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【大船渡リポート】プロレスキャノンボール興行は大盛況!「ここまで奇跡の連続。たくさんの人に来てもらったのも奇跡。映画を公開して、

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    • 19日、岩手・大船渡市民体育館にて「プロレスキャノンボール2014 in 大船渡」がおこなわれた。寒空のもと、関東都市圏からも多くのファンが駆けつけ、会場前にはすでに長蛇の列。そこで急遽早めにロビーを開放し、予定より10分早く開場した。

      会場にはこの大会の宣伝活動をしていた大家健のご両親の姿も。予定よりも多くの観客が集まったため、何度もイスを増設。さらにサムライTVの三田佐代子キャスター、DDT中継の村田晴郎アナウンサーが売店の売り子を手伝い、HARASHIMAや男色ディーノが登場してグッズ購入者にサインや記念撮影に応じた。




      オープニングで鶴見亜門GMと井上マイクリングアナが登場し、諸注意をしてから気仙沼二郎を呼び込む。みちのくのファンで『覆面ワールドリーグ戦』を密航して観戦していたという亜門GMが沼二郎に歌をリクエストすると、復興応援ソングの『しゃぼんだま』と『俺の海』を披露。続いて開会宣言をするために、プロレスキャノンボールの総監督であるマッスル坂井が、たくさんの観客に驚いた表情で登場。「控室の選手、スタッフ、みんなビックリしました。本当にありがとうございます! ぜひぜひ皆さん楽しんで1時間半……2時間で終わらせますので、最後まで楽しんでいってください」と挨拶すると、「プロレスキャノンボール、スタート!」。


      第1試合はマッスル坂井vsかめっしーのシングルマッチ。オープニングコールをして一度バックステージへ戻った坂井はスーパー・ササダンゴ・マシンのマスクを被ってちびっ子とともに入場。滝沢市観光大使(非公認)のかめっしーは陽気なダンスを踊りながら現れる。坂井はササダンゴのマスクを被ったまま試合をする模様。かめっしーは「かめっしー」コールを煽ると、力比べを要求。坂井が応じようとすると反対側の腕をあげてスカす。怒った坂井はササダンゴのマスクを脱ぎ捨てると「三匹カメ飼っているんですよ!」と言いながら向かっていく。カウンターエルボーでかめっしーをなぎ倒した坂井はストンピングから甲羅を剥がそうとする。ニーリフトからスリーパーに捉えた坂井はかめっしーにササダンゴのマスクを被せ、さらに亀太郎を奪い取って殴っていく。どうにかかわして亀太郎を救出したかめっしーはドロップキックで反撃すると、エルボーから串刺しラリアット。しかし坂井も垂直落下式リーマンショックでやり返すと「あと2回!」コール。だが、坂井のラリアットをかわしたかめっしーはオクラホマロール。肩をあげた坂井だが、そこをエビ固めで丸め込んだかめっしーがフォール勝ち。





