4日、大阪・ミナミ・ムーブ・オン・アリーナにて『大阪・道頓堀ストーリー11』が行なわれた。第2試合には本日の全日本後楽園ホール大会の第2試合でKAIと闘ってから大阪に来た中澤マイケルが登場。塩田英樹と対峙すると、「オレから匂ってこないかい?」と問いかける。塩田が「なんか、いい匂いしますよ」と応えると、「オレ、これが今日2試合目なんだよ。1試合目、どこでしてきたかわかる? 全日本プロレスだよ。3大メジャーのひとつ。そして日本で最古参の全日本プロレス(正確には現存する団体で最古参は新日本プロレス)で試合をしてきた。その香りを君は感じないかい? メジャーの香りだよ。この香り、君も身につけたくないかい?」と説く。塩田が「勉強したいです」と頭を下げると、「わざわざそのために大阪に駆けつけてきたんだよ。今日は君にメジャーのプロレスが何たるかをしっかりと教えるから、よ~く頑張ってくれたまえよ」。そして試合開始のゴング。いきなり攻撃を仕掛けた塩田に対し、逆水平を返したマイケルは、予告付きでブレーンバスターを狙う。しかし、投げられる瞬間に塩田がワキ固めに切り返すとタップアウト。その間、わずか18秒。敗れたマイケルだが、「最初に言っておくけど、今のはギブアップしたんじゃない。痛くて、つい手が動いてしまっただけなんだ。塩ちゃん、なんだいあれは? 君はプロレスというものがまるでわかってない。あんな短い試合で何が伝えられるっていうんだ? まだまだ塩ちゃんにも、お客さんにも、もっともっと味わってもらわないといけないでしょ。こうなったらもう1度、メジャーのプロレスを教えてあげるから、再教育試合といこうじゃないか」と再戦に持ち込む。塩田が「お願いします」と返したことで再試合へ。再試合のゴングが鳴るや、またしても攻撃を仕掛けた塩田。反撃しようと前に出てきたマイケルの腕をつかむとワキ固めへ。数分前の再現かと思われたが、マイケルは前転して逃れる。それでも塩田はすかさず逆十字へ。マイケル何とかロープに足を伸ばしてブレイクに持ち込んだ。塩田はドロップキック、ブレーンバスターを攻撃の手を緩めず。マイケルはスピアを返し、コーナー最上段からダイビング・ショルダーアタックを決めた。マイケルがエルボー、塩田が張り手を打ち合う。塩田のミドルキックを受けたマイケルは、ヒザのサポーターとトランクスを下ろす。そして急所蹴り、ボディースラムと反撃。そしてコーナーに上って、昼の全日本参戦で味わった技、スプラッシュプランチャを予告付きで放った。しかしヒザを立てられて失敗。逆に塩田が予告つきスプラッシュプランチャ。ところが距離が足りず、大の字になっているマイケルの左腕にダイビング・ヘッドバットのような形でヒット。ほとんど自爆状態だったが、塩田は気力で這っていきカバー。3カウントが数えられた。
第3試合はアイアンマンヘビーメタル級選手権試合。昨年12月29日の大阪プロレスの平日興行に入江茂弘が参戦した際、松山勘十郎に敗れて流出したアンアンマン王座。その後、大阪プロ内で何度も王者交代劇があり、挑戦者のアントーニオ本多が入場した時点でチャンピオンだったのはタイガースマスク。王者の入場直前の模様がビジョンに映し出されたが、そこを背後から襲ったのがMIYAWAKIだった。デスペナルティーの体勢に入ったところでタイガースがタップアウト。試合直前の王者交代劇を経て、MIYAWAKIvsアントが行われることに。序盤は静かな攻防。MIYAWAKIがマンハッタンドロップを決めたところで「あれが見たいか?」とアピール。そしてデスペナルティーを狙う。それを機に、デスペナルティーをめぐっての攻防に。その体勢に入られるたびに切り返していくアントン。掟破りのデスペナルティーを狙ったところ、MIYAWAKIが腰を落としてサムソンクラッチへ。アントンがそれを反転して返したところで3カウント。