17日、東京都江戸川区の東部フレンドパークにてマサ高梨10周年記念自主興行「瑞江冬の陣」がおこなわれた。オープニングには鶴見亜門GMとともに高梨が登場し、自らマッチメークした全試合の見どころを解説。第2試合のバトルロイヤルが選手側の要望で4vs4vs1の変則3WAYマッチになったことが明かされた。高梨はメインイベントのKUDO戦に向けて「10周年とかあるけど、このカードをやるために、この大会をやったみたいなもの。やることはすべてやったので、あとは結果を出すだけです」と意気込みを述べ、「19時はDDTプロレス!」で大会スタート。
第1試合は坂口征夫&佐藤光留&遠藤哲哉vs石井慧介&入江茂弘&高尾蒼馬の6人タッグマッチ。坂口は奪取したばかりのアイアンマンベルトを手に入場。坂口のヒザ蹴り、光留のサッカーボールで捕まった高尾はカウンターのドロップキックを突き刺してピンチを脱出。光留は替わった石井にソバットからハイキック。遠藤もスワンダイブ式ミサイルキックで飛び込んでくる。石井のピンチに入江と高尾が救出に入ってトレイン攻撃。石井と高尾のアシストで入江がボディープレスで遠藤を潰す。遠藤は丸め込みで意地を見せたが、最後は石井のソバット → ニールキックで勝負あり。
第2試合は高木三四郎&平田一喜&MIKAMI&石川修司vs大石真翔&松永智充&DJニラ&田村和宏vs中澤マイケルの変則3WAYマッチ。孤立無援の闘いを強いられることになったマイケルが熱くなって火照ってしまってアンダータイツ一丁になりかけたところで、ニラがロケットパンチ。松永がMIKAMIを肩車すると、マイケルがコーナーに登って「ベノムインパクト!」と予告したが、MIKAMIにあっさり抜け出されて不発に。高木が松永と大石をまとめてバックフリップで投げ捨てると、そこへマイケルがベノムアームを高木に見舞う。マイケルはリングに入ってくる選手に次々とベノムアームを決めていると、タオルで下半身を隠した石川が登場。「ジャイアント・ベノムアーム!」とアンダータイツをスルリと脱いで腕に装着。マイケルと背中越しに合わさり、互いに3歩進んでからベノムアームを打ち合う決闘へ。これを制したのは石川。マイケルがダウンしたところでレフェリーが試合を止めた。
第3試合はHARASHIMA&ヤス・ウラノ&さくらえみvsワンチューロ&イワン・マルコフ&ボニーの6人タッグマッチ。ワンチューロにさくらがモンゴリアンチョップ。続いて「HARASHIMAさん、3冠トレイン!」と呼びかけるも、HARASHIMAは現在2冠王。さくらは「バカヤロー! ベルト落としてんじゃねえよ!」と毒づく。ヤスがワンチューロにカウンターのドロップキック。HARASHIMAはマルコフに「イワンのバカ!」とフロント・ハイキックへ。これにマルコフもビッグブーツで応戦。続くラリアットを相打ちに終わる。10分経過、さくらにロメロスペシャルで捕まったボニーがフェースクラッシャー。替わったワンチューロをHARASHIMAがコーナーに追いやる。続いてボニー、マルコフと3人まとめてコーナーに投げていくと、さくらが「70キロ!」。続いてHARASHIMAが「たぶん84キロ」を決める。ヤスがワンチューロにブレーンバスター。救出せんとしたマルコフの背中にHARASHIMAが飛びついてスリーパー。マルコフはこの状態でヤスに投げ捨てジャーマンを決める怪力ぶりを披露。チャンスと見たワンチューロが走り込むも、ヤスがレフェリーを盾にして延髄斬り。そこからツームストーン・パイルドライバーで一気に3カウントを奪った。試合後、マルコフはご立腹の様子でワンチューロにツバを吐きかけると、ネックハンギングボムを決めて引き揚げた。
第4試合はアントーニオ本多&佐々木大輔&帯広さやかvs杏仁師範&ゴム人間&河童小僧withハル・ミヤコの6人タッグマッチ。UMA軍団を従えて入場してきたミヤコ女史は「行儀の悪いモンスターアーミーにお・し・お・きしてあげるから覚悟してなさい! 」と言い放つ。アントンはイマチ大佐の代打で招聘されたサヤカ大佐を紹介し「サヤカ大佐の恐ろしさを見せてやる!」と早速「UMAと掛けて大きな大きな象さんと解く。その心は?」と謎かけ。サヤカ大佐の答えは「ブリジット・ジョーンズの日記」。場内がザワついたところでモ軍が奇襲し試合スタート。UMA軍団に捕まった佐々木はゴム人間の腕を伸ばし、首に巻き付けてドロップキックを放つ。佐々木からタッチを受けたサヤカ大佐は地獄突きを連打。アントンは師範にDDTを仕掛けるも、被り物がすっぽ抜けてマスク姿が露わに。UMA軍団のトレイン攻撃に佐々木は被り物で殴打してアントンを救出。サヤカ大佐のハーフハッチ・スープレックスから最後はアントンがダイビング・フィストドロップを河童小僧に投下して3カウントを奪った。試合後、ミヤコ女史は「アントーニオ、この借りは必ず返す! 倍返しだ! コングラチュレーション、マサ高梨!」と言って引き揚げた。
