24日、北海道・札幌テイセンホールにて「ありがとうテイセン!さようならテイセン!!~DDTより愛と感謝をこめて~」がおこなわれた。鶴見亜門GMと井上マイクリングアナの前説では北海道出身の岩崎孝樹が登場。岩崎は「最後のテイセンホール、全力で頑張りますので応援よろしくお願いします」と誓うとオープニングコールを務めた。
第1試合はMIKAMIvs大石真翔のシングルマッチ。大石が握手を求めるも、応じようとしたMIKAMIにガットショット。カンパーナで捕えてギブアップを迫る。さらに弓矢固めを決める大石だが、MIKAMIは体を反転させて押さえ込む。これはカウント2。劣勢のMIKAMIは串刺し攻撃をフロント・ハイキックで迎撃するとムーンサルトから押さえ込んで逆転。大石もフォアアームエルボーでやり返すとスタナーを放ち、ミラクルエクスタシーを狙う。これをかわしたMIKAMIがデュランダル。さらにミッキーブーメランから450°スプラッシュにつないで勝負あり。
第2試合は斗猛矢&松永智充vs宮武俊&岩崎孝樹のタッグマッチ。宮武が斗猛矢にランニングマンエルボーを狙うもあっさりかわされて自爆。斗猛矢は「ひら~りひら~り」からエルボードロップを落としてカバーし「スリーだろ!」。コーナーで倒立を決めて宮武にロープを揺らされても倒れなかった斗猛矢はオールドスクールからアームホイップ。宮武は替わった松永を自陣コーナーに引き込んで岩崎とスイッチ。松永は岩崎を場外に出すと床へのボディースラム。ボディースラムからカバーするもカウント2。苦しい岩崎は斗猛矢の逆水平にエルボーで果敢に向かっていく。マシンガン逆水平を食らった岩崎は松永の逆片エビに悶絶。岩崎は松永の攻撃をエルボーで迎撃すると替わった宮武がショルダーアタック。バックフリップからバックエルボーを放って岩崎とスイッチ。岩崎がミドルキックで襲い掛かるも、松永がラリアットで黙らせて斗猛矢とタッチ。岩崎は斗猛矢にヒザを入れてからダブルアーム・スープレックス。すぐさま腕十字を決めたが松永にカットされた。最後は斗猛矢がダブルアーム・スープレックスからSODを決めて勝利した。
第3試合は高木三四郎&平田一喜vs坂口征夫&DJニラのタッグマッチ。景気よくあの曲でダンス入場しようとした平田だが背後にいた坂口にすぐまされてやめてしまう。先に入場していた高木が向かっていったが平田と接触してしまった。リングには坂口と平田。平田がコーナーの高木にタッチせんとするが、高木は急にお腹を痛めてしまって動けない。坂口はサングラスを奪い取って平田をからかう。坂口のミドルキックをカウント2で返した平田が高木にタッチを求めるも、高木は再びお腹が痛くなってしまってタッチできない。坂口からニラに替わると高木が喜び勇んでタッチを求めるが阻止されてしまった。平田はなんとかドロップキックを決めて高木とタッチ。高木は2人をドラゴンスクリューで回し、さらに2人まとめてバックフリップ。「弱っている!」とタッチを受けた平田。坂口に「おい!」と一喝されてもめげずに延髄斬り。さらに高木からサングラスを渡されて装着すると覚醒。敵・味方・レフェリー関係なくバッタバッタとなぎ倒す平田だったが、坂口にサングラスを奪われてしまう。サングラスを装着した坂口は曲に合わせてボディーブロー。ニラの足延髄から坂口がPK。続いてニラがダイビング・ロケットパンチを放つと平田がキャッチしてくるりと丸め込んで逆転勝利。試合後、平田はあの曲で気分よくダンスに興じた。
