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第9回 武道館総括①

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    • 8月18日、日本武道館大会を無事に終えることができました。携わったすべての方々と観戦していただいた皆様、ありがとうございました。

      今回は本当にプレッシャーしかなかった。両国から武道館にステップアップさせなければいけないという使命感と、2012年の武道館でのプロレス興行がDDTのみで、これでコケたらプロレス界全体がバカにされてしまうという責任感もあって、胃が痛くてどうしようもなかったよ。

      それに武道館はとにかく経費がハンパなかった。今回、スクリーンを3面設置して、中央はLEDを導入し、両サイドはその明るさに負けないようにプロジェクターを4台ずつ使用したんだけど、それだけでも普通のプロレス興行では絶対にありえないぐらいの経費がかかっているんだ。

      それでも、古武直城ディレクター(映像班)の「DDT15周年記念興行だからこそ、度肝を抜きたい」という強いこだわりがあったから、了承したんだ。スクリーン3面の効果は絶大だったね。情報量は多く出せたし、何よりエンディングに来年の両国2DAYS開催を発表した時、最初に「8月17日」ってアナウンスされただけでは、お客さんのリアクションも「まあ来年はそうだよね」みたいな感じだったけど、その横に「8月18日」って出たら「オオッ!」ってどよめいて、最後に真ん中のスクリーンで「両国2DAYS」が明かされて、ドカーンと盛り上がった。そういう部分も含めて、経費以上の収穫はあったと思っている。

      ただ、かかった経費はそれだけじゃないからね。会場費から施工費、それにライブに対応するための電源車の確保から何から何まで、両国の倍以上だからシビれた。正直、あれだけ超満員のお客さんに来ていただいても、収益としてそれほど残らないんだ。

      これはアーティストのライブ制作の担当者が言っていたんだけど、アーティストのライブって武道館を一日フルハウスにしただけでは、利益が出ないらしいんだ。プロレスの場合はリングサイドから席料を高く設定できるし、アーティストほど音響や照明機材にこだわらなくていいから、一日だけでも採算が見込めるんだけど、アーティストの場合は、席料が基本7000~8000円均一で高めの設定が難しいらしく、音響機材も照明機材もそれなりのものを用意しなければいけないからね。

      チケット売り出して、すぐ“SOLD OUT”になっても、現実的には武道館を2日間以上押さえてライブを行なったり、武道館ツアーを組んで全国を回って、武道館の経費を回収するらしいんだ。『AKB48総選挙』の場合は一日だけのライブで、チケット代は一律3000円。当然、大赤字になってしまうけど、それはCDセールスや、放映権料、パブリック・ビューイングでうまく帳尻を合わすらしい。

      そういった話を聞いて、俺たちは青冷めたよ。3ヵ月前の段階でチケットは半分ぐらい売れていたんだけど、もちろんそれでは採算に合わないし、正直「武道館大会でDDTの歴史が潰えてしまうのか……」と思ったんだ。(この項つづく)

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