セミファイナルは男色ディーノ&彰人vs飯伏幸太&伊橋剛太のタッグマッチ。試合前に伊橋がマイクを取り「男色ディーノ! 毎回ケツを出して勝ちやがって! 今日は出させない! 事実上の勝利宣言だ!」と事実上の勝利宣言をしてスタート。彰人がローンバトルを強いられるも、飯伏に低空ドロップキックを決めると俵返しで投げてピンチを脱出。替わったディーノが飯伏に男色スープレックス。ナイトメアを狙うもこれは伊橋がミドルキックでカット。タッチを受けた伊橋は飯伏に「あれいくぞ!」と連係を指示。飯伏が伊橋に一撃を加え、体の固まった伊橋を飛び越えてのフットスタンプを敢行。ディーノも2人まとめてコックボトムを決めてピンチを切り抜ける。ディーノは伊橋にナックルパンチ連打。ナイトメア狙いは伊橋が下から蹴り上げて拒否。伊橋がゆっくり弧を描くジャーマンを決めたがカウント2。ディーノはシャイニングあてがいを決めてコーナーに登るも、これは飯伏がカット。飯伏が彰人に蹴散らされると、ディーノが伊橋にファイト一発!から男色ドライバーへ。コーナーで生尻を出すと彰人が伊橋を振らんとするが、伊橋に切り返されてしまう。寸前で止まった彰人は伊橋をディーノのケツに吸い込ませることに成功。ダウンした伊橋をカバーするもカウント2。飯伏が伊橋をビンタして起こすと、飯伏が彰人にパワースラム。伊橋のコーナースプラッシュから飯伏が伊橋を踏み台にしてのムーンサルト・プレス。カバーする飯伏の上に伊橋がジャンピング・ボディープレスを浴びせていくがカウント2。伊橋は「いくぞー!」とコーナーに登る。飯伏が伊橋のタイツを思いっきり下げて尻を出させると、彰人を振っていく。彰人がうまく切り返して逆に飯伏を伊橋の尻に吸い込ませた。彰人がコーナーから伊橋をジャーマンで落とすとディーノがリバースえび反りジャンプ。彰人がアンクルホールドで捕獲する。エプロンの飯伏に向かってディーノがリング内から両腕を広げて阻止。そのディーノの尻の先には伊橋の顔面が。ディーノが飯伏にリップロック。堪えた飯伏がエルボーでディーノを倒そうとするが、この勢いでディーノの尻が伊橋の顔面へ。たまらず伊橋がタップして終了。
メインイベントはマサ高梨vsKUDOのシングルマッチ。高梨にはオレンジ色の紙テープが大量に投げ込まれる。スタート直後はグラウンドでの探り合い。リストロックやヘッドロックなどじっくりとした攻防が続いて5分が経過。高梨がKUDOをロープに押し込んで離れ際に張り手を見舞ったところから、先ほどとは打って変わって打撃の応酬。KUDOのキックがヒットすると高梨の動きが止まる。ここからKUDOが攻勢に。KUDOのサーフボードストレッチを堪えた高梨はKUDOのダブルニードロップをカウント2で返すと、エプロン越しのドラゴンスクリューで動きを止めて、エプロンでのニークラッシャーで畳み掛ける。足4の字狙いはKUDOがかわしてミドルキック。これを高梨がキャッチしてドラゴンスクリューでぶん回し、トーホールドで苦しめたがロープに逃げられた。KUDOは高梨に蹴り脚を取られるも空いている脚で延髄斬り。さらにミドルキックをブチ込み、8×4からダイビング・ダブルニーアタックへ。高梨がカウント2でクリアする。コーナーに登ったKUDOを高梨が突進して阻止すると、雪崩式ブレーンバスター狙い。KUDOがエルボーで宙づりにせんとするも、高梨がすぐさま蘇生。雪崩式ドラゴンスクリューはやや体勢が崩れてしまう。15分経過、高梨はKUDOのバズソーキックをかわしてサソリ固め。しかしロープに逃げられてしまう。タカタニックをかわしたKUDOが高速ジャーマンから張り手連打。高梨も延髄斬りで互角に渡り合う。KUDOはここでスピンキック。高梨もソバットからタカタニックを決めたがカウント2止まり。バッカス狙いをKUDOが阻止してエルボー。高梨も張り手で応戦するがヒザ蹴り、スピンキック、バズソーキックでダウン。カウント2でクリアするも直後のダイビング・ダブルニードロップで3カウント。
