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【名古屋リポート】29分の死闘…彰人がラストマン・スタンディングマッチを制してEXTREME級V2!「僕と入江さんの物語はここか

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    • 17日、愛知・名古屋国際会議場にて「友情、努力、勝利 in NAGOYA」がおこなわれた。鶴見亜門GMの前説では次回の名古屋大会が11月3日(火=祝)、同じ名古屋国際会議場に決定したことが伝えられた。続いてオープニングコールに指名されたのは、いつでもどこでも挑戦権を保持し、5・24札幌で挑戦を表明している樋口和貞。「皆さん、こんにちは、DNAの樋口です。自分は元力士だったんですけど、名古屋場所で夏に名古屋に来ることが多くて、すごい暑い所だなと思ったんですけど、この時期に来てみると、とても涼しくて過ごしやすいですね」と挨拶。そしてこの日の試合に関して「3WAYマッチなんで、必ずこの“いつどこ挑戦権”を守って、札幌でKO-Dに挑戦しますんで、チャンピオンとしてまた名古屋に帰ってきたいと思いますんで、応援よろしくお願いします」と必勝を誓った。そして最後に「DDT名古屋大会スタート!」と右拳を突き上げてオープニングコール。

      第1試合は石井慧介&高尾蒼馬vs松永智充&勝俣瞬馬のタッグマッチ。石井と松永が先発。高尾vs勝俣の顔合わせになると、速い動きに。勝俣がサルトモルタルを切って、ランニング・フォアアームを決める。高尾もドロップキックを返し、石井がボディーへのダブルニードロップ。高尾は逆片エビで締め上げていく。勝俣が高尾にミサイルキック、ドロップキックを決めたところで松永にタッチ。松永は天龍チョップから相撲ラリアット、スモーピオンデスロックを高尾に決める。石井がカットに飛び込んでくると、相撲タックルで迎撃。勝俣は石井にミサイルキック、コーナー最上段からのボディーアタックを決める。しかしムーンサルト・プレスはかわされて自爆。石井が勝俣にフィッシャーマンバスターを決めると、高尾がリングに飛び込んできた松永にバッククラッカー。そのままバックブリーカーの状態で締め上げているところへ、石井がダブルニーを落とす。そして石井の延髄斬りと高尾の右ハイキックのサンドイッチ攻撃。これで松永を排除すると、石井は勝俣がロープに走ったところ、ニールキックで迎撃。これがズバリ決まって3カウントを奪った。

      第2試合は鶴見亜門杯争奪ランブル。大石真翔と宮武俊がリングインしたところで試合開始。大石がアームドラッグを決めたところでマサ高梨がリングイン。そのまま宮武をトップロープ越しに転落させようとするが失敗に終わる。宮武が高梨を肩に担ぎ上げたところで坂口征夫が駆け込んできた。そして宮武のボディーにパンチ。宮武に逆水平に対し、鋭いキックを放っていく坂口。ロープ際で蹴りを浴びたところで、高梨が押し込んで、そのままオーバー・ザ・トップロープで失格。ここでDJニラが入場。しかしすぐにリングインせず、リングサイドで撮影していた藤岡メガネをリングに押し込んだところ、「緊急参戦」とコールされた。もちろん、闘う意思など全くない藤岡。そんな藤岡に詰め寄る坂口と高梨。「出すもの出せ」「持ってるはずだ」とどうやらリング上でカツアゲしている模様。「持ってません」とポケットは空だとアピールする藤岡。すると坂口は「(着ている)ジャージーを脱げ」と命じる。渋々、ジャージーを脱ぐとブラジャーを着けていた。恥ずかしい姿をさらけ出された藤岡は、意を決して坂口に向かっていくも、スリーパーにとらえられてギブアップ。ここでMIKAMIがスワンダイブ式でリングイン。そのまま高梨にミサイルキックを放っていく。コーナーに乗せられて坂口の走り込んでの蹴りを浴びたがトップロープをつかんでこらえたため、辛うじて失格にはならず。ここで最後の選手として赤井沙希が走りこんで来た。リングに上がると、果敢にも坂口に対して蹴りを放っていく。3発受け流した坂口は、赤井にお返しのミドルキック。倒れこんだところでスリーパーに捕らえるが、ニラが坂口の立てているヒザに乗って、全体重をかけていく。その痛みでスリーパーを解いた。ここで高梨が坂口を救出。坂口はコーナーを背にする大石に走り込んでの蹴りを放っていったが、かわされてトップロープ越しにエプロンに。そこに赤井がビッグブーツを叩き込んで坂口を転落させた。さらに大石にビッグブーツ、ダイビング・ボディーアタックを決めた赤井。しかしこれを受け止めた大石は体を入れ替えてカバー。高梨もその上から押さえ込んで3カウントが数えられた。ここでMIKAMIがコーナートップからの攻撃を狙って上ると、ニラが背後からロケットパンチ。そのままコーナーに上がろうとしたニラだったが、足を滑らせてトップロープ越しに場外に転落して失格となった。これで残るは大石とMIKAMI、高梨の3人のみ。高梨がタカタニックを狙ってきたところ、大きく跳ね上げて阻止した大石はミラクルエクスタシーを決める。そのままカバーにいったところ、スワンダイブでリングインしたMIKAMIがそのままスク~ルボ~イで丸め込んで3カウント。さらに高梨にも450°スプラッシュを決めて優勝を飾った。

