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21回 入門テストなし、即採用とは②

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    • じゃあ何で各団体に入門テストがあるのかと言えば、おそらく相撲制度から来ているんじゃないかな。大相撲に入門するには規定があるし、日本プロレスの祖である力道山が相撲出身だったことから、プロレスもそういう流れを受け継いでいるんだろう。

      海外だと入門既定はもはや“液状化”していて、プロレスをやりたいと思うヤツはレスリングスクールに通うのがほとんど。レスリングスクールは授業料を払って、プロレス技術を習って、卒業してデビューするという仕組みなんだけど、いくらプロレスラーになりたいという熱意があっても、ついていけない人間は自然と脱落していく。

      まあ、ウチはプロレス学校ではないから、授業料を取るということはないにせよ、俺様はそういう仕組みでいいと思っている。なんか、入門テストをなしにしたことで「そんなことをしているからDDTのレスリングレベルは低くなる」みたいな意見もあるみたいなんだけど、それはバカげているよ。

      だって間口を広げただけであって、練習生がやることは変わらないんだから。こっちは入門してからデビューするまでの工程を簡略化しないし、緩くもしない。当たり前の話だろ!? なんのレベルが低くなるのか、逆に聞きたいよ。

      まあ、間口を広げたことで勘違いをしてやって来る人間もいるだろうから、デビューするまでの工程を多少は厳しくすることがあるかもしれないね。それは肉体的な部分ではなくて、精神的や思想的な部分で振るいをかけていこうと思っている。

      そもそもDDTの入門テストでは体力テストを行っていない。体力なんてあとからいくらでも付けられるからね。見る部分は運動神経と反射神経、それと一芸。俺たちはプロだから、お客さんに見てもらうことが大切で、お客さんにお金を払いたくないと思われてしまう人間はダメ。一芸ではそういう部分を審査している。

      妻木洋夫は「少林寺拳法をやった人が巨大カマキリと対戦する」というパフォーマンスだったし、石井慧介は四天王プロレスのものまねで、福田洋はユニオンオーディションでプリキュアをフルコーラス振り付きで歌っていたよ。

      ついこの間入門した探偵学校卒業生の“探偵君”という練習生が一芸で披露したのは「ハクション大魔王の最終回を狂言でやる」というもの。これを考えついただけでも合格なんだけど、審査する俺らがそれを見てゲラゲラ笑って「もういい!」って言っているのに、10分もやっていたからね。

      入門テストをなしにしてしまうと、そういう部分も審査できないんだけど、ダメなヤツは脱落していくし、大丈夫だと思ったヤツは自然と残るからね。何でもやってみないと始まらないし、実施してみて「ダメだこりゃ」というヤツしか集まらなければ、また入門テストを設けてやるかもしれない。

      ただ、俺様は飯伏の「ここだったらプロレスラーになれる」という部分に、新たな人材を発掘するヒントがあると思うんだ。プロレスに、DDTに興味を持っている人は、誰でも来てほしいと思います。(この項おわり)

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