第4試合はアントーニオ本多vsマサ高梨vs赤井沙希のテイセン名物ウニイクラホタテ丼的3WAYマッチ。この試合は目隠しをした状態で試合をし、さらに曲がかかる酒を呑まなければならない、目隠しドリンキングマッチで争われることに。3人とも視界を遮られているため、大きい音や少しの接触だけでおっかなビックリする有様。ファンの声を頼りに向かっていき、ようやくアントンと高梨のフィンガーロックが成立したが、すぐさま解除してしまう。赤井が高梨に接触してハンマーを振り下ろす。赤井が高梨にブレーンバスターをかけようとすると、アントンも高梨にジャーマンで投げようとしたため、技がぶつかりあってまったくかからず。ここでドリンキングタイムへ。アントンは早くも飲まれた様子で場外へ。高梨、赤井も場外へと移るが方々に散らばってしまって接触ならず。2回目のドリンキングタイムを挟んで先にリングに戻った赤井がとりあえず足を振り回していると、リングに上がったアントン、続けて高梨へミドルキックの形でヒット。赤井がコーナーへ登ったところでドリンキングタイムへ。コーナーに登ったまま酒を飲みほした赤井は誰もいない空間にダイビング・ボディーアタックを放って壮絶に自爆。アントンは間違って松井レフェリーにナックルパンチ。バイオニックエルボーを間一髪で回避した松井レフェリーだったが、高梨と接触。高梨は敵と誤ってタカタニックの体勢。これも松井レフェリーは間一髪で回避する。「もう嫌だ!」と嘆く松井レフェリーがアントンと高梨にロープへ振られたが両腕ラリアットでなぎ倒すと、ダウンした2人に赤井が躓いて覆いかぶさる。松井レフェリーがマットを3つ叩いて赤井が勝利。勝ち名乗りを受けた赤井は一升瓶をラッパ呑みしながら千鳥足で引き揚げた。
第5試合は男色ディーノvs佐々木大輔のシングルマッチ。ディーノは男性客に無差別セクハラ攻撃を繰り返しながらリングイン。佐々木はまだ保持しているいつどこ挑戦権を両腕にはめて登場した。ディーノがマイクを取る。ディーノ「このテイセンホールの歴史を掘り起こして掘り起こして…あの試合形式でやるしかないかしら。その名もロンドンTタイム!」亜門「初耳なんだけど…」ディーノ「アンタ、GMになって日が浅いからそう言うんだろうけど、昔からテイセンではやってきたのよ。英国紳士はティーをたしなむわけですよ。したがって我々はティーの状態で…Tバックの状態で相手の唇をティーカップを飲むかのように、口を塞いだ状態で肩を3秒間つけなきゃいけないルール。さあ! Tタイムをたしなみましょうよ」佐々木「黙れ、ディーノ! そのルール、断る。おいレフェリー、ゴングを鳴らせ!」しかし、向かった佐々木にディーノがリップロック。そのまま押さえ込んで3カウント。佐々木の保持していたいつどこ挑戦権の一つがディーノに移動した。佐々木は泣きべそで「Tタイムをたしなませてください…」と懇願。ディーノが了承するや、「よーし、レフェリー! ゴングを鳴らせ!」と佐々木は態度を一変させて向かっていく。ロンドンTタイムマッチによる再試合は先ほどと同じように向かっていった佐々木へディーノがリップロック。そのまま押さえ込むも佐々木が何とかクリア。男色ドライバー狙いを阻止した佐々木がクロス・フェースロックで捕獲して、ディーノがタップするも当然無効。佐々木が意を決してタイツを下げてTバックとなり、唇を重ねようとしたところでディーノが反転して口づけしたまま3カウント。佐々木の残りのいつどこ挑戦権もディーノへ移動。この結果、ディーノがいつどこ挑戦権2冠に。佐々木はたった一日で丸腰となった。
【試合後のコメント】
ディーノ 男色ディーノ様のお時間がやってまいりましたという話です。
――これを前もっていた方(佐々木)は全部揃えたいと言っていたが。
ディーノ 揃えますよ。5つ全部集めます。
――一つはもう使われてしまったんですけど…。
ディーノ 概念ですよ。いつでもどこでも挑戦権は概念です。じゃあ逆に聞きますけど、年がら年中、他の団体で挑戦しているのが概念のいつでもどこでも挑戦権じゃなければなんだって言うんですか。なんでその人が挑戦しなきゃいけない理由をアナタは説明できますか? 概念なんです。
――集めた先に見えてくるものは?
