8日、東京・新木場1stRINGにて「酒場プロレス~Alcohol mania~」がおこなわれた。第3試合は中津良太vsX。新藤リングアナが「ただいまから入場してくるXは……ホモです!」とアナウンスすると、観客からは歓喜の声があがる。その中を『スリル』に乗って缶ビール片手に登場したディーノは、観客と乾杯をしながらリングサイドを一周すると、コーナーに登って、口に含んだビールを噴射。そしてマイクを持ったディーノが「ヘーイ、中津ボーイ! 今日私が酒場プロレスに来たのは、目的ハッキリしてるわ。私、両国国技館で曙とシングルやるのね。そこで曙の弱点であるケツを今集めているんだけど、一向に集まらない! 時間がない! 従って今日、私が勝ったらあんたが…あんたの試合があろうがなかろうが関係ない。私の試合でケツを出してもらうことになる! それでもいいか? 覚悟なさい」と言い放つ。それを聞いた中津は「ちょっと待って!」と苦笑い。「どうした中津ボーイ、怖くなったか?」とディーノが挑発すると、中津は「ちょっと、ちょっと……いいよ、その条件飲もう! ただこっちの条件も飲んでもらいましょう。京都に古くから伝わる平安京デスマッチで勝負しましょう!」と提案。するとディーノは「ひゃー! あ、あんた京都出身……あのウグイスも鳴くよと言われる平安京マッチを!? 平安京マッチとは普通のプロレスルールに加え、普通だったら5秒間は許されるというプロレスの曖昧な点を一切排除し、反則が起こったその瞬間、ケツバットに処されるというあの! あの伝説の! ……汚い野郎だ。だがしかし! 私もここで引いてはいられない。その平安京デスマッチやってやろうじゃないの」と受けて立つ。試合開始のゴングが鳴らされると、いきなりカニ挟みで倒したディーノが中津の背後から腰を振り、さらに男色クローを決めるが、当然反則攻撃のため早くも中津がケツバット。フルスイングでケツを叩かれたディーノはダウン。どうにか立ち上がるが、中津はミドルキックを連打。そこから髪の毛を掴んで引き起こす。だが、これも反則攻撃のため、今度は中津がケツバットを食らうことに。ディーノがケツバットをお見舞いすると、どうにか耐えた中津は怒りのスリーパー。ディーノはロープに逃れるが、中津がなかなか離さなかったため反則を取られる。ケツを振って余裕を見せる中津だが、自ら『とんぼ』を歌ったディーノは番長ばりにバットをフルスイングすると、ダウンした中津にナイトメア。さらにファイト一発から男色ドライバーを狙うが、どうにか踏ん張った中津はミドルキック。コーナー際でミドルを連打した中津は反則を取られる寸前で一旦離れ、そこからランニングロー。さらにバックを取るが、足を踏んづけたディーノは逆にバックを取って中津を岡田裕也レフェリーに叩き付ける。レフェリーの見ていない隙に急所を押さえてダウンしたディーノ。立ち上がった岡田レフェリーは中津が反則攻撃をしたと判断。まんまとしてやったりのディーノは観客から野球経験者を募る。すると代打として観客の中からコージさんが名乗りをあげ、見るからに豪快なスイングで中津にケツバット。すかさずディーノが男色ドライバーを決めるが、カウントは2。ならばと男色タイツを脱いでコーナーに登ったディーノだが、中津が追いかける。レフェリーはコーナー際の攻防ということで反則を取る。中津はすぐに離れたが、コーナーに登った状態のディーノは動けない。そこで中津はディーノの剥き出しになった尻にケツバット。血を滲ませたケツを抑えたディーノは、コーナーから落ちるとそのままダウン。だが、カウント9でどうにか立ち上がる。ここでレフェリーは中津もコーナーに登っただろと時間差で反則を取る。ディーノは渾身のケツバットをお見舞い。ダブルダウンとなったが、両者カウント9で立ち上がり、チョップの打ち合いに。ディーノはリップロックを狙ったが、中津がかわして岡田レフェリーに誤爆。その間にディーノがバットを奪い取るが、かわしてミドルキックでなぎ倒した中津はバックを奪い取ってフルスイング。しかし今度はディーノがかわして岡田レフェリーに誤爆! 岡田レフェリーはもんどりうちながら試合終了のゴングを要請。裁定の結果は両者反則によるノーコンテストとアナウンスされた。
