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第15回 PSJとファンタジー路線③

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    • 2000年9月14日、東京・北沢タウンホール大会で、蛇界転生として生まれ変わった澤田さんが黒影に蛇人間エキスを飲ませて口づけをする映像を流したんだけど、それがバカ受けしたんだ。

      どちらかと言うと、魔界転生のパロディがバカ受けしたんじゃなくて、あのキスシーンがバカ受けしたんだよ。DDTに男色ディーノも存在していない時代だからね。男性と男性がキスをして、しかも蛇人間に改造するという何もかも飛び越え過ぎていた出来事だらけで、ファンからは「プロレスですごいものを見てしまった」という反響しかなかった。ああいう描写は日本のプロレス界に今までなかったんじゃないかな。

      このバカ受けで「JULIE路線でいくしかない!」という空気になって、最初こそ嫌々だった澤田さんも次第に乗り気になり、呪文を使って相手の動きを止めたりしたんだけど、あの時も大歓声だった。あの呪文で澤田さんは完全にブレイクしたと思う。今や呪文なしではPSJは語れないし、これは“やったもん勝ち”だよ。

      さらに2000年12月14日の東京・ジオポリス大会の4WAYマッチで、俺様がPSJに勝利したんだけど、そのエンディングでPSJが自分の生首を小脇に抱えて炎の中へと去っていくシーンを流したんだ。これは『魔界転生』のエンディングにあった、千葉真一扮する柳生十兵衛によって首を斬り落とされた沢田研二扮する天草四郎が、それを小脇に抱えて笑いながら紅蓮の炎の中へと消えていくシーンのパロディ。あの時のお客さんは固唾を呑んでスクリーンを見ていたね。

      映像や呪文でのお客さんのリアクションの良さを見て、DDTはエンターテインメントの一歩を「ここまでならやっていいんだ」と踏み越えてしまったと感じたし、これで俺様の針も振り切れてしまったよね。不思議と俺らのところまで批判は届かなくて、「すごいことをやった!」「これだ!」という称賛の声しか聞こえなかった。

      当時、ほかの団体のエンタメ路線に対抗しようというネタもやっていたけど、そういうのはヒットしないし、張り合おうとするとダメなんだよね。今だから言えるけど、魔界転生のノリで始めたものが、こんな一大ムーブメントを起こすまでになると思っていなかったよ。

      DDTの一時代を築いたファンタジー路線は、それまでのエンタメ路線とは一線を画していたと思う。ファンタジー路線が受けた最大の要因はオリジナリティであって、そのおかげでDDTは他団体と違うカラーを打ち出せたんじゃないかな。

      だいたい、蛇界転生なんてどこの国や星にあるのかもわからないし、そこから来たヤツらが何の目的で蛇人間に改造しようとしているのか、未だによくわかっていないしね。その後、タイムマシンに乗って2000年のポイズン澤田JULIEを現代に連れて来るなんていうこともあったけど、そういう発想ですら、かつてのDDTにはなかったんだから。こんなのファンタジー以外の何物でもないよ。(この項つづく)

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