メインイベントは入江茂弘vs彰人のスペシャルシングルマッチ。新コスチュームの入江はリングインしてサムズダウンポーズ。入場してきた彰人を近距離で睨み付ける。入江に場外へと出された彰人だが、トペは回避して入江をキャッチすると場外マットへの足横須賀。リングに戻された入江だが、返す刀でトペを浴びせて形勢逆転。入江がダイビング・ボディープレスを浴びせ、さらにテディベアを投下。エルボーの打ち合いになると入江の一発一発が重い。入江はここでタズミッション。彰人が耐えてロープエスケープ。ブレーンバスターを仕掛けると、彰人が投げ返していく。彰人はアームクラッシャーから一気に腕攻め。入江は彰人をキャッチしてバックフリップ。さらにキャノンボールからカバーはカウント2。コーナーに登る入江を彰人が止める。彰人はコーナー最上段での卍固めから雪崩式アームクラッシャー。彰人が足横須賀。さらにエルボーを狙った入江の腕をキャッチして変形オモプラッタ。逃れようとする入江に彰人はチキンウイング・アームロックへ。入江はマンディブルクローでカット。エルボーのラリーから入江が頭突きを彰人のアゴ付近に打ち込む。髪をワシ掴む入江。ツバを吐く彰人。入江は頭突きからランニングエルボー。コーナーに登る入江に彰人が止めに入るも解除してコーナー最上段からのキャノンボールからビーストボンバーで勝利。
試合後、入江がマイクを取る。入江「幸之介、リングに上がってくれ」放送席でゲスト解説をしていた竹下が呼び込まれる。入江「幸之介の持つKO-D無差別級王座に挑戦させてくれ」竹下「入江さん、数年前の後楽園ホールでのあの日のダークマッチ、僕は一日たりとも忘れたことはないので、あの続き、このベルトを懸けてやりましょう。P、やっていいですかね」男色ディーノプロデューサーがリングイン。男色P「入江クン、一つだけ。自分の思うDDTとか正直どうでもよくて、DDTを壊すのも結構です。ただ壊したあと、ちゃんと創る覚悟があるなら挑戦を認めます。ちゃんとこのDDTで『壊したあと創る』覚悟はある? 今、竹下はアンタのいない間に創り上げている最中。いいよ、壊そうが創り続けようが、ワタシはどちらの未来も見てみたい。だから認めます。その代わり、ちゃんと覚悟を持って創りなさい。KO-D無差別級タイトルマッチ、認めましょう」入江「幸之介、自分のすべてを持って、必ずそのベルトを自分のモノにする。もう準備はできてるんだよ」竹下「入江さんの言う、そのすべてを僕が受け止めてこのベルトをまだまだ防衛しますんで、よろしくお願いします」今林APが4・29後楽園でのタイトルマッチをアナウンス。両者睨み合いから竹下が右手を差し出すも、入江は踵を返して引き揚げた。
【試合後のコメント】
彰人 もう……プロレスなんでね、リング上で勝った奴がすべてと言われたら、それまでですよ。負けた僕が何か言うことって、野暮な話で。まあ、けど結構入江さんに伝えたいことがたくさんあって。リング上では僕には…レスラーとしては、これ言ってはいけないことかもしれないけど、表現力がまだまだ足りない人間は、リング上だけじゃなくてこうやってコメントとかで、口でしゃべることしか出来ないんですけど。入江さんがずっと僕にとっては目の前にいる人間、ずーっと近くの一番大きな壁であって。それがあるとき、急に僕の目の前からなくなって。すごい……寂しかったんですよね。……うん、まあそしてドンドンドンドン、入江さんがDDT内で自分の居場所がなくなっていくって言っているのも聞いていたんで。(声を詰まらせながら)何とかしてやりたかったっていうのもあるんですけど、どうにも出来なくて。けど、僕はずっと入江茂弘って人間に憧れてきたけど、今日試合中に唾を吐いて。そういう人間と別れを告げてきた形になりますかね、リング上で。入江さんはすべてをぶっ壊すって(言っていたが)。けど、あの人が好きだった昔のDDTにはもう戻れないんですよ。時代は巻き戻せないし、新しい何をつくっていくしかないんですよ。彼がそんなぶっ壊すって言うぐらいなら、自分の力で全部ぶっ壊して新しい彼の好きなDDTの形をつくってくれればいいんじゃないですかね。僕はけど今のDDTを守っていかなきゃいけないから。僕は竹下と一緒に、その目の前に立ちはだかりますよ。もう……以上ですかね。いろいろあり過ぎて。――こういう形ではあったが、この二人で後楽園のメインを張ったことについては。
彰人 何か昔、そういう話をしていて。満員の後楽園で、メインイベントで、名古屋で育った二人が試合出来たら痛快だろってことは言ってきたんですけど、何か今日は全然そんなことは頭になくて。リング上でぶつかって、お互いの意見を交換し合うみたいなことしか出来なくて。また名古屋からの先輩という意味では、もっともっと大きい会場でもやりたいし、もっともっと違う形で、タイトルマッチで入江さんともう1回やりたいなっていうのがあります。――両国では「逃げた人間に挑戦してほしくない」と言っていたが、これで入江選手が竹下選手の無差別級王座に挑戦することに……。
