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【10・2後楽園で初タッグ結成!カリスマ×デスペラード対談】「9.5、デスペラードに出てもらうから大丈夫だ!」(佐々木)

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  • 10月2日、後楽園ホールにおける自身の20周年記念興行「CHARISMANIAxMANIAxMANIA supported by HEAD PHONES PRESIDENT」を直前に控えたタイミングで、カリスマこと佐々木大輔から「デスペラードと対談がしたいから回してくれ」との指令が下った。集合場所である歌舞伎町・Drop Kickへいくと、午前中であることがモロに響き、カリスマはローテンション。それをなんとか膨らまそうと努めるエル・デスペラードという図式に、試合当日の形を先に見た気がした。アルコール抜きで語り合うのは初という二人の対談をお届けする。(進行・鈴木健.txt)

    俺たち、(飲んでいる時は)プロレスの
    会話をしたことがないかもしれないな

    ――今回の対談は映像収録もおこなわれますので、よろしくお願いします。
    佐々木 太腿を触ったら見えるのか。
    デスペラード なんですか、それ。イメージビデオみたいじゃないですか。
    佐々木 ハッハッハ。まあ、俺たちはシラフで会話することがないからな。だから、毎回が初対面みたいなものだ。
    デスペラード 十何年もいてね。
    ――要は忘れているから記憶がリセットされると。
    デスペラード 『ガチ☆ボーイ』みたい(学生プロレスを舞台とした映画で、フジタ“Jr”ハヤトも出演。)
    佐々木 そんなだから、ぜひ一度シラフで喋っておきたいと思って、大会前に朝の10時から歌舞伎町に来てもらった。
    ――喋りたいことがあるんですね。
    佐々木 ……ない。
    デスペラード なんで呼んだんだよ!
    佐々木 防衛おめでとうございます(2日前に新日本札幌大会でYOHを相手にIWGPジュニアヘビー級王座を防衛)。絶対、負けると思っていたけどな。
    デスペラード (Xのポストで)思いっきり飛んできましたよ。
    ――なんで組む相手にあんなひどいポストを。
    佐々木 YOH選手に来てもらおうと思って。
    デスペラード チャンピオンを呼びたかったの?
    佐々木 やっぱりチャンピオン。
    デスペラード じゃあなんで最初、俺にオファーが来たんだ? 負けると思っていたなら。そもそもあなた、日が高い時に起きていたんだね。夜行性だと思っていたよ。
    佐々木 俺、今日、寝ないできたよ。
    デスペラード こっちも北海道から帰ってきたばっかでこんな時間に呼び出されてさ。
    ――めちゃくちゃ会話が回らないシチュエーションで対談をしていると。
    佐々木 おまえが回せばいい。
    ――いや、私は酒じゃないんで。酒が入ると饒舌になるんですよね。
    佐々木 テキーラが入ればな。
    デスペラード いらないことばっか喋って途中で使えなくなりますよ。
    佐々木 二人で飲んだ時の会話で記憶にあるのはおチンチンだけだな。
    ――それはどういう流れでそのワードが出てくるものなんでしょう。
    デスペラード こっち(佐々木)が「おチンチン先生」と言い出して。酔っ払いが建設的な話なんてするわけないでしょ。酔ってなくてもこれなんだから。
    佐々木 言われてみれば…俺たち、プロレスの話をしたことがないかもしれないな。
    デスペラード 印象にないですね。
    佐々木 だから俺たちがプロレスについて語り合うのはこれが最初で最後だな。
    ――まず何より、カリスマが10・2後楽園大会に間に合ってよかったですね。
    デスペラード それは本当におめでとうございます。本当に興行がなくなったと思いました。絶対間に合わねえと思ったもん。
    佐々木 まだ9割だからダメだ。
    デスペラード ダメなの?(と言いながら負傷個所の左脇腹を軽く叩く)
    佐々木 10月1日に治るから。逆算して治している。
    デスペラード で、2日に石川修司さんに潰されてもう一回ダメになるんでしょ?
