28日、東京・新木場1stRINGにて「ビアガーデンプロレス~酒呑童子DAY」がおこなわれた。オープニングは酒呑童子によるそれぞれのカード説明から。河村智哉と対戦するKUDOは「河村はシャイで内向的で何を考えているかわからない。でも、エビスコで働くようになったので、僕に預けられていると思っています。今日は河村の感情が出るような熱い試合をしたい」とコメント。高梨マサ子&チェリーvs里歩&「ことり」のタッグマッチについてはマサ高梨が「チェリー&マサ子が久しぶりにビアガーデンで復活します。華やかな女子プロレスを楽しんでください」。坂口征夫&KUDOvs木高イサミ&FUMAのタッグマッチに関しては坂口が「俺も兄貴も借りがあるんで、イサミを殺ってやります」と宣言。最後はKUDOが「みなさん、酒盛りだー!」とファンとともに乾杯して大会スタート。
第1試合はKUDOvs河村智哉のシングルマッチ。手四つの力比べから河村がKUDOをハーフダウンにさせてローキック。ニー・オン・ザ・ベリーのキャメルクラッチで攻め立てる。KUDOは追走式ニーアタックで逆転するとエプロンからトップロープを飛び越えてのダブル・ニードロップを投下。エルボー合戦からKUDOはヒザを入れてからサーフボードストレッチ。苦しい河村はランニング・エルボーから串刺しダブルニーで盛り返してリバース・スプラッシュを投下。さらに羽根折り固めでグイグイ絞っていったが、これを解いたKUDOがコーナーへと振って8×4。コーナーから地獄の断頭台を投下してエルボー合戦へ。エルボーで食らいつく河村にバックスピンキックをブチ込んだKUDOはダイビング・ダブルニードロップで勝利した。
第2試合は高梨マサ子&チェリーvs里歩&「ことり」。我闘雲舞軍は『スイミー!』でかわいらしく踊りながら入場し大歓声。これに納得しなかったチェリーがヒールモード全開で向かっていく。里歩と「ことり」はマサ子に我闘雲舞トレインからニコニコ印を狙うも、チェリーが突き飛ばして阻止した。場内は大ブーイング。ここからローンバトルを強いられた「ことり」だが、チェリーのリストを取りながらマサ子にドロップキックをブチ込むと、続けてアームホイップで投げて逆転。替わった里歩がジャンピング・ニーを連打。連係で攻め立てる我闘雲舞軍だが、チェリーも「ことり」に熟女でドーン!を決めると、高梨は里歩に足横須賀から足4の字固めへ。里歩がリバースするも、その背中にチェリーがフットスタンプを見舞う。マサ子の足横須賀を着地した里歩はそうまとうからくるくるリボン。これをカットしたチェリーが里歩を羽交い絞めにするも、マサ子のトラースキックはかわされ誤爆。里歩が2人まとめてそうまとうを発射。マサ子のバッカス狙いを里歩がクリアすると「ことり」との中学生クラッチで丸め込んでフォールを奪った。
セミファイナルは夏の風物詩・時限爆破!怪談新沼袋!デスマッチ2014。大鷲透&星誕期&世Ⅳ虎が入場したあと「ホモ」とアナウンスされて男色ディーノ&大石真翔&帯広さやかがリングイン。ルール説明では試合開始から3分経過すると怪談朗読がスタートし、朗読終了後も時間ごとに怪談が朗読されることが告げられる。このルールに食って掛かり世Ⅳ虎に対してディーノは「もしかして怖いの?」。これに「怖くねえよ!」と強がる世Ⅳ虎へディーノは「嫌だったら3分以内に決着つければいいのよ」。さらに今年も茅ヶ崎市在住の朗読アーティスト・今林久弥さんが呼び込まれて試合スタート。先発はディーノと大鷲だったが何かを期待して大変スローな攻防を繰り広げる。残り1分。リング上は世Ⅳ虎vs勝俣。ドロップキックからコーナーの世Ⅳ虎にトンボを切って残り10秒、次を狙った勝俣に世Ⅳ虎がカウンターのラリアット。2分58秒で世Ⅳ虎が勝利した。
するとディーノがマイクを取って「いやいやいや、違うでしょ!」とこれまでの怪談新沼袋デスマッチの流れを一通り説明。それでも世Ⅳ虎の態度から「あ~やっぱり怖いんだ」と察したディーノ。「怖くねえよ!」と強がる世Ⅳ虎に「怖くないなら再試合できるでしょ? 朗読開始が3分じゃ長いから30秒のところからいきましょう」。こうして再試合のゴングが鳴らされたが、勝俣がコーナーの世Ⅳ虎にトンボを切って次を狙ったところ、世Ⅳ虎がカウンターのラリアット。しかしこのカバーは勝俣がカウント2でクリア。世Ⅳ虎がセントーンを放つもカウント2で返され30秒が経過。今林さんによる怪談朗読がスタートした。