      優勝したMIKAMIには「GMの権限の範囲内で」の条件付きながら、願い事が叶えられることで、試合終了直後に亜門GMがリングに上がり、その願い事を聞き出そうとした。しかしマイクを渡されたMIKAMIは「願い事? 俺はまだまだDDTでやりたいことあるし、俺の頭の中には(願い事は)当然ある。それは近い将来、その時が来たら話すよ」とこの場では明かさず。亜門GMもそれを了承して「その時が来たら話してください。なんでも叶えます」と約束した。

      第3試合はアントーニオ本多&竹下幸之介&福田洋vs高木三四郎&大鷲透&平田一喜の6人タッグマッチ。高木と大鷲が先に入場。そしてアントン組が入場。リング上が2対3になったところで、高木が「もう一人は?」と探しているところであの曲が流れる。すると平田はバルコニーに姿を見せた。しかし、ここでアントン組が襲い掛かって、平田が踊り始めたところで試合開始のゴング。リング上は2対3の状態が続く。それでも大鷲が逆水平連発で竹下を、高木がルチャ殺法で福田を追い込み、ほぼ互角の展開。ここでようやく平田がリングサイドに。リングに飛び込んで来て「俺はここに踊りに来たの!」と言い終わる前に、高木と福田のドロップキックを同時に浴びる。そのままアントン、竹下、福田に攻撃を浴び続ける平田。なんとかアントンにコルバタを決めて大鷲にタッチしたが、ここまで全くいいところなし。大鷲とアントンがバイオニックエルボーの打ち合いを繰り広げ、竹下が高木にビッグブーツ、ブルーサンダーを決める。竹下がコーナーに上がったところでロケットパンチを放った高木は、エプロンに下り立った竹下にぶっこ抜き雪崩式ブレーンバスターを決めた。ここで6選手がめまぐるしくリングインしての攻撃が展開され、最後に平田がアントンにランニング・フォアアームを決める。そしておもむろにHIRATA GO!サングラスを取り出してかけたところ、あの曲が流れ始めた。平田が踊り始めたところで、背後からアントンが攻撃。サングラスを奪い取ってかけると、今度はアントンが踊り始める。平田とサングラスの奪い合いになり、アントンがバックドロップを決める。リングに落とされたサングラスを拾い上げた松井レフェリー。観客の「マツイ」コールに乗せられてサングラスを装着。そしてあの音楽に合わせて踊り始めた。それを阻止しようとリングに飛び込んできた6選手に対し、リズムに合わせてラリアットを決めていく松井レフェリー。さらにアントンと福田まで、サングラスをかけて松井レフェリーと一緒に踊り始めた。ここで平田を捕まえたアントンがスコーピオン・デス・ドロップ。そしてカバー。松井レフェリーは3カウントを叩くと、アントン組と一緒に引き揚げていってしまった。

      試合後、平田に高木と大鷲がブチ切れ。大鷲「お前、おんなじようなこと、もう一年もやってんだぞ! いい加減、学習しろよ!」高木「2団体を経営して疲れ果てて、でもな、名古屋のお客さんの笑顔が見たくて、今日は名古屋にやって来た。でもなんで、エプロンから踊りを見なくちゃいけないんだ! 大鷲さん、このままでは我々は一生、まともな試合はできません」大鷲「高木さん、ここ2、3年、ずっとこの状態が続いてます。特に平田が加入したこの1年間は、その拍車がかかってます」高木「このままじゃ僕ら、プロレス界の頂点、狙えません」大鷲「高木さん、我々、頂点目指してたって、今初めて聞いたんですけど…」高木「そういうことになってます」大鷲「常に上を向いて…」高木「このままじゃ、一生ラチが明かないんで、大鷲さん、我々そろそろT2ひーの新メンバーを募集しないですか?」大鷲「高木さん、これ以上、新メンバー増やして大丈夫なんですか? (平田を指差して)こういうのがまたどんどん増えていくんじゃないですか?」高木「今の状態だと、必ずこの3人で組まざるを得ない状態なんで」大鷲「つまり、この3人で組む以上は、この闘いと同じパターンがあと2、3年続くってことですね?」高木「それは避けなければいけません。いい加減、お客さんに怒られてしまいます」ということで、亜門GMに対し、新メンバーのオーディションを開催す許可を求めた。亜門GMはすんなり了承。高木が「大きな場所でやりたい」と言うと「じゃあ、今度の5月31日の後楽園ホールでやるっていうのはどうでしょう?」と提案。高木も「いいじゃない」とそれに賛同した。そして新メンバー公募のリリースを流すよう命じる。それも「一般公募」。これには大鷲が「一般公募すると、名古屋の英雄とかが(申請書を)送ってきたらどうするんですか?」と不安を隠せなかったが、高木は「書類(選考)の段階ではねる」。というわけで、「プロアマ経験問わず」で募集することに。最後に高木は平田に対して、「お前、もうちょっと頑張らないと、新メンバーに食われちゃうよぉ~」と釘を刺し、新メンバーを加えて名古屋に帰ってくると伝えてリングを下りた。