    佐々木 そう、もう一回欠場。
    デスペラード せっかく組めるのにそれが流れるのは、まあケガってどうしてもしょうがないんですけど残念だなと思っていたら、スタッフさん周りとか本人にもどうなんですかって聞いたら、できそうだという話は聞いていたんで。ただ、プロレスラーってみんなバカだから、基本的にできるって言っちゃう人間じゃないですか、生き物として。これはどこまでと思いながら最悪、俺が9割出りゃあいいだろうって。
    佐々木 9.5だよ。
    デスペラード 割合増やすなよ! 治るって言ってんだから。
    ――カリスマのために9割も出る覚悟でいたとは。
    デスペラード せっかく組めるって、そういうことじゃないですか。俺、けっこういろんな人とウチ(新日本)でも組んだり組まされたりっていうのがあったんですけど、合体技とかはいくら仲良くてもそんなに必要ないと思っていて。お互いがスタンドプレーをした上で、相手のことをちゃんと見ていればスタンドプレーがチームプレーになっていくものだしっていうことを考えれば、特に心配はしてないんで。お客さんは合体技とか好きだよね。だから本当はした方がいいんだろうけど。
    佐々木 客の時は俺も好きだった。やるようになったら別にいいかなってなった。
    ――ご自身の20周年記念試合でありながら自分は0.5しか出ないつもりでいるんですか。
    佐々木 そこはコーナーに立っている俺だけ見ていりゃいいんだよ。
    デスペラード それはいくらなんでも、DDTさんでも前代未聞だろ。「あいつ、出てこねえな」って。出た途端に負けたら平田さんみたいになっちゃうじゃん。
    佐々木 それは嫌だな。その平田がチャンピオンだぞ(対談の時点)。
    デスペラード あれはねえ、DDTさんの究極の形を見たなと。ゴツゴツした闘いを「新日本みたい」とか、あと全日本さんみたいとか、オーソドックスなプロレスを、究極をやりたいっていうんだったら、すごく嫌な言い方をすれば別にどこの団体だってできることなんだけど、やっぱり平田さんみたいな人が最大のベルトを獲るっていうのは、DDTさんの美学というか美しさだなって、あれは感動しました。
    佐々木 ちゃんと見ているね。

    ――カリスマは平田選手の戴冠は不本意でしょうね。
    佐々木 俺が休んでいる間の出来事だから、まあいっかな。
    ――それで2日は実際のところ動けるんですか。
    佐々木 2日は動けるよ。けど動かない。だってIWGPジュニアチャンピオンがいたら動かなくていいでしょ。
    デスペラード いやいや、自分の興行だから。相手も石川さんとアントンさんでしょ? アントンさんのごんぎつねで目ん玉が飛び出るかと思った衝撃が。本当に潰れそうなんだけど、あれ。
    佐々木 徹夜で来たら大丈夫だよ。
    デスペラード 徹夜は向こうがするもんでしょ! こっちもあえて徹夜でいくの? ごんぎつね、考えられないもん。
    佐々木 考えるもんじゃないから。
    デスペラード おチンチンしか言わない二人が出たら、ゴールが下ネタになっちゃうじゃん。
    ――同じ文化だったんですね、実は。
    デスペラード 最初からおチンチン、オチから始まるから俺たちじゃ昔話は作れない。(石川との対戦は)すげえ楽しみですよ。日本人が誇るスーパーヘビー級で、この間50歳になったばかりって…俺がガキんちょの頃に知っていた50歳って、もっとおじいちゃんっぽかったんですけど。クタクタのおっさんみたいな。プロレス界隈の五十代って、異様じゃない。なんでこんなカードにしたの? スーパーヘビー級とジュニアを組んだら危ないよ。
    佐々木  ちゃんと私に縁がある人を呼びつつ、デスペラードにも痛い目を見てもらおうかなと。いろんな経験をしてほしいという親心だ。
    デスペラード SNSで「石川修司に二人揃ってケチョンケチョンにされたい」ってあって、何を言い出したのかって思ったよ。潰れる前提で話が進んでんだけど。
    佐々木 一緒に気持ちよくなろうよ。
    ――ただ、その親心が自分を追い込む形になってしまいそうです。
    佐々木 本当に失敗した!
    デスペラード カメラが回る前から言っていたよね、失敗したなって。やめてもらおうか?
    佐々木 稲田(徹)さんに替わってもらおう。
    デスペラード 稲田さんは稲田さんでデカいよ。プロレスに慣れていない分、危ない。緊張して思いがけない何かが飛んでくるかもしれない。
  • なんでこのタイミングでこんなワードが
    出てくるの?っていうのが好きなんです

    ――本多選手に関しては?