「バーベキュー。仲の良いカップルがいました。夏休みということで2人は川沿いでバーベキューをすることにしました。カップルの近くにも、川沿いでバーベキューを楽しむ団体がいました。みんな楽しそうです。でも、突然彼氏が彼女の耳元でこう言いました。『僕が逃げてと言ったら一緒に逃げるんだよ。わかった?』。意味がわからず彼女は聞き返しました。『え? 何でそんなこと言うの?』。彼氏は『理由は後で説明するよ』としか言いません。それから数分後、彼氏は言いました。『逃げるよ!』。次の瞬間、2人は全速力で走りました。さっきの川沿いの場所から、かなり遠くまで来たころ、ようやく二人は立ち止まり息を整えました。そして彼女は聞きました。『何で逃げたの?』。彼氏はそこでやっと真実を打ち明けてくれたのです。『横に団体の人達がいたでしょ?』『それがどうしたの?』『あの人達さ、みんな左手で物を食べてたんだよ』『別におかしくないでしょ? みんな左利きなんじゃないの?』『あれだけの人がいて、全員左利きだなんてありえないよ。幽霊はね、生きた人間と逆のことをするんだ。だから、彼らはみんな生きてない…』。彼女は納得という顔をしました。そして『すごーい』と言いながら、手の甲で拍手をしたのです」。この怪談に全員が「ウォォォォォ…」と怖がっている中、試合再開。ディーノが大鷲に男色ドライバーを狙おうと漢タイツに頭部を差し込もうとしたところで帯広が「あーっ! わかった!!」と先ほどの怪談がなぜ怖いのかを説明しようとしたところで時間が経過し、今林さんの朗読がスタート。
「悪寒がはしる。私は、妻を殺してしまいました。夫婦喧嘩で思わずカッとなった私は、妻を絞め殺してしまったのです。幸い、幼稚園児の息子は眠ったまま。私は車に妻の死体を乗せると、山奥まで運んでいき、穴を掘って埋めました。翌日の朝。母親がいなくなったというのに、息子は騒いだりしませんでした。いつも通り朝食を食べ、いつも通り幼稚園へと向かいました。私は、息子が騒ぎ立てないのをいいことに、妻のことは説明しませんでした。息子も何も聞きませんでした。そうしてしばらくは、私と息子の2人だけの生活が続きました。息子はもともと、それほど明るい性格ではなかったのですが、妻がいなくなって以来めっきり口数も減り、そのかわり不思議そうな目つきで私の方を見ることが多くなりました。私は次第に、その息子の目つきが恐ろしくてたまらなくなってきました。もしかして、私が妻を殺したことを知っているのではないか。そんなことを考えてしまったからです。そして、ある日の食事中。箸も動かさずに私の方を見つめている息子に、ついに聞いてしまったのです。『どうしてオマエはいつもお父さんをじっと見つめているんだい?』。すると、息子は相変わらず不思議そうな目つきで、こう言いました。『どうしてお父さんは、朝も昼も夜もずーっとお母さんをおんぶしているの?』。悪寒が走りました。私は思わず後ろを振り返りましたが、もちろん、何も見えません。私は、背中に取り憑いている妻を振り払おうと手をめちゃくちゃに振り回しました。それを見た息子が言いました。『あっ、お母さんが背中から降りたよ。走って、どっかへいっちゃった』……なるほど、これがおかんが走る、ということなんですね」。怪談が続いて会場が沈んだ空気になる中、試合再開。再びディーノが大鷲へ男色ドライバーを狙おうと漢タイツを広げたが、またも帯広が「あーっ!」と声を挙げる。またも怖い理由を説明するのかと思いきや「おかんをずっと背負っていたら…」とトンチンカンな解答。ディーノが「そういうことじゃなくて、おかんがずっとそこにいたって話よ」と説明していると時間が経過して今林さんによる朗読がスタート。