      第2試合はKUDO&里村明衣子vs坂口征夫&赤井沙希のタッグマッチ。先発を買って出た坂口はKUDOと緊張感のある蹴りからグラウンドに持ち込むが、両者譲らない。続いて赤井と里村がリングインし。里村が赤井をヘッドロックで絞め上げるが、赤井も長い脚を活かしてヘッドシザースで脱出する。すぐさま里村がニーリフトから逆片エビ固めで捕獲。赤井がロープに逃れたところでKUDOへタッチ。サッカーボールキックを放つKUDOは、里村とダブルのミドルキックを叩き込む。里村がキャメルクラッチで追い込むが、ロープに逃れた赤井はキックで反撃。里村は鋭いキックでやり返し、タッチを受けたKUDOが倒立式ダブルニーで追撃する。劣勢の赤井は串刺し攻撃を狙ったKUDOを迎撃してハリケーン・ラナでピンチを脱出。スイッチした坂口は飛び込んできた里村と蹴り合い。里村がコーナーにホイップするとKUDOが8×4を仕掛ける。坂口は腹パンでやり返すとコーナーの上にKUDOを寝かせて串刺しニー狙い。KUDOはこれを回避してエプロンへ降りるとハイキックからコーナーへ登ってダイビング・ダブルニーアタック。坂口はこれを回避してハイキック。KUDOもミドルキックで応じて激しいキックのラリー。ハイキックが相打ちになると両者が各パートナーへタッチ。赤井はヒザ蹴りを叩き込んでいくが、里村はKUDOにタッチすると、スリングショット式フットスタンプを落とす。続いてKUDOもスリングショット式ダブルニーを投下。里村はカナディアン・ロッキーバスター。赤井もサッキーカッターで里村を叩きつけてランニング・ローを放つ。しかしカバーはカウント1。蹴りで反撃に出た里村に赤井は追走式ビッグブーツ。片膝をついた里村に赤井は二段蹴りからちょめちょめ絞め(スウェ~ニョ)。KUDOがカットに入ると今度は里村が赤井を逆エビ固めで捕獲。さらに逆片エビ固めに移行する。赤井は悶絶しながらもどうにかロープエスケープ。里村はダメージで起き上がれない赤井に側転ダブルニーを落とすと、フロッグスプラッシュを投下。坂口がどうにかカウント2でカットしたが、KUDOに場外へ連れ出されてしまった。リング内では里村が赤井にスリーパー。徐々に力が抜けていく赤井を見てレフェリーが試合を止めた。試合後、里村は赤井の健闘を称えた。



      第3試合ははザ・グレート・サスケ&バラモンシュウ&バラモンケイ&ゴージャス松野vsヤス・ウラノ&日向寺塁&佐々木大地&郡司歩の8人タッグマッチ。まずはムーの太陽のバラモン兄弟が水を撒き散らしながら登場。子供に口から吹き出した水を浴びせて大泣きさせたところでマスターのサスケを呼び込む。御輿に乗せられて登場したサスケは松野が掲げた聖杯の中に聖水を注ぎ入れると、子供にはマントから怪獣のおもちゃを出現させて手渡す。さらにマントの中からチョコレートを取りだし、受け取った子供を抱きかかえたサスケは口づけをする。バラモン兄弟曰く「この子は将来大物になるぞ~!」。先発を買ってでたサスケはヤスを気で痛めつけると、さらに大きな気を溜めてからヤスに向かって投げつけるが、ヤスがかわしたため背後のバラモン兄弟や松野に誤爆してしまう。するとサスケが無抵抗主義を唱えるように自らの頬を突き出すが、ヤスは容赦なく張り手。もう一度頬を突き出すサスケだが、ヤスは空気を読まずに張り手。それでもリング中央で座禅を組んだサスケに対し、フロント・ハイキックを見舞ったヤスだが、サスケは七転び八起きダルマ大使を行使して、そのまま起き上がる。「豊富な富を解放せよ! マーンデラ! マーンデラ!」とコールするサスケを見てパニックになったヤスは佐々木へタッチ。バラモン兄弟が佐々木を捕まえるが、ヤスらが入ってきて場外に追いやると、4人で松野をカバーする。するとマスターの気が発動し、松野が4人を弾き飛ばした。バラモン兄弟はヤスを捕まえると、コーナーに押し込んで股間にアタッシュケースをセットしてボーリングの球を投げてストライク。「あとはオマエに任せるぞ!」と松野にタッチするが、ゴージャススター☆エルボーはかわされて自爆。それでもカウンターのフライング・クロスチョップを決めた松野はシュウと交替。日向寺が飛び込んできてスピアでバラモン兄弟を蹴散らしていくと、佐々木と郡司が同時プランチャを投下。リングに戻った佐々木と郡司は2人がかりでサスケに殴りかかる。そして日向寺のダイビング・エルボードロップから合体技を狙った佐々木と郡司だが、バラモン兄弟に阻止された。サスケがダブルエルボーで吹っ飛ばしたあと、シュウが郡司を羽交い絞めにしてケイが道路標識看板で殴りかかるが、かわされて誤爆。郡司が高角度レッグドロップから裏投げの体勢に入る。するとケイが壺の中の粉を投げつけてカット。すかさずシュウがレッグラリアットからゾンビキングで叩きつけると、サスケを呼び込んで郡司の上にメシア降臨を決めて勝利。







