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火野は武道館の夢を見るか?(三田佐代子)

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    • 6月24日のDDT後楽園大会で、火野裕士vs飯伏幸太というKO-D無差別級選手権試合が実現する。

      インディー屈指のパワーファイターである火野選手と、誰もが認める“ゴールデン☆スター”飯伏選手の武道館前最後のタイトルマッチ(ニラさんのいつでもどこでも挑戦権を除く)。一昨年、大日本の関本大介選手がKO-D無差別級のベルトを巻いて両国へ向かう時と状況は似ているようで、案外違う。

      まず最大の違いは、火野選手がDDTファンからそれほど憎まれていないという点。関本選手がベルトを巻いていた時には、その圧倒的な強さと「DDTはたいしたことねえな」といった完全に見下した態度で史上最強の外敵となり、その関本選手を倒すための道のりは2度目の両国大会を大いに盛り上げた。しかし火野選手は、ヤス・ウラノ選手やアントーニオ本多選手も属するCrying Wolfのメンバーの一員としてDDTに上がっていて、たった一人でDDTを壊滅させるために君臨した関本選手とは状況が異なる。しかも、あの強さと迫力がありながらもどことなく愛らしい関西弁のマイクアピール。「お前らDDTファンとの闘いでもあるよ」とファンにも認めてほしいという気持ちを隠さず、男色ディーノ選手には異常なまでに怯える。だからこそ、私たちDDTファンは彼を憎むことができない。

      元ジュノンボーイという整った目鼻立ちに、恵まれた体格。得意技のジャーマンやパワーボムには、ものすごい説得力がある。それなのに、例えば知名度でいったら飯伏選手には遙かに劣る。それはひとえに、彼の恵まれすぎた体格ゆえだと思うのだ。

      かつてに比べたらメジャー団体の門戸はインディープロレスラーにも広く開かれており、飯伏選手は新日本プロレスのリングに上がることで、全国的な知名度を得た。さかのぼれば、ザ・グレート・サスケ選手やハヤブサ選手も新日本を経て、全国区のレスラーになっている。ジュニアにはそういったチャンスがある。しかしヘビー級はどうだろう?

      今もって新日本プロレスの『G1クライマックス』に純粋な意味でのインディー出身レスラーが出場したことはなく、全日本プロレスの『チャンピオン・カーニバル』には新崎人生選手や大鷲透選手がエントリーされたことはあっても、優勝争いをするまでには至らなかった。それは仕方のないことで、インディーでは屈指のパワーファイターでもメジャー団体の中に入ってしまうと体格ではかなわない。ジュニアヘビー級と比べて、どうしても体格やパワーが物を言うヘビー級において、インディー選手は長い間結果を出すことができないばかりか、そもそもチャンスすら、なかなか与えられなかった。インディーの選手がインディー団体にいたままで、メジャーで結果を出した選手としては、ZERO1の『火祭り』に優勝し、全日本プロレスではアジアタッグ王者に君臨する、大日本プロレスの関本選手が初めてだと私は思っている。

      翻って火野選手の場合だ。K-DOJOのトップレスラー、インディーの中では一目置かれる彼も、広いプロレス界の中で大きなチャンスを与えられてきたかと言えば疑問が残る。だからこそ、武道館のメインイベンターというポジションは、すでに武道館のリングを経験している飯伏選手ではなく、火野選手にとって、より魅力的で大きなチャンスのはずだ。ああ見えてあまり自分の欲望を声高に語らない火野選手ではあるけれど、飯伏選手を下して武道館にチャンピオンとして登場することが、彼のプロレス人生を大いに変えることは間違いない。

      今年でデビュー9年目の27歳。プロレスラーとして大きな勝負にかけるにはちょうどいい頃だ。インディーマット界が誇る火野裕士vs飯伏幸太の一戦が、火野選手にとって「このボケども」を大いに驚かせ、感動させる一戦であってほしいと願っている。(三田佐代子)

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