      第4試合はKUDOvs佐々木大輔vs樋口和貞の3WAYマッチ。ゴングが鳴るとKUDOと樋口が歩を詰めてにらみ合う。そこに割り込もうとする佐々木だが、押しのけられてしまう。佐々木を追い払ったところでKUDOと樋口が激突。ショルダーアタックでKUDOをダウンさせた樋口。しかし佐々木が素早くカバーにいき、漁夫の利をせしめようとする。KUDOにカウンターのドロップキックを決め、リバース・インディアンデスロックの体勢に入った佐々木。すると樋口が佐々木の逆水平。ダウンする佐々木だが、同時にKUDOに攻撃を加える形に。3発目の逆水平はかわして、そのままDDTを決めるなど、3WAYマッチらしい攻撃を見せる。佐々木と樋口を同士打ちさせたKUDO。リング下に落ちたところでトペを放つが、佐々木はかわして樋口にのみヒット。ここで佐々木はリング下のKUDO&樋口に、コーナー最上段からのトペ・コンヒーロを放った。リングに戻った佐々木はKUDOにケブラドーラ・コンヒーロを決めてカバー。するとリングに生還した樋口はKUDOに覆いかぶさっている佐々木を引っこ抜くようにカナディアン・バックブリーカーに担ぎ上げる。しかしKUDOにカットされて決め手にならず。それでも樋口は相撲タックルで佐々木を大きく吹っ飛ばす。そしてカナディアン・バックブリーカーを狙うが、佐々木はそれをクロス・フェースロックに切り返した。だが、樋口はそのまま強引に立ち上がり、佐々木にバックドロップ。さらにカナディアン・バックブリーカーに担ぎ上げるも、佐々木は体を揺らして後方に着地。KUDOが佐々木にダイビング・ダブルニーを決め、樋口が佐々木をロープ際のラリアットでトップロープ越しに場外に転落させる。一騎打ち状態にして、樋口は逆水平、KUDOはキックを打ち込んでいく。そして樋口がヘッドバット、KUDOが右ハイキック、樋口がラリアット。リングに生還した佐々木は2人まとめてクロス・フェースロックを決めて絞め上げるも、ギブアップを奪うまでには至らず。佐々木がKUDOに雪崩式ブレーンバスターを狙ったところで、樋口が佐々木をパワーボムで叩きつけると、KUDOも雪崩式ブレーンバスターを食らう形に。樋口はさらにKUDOをぶちかましで大きく吹っ飛ばすと、佐々木のコーナーからのボディーアタックを受け止める。そのままマットに叩きつけるが、KUDOが割り込んできたため3カウントは奪えず。KUDOと樋口は激しくやり合っているところで、佐々木がKUDOに丸め込みを連発。カウント2で返していったKUDOだが、佐々木式ウラカンラナからがっちり両足をホールドされて、3カウントを許してしまった。

      試合の結果を受けて、亜門GMが今後のKO-D無差別級タイトルマッチを整理。まず「いつでもどこで挑戦権の行方次第で変更になるかもしれませんが、(5・24札幌での)HARASHIMAvs樋口和貞のKO-D無差別級選手権試合、決定とさせていただきます」と発表。「そして、5月31日の後楽園大会で発表してました、札幌の勝者vsKUDOのタイトルマッチは、白紙とさせていただきます」と続けた。これにKUDOは言葉を発せず、リングを下りて引き揚げていった。そしてリングに残った佐々木に「大ちゃん、まさか(いつどこ挑戦権を)3つ持つことになるとは思わなかったんだけど、それをどこで使うとかいうプランはあるのかな?」と問うたところ、佐々木は「今日は……使わない。使いません。使いませんよ。言ったでしょ? 俺が全部集めるって」と改めて行使しないと明言。これには亜門GMも「何のための挑戦権かわかんなくなっちゃうからさ、使ってほしいんだけどね」と言うも、佐々木は「GM、ごめんな。見ての通り、今日、俺が勝つと思ったヤツ、いないだろ? 俺の勝ちだよ。俺が1、2、3…3つ集めた。あと一つ、あと一つ。俺はこのいつどこ(挑戦権)、全部集めるぞ」と権利総取りを宣言した。

