前説が終わると、KO-D無差別級選手権試合◎<王者>ケニー・オメガvs中澤マイケル<挑戦者>へ。まず「よしっ!」と気合いを入れたマイケルが入場。続いてケニーがKO-D無差別級、DDT EXTREME級の2本のベルトを持参し登場する。試合形式はラストマンスタンディングのほか両者の強い希望により、ノーDQとエニウェアフォール・ルールが追加されたことが発表された。するとケニーが「なんで着替えてないの? 大丈夫、コスチューム持って来たよ」とナース服やムチといったド変態團グッズをマイケルに渡そうとするが、マイケルは拒否。それでもケニーはローションを持ち出し、体に塗ったり口に含んで挑発。これに怒って殴りかかってきたマイケルの顔面にローションミストを噴霧するケニー。マイケルはお構いなしとカウンターのジャンピングショルダーでケニーを場外で追いやると、スライディングキックをお見舞い。しかしリングに戻ったケニーは、コーナーからダイブしたマイケルをドロップキックで迎撃するとドラゴン・スープレックスで投げ捨てる。ストンピングと逆水平チョップで荒々しくマイケルを痛めつけるケニー。マイケルも熱のこもったエルボー合戦を仕掛けていき、その場跳びドロップキックへ。ケニーもすぐさまフランケンシュタイナーでやり返すとファルコンアローで叩きつけて3カウント。すぐさまダウンカウントが数えられるが、マイケルが立ち上がって試合続行。ケニーはマイケルを場外に追いやりノータッチ・トペコンを発射すると、テーブルを持ち出してクロイツ・ラスを狙う。辛くも回避したマイケルはケニーを客席に投げつける。ケニーも花道にジャンプして飛び乗るとケブラーダへ。これをかわしたマイケルは着地したケニーをフラップジャックで花道に叩きつけてからリングへと戻す。さらにダイビングショルダーからスリーパーで執拗に絞め上げていった。ケニーはマイケルにスリーパーで絡みつかれたままの状態でコーナーへと登っていき後方にダイブ。ダブルダウン状態から立ち上がったマイケルは流血。ケニーはお構いなしにドラゴン・スープレックスから波動拳を打ち込むと、クロイツ・ラスを決めて3カウント。ケニーは立ち上がったマイケルに雪崩式クロイツ・ラスを狙う。これをマイケルが雪崩式巨匠スラムに切り返す。カバーをカウント2でクリアしたケニーはSTOPエンズイギリからカウンターのナックルパンチ、そして餅つきパワーボムを決めるがカウント2。ならばと旋回式ドクターボムで3カウント。マイケルが立ち上がって試合続行。20分が経過し、ケニーは場外のテーブルにマイケルをエプロンからのブレーンバスターで叩きつけようとする。これを踏ん張ったマイケルが逆にケニーをエプロンへと出すと、スピアでそのまま場外のテーブルへと突っ込んでいった。テーブルクラッシュしたケニーをそのまま押さえ込んで3カウントを奪ったが、ケニーもダウンカウント8で立ち上がる。ケニーは垂直落下式ブレーンバスターでマイケルをエプロンにぶつける。マイケルが動けない間に大量のイスをリングに投げ込み、イスを振りかぶる。マイケルはこれをスピアで回避し、巨匠スラム2連発。ケニーも脳天にイスを振り下ろすが、マイケルは倒れずに巨匠スラムで投げていく。それでもケニーが先に立ち上がり、マイケルを脳天からイスでブチ抜いて押さえ込み3カウント。立ち上がるマイケルにケニーは「ゴメンナサイ!」と悲壮な表情でイスを振り下ろす。カバーして3カウントが数えられるも、マイケルは不適な笑みを浮かべながら立ち上がるとクロイツ・ラスをカウント2でクリアし、リストクラッチ式巨匠スラムで3カウントを奪う。立ち上がったケニーがエルボーを放つと、ニヤリと笑ったマイケルはヒザのサポーターを下げ、アンダータイツをタイツの中からスルリと脱ぎ取る。いアンダータイツを腕に装着したマイケルはクロイツ・ラスを狙ってケニーが肩車したところにアルティメット・ベノムアームを決めて、さらにアンダータイツを顔面に押しつけたまま三角絞めへと移行する。しかし、ケニーもそのまま持ち上げてコーナーへと叩きつけて脱出。ケニーは二段蹴り式ジャンピング・ニーからイスの上への片翼の天使。これで3カウント聞いたマイケルに10カウント以内で立つ力は残されていなかった。