    デスペラード DDTさんでしか生まれないプロレスラーだなっていうことと…あと、これはアントンさんに文句を言っているのでもなんでもないんですけど、いまだに疑問に思っているのが、なぜ天山(広吉)さんの復帰戦の相手だったのか(2010年11月18日、新木場1stRING)。
    佐々木 それは新日本プロレスに聞いた方がいいんじゃないの。あの時はセコンドで見ていた。
    デスペラード いたんですか。いや、ずっと気になっていて、アントーニオさんに七不思議があるとすれば、一つ目がなぜそうなったかですよ。
    佐々木 それは天山さんに聞いた方がいいよ。
    ――いやいや、本多さんに聞いた方が早いでしょ。
    佐々木 アントンは知らないだろ。
    デスペラード あれ、どこの文脈でそうなったのか。NEVERでしたっけ、あの大会。
    ――そうです。
    佐々木 天山さんに電話してみて。
    デスペラード 今、パチンコいっている時間だから出ないよ。
    ――アントーニオ本多といえばまずそこが引っかかるわけですね。
    デスペラード 印象はデカいですよ。クリスとやった時に邪魔されそうになったらひっくり返っていたとか、BAKAGAIJINを見にいった時に、鈴木(みのる)さんとやって、ちょっと泣きそうになるような試合をやっていたんですよ(2024年9月24日)。鈴木さんが、本多さんのコミカルなキャラクターの根底にあるスピリッツを全部吐き出させて、凄かったんですね。アントンさんって、パッションで物事を進めているというか、クリエイトしている人じゃないですか。あと、鈴木さんが上がっているDDTさんの大会で、鈴木さんがごんぎつねを殴って邪魔しようとした時に「俺はこれで飯食ってんだ!」ってひとことで黙らせたあのシーンが俺、大好きすぎて。そのマイクで会場が一気にアントンさんに傾くという。あの感情は好きですね。
    ――今回、相対するということでそのパッションを引き出す?
    デスペラード でも、引き出し方がわかんないですからね。ちゃんと向き合えば向き合ってくれると思うけど、鈴木さんみたいな人ってすごくプレッシャーを与えられる人じゃないですか。精神的にも肉体的にも圧をかけた時に出てくるアントーニオ本多だったから。今回はアントンさんの横にいる石川修司さんが一番圧のある人だから、どっちかというとこっちが圧を受けているんで、どうやったらアントンさんがそういう熱い部分で来るか。お祝いの興行だし、多少はそういう気持ちはあると思うんですけど、佐々木さんに対して。それをこっちにも向けてほしいから、僕も何かしらアプローチします。
    ――なんか…先ほどから他人事のように聞いていますね。
    佐々木 いいインタビューだなと思って聞き入ってしまった。そこまで言うなら、デスペラードにおんぶに抱っこだな。
    デスペラード (再び佐々木の左脇腹を突っつく)
    佐々木 ああっ! これはもう中止だ! 髙木三四郎になっちゃうぞ。「(髙木の声色で)佐々木くん、どうしようか? 延期か?」…(けがをした直後)大丈夫ってひとことも言っていなかったからな。痛すぎてそれどころじゃないのに「どうしよっか?」。
    デスペラード ウハハハハ、ねぎらいもなし?
    佐々木 「延期かな…できないよね?」「(か細い声で)いや、わからない」って、まだ病院にも運ばれていないのに。
    デスペラード チェックもしてないからね。
    佐々木 なんの話だっけか?
    ――自分たちの試合に関してです。せっかくデスペラード選手と組むわけですから、二人で組んだらこういうことをやりたいというのがあったでしょう。
    佐々木 こういうことやりたいとかじゃなくて、シングルマッチのあとにタッグを組みたいという感情が珍しく芽生えて、これを実現させる日をいつか作らなきゃいけないなと思った。でもDDTがやるわけないし。
    デスペラード それはわかんないでしょ。
    佐々木 それで、どうにか自分でやるかと思って。
    デスペラード 20年って凄いッスね。今、おいくつでしたっけ?
