5・3後楽園昼夜のメインを務める
入江とイサミに共通するもの
ブロマガ「DDTの文化系プロレス通信」編集ジチョーのヨシヒコです。先日、皆様のおかげをもちまして、11月の開設以来100回更新を突破いたしました。現在は主に試合リポートや記者会見の模様をテキストと画像で見やすくまとめたものと、書き下ろしコラム、決定分カードやサムライTV放送日程などをひとつのページで把握できるようになっています。ヨシヒコジチョーのコラム「ヨシヒコの今のキモチ」が読めるのは、DDT文化系プロレス通信だけ!(今回は特別出張版) ニコニコ動画公式チャンネル「DDTプロレスアワー」にアップされた試合や会見の動画、生放送ナビゲート番組とともにウェブ上で閲覧できるだけでなく、メルマガとしてご指定のアドレスへ配信されるので、ぜひ有料登録してください(月額税込525円)。詳細は → http://ch.nicovideo.jp/blog/ddtpro
などとまずは宣伝をさせていただきましたが、今回オフィシャルHPの方へ出張したのはそれが主題ではございません。目前に迫った5・3後楽園ホール大会についての考察を執筆するためです。あまりクローズアップされていないのですが、毎年ゴールデンウィーク中の後楽園大会はDDTグループにとって夏の両国国技館におけるビッグマッチ(昨年のみ日本武道館)に次ぐ一日だと私は認識しています。ビコーズ、なぜならば! この日は昼・DDT、夜・ユニオンと両ブランドが揃い踏みするからです。つまり、両大会を観戦すればほぼすべてのスーパースターズをライヴで体感できます(お得な2大会通し券も発売中)。
新木場1stRINGでは年に何回かあっても、後楽園では5月のこの時期にしかありません。そんな稀有な一日、昨年はいったいどんな昼と夜だったのか…思い起こしてください。昼のDDTがいつでもどこでも挑戦権を獲ったその日に行使し、KO-D無差別級王者となった高梨さんが火野軍曹(当時はモ軍じゃなかったけど)を相手に初防衛戦をおこない、そして夜のユニオンでは今は亡き…いや、今も泣きまくる大家さんが宮本裕向選手の保持するDDT EXTREME級王座に売店デスマッチなるその後二度と聞かなくなった形式で挑みました。
つまり両団体にとって重要なビッグショーのトリを、それまで中堅どころを全うしてきた2人が務めたのです。これは夢がありました。デビュー当時から見てきたファンにとっては、昼夜両方を見て応援することで意義が持てたでしょう。結果として高梨さんは王座を明け渡し、大家さんはベルト奪取なりませんでしたが、自分のやるべきことをコツコツと続けてファンの信用を得れば、トップクラスとされる人間以外でも後楽園のメインという舞台で輝けるという団体の姿勢は伝わったのだと思います。
あれから1年が経ち、組まれたカードを見ると本当にDDTもユニオンもその流れの速さに驚きます。入江っちが無差別級王者として飯伏さんを挑戦者に迎えて闘うというシチュエーションをいったい誰が想像できたでしょうか。さらにはユニオンの至宝として定着したEXTREME級のベルトをケニーが巻いているというも、昨年の今頃には考えられなかった。そういう意味では、昼も夜もこれまでとは違ったGWの情景になるのは必至です。
高梨さんと大家さんのように直接的な関連性はないものの、入江っちは王者として、イサミさんは挑戦者としてゴールデン☆ラヴァーズにそれぞれぶつかっていく図式となります。昨年の日本武道館でメインを独占した飯伏さんとケニーは、今もって団体の枠を飛び越えた存在。だからこそ、2人に勝てば業界的評価も上がるというもの。DDTやユニオンを見続けているファンには真価が十二分に伝わっていると思えるのですが、今以上にステータスをあげるにはやはりその先まで届かなければなりません。