セミファイナルは福田洋&SAGATのヒロシ・ドゥ・ソレイユが、現KO-Dタッグ王者の竹下幸之介&遠藤哲哉と対戦するタッグマッチ。するとSAGATがうめき声をあげているため、福田がSAGATを落ち着かせながらマイクを近づけると「人気ユニット、ハッピーモーテルの華組タッグであり、現KO-Dタッグ王者の竹下選手、遠藤選手とやれるのはとても光栄です。今日は正々堂々と…」と言ったように聞こえたが、福田は「SAGATはこう言ってる。まず華組って何だ? まぁいいや(苦笑)。SAGATはこう言ってる! オイ、ハッピーモーテルだか何だか知らねぇけどな、お前らよふざけんじゃねぇよ! お前らバーベルを使った科学的なトレーニングばっかりしやがって! 俺はそういう奴が一番嫌いなんだ。どうせ怪しいクスリとかいっぱい使ってんだろ? オイ、俺様のこのゴッチ式のトレーニングで鍛え上げられたこのナチュラルボディを見てみろ! 今日のところはこれぐらいにしてやるわ(苦笑)。今日はな気が立ってるからな。俺様の必殺技スペースSAGAT魚雷を炸裂させて、お前らを血祭りにあげてやる! おい福田、奇襲しろ!」と通訳。そしてSAGATの指示通りに奇襲攻撃を仕掛けたヒロシ・ドゥ・ソレイユだが、あっさり形勢逆転した竹下と遠藤は福田を場外に投げ捨てる。しかしロープに飛んだ竹下の足をリングサイドからすくって倒した福田は、リングに戻ってSAGATとトレイン攻撃。そしてスペースSAGAT魚雷1を早くも出すが、竹下がかわしたためSAGATはフェイスクラッシャーでマットに叩き付けられる。すかさず遠藤が入ってきて竹下とダブルタックル。遠藤はエルボードロップを落とすとスリーパー。ロープに逃れたSAGATだが、竹下がボディスラムから逆水平チョップ。代わる代わるSAGATを痛めつけていく竹下と遠藤だが、SAGATも悲鳴をあげながら遠藤の逆片エビ固めをロープに逃れる。そして竹下をコーナーに押し込んでエルボーを叩き込んだSAGATだが、体勢を入れ替えた竹下はエルボーを返すと逆水平チョップ。SAGATも逆水平チョップを打っていくと、竹下のエルボーを耐えてからボディスラムで叩き付ける。ここでSAGATがエクソシスト状態で福田にタッチ。福田は南部式ナックルからコーナーに登ってファイブスター・ダブルアックスハンドル。そしてパーフェクトプレックスを狙ったが、これを踏ん張った竹下はバックドロップで投げて遠藤にタッチ。その場飛びムーンサルトを投下するが、福田も背後から背中を引っ掻いていく。これに怒った遠藤が鬼の形相で福田に掴み掛かろうとするが、福田はその腕を掴むと「遠藤! ダブルバイセップス!」と叫ぶ。そして遠藤の両腕を腰に持って行くと、遠藤は思わずダブルバイセップス。さらに次々とボディビルポーズをして歓声を浴びる遠藤を福田も手を叩いて持ち上げる。だが、次の瞬間、福田はサイドバスターで遠藤を叩き付けてSAGATにタッチ。スペースSAGAT魚雷2を出したヒロシ・ドゥ・ソレイユだが、遠藤は突進してきたSAGATを馬跳びでかわしてみせる。遠藤はSAGATのバックを取るが、福田は「SAGAT死ね!」と叫びながらラリアットを狙う。間一髪でSAGATがかわして遠藤にヒット。不思議な表情を浮かべた福田だが、今度こそスペースSAGAT魚雷2を成功させるが、竹下が救出に入って来る。SAGATはゴア・グラインドを狙ったが、竹下はこれをかわして福田に誤爆させるとSAGATに向かってダッシュ。しかしスパインバスターで叩き付けていったSAGATは、続けて遠藤にサモアンドロップ。そこからSAGATはコーナーに登っていくが、ここで福田が「でかしたSAGAT!」と叫びながら、SAGATにヴィーナスをお見舞い。さらに「スペースSAGAT魚雷4!」と叫びながらアイコノクラズムでSAGATを投げて遠藤に叩き付けようとする。だが、竹下が走り込んできて福田にフロントキックを叩き込んでカット。遠藤も起き上がってきてコーナーに登り、SAGATを雪崩式フランケンで投げていく。そこからSAGATの巨体をトーチャーラックで担ぎ上げた遠藤は、一気に旋回しながらトーチャーラックボムで叩き付けて3カウント。KO-Dタッグ王者としてヒロシ・ドゥ・ソレイユに勝利してみせた遠藤は、ご満悦の表情でダブルバイセップスを披露して黄色い歓声を浴びた。
