今年で3回目となるDDT48総選挙の結果が、10月3日に発表されました。例年と異なり、グッズ販売による投票権の配布はなし。8月26日の後楽園大会から9月30日の後楽園までの6大会のチケットのみが、投票権となりました。おそらくこれにより例年と異なる投票行動が予想されましたが、結果はみなさんご存知の通りです(DDT48総選挙結果リポート参照)。
去年の総選挙後にコラム「猫耳アワー」(http://www.samurai-tv.com/column.html?ymd=20110930)で書いたのですが、これまでの2年間にははっきりとした構図がありました。まず初年度に男色ディーノ選手に敗れ、惜しくも2位に終わった佐藤光留選手が、翌年に圧倒的な得票数で1位になるまでのストーリーです。パイルドライバーでのグッズ販売、Ustreamを有効に使った選挙活動、ギラギラとした上昇志向、すべての面で佐藤選手のDDT48総選挙にかける意気込みは所属選手を物量熱意ともにはるかに上回っていました。昨年の1位は、彼と、そして彼を何とか1位にしたいという、熱いファンすべての勝利でした。
しかし今年に関しては、誰が一番総選挙に対してモチベーションが高かったのか、例年に比べて見えづらいところが正直ありました。その中で異彩を放っていたのが、これまでは目立った選挙活動をしてこなかったKUDO選手です。演説放送の中で、マンションを購入し、35年ローンを組んだことを吐露。これから少なくとも35年はプロレスラーとしてDDTの中心にいたいんだ、という告白は、普段寡黙で自己主張をすることも少なく、選手としてもエビスコの店長としても誠実な仕事ぶりが安心感を与えていたKUDO選手への大きな追い風となりました。その結果、これまでと大きく順位をあげる9位に。やはりファンは、自分の大切な1票を誰に投じるのか、よく見ている。KUDO選手の35年の第一歩を応援したいんだ、と いう気持ちが、この投票行動につながったんだと思います。
タイトルや試合順に関わらず、つねにDDTファンの支持を集めているヤス・ウラノ選手やアントーニオ本多選手、マサ高梨選手はもちろん選抜入りしたものの、やや苦戦。一方、若手の石井慧介選手、高尾蒼馬選手、入江茂弘選手のチームドリフは全員ランクインし、しかもこれまで一度も選抜入りしたことなかった入江選手が、いきなりの6位に入ったのが今年最大のサプライズでした。目立った選挙活動もせず、アピールが得意なわけでもない。ただひたすらに身体を張り続け、額を割り続け、突き進んできた結果が共感を生んだのでしょう。
そこで、1位の飯伏幸太選手です。2年前、最初にDDTが総選挙をやると発表した時、私は週刊プロレスの予想記事の中で「飯伏幸太、ディーノ、HARASHIMAのトップ3は固い」と書いて見事に外しました(第1回の順位は1位=ディーノ、2位=光留、3位=チェリー)。それはこの総選挙というものがどういう意味を持っているのかが明確にわかった瞬間で、これは人気投票でも誰が一番強いかを決めるものでもない。誰が一番この総選挙にかけているか。誰が自分の気持ちを乗せて、一緒に高みを見せてくれるか。それを見極めることこそが、このDDT48総選挙でした。
飯伏選手はすでにたくさんのものを手にしています。KO-D無差別級のベルトも巻き、新日本プロレスのIWGPジュニアのベルトも巻き、プロレス大賞も受賞した、誰もが認めるプロレス界のゴールデン☆スターです。これ以上、私たちが彼をどう押し上げることができるのか、総選挙の1位という順位をどれほど飯伏選手自身が求めているのか、それすらもよくわからない。もちろん目立った選挙活動もしない。しかし今回の総選挙で、彼は断トツの1位でした。中間発表の時点から他の追随を許さず、総得票数の1割を手にする圧勝でした。
これをどう捉えたらいいのか。昨年までと比べてグッズ販売に付随する投票権がない以上、ひとりが投票できる数は正直、限られています。これまでならば、もちろん一人の選手に10票以上投じることもできたし、振り分けることもできた。しかし今回は、「1票しかないのだったら、これを飯伏選手に投じよう」と思ったファンが多かったのではないだろうか。最初から飯伏選手に投票しようと思っていたファンに加え、誰に投票しようか決めていなかったフラットなDDTファンの票が今年はかなりの割合で飯伏選手に向かった結果が、この圧勝だったのではないかと推測しています。
光留選手が繰り返し言っている通り、試合でも、そしてこういったファンの投票行動にしても「飯伏幸太だけが特別だ」と思った時点で、それは勝負をあきらめてしまっていることになる。光留選手はこれまでそこに挑み続け、昨年はそれに勝利し、今年は敗れました。高木三四郎社長に「飯伏選手の圧勝をどう思いますか」と尋ねたら、「まあそういうことなんだと思います」という返答が返ってきました。その他の47人が、飯伏選手の圧勝を許してしまった。そういうことなんだと思います。
今年初めて総選挙にエントリーされた紫雷美央選手や坂口征夫選手の、発表前の緊張とそして発表後の喜び、安堵。5位という結果に唇を噛みしめ、言葉少なだった光留選手の沈黙は、どんな饒舌よりもその悔しさを物語っていました。何をすれば勝てるのか。これ以上何をしたら、1位を勝ち取ることができるのか。
早くもこの総選挙1位の結果をもって、飯伏選手は10・21後楽園でエル・ジェネリコの持つKO-D無差別級王座に挑戦します。言うまでもなく、先日獲られたばかりのこのタイトルのリマッチです。ここからまた飯伏幸太の独走が始まるのか。すでに来年の総選挙に向けてのアピールは、始まっています。キャリアもキャラクターも、極言すればリング上の強さ弱さも総選挙には関係ない。どう勝ちたいのか、果たして勝ちたいのか。それが問われた今年のDDT48総選挙でした。(三田佐代子)