    佐々木 もうすぐ40歳。もう40だし、この先も長くない。60までやるとしたら、あと20年しかない。
    デスペラード けっこうあるよ。
    佐々木 だから早めにやっておかないとなと。
    ――シングルマッチで対戦して、もう一度とはならずにタッグとなったんですね。
    佐々木 横に並ぶフィーリングみたいなのを試合後かな、いや、でも試合中にも思っていたかな。
    デスペラード へえー。闘っている最中なんか絶対負けたくないけど、めちゃくちゃ楽しいしかなくて。終わってからは、闘えたからそこがゴールだったじゃないですか。一回満足していたから、こうやってタッグをやりたいとか次のことを考えられるのは凄い。変な言い方をすると僕が新日本にいると、用意されたことしかやらないやつが多いし、僕もけっこうやる側ではあるんだけど、そこまで考えが回ってなかったなっていうのはありますね。
    佐々木 あの時は何かを感じていたのか、試合後のテキーラで酔ってそう思っただけなのか。
    デスペラード 酔ったねえ、ここ(Drop Kick)で死にそうになったからね。
    佐々木 テキーライベントな。
    デスペラード 勝利者賞でテキーラ100本をもらって、ありがたいんで売り上げをチャリティーにっていうイベントをやりましょうと。ここのお店に来るということはDDTのお客さんなのか、それとも俺のお客さんなのかどっちなんだろう?って思いながら。みんな、頭おかしいんですよ。俺がテキーラのショットを1時間で40杯ぐらい。たぶん、憶えていないところで出ていたと思うんですよ。自分で出しているわけじゃないですよ? 勝手に出ちゃっているんだよ。ししおどしのように一定量入るとパタンって。そういうイベントが8回も開催されて。100本なくなるまで、矢野(通)さんの店でもやりました。
    佐々木 そこに何度か(同席した)。全部記憶にないけどな。
    デスペラード だから試合の余韻は全部テキーラで吹っ飛んだんですよ。
    ――それでも、どこかのタイミングでタッグをとは考えていなかったんですか。
    デスペラード そこはやっぱり接点がある人と闘いたいし、闘ってからまず組みたいっていうのはけっこうありますね。
    佐々木 デスペラードは“プロレスビッチ”だから、誰とでも組みたがっちゃう。
    デスペラード 誰とでもやりたがっちゃいます。それをSNSで最初に言われた時、何を言い出したんだって。
    佐々木 いや、いいこと言ったでしょ。
    デスペラード 面白いことを言うなあとは思いました。
    佐々木 (組むのは)もう二度とない。最初で最後だろうな。
    デスペラード 組めても単発でしょ。どこかでシリーズに出るのも、お互い忙しいし。
    ――カリスマはこれが最後だと。
    佐々木 いや、新日本に頼んで、継続で。
    デスペラード 忙しいって! (BEST OF THE)SUPER Jr.に出た時って、何年だったんですか。
    佐々木 すごい前。
    ――14年前です。
    佐々木 あの頃はダメだったな。ちゃんとやろうと思っていたのが。
    デスペラード ヨソのシリーズに呼ばれてちゃんとやろうということがダメだと言っていたら、どこにも呼ばれないよ。
    佐々木 ちゃんとやろうと思っていたから、今とスタイルはちょっと違う。
    デスペラード もうちょっとルーズでよかったと。
    佐々木 そうそう。俺はずっとWCWでnWoを見て育って、こういうのはやっちゃいけないんだと思っていたから、ちゃんとやんなきゃと思っちゃったんだよ。
    ――nWoを反面教師にしたと。だいたい、みな同じことをやろうとするものですが。
    佐々木 いや、まだ早いなっていうのと、けっこうひどい番組だったからちゃんとやらなきゃWCWみたいになっちゃうぞと思いながら。
    ――SUPER Jr.に出たんですね。
    佐々木 SUPER Jr.もそうだし、普通に試合していたということはな。
    デスペラード (カリスマが)ちゃんとしていないからいいと言うのは語弊があるけど、一生懸命自分が持っているものを全部出したらいいっていうのは、いわゆるヤングライオンとやっていることと一緒ですよ。それを突き詰めまくると石井(智宏)さんみたいな人ができあがるんですけど、それをやる人は石井さんだけでいいよねっていう。みんながあこがれて石井さんのマネして、プチ石井さんがすげえ増えたなと思って。それよりもいろんな種がいてほしいですよね。一個の水槽にイワシの大群がボンっているのって、一見すごいけど全部同じ魚だから。群体としてはすごいけど1匹で見たら水槽の中にいろんな魚がいてほしい。やっぱり(カリスマは)すごく個性的じゃないですか。試合もそうなんだけど、僕は言動が好きなんだよね。バックステージコメントも、なんでこんなワードが出てくるの、このタイミングでっていう。