メインは木高イサミvs彰人のシングルマッチ。まずは腕の取り合いからスタート。ヘッドロックに捉えた彰人をロープに飛ばしたイサミはドロップキックを狙ったが、自爆させた彰人は逆エビ固め。体を捻って股下をくぐったイサミは、そこから丸め込むとヒザ十字固め。彰人が脱出しようとしてもアキレス腱固めにスイッチしたイサミだが、彰人もリバースのインディアンデスロックで切り返すと、そこから弓矢固め。ならばとイサミは裏STFのような体勢に持って行くが、彰人はアンクルホールドで切り返す。だが、イサミは足を引っ掛けるとサイドヘッドロックで再びグラウンドへ。彰人はヘッドシザースで切り返すと、クルックヘッドシザース。ここでイサミは見事に頭を抜いて脱出すると握手を求める。逆に彰人から握手を求めるが、イサミは応じたのだが、彰人はそのまま腕をねじり上げていく。イサミはアームロックで切り返すが、彰人も関節技で応戦。するとイサミは彰人の両足をクロスしてサソリ固め。彰人はこれもアンクルホールドで切り返すが、今度はイサミが弓矢固めを決めていき、さらにフェイスロックにスイッチ。そこから手四つの体勢になると、イサミが押し込むが彰人はブリッジ。そこから彰人はモンキーフリップで投げるが、イサミも手を離さずそのままモンキーフリップを返す。お互い手四つになったままブリッジしてみせると、ここでブレイク。彰人は自ら正座。背後からイサミはクロスアームスリーパーを仕掛けるが、彰人は体勢を入れ替える。だが、イサミは前転して再び体勢を入れ替える。ならばと彰人はまるで縛られた状態の縄から抜けるように脱出して体勢を入れ替える。イサミも同じ方法を試みるが、彰人はうまく押さえ込む。カウント2で返したイサミはリング上で寝転がって挑発。彰人が「大人気ないよ」と言うと、ジャンケンすることに。結果、イサミが勝って結局リングに寝転がると、彰人は足4の字固め。これを鎌固めで切り返してみせたイサミだが、彰人は下から首を捻りあげると、さらにデスロックに捕らえる。これをイサミはエビ固めで切り返すが、彰人も反転してカウント2の応酬に。クリアした彰人はシャープシューターを狙ったが、反転して逆にイサミがシャープシューター狙い。彰人は強引に反転するが、イサミはSTFで切り返すと一点してヨーロピアンクラッチ。逆に押さえ込んだ彰人だが、イサミは外道クラッチで切り返す。これを返した彰人は「もらった!」と叫んで足4の字固めに捉える。反転して形勢逆転したイサミだが、彰人はなおも反転して体勢を戻す。イサミは彰人の腕を掴んで強引に逆回転して脱出。そこからお互いにブレーンバスターを狙うが、投げたのは彰人。しかしイサミは投げられた直後に腕ひしぎ逆十字へ。彰人は上体を起こして押さえ込むが、カウント2で返したイサミはニーロックに捉える。イサミも彰人の足首を捻り上げていくと、両者ロープに雪崩れ込む。25分が経過し、お互いにダメージが大きくなかなか立ち上がれない。突進してきたイサミをエプロンに追いやった彰人だが、イサミはエプロンからロープ越しの卍固め。足に噛みついて脱出した彰人はイサミの両足をロープに巻き付ける。レフェリーに足を外してもらったイサミが彰人に近づいていったところを丸め込んでいった彰人だがカウントは2。イサミは卍固めを狙うが、彰人はグラウンド状態でのストレッチマフラーで切り返す。ロープに手を伸ばすイサミを丸め込んだ彰人だが、カウントは2。残り3分となり、足横須賀を狙った彰人だが、着地したイサミはシャープシューターへ。これをトライアングルスコーピオンで切り返そうとした彰人だが、イサミは完全に決められる前にロープへ脱出。するとイサミは飛び付き腕十字。彰人は押さえ込みで切り返したが、イサミは垂直落下式ブレーンバスター。しかし、ここで30分時間切れのゴング。