      試合後、コーナーの上に座ったサスケは「次、DDTとみちのくプロレスが大船渡に来るときは庭先に黄色いハンカチを吊しておきてください」と“マスターのお言葉”を言うと一人先に退場。残されたバラモン兄弟は「健さ~ん! 健さんは亡くなったけどたくさん映画は残っているから今度来るときまで見ておくように。でないと、オマエら死んで地獄に落ちて、今度生まれ変わったらウジ虫になるぞ ~!」と叫んで終了。

      セミファイナルは新崎人生&気仙沼二郎vs大家健&今成夢人のタッグマッチ。まずは今成と沼二郎がリングイン。ショルダーアタック合戦から今成が気合いでなぎ倒すが、沼二郎もヒップアタックを返す。続いて大家と人生がリングイン。ショルダーアタックの打ち合いから人生が側転フェイント → トラースキックをを決めると拝み渡り。大家とスイッチした沼二郎と激しいエルボー合戦。沼二郎のヘッドバットから人生が逆片エビ固めで捕獲するも、これはロープに逃げられる。ならばと沼二郎がブレーンバスターを狙うが、踏ん張った大家は投げ返して今成とタッチ。テーズプレスからニードロップを落とした今成はフィッシャーマンズ・スープレックス。カウント2でクリアされると大家へタッチ。大家のエルボーを堪えた沼二郎はエルボーで反撃してセントーンを投下。タッチを受けた人生はスワンダイブ式ブレーンチョップからダイビング・ショルダーへ。大家も串刺しエルボーでやり返すとカミカゼから炎のスピアを狙う。これを正面からガッチリ受け止めた人生は念仏パワーボムの体勢。腰を落とした大家はリバースで切り返すが、人生は極楽固めに捉える。何度も背中を反らして絞め上げていった人生だが、沼二郎を振り切った今成がカット。今成を場外に追いやると、人生は大家をチョークスラムから念仏パワーボムで3カウント。




      試合後、人生がマイク。人生「大家、立て。オマエがこの大船渡で1ヵ月走った結果が、これだけたくさんの人が来てくれたんだ。本当にお疲れさん!」沼二郎「チャリティー興行、どこでやろうかって言って、僕が大船渡って言ってしまったから、本当に大家選手、頑張ったよ。ありがとう!(涙)」大家「人生さん、沼二郎さん、ありがとうございました! 最初、大船渡って言われて、場所も知りませんでした。でもね! 実際に来てみたら住むところ、車も貸してくださって、御馳走もしてくださって、こんなに集まってくれて、ガンバレってみなさん言ってくださいました。僕はみなさんを元気づけようと思って大船渡にやってきた! でもね、逆に元気をつけられました! 大船渡はすごく元気だと思います! でも今日、負けた! 負けて悔しい! だから絶対にまた大船渡に戻ってきます! 戻ってきて勝ちます! 今日は本当にありがとうございました!」涙ながらに絶叫した大家に大船渡の観客は温かい拍手を送った。