35分を超える熱戦に終止符を打ったケニーはようやく安堵の表情でベルトを掲げる。この試合をチームドリフのメンバーとともに見ていた入江茂弘がエプロンまで来て、ケニーをものすごい形相で睨みつける。ケニーは次期挑戦者の入江に握手を求める。顔を強ばらせたまま握手に応じた入江はそのまま席へと戻った。ケニーはマイケルに「まず驚いたことに中澤さんはメインイベントっぽい試合ができるよね! 知っていたよ。ありがとう、中澤さん! 立ってください、中澤さん。みんな応援したくなったと思うよ。今日は楽しくて、超楽しくて、うれしいです。そしてもちろん防衛できて幸せです。今回は私のためじゃなく、中澤さんのために。だから中澤さん、何か言え!」と言ってマイクを渡す。マイケルは「ありがとうございます。本当にプロレスラーとして、こういう試合をいつもできるといいんだけど、今日はケニーのおかげでいつもより少しだけ頑張ることができた……僕、頑張りましたよね? ケニー、痛かったよ。でも楽しかった。ありがとう」と言うとケニーと抱擁をかわし、健闘を称えあった。最後にケニーが「わかってほしい。これが本当に中澤マイケル。これが本当のDDTプロレス。ありがとうございました」と言って締めくくった。
【試合後のコメント】
――試合を終えて、すべてを出し切りましたか?
マイケル はい。もうあそこで……ああだったとか、こうだったらとか、そんなの何もないですね。もう完璧に…やられましたよ。だけど、だけど! 何分?
――35分を越えました
マイケル 35分……あのケニーに35分、例え特殊なルールとはいえ、35分闘うことができて……やっぱりそうすると、ちょっとだけ……欲が出てきますね。欲はありますね。もう……そうですね、楽しかったから。本当に楽しかったです。本当に。もう痛かったし、キツかったし……でもね、1分でも長くアイツの前に立っていたくて。立つとアイツがビックリした顔しますね。それが嬉しくてね。次、やるんだったらね、もうちょいビックリさせたいですね。悔しいです。楽しいのと同じくらい悔しいです。
――ケニー選手がコスプレの衣装やローションを持ってきて、挑発するような素振りもありましたが。
マイケル もちろんイラッと来ましたけど、今思えばケニーなりの僕に火を付けるための……アイツなりの応援だったんじゃないかと。アイツも優しいヤツだから、僕のことをあれだけ殴ったりするのに、抵抗あったんじゃないかと思うんですけど、それをなくすためのアイツなりの、僕に対する遠慮するなっていうメッセージだったんじゃないかと思います。あんな強いチャンピオンがあんなふざけたことする必要はないわけで。本当に僕の1000%でも足りないって言ったけど、1000%出させるための、アイツなりの僕に対する応援だったんじゃないのかなって思います。
――これだけの試合をしてレスラーとしての欲が出てきたと言いましたが、今後の中澤マイケルはどうなるんでしょうか。
マイケル どうなんでしょう(苦笑)。僕は別に……そうですね……今日の試合の全部を含めて、僕だと思っているので。最後、熱くなってパンツ脱いで、踊って、ベノムアームして。でもそれも僕がいま胸張って、それも中澤マイケルなんだって(言える)。でも一番大事なのはそれだけじゃないんだよって。それだけが中澤マイケルじゃないんだよって。みんなにもそうですけど、僕はケニーに、そして佐藤光留に、それから飯伏幸太に、松永に、高梨さんに、木曽さんに、高木さんに、DDTのみんなに見てほしかった。契約更改で「それだけじゃダメだよ。それだけじゃ飽きられるよ。ナメられるよ」って高木さんに言われましたけど(涙)、少しは見せれましたかね? わからないですけどね。僕は今日はもう精一杯出しました。精一杯出したから楽しかった。もうない……スッカラカンです。でも次はまたもう少し頑張れるかなって。もう少し頑張りたい……少しだけ欲が出ましたね。今までそんなのはなかったですけど、もう少しだけ次はケニーの、飯伏幸太の、佐藤光留の予想の上をいきたいと思います。そしてお客さんの予想の上をいけたらと思います。今まで……いや、僕が頑張っていなかったと言ったら、それはウソだと思うんですよ。例え最後脱ごうが、ふざけようが、最後スベろうが、はずそうが、僕は今までも頑張っていたんですよ。ただ今日みたいにやられて立って、やられて立って、真っ直ぐ……そうですね、真っ直ぐ頑張ったって言うんですかね。そういうのはやっぱり怖かったですね。怖かったから、最後やっぱり脱いじゃったりとか(苦笑)、おや、まぁとかね、そういうふうにふざけたのかしれませんけど。でも今日は真っ直ぐ、真っ直ぐ頑張って(苦笑)。でも、いや……頑張ってよかったと思います。頑張ったから本当に楽しかった。またこういうチャンスがあるかあからないですけど、また頑張ります。
