のパートナーに名乗りをあげた選手というのは誰なのか? 注目が集まるなか新木場に鳴り響いたのは、ばってん多摩川のテーマ曲だった。ファンからは落胆の声が上がるなか試合開始となる。しかし、ガッカリしたのは松永も同じ。ばってんの「握手をしないとバッテン」「場外でボディースラムしちゃバッテン」といった言葉にイライラを募らせた松永は、早く終わらせようと何度も何度も押さえ込んでいく。ばってんもこのピンチを逃れると、気迫のこもったヘッドバット、ばってんボンバーで攻勢に転じる。しかし反撃はここまで。松永はトミーボンバーからのフェースロックでギブアップを奪ってみせた。
亜門GM「よくがんばったよ。おい松永、こんなにがんばったんだからばってんと組んでやってもいいんじゃないのか。俺、お前(ばってん)のこと買ってたんだよ。だってWCWっぽいしさ。同郷だもんな福岡で。芸人やってるんだもんな。R-1で2回戦まで行ったんだもんな。ここでオススメの一発ギャグやってやれ」
(しかし、ばってんのネタは会場を凍り付かせる結果に)
ばってん「こんな空気チャーリー・シーン」
亜門GM「キャハハハハ。松永どうだろう。組んでやってくれないか」
松永「わかりました。コイツと組みます……なんて言うわけねーだろ! 確かにがんばってたかもしれない、でもリングにあがるならがんばって当然。ベルトとかじゃなくて、DDTのリングに上がりたいなら一歩一歩頑張って積み上げることだよ。ベルトとか言わないで、頑張ってたらそういうチャンスもくるから。だからいまはお前とは組めないよ。俺は5年ぶりに本気でタッグのベルト取りたいと思っています。俺がタッグのベルト取るぞ!」
亜門GM「すげー真面目なこと言われちまったな。頑張れ」
ばってん「はい。それまでエビスコ酒場で一生懸命、働きます」
第3試合は、ほもいろクローバーZ(ほもクロ)の彰人&福田洋vs高木三四郎&高尾蒼馬のタッグマッチ。ダンスを禁じられていた福田は、今大会でも踊っていない。そこにDJニラが現れ、「(4・1後楽園では)オメーが勝たなきゃいけなかったんじゃないのか。その後ろめたさがあったから踊らなかったんだよな。でもこれはこれで終わり。これからはノンストレスでいってください。はい、がんばってください。さよなら」と、福田を放置して退場した。唐突な展開に今後を見失ってしまった福田は、目標をKO-Dタッグ王座奪取に変更。反体制の高木&高尾が入場するなりタイトル戦を提案すると、防衛回数を増やしたい王者組はあっさり了承。急きょ、KO-Dタッグ選手権試合がおこなわれることに……。開始直後、彰人との分断に成功した王者組。高尾が福田にドロップキックを放つと、高木がGTSでアシスト。すかさず高尾がボマイェを決め、防衛に成功した。
彰人「お前、ふざけんなよ」
福田「試合してない」
彰人「試合しただろ」
福田「いつ? 覚えてない、覚えてない」
高木「記憶飛んでるのか。何回でもやってやる。でもタッグは賭けたから、その代わり、お前ら何か賭けろ。例えば解散賭けろ!」
ニラ「DDTの解散を賭けてでも何でもやってやるよ!」
この無責任な発言に、慌てて男色ディーノ、KUDOが乱入するが、「負けたら解散マッチ」のゴングは無情にも鳴らされた。福田を攻め込み勢いに乗る反体制。福田と替わった彰人が一人で挽回し、流れを変えることに成功する。ところがここで福田がタッチを要求。ディーノが必死に「気にするな!」と止めるが、彰人は福田に応じてしまう。結局、これが裏目に出て、再び流れは反体制へ。高尾のボマイェから高木がカバーの体勢。彰人が寸前のところで妨害するが、ならばと高木はSHB狙い。そこに、居ても立ってもいられなかったディーノが男色ドライバーでカットイン。すかさず福田が首固めで高木を丸めて逆転勝利を収めた。
亜門GM「負けたので解散でいいですね」
高木「DDTじゃないの? どういうことだ。きいてないよ」
亜門GM「アナタが言ったんですよ。負けたら解散って」
高木「俺たちも? 最初の試合は勝ったんだよ」
亜門GM「解散ですって。男に二言はないんですから。男らしく認めてください。反体制も十分やったでしょ」
高木「わかったよ。反体制は今日で解散する! いままでみんなありがとう。高尾君。解散だよ。ありがとうな」
高尾「ありがとうございました」
高木「ちょっと軽くない? だがしかし、反体制は今日で解散だ。こんなこともあろうかと、俺様は新しい軍団・nWJ(New World Japanの略)を結成する。もうすでにグッズは用意してある。(翔太がTシャツを持って入場)持ってきてくれてありがとう。nWJはどんどん軍団を増殖させてやる。マット界最大の勢力になってやる。翔太、お前も軍団員になれるように頑張れよ」