ディーノ 違うんですよ。集めた先も目標なんですけど、夢を追うことってそうじゃないじゃないですか。追っている自分も楽しむ。追ったあとも追ったあとの自分がいますよ、そんなもの。その時々の自分を楽しませずして、何がいつでもどこでも挑戦権ですか! でも、これだけは言っておきたい。いつも心に挑戦権。みなさんに伝えたい。あろうがなかろうが、挑戦権はいつだってあなた方の心にありますよ。
佐々木 見ての通り、一日で全部失いましたよ。夢も希望もないよ。絶望だよ、絶望。プロレスっていうのは絶望だよ。
セミファイナルはヤス・ウラノ&彰人vs石井慧介&高尾蒼馬のタッグマッチ。高尾にスマスカがエルボードロップを連打。高尾はヤスに鋭いエルボーを見舞う。ここからエルボー合戦へ。高尾がカウンターのドロップキックを見舞い、石井との連係を決める。替わった石井がダブルニーを投下。ヤスが高尾にバンダナで叩いていくも、高尾もそれを奪い取ってヤスを叩いていく。ローンバトルを強いられたヤス。石井のヘッドシザースはロープに逃げると、逆さ押さえ込み。さらにドロップキックを決めてようやく彰人とタッチをかわす。石井のフランケンから高尾のランニング・フォアアーム、背中へのダイビング・フットスタンプで攻め込まれた彰人だが、ブレーンバスターで投げ返してヤスへタッチ。ヤスはキックで攻め込み、ダイビング・ボディープレスはかわされて自爆。石井のフィッシャーマンバスターから高尾のマッドスプラッシュは彰人がカット。高尾のジントニックは這って逃れたヤスが丸め込むも、これは石井がローリング・セントーンを浴びせてカット。しかし、エルボーで向かってくる高尾の腕を絡めとったヤスが連続回転逆さ押さえ込み(いわゆるモダンタイムス)でフォールを奪った。
メインイベントはHARASHIMA&飯伏幸太&KUDOvs入江茂弘&竹下幸之介&樋口和貞のありがとうテイセン!さようならテイセン!!~DDTより愛と感謝をこめて~スペシャル6人タッグマッチ。現在のDDTトップ3人とDDT新世代3人の6人タッグマッチ。樋口が先発を買って出ると、飯伏がリングインして両者の攻防で試合スタート。腕の取り合いから飯伏がヘッドロック。樋口も抜け出し今度はKUDOと入江が対峙する。フロント・スリーパーを狙うKUDOを入江が抱えて自陣コーナーまで運んで竹下とスイッチ。竹下はバックブリーカーから外道クラッチ。これはKUDOがカウント2で返してHARASHIMAとタッチ。竹下がグラウンドからHARASHIMAを自陣コーナーに引き込み、樋口がリングインする。手四つと見せかけて昼興行と同じく左脚を蹴るHARASHIMAに樋口はチョップ。ショルダーアタックの打ち合いから樋口を場外に出したHARASHIMAがプランチャ、KUDOがリング下の入江にトペ、飯伏がリング下の竹下にバミューダ・トライアングルを決めて場内大歓声。ここから場外戦へ。HARASHIMAが樋口を連れてリングに戻る。昼の試合で左脚にダメージの残る樋口がローンバトルを強いられる。樋口はそれでもHARASHIMAに重爆ドロップキックを決めると替わった竹下がブレーンバスター。スイッチした入江がテディベアを浴びせる猛攻。フライング・ソーセージ狙いでコーナーに登る入江を捕まえたHARASHIMAは雪崩式ブレーンバスターを決めて逆転。HARASHIMA、飯伏、KUDOに囲まれた入江が一人で何とかしようと試みるも、ミドルキック3連打を食らってしまう。HARASHIMAのミドルキックはカウント2。串刺し攻撃からKUDOがダイビング・ダブルニードロップを繰り出し、飯伏のその場跳びムーンサルトとHARASHIMAのスワンダイブ式ボディープレスの合体攻撃。これは竹下と樋口がカット。入江がブラックホールスラムで逆転し、替わった樋口は飯伏のその場跳びムーンサルトをキャッチしてオクラホマスタンピード。竹下が出てきてブルーサンダーを決める。飯伏もミドルキックで竹下の動きを止めるとその場跳びムーンサルト・ダブルニー。ここから6人がリング上で技を次々と繰り出して全員ダウン。起き上がった飯伏は竹下とエルボーのラリー。そこからショートレンジ・ラリアットをブチ込むとシットダウン・ラストライドに一気につなげて勝負あり。