ケニー わぁ、ヤバッ! 痛いところ、多いですよ。この試合は思ったより難しかった。でも私の友達とああいう試合ができて嬉しかった。明日、カナダに帰るけど……カナダで試合をして、イギリスでも試合をして、スコットランドでも試合をして、次の日本の試合は後楽園ですよ。入江さんとシングル。もちろん、前の時から入江さんはちょっと成長した。もっと大きくなった、でっかくなった。でも、それはそんなに怖くない。体重は気にしない。怖いのは入江の魂。今日がね、中澤さんがちゃんと中の魂を見せた。あれは強かった。強かった! でも入江はもっとできると危ない。怖いもん! だから帰ったら試合がいっぱいあるのに、もっと強くなって、もっと入江のいろいろ準備して、日本に戻ったら次の防衛戦の準備を、たぶん大丈夫だと思う。
――今回はケニー選手が望んで中澤選手とのタイトルマッチになったが、望んだ通りに中澤選手はすべてをぶつけてくれましたか。
マイケル 今日の試合ですね……「すべては中澤さんのために」と言ったんですね。それは本当の気持ちだった。負けると思わなかった。だけど、最初の4年前から私はずっと中澤さんのコメディーマッチだけを見た。だから今回、中澤さんと私とシリアスなのをしたかった。だから最初のマイクアピールして。それはやる気出すため。ちょっと怖いみたいな。本当は中澤さん自身はあんなにない。だからいつも変態なこととかする。でも今回、本当の中澤さんがちゃんと試合をして、私は嬉しかった。みんなにそういう中澤さんを見せたかった。だからそれは……紹介! 本当の中澤さんを紹介した(笑)。
――非常にハードな試合になりましたが。
ケニー ハードじゃなくてもよかったけど、中澤さんの100%をほしかった。本当は……ちょっと……残念なことは新木場のファンだけが直接見たこと。理想は、いつかはもっとデカイ会場でそういう中澤さんが試合ができるといいと思う。
――これが中澤選手にとって最初で最後のチャンスかもしれないと言っていたが。
ケニー 私はGMじゃないから、マッチメークの力はない。でもチャンピオンは相手を選べますので、今回は中澤さんを選んだ。でもこれからGMがチャンスをあげてもいいと思う。
――日本武道館での飯伏選手とのすごい試合は互いに信頼関係があったからだと思うんですけど、今日の試合も中澤さんと信頼感みたいなものを試合中に感じましたか。
ケニー そう、私も気付いた! 何で私、友達とすごいハードマッチするかわからない。それは偶然かもしれない。でも私は本当に誰も傷つけたくない。とくに友達なんだけど、なぜかハードマッチしちゃう、友達と(苦笑)。
――あそこまでイスで叩くことはないと思うんですけど、打っている時の気持ちは?
ケニー 本当はイスを使ったことがない。いつもよく投げるけど、こういう(振りかぶって)バーンというのはやったことがなかったけど、何か中澤さんの限界を知りたかった。だから自ら辛うじて勝った(笑)。でもそういうスタイル、ハードコア、ECWスタイルをこれからはあまりやらない。すごい珍しいなケニー・オメガ、今日は。
――対戦相手がケニー選手に正式に決まりました。
入江 今日の試合を見て、正直な気持ちは今、怖いです。すごいもうタフで、人を人と思わないような攻撃で。本当にもう怖いけど、自分はもうデビューしたときから立ち向かうという気持ちでプロレスを続けているんで。そんな怖い相手にも立ち向かっていった自分が、DDTの頂点に立つっていう気持ちでいくだけです。
――怖いというのは、中澤選手にあれだけの攻撃をしたケニーが怖かった?
入江 そうですね。試合を見ていて本当に怖くて、足も震えるような状態だったので。でもやるしかないですからね。自分が獲ります。