第5試合はアントーニオ本多vsDJニラの一戦。ニラが本多をアックスボンバーで奇襲をしかける。しかし本多は冷静に「運命とは自らの手で切り開くものだ。俺はアックスボンバーで失神しないし、未来が見える。お前はこのリングに横たわって身動きができない。『助けてください、ホーガン様』って言うだろう」と諭して、ゴング。グラウンド状態で手四つの攻防、リストロックの取り合いと、なかなか他では見られない展開が繰り広げられる。最後もニラの予告バックプレスが2度失敗に終わり、3度目をアントンがバックブリーカーに切り返すと、ブリッジしたままのニラをリバース卍固めで絞りあげ試合を終わらせた。
第6試合は、王者・華名に、男色ディーノ、大石真翔、中澤マイケル、星誕期、矢野啓太が挑戦するというアイアンマンバトルロイヤルだ。試合直前、マイケルが華名以外を集めて作戦会議。ベルトを取り返すのが先決と言うマイケルは、「協力しないといけない。そして、ベルトを取るなら必要な人間が取るのがいい。武道館のメインみんな諦めてないですよね? 僕は諦めました。もうそういう面倒くさいのは……。となると、僕が武道館に出るためには肛門爆破なんですが、両国と違って面倒くさいらしくて、その線もなくなりそうです。ということは実際に手が届きそうなのはアイアンマンしかなくて」と事情を説明。みんながこの案に乗り、マイケルの指示に従うこととなった。マイケルの予想では、WAVE終わりで来る華名は、花道からではなく会場出入口から入場するという。そこからリング内へと大石、矢野が誘い、ディーノ、星誕期の力を借りてアイアンマンを奪取する予定だったが……。華名が花道から入場したため、試合前に計画が頓挫。それでもローションミストからの首固めで、まずはマイケルが王座奪取に成功する。残り時間をマイケルは控室に逃げてベルトを死守するつもりだったが、華名も追って控室へ。マイケルをトイレで捕獲した華名は、便器の中にマイケルの顔を突っ込みギブアップを奪ってみせた。すぐさまディーノが華名をリングに戻して試合を軌道修正。残り3分となり、今度は矢野が華名からGTAでフォール勝ち。華名もスクールボーイで矢野から王座を取り返す。続いて星誕期がチョークスラム、ボディープレスで華名を攻める。ここでどうしても王座がほしいマイケルはカバーを横取り。再び王者となる。しかし華名も諦めておらず、星誕期のブエノスアイリス午前零時をマイケルに誤爆させて自らカバー。ギリギリのところで王座に返り咲いた。
第7試合は、マサ高梨&ケニー・オメガ&佐々木大輔vsHARASHIMA&KUDO&ヤス・ウラノの6人タッグマッチ。試合前にHARASHIMA、KUDO、ヤスのKO-D無差別級次期挑戦者決定3WAYマッチが発表されたため、3人の間にも微妙なライバル意識が芽生える。それでも対戦相手がマサ高梨になると、3人が一致団結。代わる代わる王者・高梨を攻め込んでいく。しかしながら、HARASHIMAがリバース・フランケンから蒼魔刀という一連の動きを見せると、寸前にヤスが交替して、カバーを横取り。これはカウント2に終わったものの挑戦者候補3人の微妙な駆け引きが試合を乱す。そんななか冷静だったのは王者・高梨だった。大輔のバックを取るヤスの背後から、高梨が金的攻撃。そのままタカタニックへと繋げて、チャンピオンの意地を見せつけた。
ヤス「チャンピオンベルト奪取おめでとう。君は非常にいいチャンピオンだと思うよ。現にこの僕も負けているわけだし、ちょっといまは相性は悪いかなって。DDTのなかで最高のチャンピオンかもしれない。でもそれも5月4日まで。DDT史上最強のチャンピオンがベルトを巻くんだよ。そして僕はその日、若干、君に比べて頭のたりない、KUDO、HARASHIMAを倒して、札幌では王者・火野VS挑戦者ヤス・ウラノっていうカードが組まれるんだよ。それまでベルトの価値を落とさないように、こすくても勝ち続けてよ。がんばって高梨君」
HARASHIMA「火野は確かにすごいよ、強いよ。自分はね、この前の借りがあるし、火野と試合をしたい。でも、この前の後楽園、高梨のベルトすごく感動した。プロレスのよさをまたカラダで感じたんだよ。自分はDDTの人間として、次のタイトルマッチ、高梨に勝ってもらいたい。そして、3WAYマッチ絶対この自分が勝ち上がる。そして、高梨のベルトに挑戦して、絶対自分がそのベルトを巻いてやる! そして武道館のリングに立つ」