試合後、高梨がKUDOに歩み寄り握手をかわした。高梨「10年、このリングで闘い続けて、いつもこういう姿で申し訳ない。ただ、こんな嫌な役割引き受けてくれたKUDOさんに感謝します。あ~悔しい。10年やっても、いつもこんな姿です。でも、こんな自分を10年見続けてくれた人、離れていってしまった人や、帰ってきた人たち、今日みなさんの前でこうやって10周年記念試合、無様かもしれないけど、やれることができて幸せ者です。で、こんな嫌な役割引き受けてくれたKUDO、すかしてんじゃねえよ。オマエが何かくだらねえこと言ったら因縁つけて追い続けてやる。まだ10年だ! これからずっとずっと追い続けてやる! なんだろう、悔しい! 今日出場してくれた皆さん、リングに上がってください。ここにいる皆さん、そして今日お越しの皆さん全てに感謝します。そして勝つ姿を見せることができなかったけど、お父さん、お母さん、ありがとうございます。もしよかったら来ていただけますか?(観戦していた高梨の両親がリングに上がる)みっともない姿かもしれないけど、こういう仲間たちに支えられて、集まっていただいた皆さんに支えてもらって、自分は何とかこの世界に存在することができてます。父さん、母さん、そして皆さん、本当にありがとうございます。そして父さん、母さん、集まっていただいた皆さんに一つ、謝らなくちゃいけないことがあります。本当の興行タイトルは別です。本当の興行タイトルを発表します」ここで遠藤が持ってきた掛け軸を広げると「高梨母誕生日記念興行」の文字が。リング上にケーキが運ばれ、高梨のお母さんに渡される。「母さん、誕生日おめでとうございます。このリング上の光景が自分がいつも見ている光景で、ここが自分の生きる世界です。10年って言いましたけど、ずっとこの世界で生きていこうと思います。そしてKUDO、テメエ! またつまらねえこと言ったら、いつだって因縁つけてやるからな! そういうことで皆さん、これからも自分のプロレスにお付き合いいただければと思います。皆さんのおかげで自分はこの世界に存在することができます。そしてこれからもずっと、このリングで存在し続けたいと思います。本日はありがとうございました!」
【試合後のコメント】
KUDO よく高梨のことを知っている人は酔っぱらったら大変だって知っていると思うけど、酔っぱらっては人をけなして殴ってという。そういうのを僕はアイツから10年受けているんです。よく「KUDOさん怒らないんですか?」って聞かれるんですけど、アイツの罵倒する言葉の中に本当にちょっとですけど、何かしらプロレスや生きるヒントがあるというか、気づかされることがあって。そういう意味では感謝する部分もありますね。僕は13年目ですけど、アイツは10年で。これからだと思うんで。まだまだ僕もアイツもやっていくと思うので、何度も何度も試合する機会があると思います。その時も変わらず叩き潰したいと思います。
――高梨選手から「くだらないこと言ったら因縁つけて追い続けてやる」という発言もあったが。
KUDO まあまあ。くだらないと思うかどうかはアイツの尺度なんで何とも言えないですけど、いいんじゃないですか。そういうので僕が気づかされるのであれば。ただ酔っぱらって人を殴るのはよくないと思います。ここは譲れないです!
高梨 10周年記念大会もどうやら負けてしまったようで、負け続けのプロレス人生なんですけど、負け続けるからこそ次は勝ちたいと思って続けられる、そんな10年でした。こんな役回りを引き受けてさらっと勝っていくKUDOもKUDOだ。今、無性にムカついているんで、また何かあったら難癖つけて追いかけてやろうと思っています。あとはリング上で言った通り、全ての皆さんに感謝しています。最後に内輪に逃げた感じはありますけど、今度は勝って堂々と自分の大会だったと締められるように……負けると思わなかったんですけどね。勝って明るくいきたいと思います。
――ご両親にこのような場を見せたかった?
高梨 いつもっていうわけじゃないけど客席やテレビで見る機会はあっても、リング上からの景色は上がってもらわなきゃわからないので。一回上がってもらって自分の働いている世界に足を踏み入れてもらって、このようなお客さんに支えられているんだと見てもらいたかったというのはちょっとありました。決して、何かあった時ように逃げたわけではないです!
――お母さんは何か言っていた?
高梨 まだ会ってないので。マイク取ろうとしやがったところは腹立たしかったですね(苦笑)。素人なのにマイク取んな!って言ってやりたかったですけども、マイク持とうとした母親はさすがだな、自分っぽいなと思いました。