      メインイベントは高木三四郎&鈴木みのる&葛西純vsHARASHIMA&飯伏幸太&男色ディーノの6人タッグマッチ。ディーノ、高木、飯伏、葛西、HARASHIMA、鈴木の順で入場。ディーノは学生服姿の観客に片っ端から襲いかかったあと、セコンドの郡司にも襲いかかり、まさぐりながら腰を振っていく。リングインするなりHARASHIMAと葛西がにらみ合って試合開始。互いに腕の取り合いを展開。葛西が高木にタッチすると、HARASHIMAはディーノにタッチ。「マジかよ!」と嫌がる高木はリストロックに捉えていくが、バックを取ったディーノは腰を振っていくと、高木のタイツをめくりあげて腰を振る。「やめてくれ! 恥ずかしい!」と言いながらロープに逃れた高木は、カウンターでフライング・クロスチョップを叩き込むと、ロープにもたれ掛かったディーノに619。高木は鈴木にスイッチ。これを見たディーノは飯伏とタッチするも、鈴木のお尻を触って素知らぬ表情で逃げる。場外まで追いかけていった鈴木だが、リングに戻ると飯伏と緊張感のある間合いから互いにローを出していく。そこからヒザ蹴りを放った鈴木は、飯伏がロープに押し込んで反撃しようとしたところでぶら下がり腕十字。ここから高木、葛西が入ってきてHARASHIMA、ディーノに襲いかかり場外戦へ。鈴木は飯伏を場外に座らせるとランニングロー。HARASHIMAと葛西が激しくやり合っていると、ディーノがそっと近づいてきて葛西の尻を触ってから羽交い絞めに。そこにHARASHIMAがフロント・ハイキック。飯伏をリングに戻した鈴木は逆水平チョップから対角線にホイップして串刺し攻撃を思いきや、ストップして張り手。さらにランニング・ローで続く。飯伏はカウンターのドロップキックでやり返すとHARASHIMAにようやくタッチ。コーナーから「チェストー!」とダイビング・カンフーキックを放ったHARASHIMAは飛び込んできた高木と葛西をまとめてドロップキックでなぎ倒す。コーナーに乗せられた鈴木はそこからHARASHIMAをフロント・ネックロックで捕獲して宙づりにする。コーナーから降りてもスリーパーに捉えた鈴木は葛西にタッチ。葛西は観客に向かって「いくぞ田舎者!」と叫び、HARASHIMAを肩車してから前方のコーナーに投げる。さらにリバース・タイガードライバーを決めてからコーナーへ。するとディーノが追いかけてリップロック。HARAHSHIMAが「もういいよ」と止めようとするも、ディーノは「もうちょっと」とやめようとしない。HARASHIMAが説得してディーノにコーナーから降りてもらうと雪崩式ブレーンバスターへ。ここでディーノが「あれしかない! 祭りの始まりじゃ~!」と叫び、漢タイツを脱いでTバック姿でコーナーに登って尻を突き出す。HARASHIMAが葛西をホイップしようとするが、体勢を入れ替えられてしまう。ギリギリで踏みとどまったHARASHIMAは突進してきた葛西をかわしてディーノの尻に顔面から吸い込ませた。さらに飯伏がその場跳びシューティングスターからウラカンホイップで投げる。ここで高木がドラゴンリングイン。コーナー上のディーノの背後からカンチョーをお見舞いすると、走り込んできたHARASHIMAをディーノの尻に吸い込ませてエプロンに落とすとぶっこ抜き雪崩式ブレーンバスター。さらに鈴木がスリーパーで捕獲して、高木がラリアットでなぎ倒し、葛西がパールハーバー・スプラッシュを投下する。これをカットした飯伏がオーバーヘッドキックで鈴木と葛西を場外に落とすとバミューダ・トライアングルを発射。リング上ではHARASHIMAが高木にエルボーからハイキック。高木もラリアットを返すとシットダウンひまわりボムを狙う。これを背後に逃れたHARASHIMAは高木をディーノの尻に吸い込ませ、グッタリしたところで蒼魔刀をブチ込み勝利した。