KUDO「俺は高梨が100パーセント勝つと思ってる。俺は必ず3WAYに勝って、立場は違うけど札幌で再戦しよう。そして必ず勝って、俺が武道館のメインに立つ」
高梨「いまの3人の要望を聞いて、勝ってほしいとか勝つと信じてるとか、プレイヤーからこう認められたことがないから戸惑ってるけど、そう言ってくれてありがとう……って言うかと思ったか! オメーらよ、どうせ俺のこと言っても目指してるのは武道館じゃないか。通過点だと思ってるんだろ? DDTの連中どいつもこいつもそうだ。俺は武道館のメインにDDTのなかで一番近くにいるのかもしれない。でもな、まったく武道館のメインなんて見えてないんだよ。火野に勝てると思ってないとかネガティブな感情が渦巻いてるのかもしれない。でもメインじゃなくても、見えてるものがあるんだよ! 今日、新木場に来てくれたお客さんなんだよ。テメーら、目に見えない武道館を追ってるなら、俺は目の前にいるお客さんにチャンピオンを見せ付けるために闘いつづけるよ。いまも昔も真ん中に立ってひっかきまわすのはDDT史上最低の汁レスラーのマサ高梨なんだよ。ベルトを持ってなくたって、一度も考えは変わってないんだ。俺は俺のやり方で闘い続ける。今日はありがとうございました」
4選手の試合後のコメントは以下。
高梨「ありがとうございました。いつだっていつだって、自分は一緒です。ベルト巻いてたって、巻いてなくたって、バックステージではボロボロで。勝っても負けてもボロボロで。違うことはチャンピオンになって、はじめてマスコミさんに声を拾ってもらえる注目してもらえることです。俺はリング上では変わっていかないといけないのかもしれないけど、一番根っこの部分は変わらずやっていくつもりです。そして俺の役割、俺なりに理解してるつもりです。次は火野選手、その次は3WAYで勝った選手、他にもトーナメントに出るDDT所属選手たち、いまDDTのベルトはインディーでは挑戦はしづらいかもしれないけど、一番取りやすいベルトだと思ってます。みんな目の色変えて、いまの高梨から取ったらおいしいと思って来るはずです。KUDOとか闘いたいって言ったけど、アイツは偽善者。本音は武道館のメインに立ちたいだけだと思う。そこを目指すのは当然。俺を見てないヤツの足元をすくい続けるのが、汁レスラーの役目だと思います。だからどいつもこいつもひっくり返して、3つ取り続けて、気がついたら俺が立つべき場所に立ちます。その時に上がってくるであろう、あの人と闘うつもりでいます」
ヤス「諸事情があって、今日は入りが遅れてしまってすごく楽しみにしてたハルク・ホーガン体操を見逃してしまったのでテンションが落ちた。それが敗因だと思います。(3WAYで闘う相手について)なんとなくコントロールしやすいんじゃないかという手ごたえは感じました。勝機はある。一番計算できるのは自分だと思う。それは自信があります。新藤さん何か質問は?(敗因についてハルク・ホーガン体操を見れなかったことと言ってたが、そんなに?)そうですね。彼が昔からあのネタを大事にして練習してたのはわかっていたので、もうひとつの前説ショーは、モヒカンにしたのにずっこけたのは見れなくてもよかったな。ハルク・ホーガンが見れなかったのが残念でしたね。ということでお開きです」
KUDO「ベルトを逃してからチャンスを逃してきたんですけど、これは僕の勝手な思いなんですが、ベルト巻いてて、高梨とやった大阪の試合が僕のなかで一番印象に残ってる。一番なんか楽しかった試合なんです。次の後楽園の結果わからないですけど、高梨がチャンピオンなら誰より挑戦したい。その気持ちは誰よりも強いと思います。もちろん武道館はあるけど、やっぱり1試合1試合大事にやってるっていうのはみんな一緒だと思うんですよね。1試合1試合、命懸けてやってるわけだから、そこは高梨もHARASHIMAも変わらないと思うし、とにかく3WAYに集中してどっちも曲者ですけど、どっちにも僕は勝っているので必ず勝って挑戦権を奪い取ります」
HARASHIMA「今度の3WAYがとりあえず次の挑戦者になるので、勝ち取るのは最低限の条件だと思うので、火野と高梨の勝ったほうを迎え入れる。火野は強い選手。やっぱりDDTの一員として、その試合は高梨を応援したいなと、どっちと対戦してもいいんだけど……。高梨がリング上で、言ってたけど自分はやっぱり武道館という目標は発表されたときからメインで試合をするっていうのを掲げてたし、目標をもって人それぞれ違うと思うけど、目標を持ってやる。メインめざして敵を倒していくだけです」