      【試合後のコメント】
      樋口 3WAY自体が初めてなんで、慣れない部分もあったんですけど、とりあえずはいつでもどこでも挑戦権を守れたんで、(5・24)札幌での挑戦がほぼ確定したんでよかったなと。
      ――慣れない試合形式で危ない場面もありましたが…。
      樋口 その辺はキャリアなんでしょうね。自分はまだまだだなっていうのがわかりました。勉強させてもらって、だからこそ札幌で頑張ってタイトルを獲りたいなと思いました。
      ――挑戦権を集めている佐々木大輔選手についてはどう思いますか?
      樋口 そうですね…佐々木さんは自分なりの信念のもとに行動してると思います。

      KUDO 俺はあきらめてねぇから。こんなところでつまずけねぇし。次の札幌で(佐々木)大輔と試合組まれてるんで、そこで必ずいつでもどこでも挑戦権獲って、31日の後楽園で(KO-D無差別級に)挑戦します。大輔、オマエ逃げんじゃんぇぞ。
      高梨 そういうことだ、おい。あいつはたまたまな、兄貴の挑戦権をかすめ取ったかもしんねぇけどな、そううまくはいかねぇよ、あの泥棒野郎。札幌で天罰与えてやるからな。あいつの夢である挑戦権の総取りは札幌で終わりだ、あの泥棒野郎。許さねぇからな。

      ――札幌で(佐々木大輔に)勝った場合、挑戦権は3つとももらえるんですか?
      KUDO それはDDT担当記者が知ってます。加藤さん、説明してあげてください。
      週刊プロレス・加藤朝太記者 挑戦権は一つしか動かない…(KUDOは加藤記者の説明を聞くまでもなく引き揚げた)。

      佐々木 あと2つ、あと2つ。(三田)佐代子、俺が勝つと思わなかっただろ? 正直に言ってみろよ。
      三田佐代子女史 正直に厳しい闘いだなと思ってました。
      佐々木 俺は勝ったんだよ、佐代子。あと2つも俺が集めるなんて思ってないだろな? 俺はやるぞ。
      加藤記者 札幌で樋口選手が(いつでもどこでも挑戦権を)使ってしまうと、一つなくなってしまうんですが…(加藤記者が言い終わるか終わらないかのうちに、佐々木は立ち上がって無言で控室へ)。


      第5試合は男色人生vs新崎人生のシングルマッチ。ロックアップから人生をコーナーに追い詰めた男色はブレイクの際、股間にソフトタッチ。リストロックを決めると、自身の股間に相手の手をあてがうなどの揺さぶりを懸けて、拝み渡りを狙う。しかし、1度目はロープを歩くまでに腕を振り払われ、2度目は途中で腕を引き抜かれたので、トップロープに股間を痛打した。ボディースラム、スリーパー、ストラングルホールド、ケイ動脈クローと守勢に回った男色だったが、男色スクリュー攻撃から3度目の正直で拝み渡りを成功させた。しかし直後に放ったブレーンクローは地獄突きで迎撃される。そして逆に本家拝み渡りからのブレーンチョップを食らった。ならばと強引にリップロックを狙ったが、かわされて松井レフェリーにヒット。レフェリーはそのまま失神して、リング下でダウンしてしまった。その間、リング上では男色がファイト一発から男色ドライバーを決めるも、レフェリーは失神しているのでカウントが数えられない。ここで大石がリングに飛び込んでくると、男色はコーナーに上がって尻を出す。一度はそこに人生を顔面から突っ込ませた大石だが、逆に顔面を押し付けられるとダウン。ここで人生は無防備の男色の臀部に地獄突きを放つ。強烈な一撃にコーナーから転落した男色。人生のフライング・ショルダーアタック、ノド輪落としから極楽固めであえなくギブアップした。