ベルトを手にしたアントンは、そのまま控室に戻ろうとしたが、10分間闘わなければならないため、MIYAWAKIが追いかけてリング内に連れ戻す。その後もデスペナルティーをめぐる攻防に。9分過ぎ、MIYAWAKIがようやくデスペナルティーを決めて3カウント。これで王座奪回。そのままタイムアップのゴングが鳴り、他団体に流出したままとなった。マイクを手にしたMIYAWAKIは、「お客さんの中にはタイガースマスクとアントンのアイアンマンマッチ、見たい人もいたと思います。でも、オレのアントンと、ベルト関係ない、男と男、1対1で肌を合わせて試合したかった。そのわがままのためにタイガースマスクを襲った。そして、デスペナルティーをした。ギブアップされた。チャンピオンになった。試合中、ちょっとだけ移動したけど、最終的にはこのオレがアイアンマンヘビーメタル級チャンピオンだ。次、後楽園ホールか? このMIYAWAKIがホールでアイアンマン(マッチ)をやってもいいか?(観客、大きな拍手)。アントン、今日は最高に楽しかったよ。ありがとう」と握手を求めたところ、アントンはガットショットからスタナー。そのまま覆いかぶさると3カウントが数えられ、第893代王者が誕生した。
セミファイナルは反体制派の高木三四郎と高尾蒼馬に続いて、テーマ曲なしで入場してきたのはDJニラ。マイクをつかむと、「(高尾は)催眠術で反体制派に入ったっていうが、別の人間の魂を植えつけられている。ストロングな、何かしら、ボマイェ的な魂。だから、その魂を浄化するための試合が今日のテーマだ。魂の浄化っていうのは、霊的なものがあるから非常に大変な作業になる。そこで、サプライズとしてこの人に来ていただいております」と呼び込んで現れたのがタイガースマスク。なぜか「封印」とテープが張られた炊飯器を抱いている。高木は「発表されてたんだから、何のサプライズでもないだろ」と抗議したものの、そのままリングイン。高尾を見たタイガースは、「あの人ですか? あぁ、これはひどいな」と相当、魂が憑いている様子。そこでタイガースは「でも大丈夫です。弊社にはこういうものがあるんで」と入場時に持ち込んだ炊飯器を示し「これはボマイェの魂をこの中に封じ込めることができますので」と効力を説明。「でも、これはひどいなぁ……」と言ったところで高木が襲い掛かって、そのまま試合開始。その後、高尾がボマイェを放とうとトップロープを手にクネクネしたところでタイガースが、彼についていたボマイェの魂を炊飯器に閉じ込めた。すると高尾は直立。そしてタイガースはボマイェの魂をニラに憑かせると、ニラはクネクネした動きから高尾にボマイェを決めた。タイガースが一旦、ボマイェの魂を魔封器に戻すと、それを奪い取った高木が封印を解き、魂を浴びる。そしてニラにボマイェを決めた。ここは高木に憑いたボマイェの魂をタイガースが炊飯器に戻した。「やっぱりこれだ」と見抜いた高木がタイガースと炊飯器を取り合う展開に。しかし炊飯器のふたが開いたところで、割って入った松井レフェリーが頭にかぶってしまった。これでボマイェの魂が松井レフェリーに憑いてしまった。クネクネした動きからニラにボマイェを決めた松井レフェリー。さらに高尾にまで決める。ダウンした高尾を尻目に、高木がニラをカバーしたものの、ボマイェの魂が憑いている松井レフェリーはカウントを取らず。仕方ないのでサブレフェリーを呼び込んでカウントを取らせたが、松井レフェリーがサブレフェリーにボマイェを決めたため、カウント2でストップ。さらに高木にまでボマイェを決めてダウンさせる。ここで松井レフェリーの憑いていたボマイェの魂を炊飯器に閉じ込めたタイガース。リング上で立っているのはタイガースと松井レフェリーの2人という状況に。タイガースは「後輩のオレが言うのも何なんで、お前が頭の上がらない人に連絡を取る」と電話をかけるふり。その振る舞いに怒った松井レフェリーはタイガースにボマイェを決めると、ダウンしたままの高木の腕を取って、大の字のタイガースの胸の上に置きカウント3を叩いた。