「オマエだ。ある男が妊娠中の妻を殺してしまい、死体を公園の桜の木の下に埋めました。数年後、男が公園を通りかかると美しく咲き誇る桜の木の下で男の子が泣いていました。不思議に思った男は『どうしたんだい? お母さんはどこ』と話しかけました。すると男の子は泣きながら桜の木の下を指差しました。まさか、と思いながらも男は『じゃあ…お父さんは?』と聞きました。すると男の子はこう言いました。『お父さんは………あなただ!』」。なぜかオチが「オマエだ」ではなく「あなただ!」になっていたこと会場全体がきょとんをなる中、ディーノは「なんなの!? なんで変えたの?」と今林さんに詰め寄る。今林さんは「ぶっちゃけ『オマエだ』に飽きたんだよね。同じことをやりたくないし」とアーティストぶる。しかし場内の納得しない雰囲気に今林さんは「わかった、わかった。オマエだ、やればいいんでしょ。みなさんの期待にお応えして『オマエだパート2』」と朗読を始めた。「それは、突然の事故でなくなった私の友人のお葬式の帰りのことでした。その日の電車の車内は何か異様な雰囲気が漂っていました。こう…重苦しいというか、なんというか…。乗客は私を含めてほんの数人。その誰もが無口で、思わず背筋の寒くなった私はバッグをギュッと抱きしめていました。あれだけ元気だった友人が、まるで何者かに魂を連れ去られるように、突然の事故で亡くなるなんて…。私はまだ友人の死を信じることができないでいて、ボーッとしていました。ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。暗闇の中、それでも電車は走っていきます。ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。かすかな振動に揺られて、私がウトウトとし始めたとき、ボソボソとささやくような変な声が聞こえました…。『…オマエだ……次はオマエだ…』。私はハッとなって車内を見回しましたが、別に変わったことはありません。ですが、先ほどの陰気な声が耳から離れませんでした。カンカンカンカン。踏み切りを通り過ぎたのか、警報機の音が一瞬だけ大きくなって、そして小さくなって消えていきました。ゴトンゴトン。ゴトンゴトン。やがて電車はゆっくりとスピードを落として、とある駅で停車しました。そのときに流れた、あのアナウンスの言葉を私は一生忘れることができないでしょう…。『オマエだ! オマエだ~!! おまえだ駅に止まりま~す』。そこは秩父線の小前田駅だったのです」。当然ながらツッコまれた今林さんは「『オマエだ』へのモチベーションが続かないんだよね。いいよ。これが欲しいんだろ?」と言うと雑に「オマエだ~!」を繰り広げるも選手たちは無反応。今林さんが「オマエだ~!」と大鷲に指差すも、大鷲はその手を叩いてビンタ。
大鷲は「そうじゃねえんだよ! 今日、俺は怪談新沼袋デスマッチって聞いて楽しみに来たんだよ! オマエが何万回やったかわからないいけど、俺は今日初めてなんだよ! 今日初めて来たお客さんだっているんだよ!」と熱く訴える。勝俣も「僕だって沼袋をやるためにプロレスラーになったんです!」とマイク。ディーノは「誕期さんだって、こうして来日して帰化したのも沼袋をやるためよ。世Ⅳ虎も沼袋を鑑別所で聞いて、更生して女子プロレスラーになろうと思ったの! 鷲関だってそうよ! プロレスに対するモチベーションはゼロだけど、いつも同じような試合をやっているの!」と続ける。これに心を打たれた今林さんは「だから大鷲さんはいつも同じような試合だけど新鮮な何かを感じるんだ。そこには心がこもっているからなんですね」と改心。「でもディーノ、俺には原稿がないんだ」(今林)「そういうことじゃない。同じ原稿でもいいじゃない。そこに心がこもっていれば!」(ディーノ)すっかり心を入れ替えた今林さんが朗読を始める。
「オマエだ。ある男が妊娠中の妻を殺してしまい、死体を公園の桜の木の下に埋めました。数年後、男が公園を通りかかると美しく咲き誇る桜の木の下で男の子が泣いていました。不思議に思った男は『どうしたんだい? お母さんはどこ』と話しかけました。すると男の子は泣きながら桜の木の下を指差しました。まさか、と思いながらも男は『じゃあ…お父さんは?』と聞きました。すると男の子はこう言いました。『お父さんは………オマエだー!』」今度はズバリと「オマエだー!」が決まると次々と選手を指差してショック死させる。さらには松井レフェリー、セコンドの大石真翔、外国人の男性客にも「オマエだー!」と繰り広げると「オマエだー! オマエらなんじゃー!」と絶叫。『ワイルドシング』が流れるとリングサイドに観客が詰めかけ、エプロンをバンバン叩く。その観客にペットボトルの水をぶちまけた今林さんは「みなさん、今日は本当にありがとうございました。目が覚めました。これからも心を入れ替えて沼袋をやらせていただきます」と誓う。これにショック死していた選手たちが蘇生して拍手を送っていたが、なんと手の甲。今林さんが「ギャーッ!!」と叫んで試合終了(28分46秒)。