      試合後、人生がマイクを取る。人生「ディーノ、あの入場のときに持ってった杖はなんだよ? ホウキか? 実はな、俺の故郷の四国の八十八番の住職さんたちから、たくさんクレームが来てるんだ。ぜひ、今回名古屋に行って、ディーノさんに止めるよう説得してくれないかって。ディーノ、(男色人生)止めてくれないか?」と懇願。男色は大石を通訳に「俺は一生、男色人生でやっていく」と伝え、リング中央であぐらをかく。それを見て大石が「見てください、このテコでも動かんという格好を」と続けると、人生は「ウチの会長(ザ・グレート・サスケ)にも通じるな」と漏らす。すると人生は「なあ、松井、DDTの会社や亜門さんなんかは、どう思ってるんだ?」と尋ねる。松井レフェリーは「心から止めてほしいと思ってます」と答える。それを聞いた人生は「今日こうして名古屋まで来て試合に勝って、それでもまだ止めないっていうのならどうすればいいんだよ?」と男色に問う。大石に何やら耳打ちした男色。大石の口から出た言葉は「欲しい。新崎人生が欲しい」。すると男色は立ち上がり、目をつぶって唇を尖らせた。大石は「この格好を見ればわかるでしょ? あなたが欲しい。わかんないですか? あなたのキスで、私は(元の男色ディーノに)戻るとおっしゃっております」。これに人生が「お客さん、望んでないぞ」と返すと、期せずして観客から「キス」コール。これを聞いた大石は「8割方、望んでおります。お願いします」。人生は「それで本当に止めてくれるのか?」と確認して「俺もいろんな住職さんからの約束を預かってきてるから、そこはプロとして我慢しよう」と言って、男色の頬にキスをした。これには大石が「オイ、ガキじゃねぇんだからさ。わかるだろ? この(ディーノの)顔を見ろよ。あんたも大人でしょ? こっちは37(歳)のおっさんなんだ。あ、明日、こいつの誕生日だからさ、誕生日プレゼントだと思ってさ、口にキスぐらいいいんじゃねぇのかよ。見ろよ、この顔。欲しがってんだよ、あんたを」と突っ込む。観客からの「頑張れ!」の声に人生は「『頑張れ』って、そんな応援されたことない」と、何とか拒否しようとするも、大石の援軍は止まらず。ついに観念した新崎は「しょうがないな」とマウス・トゥ・マウスでキスをした。これで正気に戻ったディーノ。大石が「戻ってきた! 男色ディーノが、黄泉の国から戻ってきた!」と叫ぶと、ディーノはリング下にいた宮武を襲い始めた。その様子を見ていた人生の存在に気づくと、引き揚げようとする人生を追いかけて入場ゲートの向こうに消えていった。

      セミファイナルはKO-Dタッグ選手権試合。第51代王者組の関本大介&岡林裕二はHARASHIMA&ヤス・ウラノを相手に3度目の防衛戦。先発はHARASHIMAと岡林。HARASHIMAが牽制気味にキックを放って岡林にペースをつかませなかったが、ヤスに代わったところで、大日本コンビはパワー全開。交互にボディースラムで叩きつけていく。場外にエスケープしたヤスは、リング下で岡林のラリアットを関本に同士打ちさせ、さらにラリアットを鉄柱に誤爆させる。これを機にDDTコンビは岡林の左腕に攻撃を集中させていく。耐えるのに精いっぱいで動きが止まった岡林。しかし右腕で強引に振りほどくようにチョップを叩き込んでいって関本へのタッチを成立させる。関本はヤスに串刺しラリアットを放ち、サソリ固めへ。ヤスはコルバタで関本の攻撃を断ち切りHARASHIMAにタッチする。ミサイルキック、雪崩式ブレーンバスターを決めたHARASHIMA。そして関本のハンマーパンチとHARASHIMAのキックの打ち合いへ。関本のヘッドバット、HARASHIMAの延髄斬りと互いに攻撃は激しくなっていった。ヤスは関本にパンチを叩き込み、岡林はヤスにブレーンバスター。ヤスの丸め込みの連続攻撃をしのいだ岡林は、HARASHIMAとヤスをまとめて同時にバックドロップ。続くヤスへのアルゼンチン・バックブリーカーはアームロックに切り返されたものの、ヤスが仕掛けてきた腕十字は強引に起き上がって振りほどいた。ヤスのアームロックを関本が後頭部への逆水平でカットすると、ラリアットを叩き込む。しかしHARASHIMAがリバース・フランケンシュタイナー。続く蒼魔刀をかわした関本は、岡林を呼び込んで眉山を決める。リング上で孤立したヤスに串刺しラリアット2連発を決めた関本。そして岡林がパワーボムからゴーレムスプラッシュを決めて、HARASHIMAのKO-Dシングル&タッグ2冠王を阻止した。