メインイベントは1週間後に迫った王者・男色ディーノvs挑戦者・佐藤光留によるKO-D無差別級選手権試合に向けて、最後の前哨戦。まずは互いのパートナー・KUDOとHARASHIMAが先発。腕の取り合いを中心とした攻防を経て、ディーノと光留にそれぞれタッチ。ディーノは光留の尻を露出させて攻撃していく。そのままグラウンドでバックからの男色殺法を狙うディーノに対し、光留は切り返して足関節技を決めた。スタンドに戻ると、ローキックを叩き込み、次第にディーノの左太モモの裏側が赤く腫れ上がっていった。替わったHARASHIMAにも左脚を攻められ苦悶の表情を見せたディーノ。辛うじてロープに逃れ、KUDOにタッチするのがやっとの状態。KUDOとHARASHIMAが一進一退の攻防を繰り広げるが、光留が飛び出してくると攻勢に。KUDOにバックドロップを決めるが、自軍コーナーで放ったフロント・ハイキックがHARASHIMAに誤爆。ディーノのホモイェを浴び、ファイト一発!から男色ドライバーの餌食になりかけたものの、ショルダースルーで返して、バックドロップからヒールホールドへ。ディーノはリップロックで光留の動きを止めて男色ドライバー、ペディグリー。さらにリバースエビ反りジャンプを放ったがかわされて自爆。それでもナイトメアを狙ったディーノだったが、エビ固めに丸め込まれてしまう。それを跳ね返したところにHARASHIMAが蒼刀魔。光留がヒールホールドで絞め上げると、危険と判断したレフェリーが試合をストップした。
ダウンしたままのディーノを踏みつけて勝利をアピールした光留は、「チャンピオン、いや所せん、ほもクロの男色ディーノ。お前に、この大阪の地で一言だけ言っておく。ほもいろクローバーZ、名前は何とでもつければいいよ。でも、このリングはプロレスのリングだ。音楽をかけて踊って騒ぐところじゃない。わかったらとっとと帰れ」と言い放つ。それでも、「言いたいことがあるならしゃべれよ」と時間を与えると、ディーノは「今から私は負け惜しみを言います。全然、痛くないよ! 今日は、戦略的撤退でございます。本番は……あぁ、やっぱり悔しい。ああ! 光留、あんた強ぇわ。でも、あんたより私のほうが強くなってる。次、必ず証明してみせる。あぁ、悔しい。ああ! でも私は、私で武道館に行く、だからあんたから引く気はない。私は、KO-D無差別級チャンピオン、男色ディーノよ!」と言って、光留の前に立って顔を付き合わせた。ディーノが入場ゲートの向こうに引き揚げたのを確認した光留は「やっと帰りました。途中、何度か危ない場面はありましたが、でも、男色ディーノの丸出しのケツを見た時、ボクは思い出しました。今日、この大阪大会で佐藤光留からチケットを買ってくれた人で、『前回、中澤マイケルのケツがはっきり見えすぎなので、今回は後ろの方でいいです』と。こういう嫌な苦情をもらったのを思い出しました。でもまだ、ほんの少しですけど、ボクには余裕があります。次、来週の日曜日です。KO-D無差別級の王座を獲ったら、HARASHIMAさん、この大阪の地で、今度はボクがチャンピオンでHARASHIMAさんが挑戦者で、KO-D無差別級(のタイトル戦)やりましょうよ」とアピールすると、それまでエプロンに控えていたHARASHIMAがリング内に足を踏み入れ、光留に右手を差し出す。それに応えた光留は、「DDTに笑いがなくなることもないし、若手がいなくなることもないです。でも音楽の音で、お客さんの声とか、選手の息遣いが聞こえなくなる、そんなプロレスだけはなくさなきゃダメだ。そんな思いで今、闘ってます。次回(大阪に)来るときは、さっき言った夢、実現させますんで、そのときはまた、見に来てください」と締めくくった。