打撃や投げ技はほとんどなく、ほぼ“極めっこ”だけで30分間闘い抜いた両者はぐったりとダウン。どうにか起き上がって水を飲んでいるイサミに彰人が「イサミさん! これでチャンピオンのイサミさんと引き分けになった、それが嬉しかった、じゃダメなんですよ。勝たなきゃ意味がない! でもねイサミさん、嬉しくはないけど楽しかったですよ。あと、ちょっと遅れたんですけど、ご挨拶よろしかったですか?」と声をかける。イサミが「おい、ちょっとお前、DDT辞めるなって!」と言い出したため、観客からは「えー!」の声。彰人は苦笑いしながら謝るイサミに詰め寄ると「あなた知ってるでしょ! ちゃんと聞いてください。今月からドロップキックの社員になりました西垣彰人としてよろしくお願いします」と発表。観客から拍手が起こると、イサミは「井上マイクというドロップキックで唯一のまともな人間がいなくなった今……いよいよあの店が無法地帯になろうとしている」と言い出す。彰人が「ヤバイですね」と言うと、イサミは「ヤバイ! この危機を乗り越えられるのは店長の俺と、副店長の彰人しかいない! よろしくお願いします」と言って彰人副店長と握手。観客から「副店長」コールが起こると、缶ビールを持ったイサミ店長が観客にも飲み物を持つように促してマイクを続ける。「久しぶりなんだよね酒場プロレス。(昨年の)12月ぶり。また見たい?(観客「見たーい!」)またやりたいっすね!(観客「イエーイ!」)春に必ずやります。次は…(観客「花見!」)こんな自由な人間たちを公園に撒くわけにはいかないんだ。次は…(観客「御苑!」)御苑ではやんねぇわ! 次もぜひ新木場で。それぞれの気持ちの中での花見というわけで。また来てください。ありがとうございます! 今日はどうもありがとうございました! 3月8日に乾杯!」イサミが音頭を取っての乾杯すると、彰人とともにリングサイドに駆けよってきて観客と乾杯。さらにイサミと彰人はお互いの頭からビールをかけ、笑顔でBASARAブランドとなった酒場プロレスを締めくくった。
【試合後のコメント】
イサミ オフィシャルだけ? どうなってんだよ、オフィシャルの(ビデオ)カメラもいねぇじゃねぇか! おかしいだろ、アイツら。
彰人 アイツらが来なくてもいい試合してやるよ!
イサミ ムカつくな。まぁ酒場プロレスなんて1回も雑誌に載ったことないから。
彰人 そうですね、載らなかったですね。
イサミ それがインディペンデントだから。この反骨精神だから。羨ましく思わせてやるから。
彰人 知ってる人だけが知ってる穴場みたいな感じで。
イサミ 穴場プロレス、それが酒場(プロレス)。うまいこと言うと、お客さんはビールに酔ったかもしれないけど、僕は彰人のレスリングに酔っちゃいましたね。
彰人 そうですね、試合に酔っちゃいましたね。
イサミ 彰人は勝たなきゃ意味ない、悔しいっていうのがあったかもしれない。けど、そんなこと言ったら俺だってそうだったかもしれない。まあでも今日はそれ以上に楽しかった!
彰人 楽しかったですね。時間足らなかったですね。30分は我々にはちょっと短かった。
イサミ 足りねぇな。
――敢えてグラウンドでの攻防中心の闘い方に?
イサミ 前にやったときもお互いに意地になったんですよね。
彰人 まあ僕がね、それしかできないんですよ。僕のプロレスってそれしかないから。イサミさんがその土俵に乗っかってくれて。
イサミ だってそういう人がいたら……彰人がそのスペシャリストだったとしたら、そこで上回りたいじゃないですか。それがチャンピオンってものだと思うし。
――彰人選手が副店長になって、BASARAブランドに生まれ変わった酒場プロレスの今後は?
イサミ 次は花が咲いてる時にやりたいですね。もう暖かくなってきたんで。ちょっと本当は3月に酒場をやるって決めた時は、まだ寒いかなと思ったんですけど、今日も暖かかったし、それ以上にお客さんも暖かかったし。まあそれに甘えないように、酒場はBASARAブランドになったからって言ってもお客さんとか、外の陽気の暖かさに甘えない、そういうブランドにしたいですね。これからもお客さんがレスリングに酔えるような。
彰人 そうですね。何かこう酒場プロレスが今、日本で一番磁場が狂ってる場所って言われたいですね。
イサミ そうだね。
彰人 我々もノリで始めたみたいな酒場プロレスですけど、やっていくうちに愛着がどんどんどんどん沸いてくるんで。僕はBASARAの人間ではないですけど、酒場プロレスに関してはみんなで協力し合って、もっともっといいものにしていけたらなって思います。
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