      試合後、防衛を果たした大日本コンビにベルトを授与した亜門GMが「岡林さん、防衛おめでとうございます。すごい試合でした」と称えたところでMIKAMIがエプロンに上がる。そしてマイクを手にすると「GM、さっきの願い事の件だけどな、今、言うわ。このKO-Dタッグ選手権のベルトに挑戦する」と宣言。亜門GMから「ちなみにパートナーは誰を予定してますか? この2人からベルトを取り戻すには、並大抵の選手では難しいと思いますが」と質問されると「パートナー、並大抵じゃない男。パートナーは、石川修司だ」とMIKAMI。「石川の巨体、それと俺のハイフライ、テクニック、この2つがスイングすれば面白ぇんじゃねぇか?」と続けると、亜門GMは「わかりました。挑戦者チームとして資格十分だと思います。次の挑戦者チームはMIKAMI&石川修司組で決定いたします」とした。さらにMIKAMIは「バケモノお二人さん、相変わらず筋消しみたいな体しやがってよ。必ず、俺と石川修司、力合わせて、ベルト、俺はやりたいことあって、ベルトどうしても必要なんだよ。絶対、獲りにいくからな」と王座奪取を宣言。詰め寄ってくる関本&岡林とにらみ合ってからリングを下りた。関本がマイクを掴んで「MIKAMI、石川。やってやるよ、コノヤロー。正々堂々と受けて立ってやる、コノヤロー」。そして岡林も「よし、こうなったら、DDTのタッグチーム、全部ぶっ潰して、俺たちがナンバーワンタッグチームになってやる! ピッサリ!」と宣言した。

      【試合後のコメント】
      関本 (岡林に向かって)ヒジ大丈夫ですか?
      岡林 大丈夫です。本当にもう、リング上でも言ったんですけど、DDTの全タッグチームをぶっ潰します。今日の試合で、一層思いました。
      関本 次はMIKAMI&石川修司ですか? MIKAMI選手がアピールしに来ましたけど、石川修司を連れてくるって…もう、ゴジラでもキングギドラでも連れて来い。誰でもいいよ。
      岡林 ほんとに誰が来ても関係ないですね。この勢いだったら、全部のチームを潰せる自信があります。
      ――岡林選手は途中、しつこく腕を攻められましたが。
      岡林 そうですね。来たかと思ったけど、何とかパワーで跳ね返せましたね。途中、どうしようかなと思ったけど、“関係あるか!”っていう感じでパワーで全部跳ね返しました。

      ――後ろに関本選手がいれば怖いものなしでしょ?
      関本 いや、しんどいですよ(苦笑)。頑張ります。HARASHIMA選手とヤス・ウラノ選手、特にヤス・ウラノ選手は頭でレスリングしてるから、巧いよね。よく考えてる。俺らにはあんまり考える頭ないから。
      岡林 勢いでガッーと。
      関本 持ち上げることと、ぶん投げることと、ぶん殴ることしかできないから(笑)。まあ、次ぶちかましていきますよ。石川修司が来ようが、ゴジラが来ようが、キングギドラが来ようが。
      岡林 なんでも来い。
      関本 力で完封します。
      岡林 ネジ伏せます。
      関本 気になるのはMIKAMI選手。機動力があるからね。(不安材料は)それだけだね。
      岡林 それもこれも全部跳ね飛ばしますよ。
      関本 跳ね飛ばします。岡林さんが言ってるんだから。頑張りましょう。


      HARASHIMA 今日はちょっと、タッグのベルトは獲れなかったですね。作戦は立ててたんですけど、やっぱりそこまで持っていくのが難しかったですね。ほんと、強いチームですね。悔しいですね。DDTにベルトを取り返したかったんで。まあでも、メインは彰人くんが防衛してくれたんでよかったですけど。次のテイセンで、樋口が(いつでもどこでも挑戦権を)今日、守り抜いたから、樋口とのタイトルマッチが正式に決まった感じなんで。あいつが普通の新人じゃなくて、さらにいいものを持ってる人間だっていうのはわかったんで。北海道はもちろん、自分が絶対、勝ちたいと思います。
      ――一方、5・31後楽園で決まっていたKUDO戦が白紙になりましたが。
      HARASHIMA どうなんでしょうね? 樋口と防衛して、別にベルト懸かってなくても(KUDOとシングルマッチを)やってもいいし。僕は別に誰が挑戦してきても構わないし。
      ――KUDO選手とはずっとライバルの関係ですが。
      HARASHIMA 久しぶりに(シングルで)試合したいなと思ってたけど、でもまだいつでもどこでも挑戦権奪えるチャンスはあると思うから、頑張ってくれたらいいんじゃないかな。彼ならそういうところで結果を出す人間だと思ってるんで。
      ――次期挑戦者である樋口選手は、いままでにないタイプの挑戦者だと思います。
      HARASHIMA 知らない部分の方が多いんで。技もそんなにわからないし。穴は非常に大きいんで。身長とかバックボーンとか、素材の良さはありますけど、まあ、問題なく、防衛したいと思います。