    佐々木 ウハハハハハ。
  • 「DAMNATIONに入っちゃえばいいじゃん!」
    「そういうスタンスで闘うんであればいけます」

    ――そこに関しては、見る分には面白い部分でもあるんですけど、実際につきあうとなると絡みづらくないですか。この短時間でも先ほどから二言目にはコロコロと真逆のことを言っている方ですよ。
    デスペラード いや、めちゃめちゃ面白いじゃないですか! そういうワードでやり取りして面白いだけで。(真逆のことを言っても)あの切り返しが僕の中にまったくないものだから、そのスイッチがすごく楽しいんですよ。
    佐々木 褒められちゃった、ウフ。
    ――よかったですね。
    佐々木 DDTだと誰も聞いてくれないからな。話を聞いてくれる(関係性がいい)。
    デスペラード カウンセラーじゃないんだからさ。話する相手がいないからカスタマーセンターに電話するおじちゃんみたいな感じ。
    佐々木 とにかく、最初で最後だからこれは見逃さない方がいいと思うぞ。
    デスペラード 特別感はとにかく凄いですよね。ここで組めることも嬉しいですけど、アントンさんと石川さんのタッグって、物理的にも内面的にもすごくデコボコしている感じがあるんで…どうなるのかしら。
    佐々木 どうなるのかしら。
    ――だいたい均整の取れたタッグチームが多い昨今で、あのデコボコぶりは突出しています。
    デスペラード あれぐらい体格差のあるチームがいてくれると面白いじゃないですか。デク狩り隊みたいで(『北斗の拳』に出てきたアミバの手先、ハブとギュウキ)。
    佐々木 我々もこれがスタートになるかもしれない。
    デスペラード 最初で最後って…。
    佐々木 わかんない。世界がそれを許さないかもしれないしな。
    デスペラード 求められてもやらないのがあなたでしょ。
    佐々木 求められたらやらない。
    デスペラード すっげえわかる。SNSとかで使おうとしていたシチュエーションだったりワードだったり、マスクのカラーリングだとか、先にやってくださいって言われるとうるせえ!ってなって絶対やらなくなる。おまえ、プロデューサーでもなんでもねえだろうって話で。
    ――デスペラード選手は、シングルとは違うタッグならではの醍醐味ややり甲斐はどういうところに感じていますか。
    デスペラード もちろんシングルも頭を使うんですけど、人数が増えれば増えるほど状況を把握する能力と、自分がやりたいことをやれるスペースを見つける能力がすごく必要ですかね。キャラクターの空き家とかってよく言うじゃないですか。そうじゃなくて、物理的にリング上で誰かがここにいて、パートナーがたとえばカットに入ってくる時に、自分はどの動きをして何をすればこのスペースでできるかっていう位置取りをちゃんとできないと、まず動けないんですよ。始めたばかりの子っていうのは、たいていそこでつまずいて、試合後にああでもないこうでもないって言われてようやく見えるようになってくるんですけど、視野を広く持つことっていうのがすごく大事で、パートナーがやっていることを気にして、相手を押さえにいくであったり、脚を持ったら蹴り上げるパートナーがいてもいいし、捕まっていたら後ろから相手を引き剥がすパートナーがいてもいいし。でも関節技を耐えてお客さんの佐々木頑張れというエネルギーを貯めさせるのを、出すぎて俺が邪魔することもない。出たり入ったりの加減ですからね。だから、石川さんに上に乗られてアバラが限界になっていても、頑張れってセーブにいかない可能性もあるわけですよ。そうしたらお客さん、すごい佐々木大声援が出るはずなんで。
    ――なんでも助けにいくのが能ではないと。
    デスペラード したことないけど、子育てと一緒じゃないですか。
    ――それを今回は初めて組む人間と成立させる場になるわけです。カリスマはDAMNATION T.Aをやっているのでタッグのスペシャリストでもありますが。
    デスペラード チームを引っ張っているんだから、大丈夫ですよ。僕はチームを引っ張れないんです。自分のやりたいことの方が勝っちゃって。そういう意味では僕なんかより、キャリアで言ったら僕は前世も含めると14、15年ぐらいだから、全然僕より先輩なので大丈夫ですよ。
    佐々木 ペーペーだねえ。
    デスペラード すいません。
    ――シングルで負けている方が上から!
    佐々木 負け逃げ。
    デスペラード あんまり聞いたことがないな。
    ――DAMNATIONの時とはちょっと感覚も違ってきそうですかね。
    佐々木 いや、同じじゃないか。何やっても許してくれるんでしょ? 好き放題やれる空間を作れればDAMNATIONと一緒だ。
    ――DAMNATIONではカリスマがメンバーに指示を出していますが、今回は初めてだけに出たとこ勝負の部分もあるのでは?