試合後、飯伏の呼びかけて全選手がリングに上がると亜門GMがテイセンホールの思い出を聞いていく。HARASHIMA「初めてのKO-Dタイトルマッチをポイズン澤田さんとここテイセンのリングをおこないました。その時は負けちゃいましたけど、思い出深い会場です」樋口「札幌テイセンの思い出といっても自分、今日が初めてなんですよ。思い出深い地になったんですけど、会場がなくなってしまうのは悲しいです。間に合ってよかったです」石井「思い出は2011年12月10日です。入江クンとKO-Dタッグ初戴冠した場所です」入江「僕も同じです」斗猛矢「DDTの最初の頃のテイセンホール大会から協力させてもらっているんですけど、その時に比べたら今日のお客さん、すごく数が増えていてDDTの成長とともに、そういう姿を見られてうれしいと思います。両国進出したり、武道館進出したり、これから東京ドーム目指してやっていくと思うんで、これからみなさんも応援してもらえれば。あとテイセンの思い出の試合といえば、何年か前にMIKAMIと組んでKO-Dのタッグに挑戦したんですけど、地方のローカルレスラーでもタイトルを奪取して夢を見させたいなと思ったですけど、テイセンでは叶わなかったんですけど、また違う会場でその夢の続きを俺も見ていきたいと思います」KUDO「ワタクシ、あんまりケガしないんですけど、ヒジを脱臼したのがここで。また次来るときもケガするんじゃないかと怖かったんですけど、それを乗り越えて好きな会場になっていきました。思い出に残っている坂口さんと組んでゴールデン☆ラヴァーズに挑戦した試合です」高木「約10年前に札幌テイセンホールにDDTが上陸させていただきました。一番の思い出はボウリングの球を中澤マイケルに向けて投げたら、アイツが避けて壁に直撃して大穴が空きました。当然弁償させていただきました。今日もいろいろあったみたいですけど、札幌に初めて来たときは200人しかお客さんがいなかったんですけど、10年たってこれだけ多くのお客さんに支持されるようになりました。テイセンホールは6月いっぱいで閉館になってしまうかもしれませんが、札幌におけるDDTは終わったわけではありません! お客さんに約束します。年内にこの札幌にDDTは戻ってきます! その時、また応援よろしくお願いします! テイセンホール、ありがとう!」最後、お客さんと一緒に三本締めでDDT最後のテイセンホールは締めくくられた。
【試合後のコメント】
――昼に続いて樋口選手と対戦することになったが。
HARASHIMA 6人タッグだったけど、うまくあのチームになじんで。アイツだけキャリア半年だけど、それがわからないぐらい試合してましたよね。さすがです。
――飯伏選手は若手3人はどうだった?
飯伏 樋口とは初だったんですけど、竹下のようなアスリートとは違うナチュラルなパワー。体幹が強いというか、ビビりましたね。あのキャリアで。本当に昼のあれだけでレベルアップしてるんじゃないかと。変わってました。
HARASHIMA そうですね。確実にやったことが身についているんだと思います。
KUDO 僕らが入ったころと時代が違うんですよ。僕らは誰でも入れる時代にプロレスラーになっているんで、彼らはすごいなと思います。でも僕は年齢を言い訳にしたくないし、今日は勝ったし。いい刺激になってますね。若い人が伸びているし、体も力強いし、俺らも負けたくないと思うし、下からの突き上げを上がガンっと押さえつけるというDDTがいい感じに動いているんじゃないですか。僕ら最後に組んだのいつですかね。
飯伏 3人で組んだことありましたっけ?
KUDO ある。ハワイ軍とかとやっている気がする。
HARASHIMA それはあるかもしれない。
飯伏 8年ぐらい前ですか。
HARASHIMA あと意外とテイセンでタイトルマッチをやっている。火野クンともやったことがあるし。
――もし8年ぶりに組んだとして、次組むとしたら8年後。その時の自分たちはどうなっていると思う?
飯伏 HARASHIMAさんは進化するんじゃないですか。僕は劣化するはずです。KUDOさんも。HARASHIMAさんは進化する幻想があります。
HARASHIMA すごい先のことをどうなろうとか考えるより、今を精一杯やっていくのがいい結果につながっていくと思います。
KUDO その儚さが心打つんですよ。僕は命かけてベルト取りにいくんで覚悟してください。
HARASHIMA 僕は命をかけてベルトを守ります。
――もっと大きくなったDDTでまた札幌に帰ってくる。
HARASHIMA 年内にチャンピオンとして戻ってきます。
KUDO 私もチャンピオンになって戻ってきます。
飯伏 僕ら最強ですから。
HARASHIMA まあ、ここ組んだらね(笑)。