      MIKAMI 面白いんじゃないですか? 面白いだろうと思ったからこその反応だったと思いますよ。魅力ありますよ、MIKAMI&石川の凸凹コンビ。ウチの若いヤツがやられて、主力選手もやられて。関本&岡林にみんなやられちゃって。誰が行くのって? 俺だよって。パートナーがいろいろ候補がいる中で、最もあのモンスターを知る男。対戦経験も豊富で、攻略法も一番わかってるだろうしね。そこで俺のラダーですよ。言ってないけど、ラダーを使って立体的な攻撃をすれば。あとは俺のスクールボーイ。切り返しの数々があるんで。ああいう猪突猛進型には一番効くんじゃないかな? スクールボーイはね。どっからくるかわかんないよ。まあ、一刻も早くDDTに(ベルトを)取り戻したいなと。俺の腰に取り戻したいなというところですよ。これ、関係ないですけど、(アピールを終えて)引き揚げてきたら、藤波(辰爾)さんがいてね。俺とKO-Dタッグ(のベルト)巻いてた方ですから。「頑張ってるね」「次も頑張ってね」って感じでエールをもらったんで、これは負けられないぞと。これは関係ありませんが、そういったことも含めて“DDTどうした?”と。本気で取り戻しにいこうやと。石川とさいたまスーパーアリーナで1回組んでまだまだこれから伸びしろも十分あると思ってたところだったんだけど、なかなか組むチャンスがなくて。ここでようやくいけるかなと。あとはまあ、日程待ち。どこかいいところで組まれれば。どこでもいいですよ、路上じゃなければ。キッとエキサイティングな試合になると思います。俺とチャンピオンは初遭遇ですから。こっちも楽しみですよ。まあ、投げられるんでしょうな。着地してみせますよ。あとは足元すくってやるぞと。まさに足元すくうぞと。そこからまたちょっと、DDTでガッといきたいなと…。
      ――もし、HARASHIMA&ウラノ組が勝っていたら、挑戦をアピールしてました?
      MIKAMI それ、言われると思ってたんですよ。どっちが勝ってもいこうと思ってたんですよ。HARASHIMA&ウラノも…と思ってたんですよ。そのときも石川修司で。正直、来てほしくない方が来た。まあでも、柔よく剛を制すというか、小が大を制すというか,そういったプロレスの醍醐味を俺が見せてやるときが来たなと。
      ――小よく大を制すというのは、昔組んでいた藤波選手の真骨頂でした。
      MIKAMI ねえ。ほんと、そうですよ。その思いは常に持ってるんで。(自分の)このサイズは変わらないから。これまでDDTでヘビー級の選手と当たってきてますから、その辺は大丈夫です。

      メインイベントはDDT EXTREME級選手権ラストマン・スタンディングマッチ。第32代王者の彰人は入江茂弘を相手に2度目の防衛戦。力でネジ伏せようとする入江に対し、彰人はヒザへの攻撃で対抗。入江がロープに走ったところ、あまりの衝撃でリング下に張ってあるワイヤーを止める金具が壊れたため、3本のロープの張りが緩んでしまった。リングサイドで緊急措置が取られる中、試合は進められる。リング下にエスケープした彰人を追った入江。しかし入れ替わるようにリングに戻った彰人は、入江がエプロンからロープをくぐろうとしたところでヒザにドロップキックを叩き込み、ロープをまたいだ状態の入江にドラゴンスクリューを放った。ここから彰人は、徹底したヒザ攻撃。打撃を織り交ぜながら、各種レッグブリーカー、関節技で攻め立てていくと、何度も入江の表情がゆがむ。入江は強引にブレーンバスターを決めて、ようやく攻守逆転に成功。そして彰人をコーナーでセカンドロープの上に寝かせると、リング下から声援を送る高井憲吾の得意技、ホフロケットを見舞った。さらにコーナー2段目からエルボードロップを決めたが、エプロンに逃れた彰人は近づいてきた入江の足をつかんで、またもやロープを挟んでのドラゴンスクリュー。またも足殺しに苦しめられた入江だったが、彰人がベースボール式スライディングで入江をかわそうとしたところ、入江がテディベアをタイミングよく落として圧殺。しかし攻勢も長く続かず、彰人のグラウンドでの拷問技に手足の自由を奪われた。それでも必死にロープに這っていき、サードロープを加えてブレイクに持ち込んだ。エルボーに打ち勝った入江はパイルドライバー、フライング・ソーセージ、ビーストボンバーとつないで3カウントを奪う。しかしこの試合は3カウントフォール、ギブアップのあと、ダウンカウント10を数えないと勝利にならないルール。彰人がカウント9で何とか立ち上がったため試合続行。ルールに命拾いした彰人は、またしてもヒザへの集中攻撃。入江はあくまで力技で対抗。旋回式スクラップバスター、ビーストボンバー、パッケージ・パイルドライバーでまたしても3カウントを奪った。しかし彰人はロープにもたれかかりながらも、カウント9でファイティングポーズを取る。入江がさらなる攻撃を狙ってきたところ、リング下にエスケープした彰人。入江は場外で、イスを山積みにした上へのパイルドライバーを狙ったが、逆に抱え上げられて、イスの上にヒザを打ち据えられた。リングに戻ってきた入江に、ヒザへの攻撃を集中させていく彰人。足4の字を決めると、その足をほどこうと腕を伸ばしてきた入江の両腕をロック。入江はギブアップの意思表示をした。しかし、続いてのダウンカウントは何とか9で立ち上がった。立ち上がると両者は相手の腕をつかんでヘッドバットの打ち合い。これは入江が打ち勝ち、ビーストボンバーを叩き込む。しかし彰人もグラウンドに持ち込んでクロスヒールフック。痛みに耐え切れずタップした入江。ロープをつかんで立ち上がろうとしたが、カウント10以内でファイティングポーズを取ることができず、彰人に軍配が上がった。