    佐々木 そこはウィンクしたら気づいてくれる(と言いながらその場でする)。
    デスペラード ……今、全然わかんなかったです。
    佐々木 見ろ、意思の疎通は完ぺきだ。
    デスペラード その細い目じゃわかるはずがない。
    佐々木 ずーっとウィンクしている。
    デスペラード それで機能するのか。
    佐々木 今も機能していたでしょ、ガハハハハッ!
    ――ガハハじゃないですよ。本当に大丈夫なんですか。
    佐々木 ダイジョーブ、ダイジョーブ。
    デスペラード 大丈夫ですね。
    ――わかりました。それではこういう場ということで、お互いについて普段から引っかかっていたけど聞けぬままだったことや、組む前に確認しておきたいことがありましたらどうぞ。
    佐々木 ……。
    デスペラード ……。
    佐々木 なんだろう…ないな。
    デスペラード けっこうSNS上でも平気でなんでも言い合っていますから。いやいや、気遣っていますよ、私は。
    ――今さら確認することなどなく組めるというのはいいことです。何も相手に対し疑問を持つことなく組める関係性が築かれていると。
    デスペラード アレ(なぜ天山の復帰戦の相手がアントンだったのか)が究極すぎて次(の疑問)が出てこない。
    佐々木 飲んでいたらいっぱい出てくる。
    デスペラード あー、くだらないことばかりいっぱい出てくる。試合に関しては別に大丈夫でしょみたいな感じで、僕は鈴木軍でしこたまそういう試合をやってきたし、現役でもそういう試合をやっているから、もしこちらがそういう(DAMNATION的な)スタンスで闘うんであればそれでいけますし、そうじゃなかったらそうじゃなかったで雰囲気に合わせて立ち回るだけですね。
    佐々木 ちゃんと話聞いてくれるし、大丈夫でしょ。
    デスペラード 今の話を聞いているかぎり、僕が話を聞いていればいいんだなって。役割分担できましたね。
    佐々木 キャバ嬢みたいだな。
    デスペラード これはDAMNATIONの支部みたいな形なんですか?
    佐々木 DAMNATIONの支部?
    デスペラード 私がDAMNATIONへ一時的に入っているような、間借りしているような。
    佐々木 入っちゃえばいいじゃん!
    デスペラード 僕はかまわないですけど。
    佐々木 軽いな。入りました! ここカットするなよ。DAMNATION T.Aの新メンバーとして…。
    デスペラード 普段は全然いない。
    ――石川選手も似たようなポジションでしたし。
    佐々木 石川は一度解散した時点で終わっているから今は違う。そうじゃなくても、石川修司とは心置きなく…。
    デスペラード 何しても大丈夫そう。
    佐々木 大丈夫だよ。
    ――では当日、デスペラード選手にDAMNATIONのTシャツを着てもらっては?
    佐々木 そうだな。Tシャツと、このあたり(上腕)にタトゥーを入れてもらって。
    デスペラード ちょっと待て!
    ――入場は別々と一緒のどちらを考えていますか。
    佐々木 私は生演奏で入場しますから。
    デスペラード そうなの? 超うらやましい。
    佐々木 いいでしょ?
    デスペラード じゃあ、あと入場だよね。
    佐々木 いや、先に出る。
    デスペラード ええっ、先に出るの!? 俺、それ見たいからさ、先に出てよ。
    佐々木 ダメだね。
    ――20周年を迎える方が先入場!?
    デスペラード どう考えたってトリでしょ。
    佐々木 じゃあ、先に入っておいて。曲なしで。
    デスペラード 曲ないのかい! 今日日、ウチの若いのだって曲あるのに。じゃあ、曲なしで入るよ。
    ――いやいや、そこは流してください!
    佐々木 誰かに演奏してもらえば?
    デスペラード マリアッチを連れてくるの?
    佐々木 こういうのが俺の求めていた対談だ。このテキトーな感じを試合で出せれば。
    デスペラード いや、聞かれたことには骨に肉つけて返さないといけないと思っていたんだけど…なるほど、これは(カリスマの)インタビューは難しいわ。
    佐々木 そんなことはないぞ。
    デスペラード 言っていること変わるんだもん。
    ――ということで、当日は楽しみにしております。
    デスペラード 遅刻してすいません。

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