      HARASHIMAがマイクを取る。「本日はプロレスキャノンボール大船渡大会、たくさんのご来場ありがとうございます! すごいこんなに人がいっぱい集まって、これ映画の撮影だから監督……みんな、選手のみんなリングに上がりましょう!」。全出場選手がリングに上がってくると、今成はビデオカメラを回しながらリング上へ。最後に坂井総監督が挨拶。「みなさん、ご起立ください! 今日は本当に最後までご観戦ありがとうございました。みなさんのおかげで本当にいい作品ができたと思います。ここまで本当に奇跡のような連続でした。こうやって今日、たくさんの人に来てもらったのも僕たちは奇跡だと思っています。これから編集して(苦笑)、映画を公開して、本当に俺らサクセスして、もっと大きい奇跡をみなさんに見せつけてやろうと思います。今日は本当にありがとうございました! 最後、ベタですけど、プロレスキャノンボールと拳を突き上げてもらいたいと思います。キャメラマン、リング上がって! 今日はどうもありがとうございました! せーの、プロレスキャノンボール!」。


      【大会後のコメント】
      大家 いや~、もう本当にね!……僕がもしかしたらものすごくいかがわしい人間かもしれないんですよ。わかります? 一応、本当に(大船渡の人たちに)「僕はプロレスラーやっているんですけど」って言って話し掛けるわけですよ。最初は「え?」みたいな顔するんだけど、みんな「ああ、そうなんだ」って言って話聞いてくれるんですよね。その人を疑わないっていう、その大船渡の人たちがね。一生懸命やってんだなっていうのを本当に……わかってくれているのかはわからないですけど、「ああこの人、一生懸命だな」っていうのは感じ取ってくれるんですよ(涙)。だから……嬉しいの、嬉しいんですよ! 嬉しいの!(涙)ウソをついているわけじゃないの、僕は! それを本当に伝えたいという気持ちが伝わって、これだけの人が来たわけじゃないですか! それが嬉しいんですよ!(背後を通った坂井が嬉しそうに笑う)本当に! 何もいかがわしいことないから。プロレスは本当楽しいから。だから盛り上げようって言って。僕らプロレスしかできないから。だからプロレスやりにきましたって言ってね! 入場無料でね。だからみんな「盛り上がろうぜ!」みたいな、その気持ちが伝わったんですよ! だから来たわけでしょ! それがもう本当に嬉しい! 本当に嬉しいの!(涙)だから……もう何て言うのかな。俺、負けちゃったからもう偉そうなこと言えない。でもまた次、来るチャンスなわけじゃん、これが! これが大船渡に戻ってくるチャンスなわけよ。復興が進んでいるのか進んでいないのか、どれぐらいなのか、人によって(感じ方は)違うんだよ。でも大船渡、元気なのね。元気なの、すごい元気なの。生きるしかないと思っているの。でも、もっともっと元気になれるはずなの! もっともっと東北、盛り上がるはずなの! だから俺も元気になるよ! 俺も東北…東北だけじゃない日本だよ! 世界中を盛り上げるよ! だったら大船渡の人も大船渡を盛り上げて、東北盛り上げて、日本盛り上げて、世界中みんなで、俺たち、俺と大船渡の人たちで盛り上げよう! もう地球を全部盛り上げようよ! だから俺、絶対(大船渡に)戻ってくるからな! 絶対戻ってくるからな、オイ! だから気を抜くなよ! 俺も気抜かねぇよ! 一生懸命やるから元気になろうぜ! もっともっと盛り上がって、もっともっと元気になりましょう! 以上です。ありがとうございます!