彰人 アレで僕が彼に伝えたかったことが伝わったならいいなって、ただ単に思っています。僕はやっぱ今のままで挑戦してもらうのは、正直嫌ですけど。僕がリング上で、今日とか、コメントとかで伝えたことが彼の心のどっかに残って、何か自分でアクション起こそう、発信しようって思ってくれたなら僕はもうそれで、今日試合した甲斐があるし、それで満足ですね。――今日闘ってみて、入江選手が姿を消している間、変化みたいなものは感じましたか。
彰人 単純に強いですよね(苦笑)。やっぱ僕が追い続けていた入江茂弘はそこにいたし、リング上にいたし。やっぱ敵わないなぁって試合終わってから思いましたね。強いなぁって。分からない! 彼はDDTを壊す・変えるって言って、それがいいふうに転んでくれればいいなって思います。別に彼に期待していないとか、彼自身のことが嫌だってことじゃないんで。何か変わってほしい、何か昔ベルト持っているときの感じじゃなくて、違う形で表現していって、DDT変えていってほしいっていう部分は(思っています)。****――目の前で見た入江vs彰人戦の感想を。
竹下 うーん、まあ正直な感想を言うと、まず入江さんは強くなっているんですけど、何か見えないものと闘っていますよね。僕もそうなんで、それが何か分かると言うか。うーん、目の前の敵じゃない何かと闘っているなっていう印象を受けたのと、あとはチャンピオンとして言わせてもらっていいのなら、この彰人vs入江茂弘っていう、ある意味特別なカードだったと思うんですよ。それが後楽園のメインに今日あって、その特別なカードに対する特別な何かは僕は見ることが出来なかったですかね。っていうのが正直な感想です。
――この二人が対戦するならもっとすごい試合になると思っていたということですか?
竹下 すごいじゃなくて、グッとくる何かがあるんじゃないかなと思っていたんですけど、それはなく。もしかしたら、それを入江選手がわざとつくらなかったというか、そういう雰囲気をつくらなかったのかもしれないです。そんな“いい試合をする”とか、そんなことじゃなくて、もっと“俺は強いんだ! 俺を評価しろ! 俺が結果を出すんだ!”そういう気持ちが強かったのかなって感じましたけどね。
――その上で勝った入江選手から改めて挑戦表明があり、王者として迎え撃つということになったが。
竹下 僕は正直、最初から…両国で言われた最初から受けて立つ気持ちでしたし、モチベーションもそこにありましたし、割りとね。やっぱりダークマッチ、2015年ですかね。あの(10月25日「DDT Special 2015」の)ダークマッチ……あれはもう忘れられないですよね。あそこがひとつ、僕が挫折を感じた瞬間だったかなというふうに思っているんで。だから先週のvs石川修司、両国でリベンジするってこともそうだし。あれで僕のひとつのトラウマというか、コンプレックスがひとつ解き放たれたんで、次は入江茂弘との試合で、メインイベントで、タイトルをかけて、満員のお客さんの前でやる、その上で僕が勝つ。それでまたひとつ自分が乗り越えられる壁があるのかなと思っています。
――試合後にPが入江選手に覚悟を問う場面があったが、竹下選手は向き合ってみて入江選手の覚悟は感じましたか。
竹下 まだ闘ってないんで。正直、向き合っただけじゃ分からないですけど。前哨戦諸々もあるのか分からないですけどね。でもロックアップでもいいので、最初に触れ合うと何となくそれを何となく感じるかなと思っていますし。その覚悟が見られない以上は、僕が負けることは100%ないし、覚悟では僕も負けないんで。1年間防衛してきているんで、このベルト。意地でも防衛し続けますけどね。
――竹下選手がつくり上げたDDT自体を入江選手は否定しているが。
竹下 まあ別に否定するのは自由だし、そこに結局リングに僕が守っている間、(入江は)いなかったわけじゃないですか。その場、その時、その会場でバンプ取っていない奴が何を言っても、それはあくまで口だけなんで。僕は実際この1年間、ベルトを本気で守ってきて、僕もひとつ自分の、竹下幸之介のDDTっていうのをひとつつくれていると思っているので。これをもっと大きくしていきたいし、高くしていきたいし。それを見せていきたいと思っています。****入江 もうこれで竹下幸之介の持つKO-D無差別級王座に挑戦が決まりました。KO-Dのベルトというのは、強い者が巻いているベルトなんで。そんな会社のために動いていたとか、そんなことは関係ない。強い者が持つベルトなので、僕が幸之介からベルトを獲って、自分がチャンピオンになります。ありがとうございました!
渡瀬 (コメントスペースから立ち去ろうとした入江を呼び止めるように)入江さん! 入江さん、俺とタッグ組んでください。お願いします。入江さん!(入江は渡瀬を見たあと、無言で控室へ)自分はやっぱ入江さんのプロレス見て、あの人のプロレス大好きだから。絶対入江さんと組みたいと思うので、よろしくお願いします!(控室へ)****http://ddtuniverse.com/