      試合後、リング上でベルトを再び腰に巻いた彰人がマイク。「ああ、つらい。ああ、ああ、ああ…。けど、入江さんとこうやって、名古屋で生まれた僕と、名古屋のビッグマッチでメインでタイトルを懸けて闘うことができて、ホンットによかったです。これでやっと、名古屋のお客さんの本の少しだけ恩返しができたかなと思います。けど、僕と入江さんの物語は、これで終わりじゃないんです。僕と入江さんの物語はこっからなんです。まだ始まってもいないです。そして次の名古屋大会でも、このベルトを巻いて、絶対、戻って来ます。このベルトは、このベルトは、俺のもんだ!」と叫んで、名古屋ビッグマッチを締めた。

      【試合後のコメント】
      彰人 たぶん、今までのEXTREMEの防衛戦の中で、僕にとって一番思い入れのある選手が入江さんで、入場前から煽りVの音が聞こえて、泣き出しそうになった部分があったんですけど。けどね、僕と入江さんの物語は、これで終わりじゃないんですよ。むしろ、まだ始まってもいないと思うんですよ、こっからなんですよ。僕と入江さんは、もっともっと、もっと上のステップを目指してるんです。これで1個、名古屋のお客さんに恩返しができました。けど目指してるところは、後楽園ホール、KO-D無差別級でもいい、さらにその上、両国のメイン…僕らの夢はもっともっとつながっていって、もっともっと先に進んでいくものです。今日は僕が勝ちましたけど、これで終わりじゃないです。いままでもう9回、10回、入江さんと試合してますけど、今日1回しか勝ってないです。僕は(過去の負けを)全部取り返すつもりで、入江さんに挑んでいきます。これからもそうです。入江さんから取り返すまで、僕はずっとチャレンジャーなんです。これから何回も何回も、入江さんにチャレンジしていきます。
      ――入江選手サイドには思い出深い方たちが(セコンドに)付いていたというのは?
      彰人 入江さん、対戦相手側のセコンドを見ると、懐かしい顔が揃ってるなぁというのは、やっぱりありましたね。またこうやって名古屋に戻って来て、高井(憲吾)さんや影山(道雄)さんとか、今日、セコンドについてた人たちとも試合をしていきたいなと思います。
      ――途中、リングのコンディションが悪くなりました。
      彰人 僕はもともとコーナーから飛んだり、ロープに走ったりとかする方の選手じゃないんで、あんまり不安とかはなかったですね。けど、リングのコンディションが悪くなったことによって、試合がどうなっていくかが全然読めなくて、頭の中ではずっと計算してましたね。そうしたらいいのかと。それもこれからプロレス生活をしていく上で、勉強になったかなと思います。
      ――試合は勝ちましたけど、3カウント、ギブアップを奪われた本数では負けました。
      彰人 シングルマッチだと、僕が先に負けてましたね。けど、これはEXTREMEのルールに救われたのかなというところはあります。普通のルールでも入江さんにしっかり勝っていきたいですね。僕は今、EXTREMEのベルトの価値を上げるためにやってるので。どんなルールでもしっかり勝てるように。
      ――次の防衛戦はすぐにやりたいですか?
      彰人 ハイ。できるなら。防衛戦はどんどんやっていったほうが、ベルトのためなんで。別に後楽園でも、次の札幌でも。もうカードは出ちゃってますけど。後楽園でもどこでも、できるところならどこでも、すぐにやりたいですね。僕にはこのベルトを使ってやりたいことがたくさんあるんで、もっといろいろやっていきたいですね。

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