      【坂井総監督の総括】
      ――一応これで全部の撮影が終わったと思いますが。
      坂井 終わった……帰り道もちょっと撮るくらいかな。何かDVD用に。
      ――では、この特別興行の感想を。
      坂井 俺は1回目にやりたかった。1回目にやりたくて、2泊3日の3日目のその勢いでやっちゃえってなったんですけど、やっぱりやっていくうちに、ちゃんとみんなに出てほしい人がいっぱい出てきて、やっぱりしっかりと準備して。逆に言うと1ヵ月空くっていうんで、大家さんを残してやるっていうふうになって。でも最後の大家のさっきのコメントの、あの何か過剰な涙を見ていて、本当にこれでよかったんだなっていうか、これがやりたかったっていうのが僕の、プロレスキャノンボールっていうそのプロレスの持つ泥臭さというか、そういう根源的な部分って言うんですかね。人間のプリミティブな部分っていうか、プロレスラーの持っている人間力の強さみたいなもの。俺、プロレスラーって本当おもしろいヤツらだと思うんですよ。プロレス業界から離れてみて、プロレスも当然楽しかったけど、プロレス業界にいるみんなのおもしろさっていうか、居心地の良さって言ったらアレですけど……まあ厳しい世界ですけど、DDTにいた時のことが楽しくて、辛かったことなんて忘れちゃうんですよ。楽しかったことしか覚えてなくて。その楽しかった記憶が詰め込まれた映画になるのかなっていうか、今の一番プロレスラーの楽しい部分っていうか、申し訳ないけどプロレスラーってやっている僕らが一番楽しいんですよ。辛いこともいっぱいあるけど、移動して、その土地土地のいろいろと誰と試合やろうかって言って、試合やって、そういう僕の考えるプロレス……っていうかプロレスラーのおもしろい部分、カッコいい部分、そういうところがいっぱい詰まっている。だから最後、大家がああやって旅の中でいろいろな問題とか、やっぱりダメだったっていう部分にブチ当たって、これで終わったら大家はカッコ悪かったんですよ。実際、映画の中で。それでも「自分に何ができるか」って言って、最後に大家が1ヵ月(大船渡に)残るって言って、そこからまた始まっている部分もあって。その1ヵ月っていうのは映画の中ではそんなにアレしないかもしれないけど、それがこの最後のクライマックスの……アクションシーンですよ! アクションシーンなんですよ(笑)。最後のシーンにつながれたっていうのは本当に嬉しいというか、素晴らしい仲間と一緒に。撮影から奇跡の連億というか、アレはTwitterとかでみんな盛り上がって、本当に広告費とか宣伝費とかなんてない映画ですよ。制作費も本当に少ない映画の中で、ここまで話題になって、撮影の時点でみんなに楽しんでもらえて、もう映画は本当に編集はたぶん大変でしょうけど、もう……僕がやりたかったのはコレなんで。あとはコレをどういうふうにまとめるか……まあ大変でしょうね。大変だと思うけど、頑張ってまとめてもっとこれが作品として面白いものに仕上げるという……ここまでは本当にすごくうまくいってるというか、偶然というか奇跡が続いていて。だからもっともっと続けるのが僕らの仕事なんで。いい映画にしたいと思います。そして皆さん、今日たくさん大船渡まで来てくれてありがとうございました。
      ――大家を選んだのは本人が「残りたい」と言ったのか、それとも誰かが指名したのか?
      坂井 僕らで大家に残ってもらいたいなって。それは映画の中でも出てくるんですけど。僕らの意思で、大家に残ってほしかった。
      ――それは(大家の)カリスマ性を見込んで?
      坂井 カリスマ性を見込んでというか、やっぱり大家っていうのはガンプロではカリスマ性を出していく。やっぱりこういう鈴木さんとか飯伏とか高木さんとかHARASHIMAさんとかディーノとかと並んじゃうとやっぱり……ちょっと、アイツも遠慮してる部分っていうか。その中でアイツにしかできない泥臭さっていうのがこういうことだと思うので。別に「同じ条件でやれ」なんてひと言も言ってなくて、同じ条件だったら僕らは鈴木さんとか高木さんとか飯伏とかディーノには勝てないけど、大家みたいに1ヵ月かけてじっくりやれば、同じぐらい応援してもらえるっていうこと。生産性の低さが生む熱狂って、やっぱりあるから! 僕らはそこなんで。僕らはやっぱり大家健に自分をずっと重ね合わせていましたよ。映画ではどうなるか? それって編集ではたぶん活きない部分かもしれなくて。その中で……そんな感じです(苦笑)。いい作品になればいいなと思ってます! ありがとうございました。

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