メインイベントは坂口征夫&KUDOvs木高イサミ&FUMAのタッグマッチ。イサミのエルボーに坂口はニヤリと笑みを浮かべてミドルキックで返す。このラリーから蹴り脚をキャッチしたイサミがドラゴンスクリューでぶん回すと、坂口がリング下にエスケープして場外戦へ。坂口のエプロンPKはイサミにかわされて鉄柱へ自爆。これで痛めた左脚をイサミに集中的に攻められた。坂口は何とかドロップキックで反撃に出ると替わったKUDOがイサミに8×4。顔面ドロップキックからバズソーキックを狙う。イサミはこれをかわすやロケットパンチ。FUMAが大外刈りからサッカーボールキック。これはカウント2。顔面ドロップキックからイサミとの連係も狙う。KUDOが回避して誤爆させると、スイッチした坂口が左ミドル連打からスリーパーへ。これはイサミががカット。坂口はKUDOとサンドイッチのローキックからサンドイッチPKを決める。続く坂口のニーアタックはイサミがカット。そのイサミにKUDOがダイビング・ダブルニーアタック。FUMAがジャンピング・ハイでやり返し、イサミはKUDOにロケットパンチから飛び込み式ヘッドバット。FUMAは坂口にミドルキック。ボディースラムで叩きつけてコーナーへと登る。坂口はこれをキックで止めて最上段に腹ばいにさせると、串刺しのランニングニーで突き上げた。坂口のスリーパーはイサミがカット。FUMAの掌底に坂口は腹パンで応戦する。FUMAのキャプチュードはカウント2。坂口はFUMAのトラースキックをかわすとPKへ。カウント2で返されるとスリーパーへ。KUDOがイサミを釘付けにしている間に、坂口が変形コブラクラッチに移行して勝利した。
試合後、高梨は「イサミはKUDOと征夫にシングルで勝った敵ながらスゲエ男だ。今日勝っても借りを返したと思っちゃいねえ。またいつでもやってやるよ。このあとアルコール対決でやってもいいよ。酒盛りの前に一つ言いたいことがある」と言うと、場内にハッピーバースデーの曲が流れる。伊橋剛太がバースデーケーキを持ってリングインすると、みんなで7月26日に41歳の誕生日を迎えた坂口を祝福。坂口は「自分が死ぬのはこのリングの上だと思ってるんで。あとユニット総選挙、酒呑童子が1位を取ります!」と宣言。最後は坂口の音頭での「酒盛りだー!」で締めとなった。
【試合後のコメント】
高梨 酒呑童子DAYだったけどな、今日は実質的に坂口DAYみたいなもんだ。なんてったって41歳の誕生日だったからな。坂口さん、おめでとうございます!
坂口 もう41なんで、あんまり恥ずかしいっす。
高梨 坂口さん、そんなの似合わないですよ。41でもな、30超えてもいつまでたってもバカやり続けてやるからな。飲んで 恥かいて、上から怒られつづけてやるからな。オマエら楽しみにしてろよ。そして今日の大会でイサミに借りを返したかのように思えるかもしんねえけど、FUMAも河村も今度は俺らとやりてえだろ。いつだってやってやるよ。俺らだって、いつだってイサミとやってやるからな。兄貴、なんかひと言、言ってやれ!
KUDO そういうことです。
高梨 そういうことだ。KUDOはな、何も言うことねえんだよ。それより今日の主役の声を聞けよ。
帯広 な、な、な…。
高梨 おい、見ろ! これが帯広だ。酒呑童子の最終兵器、帯広のコメントを言ってやれ!
帯広 しゅ…酒呑童子、お…お、帯広はビールが好きだー!
高梨 そういうことだ、バカヤロー! とういうことで、ビアガーデンユニットDAYの初日をめちゃくちゃにしたかもしんねえけど、もっともっと加速をつけて毎日めちゃくちゃにしてやるから。最終日も、そのあとの両国大会も6人タッグのベルトを防衛して、ドリフの酒飲めない連中に、酒飲める大人の世界、男の世界ってやつを教えてやるよ。改めてもうひと言、兄貴、なんか言ってやれ!
KUDO 坂口さん、おめでとうございま す!
坂口 ありがとうございます。
高梨 ということで以上だ! 誕生日、おめでとう!