そういった角度から2つのメインを並べると、共通したテーマが浮かんでくるではありませんか。私には、このタイミングで2人がGLとタイトルを懸けて闘うのが偶然には思えません。キャリアや年齢は離れており、スタイルもまったく違いますが会場での支持の高さは双璧。何よりも昨年のDDT48総選挙において同票6位で並んだのが入江っちとイサミさんという事実! 入江っちは22位から一気にランクアップし、イサミさんは14位 → 10位 → 6位と毎年着実に支持を上げてきた上での上位進出でした。
リング上の実績だけをとれば今年に入ってから勢いづいたかのように見える2人ですが、じつはその下地が総選挙の結果となって表れていたのです。ファンの評価はけっして人気だけで決まるのではありません。DDTやユニオンを見続けてきている方々が、さまざまな要素を踏まえた上で投票するのですから、実力のない者が高得票になることなどあり得ないといっていい。6位という順位は、今年に入ってからの躍進ぶりを密かに予見したものだったのだと思います。
昼の無差別級戦に関しては、今でも飯伏さんの方が格上と見られているでしょう。でも、前回の一騎打ちでは入江っちが完勝しているという事実があります(2011年のKING of DDTトーナメント2回戦)。つまり、日本のプロレス界が誇るゴールデン☆スターに勝ってもなんら不思議ではないものをすでに備えているということです。一昨年の大晦日、年越しプロレスが終わったあと私は大社長としばし立ち話をしました。その頃、いわゆるインディーとされる団体においては飯伏さんと大日本プロレスの関本大介さんが突出した存在となり、老舗系のリングでもどんどん実績をあげていました。
私は大社長に「この2人に続く選手は誰になると思います?」と聞いてみました。もちろん「それはヨシヒコ、おまえに決まってんだろ」という答えを期待したのですが、口から出た名前は関本選手のパートナーとしてグングン頭角を現していた岡林裕二選手と、もうひとりが入江っちでした。つまり、かなり前の時点で大社長は現在の入江っちの姿を見据えていたことになります。飯伏・関本に次ぐ立場の人間が、その飯伏幸太とベルトを懸けて直接闘う…もしかすると、この一戦は単にタイトルの行方がどうなるか以上の長期的なドラマに通ずる一戦になるかもしれません。
そして夜のイサミさん。ユニオンではそのスケールの大きさから修司さんが不動のエースと見られてきました。じっさいそれに相応しい活躍を見せ、両国国技館のメインも経験します。その中で、イサミさんはサポート役に甘んじることなく常にユニオンのエースというポジションを強烈なまでに意識してきました。傍から見れば「こんなに体格差があるのに、石川修司を超えるなんて無理だ」と映ったかもしれません。でも、イサミさんは修司さんとは違う独自のアプローチでハードコア戦線を盛り上げ、ついには本体であるDDTの後楽園メインで無差別級とのダブルタイトルマッチを実現させるまでにポジションを上げたのです。
ユニオンにとっては年に一度の後楽園大会。そのメインを修司さんではなくイサミさんが任されるのは大きな意義があります。先の大日本で開催されたデスマッチリーグ戦「一騎当千」では優勝決定戦で伊東竜二選手に3本勝負の末に敗れたものの、公式戦を全勝でクリアしてみせた男に対し「石川じゃなければEXTREME級のベルトはユニオンに獲り戻せない」などとは誰も思いません。そんな歴戦のツワモノから見ても、ケニーという存在はこれまで経験したことのないエクストリームな楽しさが味わえる相手…だからこそリマッチを要求したのです。
昼と夜、DDTとユニオンのリングに分かれて繰り広げられるゴールデン☆ラヴァーズと総選挙6位という“のびしろ”を持つ2人の激突。一方はそのまま夏の両国まで道は続き、もう一方は本体の別ブランドとしてのユニオンが体現できる独自性をアピールすることで、ひとりでも多くファンを増やすという点でいずれも今後につながっていきます。両国だけがドラマティック・ドリームでなければ、DDTだけがドラマティック・ドリームでもない。じつはここだけのハナシ、夏の訪れを前にしてすでに物語は始まっているのです。それを見逃さないでください。



